映画『ラスト、コーション』あらすじ・ネタバレ結末と感想

ラスト、コーションの概要:トニー・レオン主演の日本占領下の上海を舞台にした危険な恋愛物語。共演はタン・ウェイ、ワン・リーホン。第64回ベネチア国際映画祭で金獅子賞と撮影賞をW受賞。アン・リー監督の2007年製作映画。

ラスト、コーション あらすじ

ラスト、コーション
映画『ラスト、コーション』のあらすじを紹介します。

1942年。日本占領下の上海。政府官僚の夫を持つ、4人の有閑マダム達が麻雀に興じていた。そのうちの1人、マイ夫人(タン・ウェイ)は抗日派のスパイ。

日本軍の傀儡政権で働くイー(トニー・レオン)を暗殺するため、彼の動向を探っていたのだ。イーと出会い、彼に惹かれてゆく危険な愛と裏切り、死の物語。

4年前、マイ夫人ことワン(タン・ウェイ)は、映画好きな大学生だった。ある日、抗日運動のため、劇を しないかとクアン・ユイミン(ワン・リーホン)に誘われます。
舞台でワンは、戦争で息子を亡くした母親と娘の物語を演じ、客に大うけします。血気盛んな若者達は、この成功に酔い、自らイーを暗殺しようと決意。

6人の学生による抗日運動はやがてスパイ活動に発展してゆく。
ワンはマイ夫人として、イー夫婦に近づき、まず夫人に気に入られた。イー夫人から夫の服を作りたいと言われ、仕立て屋を紹介。
イーとより親密になろうとデートを重ねるが、用心深いイーはなかなか誘いに応じてくれない。デートの後、自宅へ招き入れようとするが直前で帰られてしまう。
「イーは慎重な男よ 。今度、電話があったら彼は本気だわ。」とワンは確信した。

ところが、イー夫人が急に上海に戻ることになった。これで、暗殺計画は頓挫したかのように見えたが、ワンたち6人の前に突然、リーの秘書を務めるツュオが現れた。
「お前たちが抗日スパイだとはな!学生なんだろ?」とワンたちの素性がばれてしまう。そこで、仲間たちはツゥオをメッタ刺しにして殺害した。

ラスト、コーション ネタバレ結末・ラスト

殺害事件から3年後の上海。叔母の家に住み、大学に復学したワン。勉強を続けながら、子供たちに勉強を教えていた。

ある日、映画館で「愛のアルバム」を鑑賞。その後、映画館でかつての抗日派の友人ライ・シュウイン( チュウ・チーイン)と再会した。
彼から、「あの事件はまだ終わっていない。イーは日本人の手下だ!」と言われます。
更に本屋で、抗日派のスパイの頭、呉(ウー)に会ったことで再びスパイ活動に戻った。

上海で、マイ夫人としてイーと再会。イーの隣に下宿することになるが、映画館に行く途中でイーの館へ。

ついにマイ夫人はイーの愛人になった。彼に過激なプレイで犯されてしまう。そんな関係が続くなか、イーの孤独な心に触れたマイ夫人は彼に惹かれてゆく。
抗日派の仲間に報告すると、「奴を誘惑し続けろ。」と言われるが、「彼を甘く見ないで」と答えるのだった。

上海にある日本料理店でイーと会ったマイ夫人は、歌を歌った。その歌に喜んだイーは、「ハリド・S・ウディンを訪ねて。私と君だけの秘密だ。」とほほ笑む。

ハリドを訪ねたマイ夫人は、イーから贈られる6カラットのアメジストの指輪にときめいた。

数日後、指輪を取りに行ったが、仲間の姿を見かけた。思わず、「逃げて!」と叫んでしまう。
抗日派の仲間は、ウー以外全て捕まってしまう。マイ夫人に贈ったはずの指輪が、イーの執務机にあった。

「知っていたなら、なぜ言わないんだ?」と怒るイー。抗日派のスパイとして、ワンは仲間と共に処刑された。

ラスト、コーション 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2007年
  • 上映時間:158分
  • ジャンル:ラブストーリー、ミステリー、歴史
  • 監督:アン・リー
  • キャスト:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン etc

ラスト、コーション 批評・レビュー

映画『ラスト、コーション』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

抗日派から見た歴史~抗日スパイの視点で描くラブ・サスペンス

映画は時代を映す鏡のようなもの。この映画は、上海を日本軍が占領していた時代を舞台に抗日の立場で描かれています。

学生劇団からスパイ活動に至る若者たちの行動を観ていると、とてもお粗末です。日本と繋がっているというイーを本当に殺せると思っていたのだろうか。
まじめに大学で勉強すればいいのに。一方的に日本が悪いと宣伝しているように思えてなりません。

残念な点はまだあります。女スパイ、ワンと日本軍傀儡政府のイーが激しい性行為をしますが、まるで日本軍に犯される中国(上海人)という構図に見えます。
暴力としての表現が、これほど不快に思えたことはありません。このように歴史を一方的な見方で描いてしまうと、日本が悪いとなります。
戦争ですから、両方悪いんじゃないですか?加えて、中国や韓国の抗日思考の人が観れば、秀作となってしまうでしょう。とても危険な映画です。

近年、台湾での日本占領下の歴史が見直されています。一方的に日本が悪いと決めつけるのではなく、今こそ歴史の検証が必要なのではないでしょうか。

中国の 近代史を描いた、おすすめ映画ベスト3!

抗日派ではなく、国民党政府から見た歴史についても知ってもらいたい。ホウ・シャオシェン監督の台湾近代史を描いた3部作を紹介します。

1作めは、「戯夢人生」(93)。台湾の人間国宝である人形遣いの人生と植民地時代から解放されるまでの50年の物語。
人形師を演じる、リーティエンルーの名演に泣けます!

2作めは、トニー・レオン主演の「悲情城市」(89)。トニー・レオンは、ろうあ者の役で、1949年の国民党政府樹立までの民衆の生活を丁寧に描いています。
日本や日本人に対する思いが憎しみでないことに注目して下さい。

3作めは、3部作の完結編となる「好男 好女」(95)です。
1940年代の抗日戦を描いた映画に出演することになった女優の葛藤を描いた作品。日本と台湾の合作で撮られており、出演はツァイ・チェンナン、伊能静。

国民党からの視点で観るとまた、歴史の見方も変わりますよ。ぜひ、多くの視点から観ることをおすすめします。

ラスト、コーション 感想まとめ

この映画を観て、トニー・レオンの流し目にやられる!という女性ファンも多いらしい。また、チャイナドレスが醸し出す美や色気に酔ってしまいそうだ。

しかし、アン・リー監督が突きつける愛の映画はそう単純ではない。どうしょうもなく、溺れてしまう人間の弱さや頑固さ、孤独をあぶりだすのだ。

日本占領下の上海という背景がなければ、もっと自由な恋愛だったかもしれない。特に注目してほしいのは、学生劇団から女スパイへと変貌を遂げるワンの姿。

時代と国に翻弄されて不幸だと思えてならない。また過激なシーンと話題になった2人の交接シーンだが、まるで日本軍に犯されているような表現・構図だと思う。

また歴史を、抗日という視点で観るか、後の国民党の視点で観るかによって評価が変わることも覚えていてほしい。

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