映画『終着駅 トルストイ最後の旅』あらすじとネタバレ感想

終着駅 トルストイ最後の旅の概要:『終着駅 トルストイ最後の旅』(原題:The Last Station)は、ロシアの文豪レフ・トルストイの晩年を描いた作品。主演はヘレン・ミレン。世界三大悪妻の一人とされる妻ソフィアの本当の思いとは?

終着駅 トルストイ最後の旅 あらすじ

終着駅 トルストイ最後の旅
映画『終着駅 トルストイ最後の旅』のあらすじを紹介します。

『アンナ・カレーニナ』や『戦争と平和』で知られる世界的文豪、トルストイ。貴族として生まれ、作家としても成功した彼は家族と共に裕福な暮らしをしていた。しかし、突然に財産と地位を手放し、菜食主義者として暮らしていくことを宣言する。これに反対したのが彼の妻であるソフィアだった。

モスクワ。ある青年がトルストイの秘書となるべく面接を受け、見事合格する。その青年ワレンチン・ブルガコフは、協会のチェルトコフに「トルストイの妻ソフィアに注意するように」と忠告を受ける。トルストイのすることに反対し続けているソフィアは、トルストイを支持する者達にとっては邪魔な存在だったのである。

トルストイ邸のそばに、自然のままに生活するというトルストイの考えに賛同する若者たちが暮らしている。ワレンチンはそこに暮らし、秘書としてトルストイ夫婦と親しくなっていく中で、二人の愛情を知る。

ソフィアは完全に孤立していた。結婚から50年あまり、初めは愛し合っていた夫婦であったが、今ではトルストイはソフィアを遠ざけている。特に、トルストイの弟子であるチェルトコフは遺書の書き換えに関わっており、ソフィアはこの弟子こそが夫をたぶらかしていると思い込んでいる。

二人の間に決定的な溝が生まれたきっかけが、その遺書だ。トルストイはその著作によって多大な財産を得ていたが、死後は作品に関するすべての権利をロシア国民に与えるというのである。ソフィアは家族のためにその財産を守ろうと一人で戦うが、その行動はトルストイとその弟子たちにとって煩わしいものだった。

トルストイは82歳のある日、とうとう耐え兼ねて家を出る。それを知ったソフィアは、制止を振り切り夫を追いかける。急に体調をくずしたトルストイは、アスターポヴォ駅で下車し、一週間後に肺炎で亡くなる。

終着駅 トルストイ最後の旅 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2009年
  • 上映時間:112分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:マイケル・ホフマン
  • キャスト:ヘレン・ミレン、クリストファー・プラマー、ジェームズ・マカヴォイ、ポール・ジアマッティ etc

終着駅 トルストイ最後の旅 ネタバレ批評

映画『終着駅 トルストイ最後の旅』について、感想批評です。※ネタバレあり

ソフィアは悪妻か

世界三大悪妻といえば、ソクラテスの妻とモーツァルトの妻、そしてトルストイの妻である。どの女性も偉大な夫を理解しない妻ということで「悪妻」とされているが、その不名誉な肩書が一人歩きしているだけのように思える。

この映画で描かれたのはソフィアの夫に対する深い愛である。秘書ワレンチンの目線で語られるそれは、「悪妻」などではなく、夫と子供達を愛する一人の女性であった。周りの誰もが敵である状況でただ夫を愛し続ける様子はけなげで、分かり合えないまま終わってしまった愛が切ない。

現代の感覚で見ると、ソフィアがトルストイ協会のすることに断固反対している理由にはうなずける。家族を顧みないトルストイが酷いようにしか思えないのだ。しかし、当事者たちにとってはそうでなかった。トルストイの仕事の手伝いをしている子供達でさえ母の味方をしようとはせず、娘には「父を死なせたのは貴女だ」とまで言われてしまうのだから。

妻として母として行動したソフィアは、ただ「夫」としてのトルストイを愛していた。しかし周囲の人々は「偉大な作家・思想家」トルストイとしてしか見ていない。それによって「悪妻説」が生まれたのではないだろうか。少なくともこの映画ではトルストイとソフィアの「愛」が描かれているので、ソフィアは悪妻などではない、夫を深く愛する女性である。そして、トルストイ自身も夫として最後まで彼女を愛していたのだ。

トルストイの貴重な映像資料

映画のエンドロールで、生前のトルストイの映像が流れる。亡くなったのが1910年頃だから映像資料があっても不思議ではないのだが、貴重なものには違いない。偉大な人物であるだけに、動いている本人の姿を観ることができるのは感慨深い。

終着駅 トルストイ最後の旅 感想まとめ

冒頭、ソフィアが寝ているトルストイに抱き着き、振りほどかれてもなお離れまいと腕を巻き付ける、というシーンがある。これだけ見ていてもソフィアがどれほど夫を愛し、愛されたいと願っていたかがよくわかる。

ソフィアを演じたヘレン・ミレンの演技が本当に素晴らしかった。まるで少女のような表情で夫に接してみたり、情熱的に縋り付いてみたり。まだ新婚かと見まがうほどの愛情表現である。夫に対する執着ともいえるような愛情表現は、これはたしかに疎まれただろうな……と思えるような演技だった。語り手であるワレンチンを演じたジェームズ・マカヴォイの演技もいい。ソフィアの思いにも共感しつつ、結局のところ何もできない、そんな葛藤が観ていてよく伝わった。

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