映画『もらとりあむタマ子』あらすじとネタバレ感想

もらとりあむタマ子の概要:「リンダリンダリンダ」「マイ・バック・ページ」などで知られる山下敦弘監督作品。主演に前田敦子を迎え、ニート状態の女がゆっくりと重い腰を上げるまでの一年を淡々と描く。

もらとりあむタマ子 あらすじ

もらとりあむタマ子
映画『もらとりあむタマ子』のあらすじを紹介します。

東京の大学を卒業したあと、就職もせずニート状態だったタマ子(前田敦子)は、父の善次(康すおん)がひとりで暮らす甲府の実家へ戻ってきた。しかし、実家のスポーツ用品店「甲府スポーツ」の手伝いをするわけでもなく、タマ子がしていることと言えば寝ているか、マンガを読んでいるか、ゲームをしているか、何か食べているかだけ。日々、いろいろなことに文句を垂れるが、これまで見て見ぬふりをしていた父に一喝されてしまう。

月日は流れ、大みそか。珍しくタマ子も買い物をしたりカレンダーを張り替えたりと、家事の手伝いをしている。夜、タマ子がこたつでだらけていると、善次の義姉・よし子(中村久美)がおせちを届けに来てくれた。タマ子の姉も夫と一緒に間もなく実家来るという。タマ子は離婚した母のことをふと気にかけたまま夜は更けていく。

そんな最中、タマ子は父の善次がひょっとすると再婚するのではないかという疑念を抱き始め、狼狽する。突然の再婚話に戸惑いながら、相手の女性と対面するタマ子。少しずつ動き始めたタマ子はある行動に出る。

もらとりあむタマ子 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2013年
  • 上映時間:78分
  • ジャンル:コメディ
  • 監督:山下敦弘
  • キャスト:前田敦子、康すおん、鈴木慶一、中村久美 etc

もらとりあむタマ子 ネタバレ批評

映画『もらとりあむタマ子』について、感想批評です。※ネタバレあり

前田敦子の女優力

前田敦子といえば元AKB48のセンターとして知られるアイドルである。彼女がAKB48を辞め、女優に転向して以来というもの、日本映画界のそうそうたる監督が彼女を起用してきた。単に彼女の人気を利用してのことなのかと思いきや、黒沢清監督までもが前田敦子を起用した「Seventh Code」という作品を作製していることからも伺えるように、どうやら彼女の実力を買ってのことのようである。現に筆者は別段、前田敦子のファンというわけでもなかったのだが、本作を観て強く惹きつけられてしまった。

本作における前田敦子が演じるタマ子というキャラクターは、無気力で常に気だるさが漂っている存在である。それを元トップアイドルが演じるという一見矛盾に思えるが、始まってすぐその疑念は消し飛ぶ。驚くほどの無気力感が画面に漂う。そして父を演じる、山下作品常連の康すおんの演技力も相まって、どうやってタマ子という人格がこの家庭において形成されていったのかまでもが伝わってくるのだ。

特にこれといったことは起こらない

山下作品ほぼすべてにおいて通底する特徴として、映画的なクライマックスと言うべき派手な見せ場がないことが挙げられる。こういってしまうと、まるで平坦な映画であるかのように聞こえてしまうかもしれないが、決してそうではないのが面白い。淡々とはしているが、決して平坦ではないのだ。何気ない日常や人々との会話の中にあるドラマを構築する能力に長けているのが山下敦弘監督なのだ。

上映時間の短さ

もともとはM-ONのアイキャッチとして使われていたショートムービーを長編映画化した作品が本作である。そういうこともあってか長編にしては非常に短い上映時間である。しかし、非常に上手くまとめ上げられていて、観終わった後にある種の爽快感までをも感じさせるのはさすがである。

もらとりあむタマ子 感想まとめ

本作を観れば、間違いなくタマ子の魅力に惹かれることだろう。東京の実家を離れ、大学に進学したという設定だが、ここから彼女の性格が伺える。おそらくは母と離婚した父を内心侮蔑している節があったのだろう。そう考えれば、東京への大学進学は一種の逃避だったのではないか。なにか新しい世界が待っているのではないかと考えていたタマ子はおそらく進学してさほど自分の世界が変わらないことに挫折したのだろう。すべてのやる気を失って実家に戻ってきたのである。

と、いったように、映像や役者の演技からその人物が背負っている運命や人生が伝わってくるのだ。これを良い映画と言わずしてどうするのか、という感じである。食わず嫌いの人にこそぜひ観ていただきたい作品である。

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