映画『ザ・マジックアワー』あらすじネタバレ結末と感想

ザ・マジックアワーの概要:2008年公開。三谷幸喜監督の第4作目。“だます男”に妻夫木聡、“だまされる男”に佐藤浩市を迎え、三谷監督作品らしい豪華なキャストが繰り広げるファンタジーコメディ映画。興行収入は39.2億円を記録した。

ザ・マジックアワー あらすじネタバレ

ザ・マジックアワー
映画『ザ・マジックアワー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ザ・マジックアワー あらすじ【起・承】

港町守加護(すかご)でクラブの支配人をしているビンゴ(妻夫木聡)は、町を牛耳る天塩(てしお)商会のボス(西田敏行)の愛人であるマリ(深津絵里)と一夜を共にしてしまい、殺されかける。

しかし、ボスが行方を追う幻の殺し屋“デラ冨樫”を連れてくる約束をして解放される。

結局デラは見つからず、ビンゴは映画監督になりすまし、売れない役者の村田大樹(佐藤浩市)を“デラ冨樫という殺し屋が主役の映画を撮影する”と騙して町へ連れてくる。

クラブのスタッフ鹿間親子も協力し、村田とマネージャーの長谷川を映画の撮影だと信じ込ませる。

村田の予想外の熱演に、ボスや手下もすっかり騙され、村田もまた、これが映画の撮影ではなく現実だということに全く気づかない。

村田はボスに気に入られ、天塩商会の用心棒として雇われる。

ボスは村田に、商売の裏事情を警察に流しているらしい会計士・菅原の殺害を依頼する。

ビンゴは行き場をなくしたマリに強く誘われ、駆け落ちしようとする。

村田は撮影だと信じて、本物のマシンガンで菅原を殺そうとするが、寸でのところでビンゴが帰ってきて、何とか殺さずにすむ。

しかし、ビンゴと菅原は、裏切り者としてボスの怒りを買い、監禁される。

村田はビンゴを救おうとする鹿間親子にそそのかされ、また撮影だと信じてボスを殺そうとするが、さすがに捕まってしまう。

ついに村田は、これが映画の撮影ではなく現実だと気づく。

ザ・マジックアワー あらすじ【転・結】

マリはボスのもとへ戻ることにして、3人を救い出す。

ビンゴはマリが自分たちのために嫌々ボスのもとへ戻ったことに責任を感じ、マリを救うためのシナリオを思いつく。
村田に協力を頼むが、ビンゴの嘘に怒っていた村田は東京へ帰るという。

しかし、村田はビンゴたちが撮影した自分のラッシュを偶然映画館で見て、大画面に映し出された自分の姿に感動し戻ってくる。
夢が叶った村田は役者をやめる覚悟をし、最後の舞台はこの芝居に決めたと告げる。

村田の呼び出しで、東京から村田が懇意にしている本職の撮影スタッフが守加護へ到着し、
ビンゴの書いたシナリオは本格的に実現される運びとなる。

いよいよ、血行の日。
マリと菅原を交換するという条件で呼び出されたボスは、港へやってくる。
撮影スタッフが巧妙に仕込んだ仕掛けを使い、村田の大芝居が始まることになる。

ボスは、アジア系マフィアに村田とマリが命を狙われるという謎の展開に混乱しながらも、芝居だと知らないままマリをかばい“自分を撃て!”と村田の役を横取りする。
その姿にマリは感動しボスのもとへ帰り、2人は幸せそうに去っていく。

ビンゴと村田の作った芝居は台無しになるが、村田は役者を続けることにする。

そこへ、自分の偽物を語る村田に激怒していた本物のデラ冨樫が現れる。
村田は仕込んでおいた発破や爆薬を、スタッフと息の合った演技で思う存分使いきり、本物のデラは恐れをなして逃げ出し、村田とビンゴの大芝居は成功する。

ザ・マジックアワー 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:136分
  • ジャンル:コメディ、ファンタジー
  • 監督:三谷幸喜
  • キャスト:佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか etc

ザ・マジックアワー 批評・レビュー

映画『ザ・マジックアワー』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

俳優の魅力を引き出す力

本作は、三谷監督の“佐藤浩市メインの映画を創りたい!”という思いから始まっている。

そこで、佐藤浩市という俳優に何をやらせたら面白いかを考え、最初に浮かんだビジュアルイメージが“トランポリンの上で上下運動する佐藤浩市”だったらしい。
そして、実現したあのシーン。
佐藤演じる村田大樹がボスの事務所の窓から飛び降り、仕掛けておいたトランポリンで跳ねながら得意げにポーズを決めまくるという、あのシーンは確かに面白かった。

三谷幸喜は今までのイメージをぶち壊す役を俳優に与える。そしてそれを俳優も喜ぶ。
その相乗効果はかなりの確率で成功している。

実際、佐藤も“普段はそうでもないが、村田大樹という役には離れがたい愛着を感じる”と言っている。

俳優は自分の新しい魅力を引き出してくれる作品を常に求めている。
だから、俳優は三谷幸喜から声がかかると喜ぶのだ。

日本でのファンタジーコメディの難しさ

本作を、ファンタジーだとは思わない人は多いかもしれない。

しかし、本作の舞台になっている“守加護”という町は、完全にファンタジーの世界だ。
これは三谷監督の狙いなのだが、このリアルとファンタジーの境界線がわからない人は“そんなことありえない”と感じることだらけで、なかなか本作を素直に楽しめないだろう。特に頭の固くなった評論家には通じにくい世界観だ。

三谷監督は守加護の町を作るにあたって、観客がリアルに引き戻されないよう細心の注意を払っている。
ヤクザではなくてギャング、ホテルにいるのは制服を着たホテルマンではなくて厚化粧のマダム。ここでは、徹底的に生活感が排除されている。
なぜなら、ファンタジーの世界に生活臭はご法度だからだ。

ファンタジーコメディというジャンルの映画がほとんど見当たらない(多分創れない)日本の映画界で孤軍奮闘する三谷監督には、これからも是非頑張って欲しい。

ザ・マジックアワー 感想まとめ

本作はとにかく手間暇とお金のかかった映画だ。

村田大樹という役者がいかに売れていないかをわからせるために「黒い101人の女」(市川崑監督の「黒い十人の女」のパロディ)という映画の撮影シーンを撮影し、その現場には中井貴一、天海祐希、山本耕史、さらに市川崑監督まで出演している。

巨大なセットで作られた架空の町に住む人々の衣装一つ見ても全く妥協がない。

これだけのスケールで、SF超大作や歴史スペクタクルではなく、ひたすら悪ふざけに徹したコメディを作ってしまうのだからすごい。いや、だからこそ面白いのだけれど。

緻密な脚本で土台固めされた夢の国でのドタバタ劇は、まさに「ザ・娯楽映画」。
何も考えたくない時に、ぜひ観てほしい一本だ。

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