ミュージカル映画のおすすめランキング22選(洋画)

オールドファンから若い世代まで楽しめる、絢爛豪華な大作、名作・珍作に至るまで。楽しいダンスと名曲に溢れたミュージカル映画の数々をランキング形式で紹介します。

ミュージカル映画は歌とダンスでラブストーリーを紡いでゆくとう設定が一般的です。そのロマンティックな展開は女性向きと思われるかも知れませんが、ヒロインに魅せられ、男性も虜になるような作品も多いのは事実です。そして子供の想像力を育む作品も多く、一人で観るよりは家族で観るといった内容のものが多いでしょう。背景に流れる美しい音楽の数々と、夢の世界で戯れるような画面作りは、現実を忘れさせてくれるカンフル剤としても楽しめる作品ばかりです。ここでは1950年代のハリウッド黄金期を飾ったミュージカルを中心に、様々な展開が楽しめる作品のおすすめをご紹介いたします。洋画がメインとなっております。

第1位 雨に唄えば

あらすじ

ドサ周りを続けハリウッドに辿り着いたドンは、スターになる夢を叶える。女優のリナは共演者のドンを恋人のように扱い、ドンは心ここにあらずといった調子で、駆け出し女優キャシーと恋仲になる。トーキーへの転換が急がれていたハリウッドで、制作途中のドンとリナのサイレント映画もトーキーへの変更が決定するが、リナが金切り声が原因で試写会は散々な結果となる。危機を感じたドンと友人のコスモ、キャシーは映画をミュージカルに変更し、リナの声はキャシーの吹き替えで決定する。無事撮影は終了したが、吹き替えを知ったリナが社長を脅迫し、キャシーを表舞台へ出られないよう仕組む。試写会を終えドンとリナは喝采を受けてリナは自らスピーチを行う。スクリーンと声が違うのを怪しむ観客から生歌を迫られ、ドンと会社の社長は生意気なリナを陥れることを思いつく。リナに歌うフリをさせ、カーテンの後ろで歌うキャシーの姿を見せリナの実態を暴露した。そしてキャシーの努力はようやく報われた。

注目ポイント&見所

「雨に唄えば」のシーンは映画史上に残る名シーンだ。出演する他の役者にも躍動感がみなぎっており、彼らの満面の笑顔の裏から、観客を楽しませるエンターテインメントに徹底する役者の魂が伝わってくる。コミカルなストーリーと背景に流れる音楽も充分楽しむことができるが、何と言ってもジーン・ケリーのワイルドかつシャープなダンスに加え、ドナルド・オコナーの器用さやデビー・レイノルズのエレガントなダンスなど、見どころ満載のパフォーマンスに圧倒される。

⇒雨に唄えばの批評・評価

第2位 ウエスト・サイド物語

あらすじ

ニューヨークのウェストサイドに対立する二つの不良少年グループ「ジェット団」と「シャーク団」の物語。シャーク団のボス、ベルナルドは、妹のマリアを伴いダンスパーティへ出かけるが、そこへジェット団のメンバーも現われ、二つのグループは競うように踊り始める。そこでジェット団の元リーダー、トニーとマリアは恋に落ちるが、トニーはシャーク団に対立するジェット団の現リーダー、リフの親友だった。やがて二つのグループは衝突をし、マリアの願いでトニーは両者の間に割って入るも、誰も聞く耳を持たず、ボス同士の対決となる。そしてリフはベルナルドに殺され、親友の死に怒ったトニーはベルナルドを殺してしまう。マリアは兄の命を奪われながら、トニーへの想いを捨て切れず彼の後を追った。

注目ポイント&見所

屋外での撮影によるダイナミックなカメラワークが若者の躍動感を切り取り、音楽もビートの効いたリズム感の良いもので、従来のミュージカルとは一線を画した切り口が印象的である。不良グループが持つ言いようのない緊迫感と、ダンスシーンのリズミカルな演出がマッチして、衣装も街の若者といった当時の普段着ファッションが反映されている。音楽にも衣装にもリアルな世相を反映した若者文化を取り入れ、近代ミュージカルの先駆け的な作品としてあまりにも有名になった。

⇒ウエスト・サイド物語の批評・評価

第3位 オズの魔法使

あらすじ

カンザスの農場で叔父、叔母と一緒に住む少女ドロシーは、虹の彼方のに素敵な国があると夢見ていた。ある日、突然の竜巻に襲われて気を失った後、愛犬のトトや自分の家とともに魔法の国オズへ運ばれてしまう。そこで出会った魔女グリンダは、黄色のレンガ道を辿りエメラルド・シティに行き、オズの魔法使いに会えば、カンザスへ戻してくれるだろうとドロシーに助言する。旅の途中で彼女は案山子、ブリキ男、臆病なライオンと出会い、ドロシーや彼らの思いを胸に、彼らと絆を深めながら旅を共にする。そして様々な障害を乗り越え、ようやく魔法使いの下へ辿り着く。魔法使いから教わった家へ帰る方法は「家が一番いい」と何度も願うことだった。

注目ポイント&見所

名曲「オーバー・ザ・レインボー」を始めとする音楽も魅力満載で、案山子、ブリキ男、臆病なライオンなど、自分が生活をしていた周囲の人物を置き換え、幻想的なキャラクターに仕立ててしまうのは、子供ながらの発想の自由さから来るものである。現実世界でのセピア調画面から、夢の世界へ入ってのカラー画面に切り替わるところなどにも工夫が窺え、おとぎの国の妖しげな画面も、今の映画のようなCG表現にはない手作り感も楽しめる。子供たちにはぜひ一度見せておくべき作品であり、家族揃って鑑賞することをお勧めしたい。

⇒オズの魔法使の批評・評価

第4位 マイ・フェア・レディ

あらすじ

言語学専門のヒギンズ教授は、下町生まれの下品な言葉遣いの花売り娘であるイライザを、レディに仕立て上げるかどうかをめぐってピカリング大佐と賭けをすることになる。どうにかまともになった彼女は、試しに金持ちの社交場である競馬場に出かけ、淑女が板に付いたイライザはレディーとして見事変身を遂げた。ヒギンズ教授は最初から義務感でつきあっていたが、徐々に彼女のことを愛してしまった自分に気づく。イライザは大人としての自己も確立させてゆく中、それまで彼女が受けたレディーへの教育が、ヒギンズ教授とピカリング大佐の実験的な遊びだった事実を知り、ショックを受け飛び出してしまう。しかしその経緯の中で芽生えた二人の愛は、やがて物語をハッピーエンドへと導いてゆく。

注目ポイント&見所

オードリー主演の名作「ローマの休日」で、王女が貴族の生活から逃れ、庶民と同じ生活を送る話とは逆の、身分の低い人間が上流社会で生活するという物語である。ミュージカルにしてはダンスシーンが少ないが、ストーリーも重要な部分を占めているので、作品のバランスは取れている。しかし170分という長尺物なので観る人は心して掛からないといけないだろう。オードリーの衣装と演技にそれを充分カバーできる存在感はあるので、細かなシークエンスを楽しみながら鑑賞するのがコツである。

⇒マイ・フェア・レディの批評・評価

第5位 キャバレー

あらすじ

1930年のベルリン。明日のスターを夢みるサリーは、キットカットクラブというキャバレーの舞台に立っていた。ある日、語学生ブライアンが、サリーの部屋に間借りする形で同居を始め、彼はドイツ人フリッツの英語教師となる。やがて彼らの前に、金持ちの男爵が出現し二人を自らの城に招待する。サリーは男爵夫人になるチャンスを知るが、ブライアンも男爵の恋人というおかしな関係に陥る。やがて男爵は他国に移住し揉め事は解決する。妊娠が発覚したサリーは当初浮かれていたが、自らの将来を考え中絶してしまう。そしてサリーの傷心を知ったブライアンはベルリンを去る決心をする。別れ際にサリーの後ろ姿を見て、ブライアンはサリーを心から愛していることを知った。傷心のサリーは過去を吹き飛ばすように、自分の人生を託した「キャバレー」を熱唱する。

注目ポイント&見所

従来の豪華なステージのミュージカルではなく、ここは場末のキャバレーが舞台である。しかも1930年代のベルリンというナチスが台頭していたドイツの話であり、エレガントな雰囲気はなく見せ物的なショーの話でもあるが、ライザ・ミネリのひたすら明るく逞しく生きるキャラクターに感銘を受ける。そしてその舞台に出演する登場人物もキワモノ的ながらみな魅力的であり、暗い世情を明るく笑い飛ばすような豪放さに満ち、ミュージカルという枠を超えたエンターテインメントが楽しめる。

⇒キャバレーの批評・評価

第6位 サウンド・オブ・ミュージック

あらすじ

1938年のドイツによるオーストリア併合及び第二次世界大戦の直前。修道女のマリアはオーストリア軍人の7人の子供の家庭教師をすることになった。厳しくしつけられすぎた子供たちの気持ちをほぐすため、マリアは子供たちに歌を教えることにした。子供たちの心を開いたマリアにいつしか父のゲオルクも惹かれてゆきふたりはやがて結婚する。ふたりが新婚旅行に出かけている間に、ザルツブルクにもナチスが駐屯を始め、やがてゲオルクにドイツ軍への出頭命令が届く。愛国者でありドイツのオーストリア併合に反対するゲオルクは、中立国であるスイスへ一家で亡命することを決意する。幾多もの苦難を乗り越え、新しい世界へ向けてマリアとゲオルクの家族は一路スイスへと山を越えてゆく。

注目ポイント&見所

ジュリー・アンドリュースの存在感、演技力、歌唱力に、彼女でなければ成し得なかったと痛感する映画である。オープニングシーンの雄大な草原と彼女の天真爛漫で表情豊かな歌唱力に、心を鷲づかみにされる。一瞬の感動というのはこういったものであろう。戦争の陰でこうしたドラマが展開されていたのかという部分においても感銘を受け、家族愛というものの大切さを実感できる。悲惨になってしまいがちな展開のドラマだが、ミュージカルという表現においてそれが救われている作品である。

⇒サウンド・オブ・ミュージックの批評・評価

第7位 メリー・ポピンズ

あらすじ

ロンドンに住むバンクス氏は厳格で気難しい銀行家であり、ベビーシッターに預けたまま子供たちは腕白盛りでシッターが居つかない。子供たちは、優しく美しく親切な若いシッターという条件をメモに書き父に見せたが、父はそのメモを暖炉に放りこんでしまう。その願いは煙突から空高く舞い上がり、翌朝、メリー・ポピンズという魔法使いがパラソルを開き空から降りてきた。彼女はその魔法で家事を全てこなし、その歌声で周囲の人たちを幸せに巻き込んでゆく。ある日、バンクス氏はよかれと思い子供たちにとった行いが、大騒動に発展しクビを宣告されてしまう。しかし彼の脳裏にはメリー・ポピンズの言葉が浮かび、足取りも軽く銀行を出て行く。翌朝バンクス氏は一家揃ってタコ上げに出かける。一家の楽しそうな姿を見て、自分の役目を果たしたメリー・ポビンズは、風に乗って空に舞い上がりどこかへ去っていった。

注目ポイント&見所

この映画は子供に対するメッセージではなく、大人の生き方をコメディタッチで皮肉ったものである。家族を放ったらかしにして、偉そうな顔をしながら生きている大人へのアンチテーゼが含まれている。しかし、そういった野暮な内容はさておき、ストーリーの中でいきいきと遊ぶ、メリー・ポピンズと子供たちのおとぎ話に浸って楽しむというのが正しい鑑賞の仕方だろう。1シーン毎の絶妙な展開がテンポの良いミュージカルとして繰り広げられ、物語を飽きさせることなく最後まで引っ張ってくれる作品だ。

⇒メリー・ポピンズの批評・評価

第8位 スタア誕生

あらすじ

ロック界のスーパースターであるジョンは低迷期を迎え、気持ちのバランスを崩していた。そんなる日、場末のクラブで唄うエスターと出逢い、新しい才能を発見した喜びにジョンは浮かれエスターと意気投合する。そしてジョンは自分のステージで酔っぱらい失態を繰り返し、公演のキャンセルや損害賠償で、破産寸前に追い込まれてしまう。トラブルを起こし謝罪に訪れた放送局で、ジョンはエスターと再開し恋に落ち、共に暮らし始める。その暮らしの中でジョンはエスターに曲を書き、エスターはその曲をジョンのステージで歌い大評判になる。エスターはスターの道を上り詰めながら、曲を提供したジョンは陰に隠れてしまう。ジョンの悪い噂も流れる中、お互いに愛し合いながらも、苦悩するジョンは自ら命を絶つように事故死する。そして数日が経ち、ジョンを哀悼するステージにエスターは立ち、思いの丈を込めて熱唱するのだった。

注目ポイント&見所

ストーリーを主体として描かれた映画であり、ミュージカルといった作り方ではないにしろ、音楽は充分に楽しめる作品となっている。主演と制作総指揮を務めたバーブラ・ストライサンドの才覚というものが、時代にマッチした画面作りの中で、華やかに展開されてゆく。クリス・クリストファーソンも男の哀愁というものを纏い、ロックシンガーの悲哀がよく表現されている。原作は映画業界の話であるが、音楽業界物に転換して作り直されたもので、過去の二つの作品と見比べてみるのもいいだろう。

⇒スタア誕生の批評・評価

第9位 ブルースブラザーズ

あらすじ

刑務所から出所したばかりのジェイクは、孤児院で弟のように暮らしてきたエルウッドの出迎えを受けた。その孤児院に出所の報告に行った際、母親代わりのシスターから税金が払えなくて困っていることを聞き、彼らは、過去に世話になったカーティスのところへ相談に行く。そして礼拝に出席するよう進められ、渋りながらも出席した礼拝で牧師より神の啓示を受ける。二人は以前組んでいたバンドを再結成し、それで金を稼いで孤児院の税金を払おうと奮闘する。演奏活動は順調に行き大金も手にしたが、その間にトラブルが頻繁に起こり、警察や訳の分からない追っ手に追いかけられながら、手にしたギャラを持ち税務署を目指して追走劇を繰り返してゆく。ようやく到着した税務署で税金を納めたものの、途中の追走劇で破壊の限りを尽くした二人は再び刑務所送りとなるが、懲りもせず「監獄ロック」で大いに刑務所内を盛り上げた。

注目ポイント&見所

ブルース・ブラザース以外の脇役がR&Bやロックの神様的存在ばかりであり、音楽好きにはたまらない作品である。ジェームズ・ブラウンやレイ・チャールズ、アレサ・フランクリンといった、蒼々たるメンバーが登場し唄い踊る。ミューカル的要素は少ないが、教会でジェームズ・ブラウンが率いるゴスペル隊や、ブルース・ブラザースのステージは圧巻であり、音楽に興味のない人にも充分楽しめる、ノリの良さでは超一級品の作品である。

⇒ブルースブラザーズの批評・評価

第10位 巴里のアメリカ人

あらすじ

パリに住むアメリカ人のジェリーは画家を目指している青年である。パリに来たものの絵の勉強はいっこうに進まず、得に関係ない友人ばかり増えていった。ジェリーの絵はパリジャンに受け入れらなかったが、モンマルトルで開いた個展に、アメリカの金満家ミロが訪れ保証人になってくれた。そして二人で行ったキャバレーのステージに出演するリズに一目惚れをし、ジェリーは強引に彼女の電話番号を聞き出す。しかしリズには婚約者がいて、その婚約者はジェリーの友人でもあったアンリという歌手だった。アンリの演奏旅行に結婚して同行するよう求められたリズは、恩情を掛けられた過去の経緯から断れず、アンリとの結婚を決意する。そしてある夜、偶然に出会ったパーティー会場でジェリーとリズは別れを惜しむが、二人の愛を知ったアンリが身を引き、二人はハッピーエンドを迎える。

注目ポイント&見所

パリの芸術に彩られた舞台セットが見事であり、クライマックスのシーンでは、ガーシュインの交響曲「巴里のアメリカ人」に合わせ、芸術とダンスの壮大なコラボレーションが繰り広げられる。18分にも及ぶ圧巻のステージであるが、ここでのジーン・ケリーは正しくスーパーマンであり、ある意味感動で涙するほどの壮大なパフォーマンスが展開される。映画史に残るダンスシーンとして、これからも語り継がれてゆくであろう名場面である。

⇒巴里のアメリカ人の批評・評価

第11位 若草の頃

あらすじ

万国博の開催を直前に控えた1903年のセントルイス。市民たちはみな街に愛着を持ち、スミス家もその思いは同じだった。スミス家の次女エスターは、恋人を持つ兄や姉をうらやましく思いながら学生生活を過ごしていたが、隣に越してきたジョンの出現でその気持ちを昂ぶらせていた。そしてスミス家で行われた、兄の大学進学の祝賀パーティーに招かれたジョンと親しくなり、二人は交際を始める。季節は流れ、父の転勤が決まり、スミス家はニューヨークへの引っ越しを余儀なくされてしまう。翌年の万博開催を楽しみにしていた家族は嘆き悲しみ、あまりの落胆振りに父は意を決し転勤をキャンセルする。そして翌年のセントルイス万博会場でスミス家は幸せなひとときを過ごし、エスターとジョンも幸福に包まれていた。

注目ポイント&見所

ロケで撮影された部分が多く、純粋なステージミュージカルではないが、今でも多くの歌手に歌い継がれている名曲の宝庫であり、ジュディ・ガーランドの歌が存分に堪能できる作品である。さらに美術のセンスにも一目置く部分が多く、当時の時代背景が細かな描写で描かれ、画面の中に19世紀から20世紀へ移項するアメリカの風景が、今となっては目新しくも映る。何と言ってもハイティーンを演じるジュディ・ガーランドが輝いている作品だ。

⇒若草の頃の批評・評価

第12位 王様と私

あらすじ

1862年のシャム王国(現在のタイ)の王国に教師として招かれた、イギリス人のアンナ夫人は、丁重なもてなしを受けたが、王は宿舎の用意をしてなくアンナは不自由していた。教師として王子たちに「家」という言葉を教え、何とか王に宿舎を用意させようとするもままならない日々が続く。アンナが子供たちに教えた内容を耳にし、文化の違いから様々なすれ違いが生じるが、その中でアンナと王は次第に絆を強めてゆく。そんなある日、王の側室に迎えられていたタプティムが元の恋人と駆け落ちし、その恋人は処刑されてしまう。アンナは愛想を尽かしイギリスへ帰ろうとするが、船が出る日に王は心臓発作で倒れてしまう。アンナは王の子供たちの願いでシャムに留まることになり、王はアンナの宿舎を約束し息を引き取る。

注目ポイント&見所

ユル・ブリンナーの記念碑的作品であり、彼の主演で五千回近くに及ぶ公演が行われた、名作ミュージカルの映画化作品である。誰もが一度は耳にしたであろう「シャル・ウィ・ダンス」もこのミュージカルが元であり、ロジャース&ハマースタインの音楽が充分に堪能できる優雅な作品である。舞台設定もタイという当時ではあまり知られていなかったであろう国の、エキゾチックな空気がハリウッドミュージカルらしからぬ画面の中で美しく描かれている。

⇒王様と私の批評・評価

第13位 シカゴ

あらすじ

1920年代のシカゴ。スターを夢見るロキシーは、自分を売り込んでくれるという男と浮気をしていた。しかし、それが彼女と寝るための嘘だということを知り、男を射殺し逮捕される。そしてロキシー憧れの歌姫ヴェルマも、夫と妹の浮気が原因で殺人を犯し投獄されていた。ヴェルマは裏切られた被害者として悲劇のヒロインを演じスターの地位を上げる。それを真似ようとしたロキシーも、同じ手口でマスコミの同情を買い世間の注目を集めた。スターの座を得たロキシーはヴェルマを見下すが、社交界の花形令嬢が殺人事件を起こし、マスコミの関心はそちらに向けられた。ロキシーは巻き返しを図り、弁護士ビリーの下で無罪を勝ち取ったが、その途端に世間は彼女から離れてしまう。そしてロキシーと同じ思いをしていたヴェルマがコンビを組もうと申し出る。ロキシーとヴェルマは、二人でデビューを果たし華やかな舞台に登場した。

注目ポイント&見所

ブロードウェイで培ったロブ・マーシャル監督のライヴ感覚がいかんなく発揮されている。物語の中で展開される、監獄や法廷、絞首刑までを演出に組み込む大胆な演出も見もの。キャサリン・ゼタ・ジョーンズもレニー・ゼルウィガーも素晴らしいが、弁護士役のリチャード・ギアまでもがノリノリで、撮影現場の盛り上がりも窺え、音楽とダンスのマッチングも絶妙な快心の一作である。

⇒シカゴの批評・評価

第14位 ディック・トレイシー

あらすじ

1930年代のある犯罪都市。刑事ディック・トレイシーの宿敵は、ギャングの親玉ビッグ・ボーイ・キャプリスである。キャプリスは「クラブ・リッツ」オーナーのリップスを殺し、歌姫ブレスレスを手に入れた。トレイシーの片腕は、彼に拾われたスリの少年キッド。トレイシーは情報を入手し、リップスの愛人だったブレスレスに証言を求めるが、彼女が引き換えに欲しがるのはトレイシーの愛だったが、彼にはテスという恋人がいた。間もなくトレイシーはキャプリスの襲撃を受けたが、絶体絶命のピンチをキッドの機転によって免れる。トレイシーはキャプリスのアジトを盗聴し反撃を開始。しかしテスは解決に向かい順調に進むトレイシーの危険な仕事を懸念し、気持ちのすれ違いも併せトレイシーの元を離れてしまった。傷心のトレイシーは、それでもキャプリス逮捕に向かって立ち向かってゆく。

注目ポイント&見所

アル・パチーノにダスティン・ホフマン、マドンナという豪華な役者を起用し、各々が強烈な個性を発揮した、見どころ充分の作品である。主役のウォーレン・ベイティもいい味を出しているが、アル・パチーノの強烈な個性には太刀打ちが出来ない。ミュージカル映画ではないが、アメコミを原作とした背景の随所にカラフルなセットが取り込まれ、ミュージカル的な世界観がよく演出されている。マドンナの唄う姿にも歌劇的なニュアンスが織り込まれ、エンターテインメント性は存分に楽しめる作品である。

⇒ディック・トレイシーの批評・評価

第15位 四十二番街

あらすじ

ブロードウェイのヒットメーカー、ジュリアンは株で破綻寸前に追いやられ、新作で損失を取り返そうと張り切っている。主演はスポンサーご執心のドローシー。彼女には元恋人のパートナーであるパットがいたが、スポンサーの機嫌を損ねてはならないと、ジュリアンはギャングを雇いドローシーに近づかないよう彼を脅迫する。オーディションで選ばれたペギーは、稽古中に倒れ介抱してくれたパットに送られるが、アパートに帰った所を大家の誤解で追い出され、全てを失ってしまう。仕方なくペギーはパットの部屋に泊まる。パットの気持ちは一途だったが二人の仲を疑ったドローシーはパットに別れを告げる。そしてパットの巡業先とショーのオープニング地が偶然一緒になり、ドローシーは彼と鉢合わせになる。そこでパットとペギーの仲を裂こうとする企みが逆効果になり、ドローシーは誤って足首を骨折するが、気持ちを改め主役の座をペギーに譲るのだった。

注目ポイント&見所

音楽センスにスピーディな演出が際立つ作品である。ジンジャー・ロジャースやルビー・キラーもキュートで、ストーリーが単純な分、ミュージカル要素が満載でエンターテインメントに徹しているところに好感が持てる。モノクロ作品だが30分近くのクライマックスシーンで、音楽と踊りのエッセンスが凝縮され、ミュージカルを充分に堪能できるダイナミックな作品である。

⇒四十二番街の批評・評価

第16位 オール・ザット・ジャズ

あらすじ

ブロードウェイの演出家で映画監督のジョーは、幼ない頃からタップを踏んでいたショー・ビジネスの申し子だった。彼の一日は、ビバルディを聴きながらコカインと目薬を差し、鏡に向かい「イッツ・ショー・タイム」と語りかけスタートする。新作のアイデアが浮かばず苦悩し、奇抜なアイデアを出すもののプロデューサーは頭を抱える。切磋琢磨を繰り返し、新作の概要が大詰めを迎えたある日、過労のためジョーは倒れ心臓手術を受けることになる。その術中に彼は無意識に自分の人生を回顧していた。もう一人の自分と共に、様々なジョーの過去が壮大なミュージカルとなって繰り広げられてゆく。最後に彼を祝福するかのように「ショーほど素敵な商売はない」のメロディが流れ、ジョーの人生は幕を引く。

注目ポイント&見所

奇抜で華やかさなど全く観られないショーの舞台裏が延々と続く。唯一華があるのはジョーの娘ミシェルの可憐さである。彼女がジョーの愛人ケイトとデュエットで披露するプチミュージカルは、何ともキュートだ。クライマックスへ繋ぐ一服の清涼剤みたいな演出がストーリー半ばの大きなアクセントとなり、ドラマにささやかな明るさをもたらしている。クライマックスシーンのミュージカルは、幻想的でダイナミックであり、それまでの暗い空気を払拭する壮大なスケールで描かれている。

⇒オール・ザット・ジャズの批評・評価

第17位 トップ・ハット

あらすじ

ブロードウェイのスターであるジェリーは、ロンドンの興行師ホレースの招待でショーに出演することになり、ホレースの泊まるホテルに同室する。ヴェニスに滞在するホレースの妻から、ジェリーに会わせたい友人があると連絡が入る。ジェリーは浮かれ大はしゃぎをするが、その部屋の下に宿泊しているデールは、支配人に文句を言うが効き目はなく、デールは直接の抗議にやって来る。美しいデールの抗議に恐縮したジェリーは謝罪し、紳士的な対応に好感を抱いたデールの怒りは溶けた。ロンドンでようやく親密になったふたりだったが、互いに向かったヴェニスで起こった大きな勘違い事件から、デールはジェリーを諦め地元のデザイナーと結婚してしまう。ジェリーは何とかデールの勘違いを説き、デザイナーとの結婚も牧師が偽者で不成立となり、ジュリーは舞台でのパートナーも兼ねたデールを生涯の伴侶として迎えた。

注目ポイント&見所

ご存じ、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースのミュージカル映画の傑作。二人の一糸乱れぬペアダンスにクギ付けになること請け合いだ。「チーク・トゥ・チーク」や「ピコリーノ」などの名曲の数々も心に残り、ゴージャスな空気に包まれた二人のダンスシーンが、スクリーンの中で縦横無尽に展開される。ハリウッドのミュージカル映画の頂点とも言える作品である。

⇒トップ・ハットの批評・評価

第18位 バンド・ワゴン

あらすじ

ダンス映画で名を馳せたトニーは、人気も下り坂になっていた。ブロードウェイ時代からの親友マートン夫妻が、トニーのためにミュージカル・コメディを書き上げたと誘いをかけて来た。トニーは自信が持てず躊躇したが、ニューヨークへ行く決心をする。新作タイトルは「バンド・ワゴン」。スポンサーはジェフリーという資産家で、彼は「バンド・ワゴン」を近代歌劇にアレンジしようと考えた。トニーの相手役に選ばれたのは新人のギャビー。そして「バンド・ワゴン」は幕を開けたが、現代離れしたアイデアのため、興行は失敗に終わる。そしてトニーやマートン夫妻は、「バンド・ワゴン」を歌とダンスに楽しさを加えたショーに作り上げた。彼らはニューヨーク公演以前に地味な巡業を重ね、大一番でブロードウェイの公演は大成功を収める。そしてギャビーはトニーへ温めていた愛を告白し、物語はハッピーエンドに幕を閉じる。

注目ポイント&見所

アステア、ブキャナン、レヴァント、ファブレー、四人による「ザッツ・エンタテインメント」はミュージカル史上に燦然と輝く至高のナンバーである。そして「ダンシング・イン・ザ・ダーク」の名演技と「あなたと夜と音楽と」や「バイ・マイセルフ」。「シャイン・オン・ユア・シューズ」や「ガールハント・バレエ」など、多くの名曲が作品の彩りとなり、アステアの気品と併せ洗練されたエンターテインメントを演出している。

⇒バンド・ワゴンの批評・評価

第19位 踊る大紐育(ニューヨーク)

あらすじ

24時間の休暇をもらった三人の水兵ゲイビー、チップ、オジーは、ニューヨーク見物に出かけ、矢継ぎ早に名所を見て回る中、ゲイビーがポスターのモデルになっているアイヴィに惚れ込み、ポスターの示す博物館に出かける。館の教授クレアはオジーに思いを寄せ、チップはタクシーの女運転手ブランヒルドから言い寄られる。シンフォニーホールでアイヴィを見つけたゲイビーは大喜びしたが、彼女は照れて隠れてしまう。やがて二人は打ち解け合い、6人全員で楽しく夜を過ごす。唄って踊った夢のような一夜を過ごした一同は、翌朝の水兵たちの帰艦を迎え、それぞれ熱いキスを交わし別れを惜しんだ。

注目ポイント&見所

ジーン・ケリー、フランク・シナトラなど、MGMミュージカルの蒼々たるメンバーが集結している。そしてMGMお得意のミュージカルナンバーは素晴らしく、「プレヒストリック・マン」のアン・ミラー。「メイン・ストリート」でのジーン・ケリーとヴェラ=エレン。全員で唄う「オン・ザ・タウン」。そして本作の最大の見せ場である「ア・デイ・イン・ニューヨーク」は、それぞれの個性が活かされた見事な演出である。屋外ロケという利点を活かしたテンポの良いカメラワークも見応えがある。

⇒踊る大紐育(ニューヨーク)の批評・評価

第20位 レ・ミゼラブル(2012)

あらすじ

民衆が自由を求めていた19世紀のフランス。ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪で19年間投獄され、仮釈放ながら生活に行き詰まり再び盗みを働く。その罪を見逃してくれた司教の慈悲に触れ、生まれ変わろうと決意し名前を変え、工場主として成功を収める。市長に上り詰めたバルジャンだったが、警官のジャベールは彼を執拗に追いかけてくる。そんな中、以前バルジャンの工場で働き、娘を養うため貧しい生活を送るファンテーヌと知り合い、バルジャンは彼女の幼い娘コゼットを託される。ある日、バルジャン逮捕の知らせを耳にしたファンテーヌは、法廷で自分の正体を明かし再び追われることになり、パリへ逃亡する。彼はコゼットに愛を注ぎ、美しい娘に育てあげる。やがてパリで革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発し、バルジャンやコゼットも次第に激動の波に呑まれていく。

注目ポイント&見所

登場人物が抱える軋轢や葛藤を、深く力強く歌い上げながら、クライマックスの「民衆の歌」へと誘ってゆくダイナミックなドラマ展開は正しく圧巻である。2時間半に及ぶストーリーも、スケール感の大きな流れの中で飽きることなく引き込まれて行き、気がつけば、あっという間にラストを迎えるシナリオ作りの巧さが絶妙だ。勇ましく生きる力に漲る骨太のミュージカル映画である。

⇒レ・ミゼラブル(2012)の批評・評価

第21位 屋根の上のバイオリン弾き

あらすじ

アナテフカの牛乳屋テヴィエは貧しいながらも信仰深く、少々口うるさい妻のゴールデ、愛らしい5人の娘と暖かい家庭を築いていた。安息日の準備に勤しむある日、イェンテ婆さんが肉屋の息子と長女ツァイテルの結婚話を持ってきた。ツァイテルには仕立屋のモーテルという恋人がおり、彼女はその話をうやむやにし、結局テヴィエはモーテルとの結婚を許してしまう。やがて三女、次女と相次いで結婚が決まってゆく中、ウクライナの情勢は悪化が進み、ついにユダヤ人の強制退去命令が下った。村人たちは次々と村を離れ、家財道具を積み込み、村を離れようとするテヴィエの耳に、バイオリン弾きが奏でる悲しい曲が聞こえてきた。

注目ポイント&見所

劇中歌「サンライズ・サンセット」は誰もが耳にしたことのある印象深い曲だろう。そして「愛する我が家を離れて」や「アナテフカ」などの美しいメロディが、牧歌的なシーンに重なり印象深く映る。楽しく陽気なシーンも途中に見られるが、誰も知らないような小さな村にも、時代の背景にあるユダヤ民族の悲しい定めが訪れることを、切なく描いた名作である。

⇒屋根の上のバイオリン弾きの批評・評価

第22位 ムーラン・ルージュ

あらすじ

19世紀末のパリ。モンマルトルに訪れた作家志望の青年クリスチャンは、自由と愛についての物語を書こうと意気込むが、恋愛経験がない事で途方に暮れていた。やがて彼はムーラン・ルージュの高級娼婦サティーンに恋をする。女優を目指すサティーンは、自作の詩を口ずさむ彼に心を動かされ、クリスチャンが貧乏作家だと知りつつ恋をする。陰で愛し合う二人だったが、ムーラン・ルージュのオーナー、ジドラーにキスの現場を目撃され、サティーンに熱を上げている資産家の公爵は、二人の関係に猛烈な嫉妬を燃やす。ムーラン・ルージュ存続の鍵を握る公爵の妨害に悩み、結核で自分の死期が近いことを知ったサティーンは、クリスチャンと別れることを決意する。最後に二人は愛を取り戻すが、間もなくサティーンは亡くなり、クリスチャンは二人の想い出を綴り始める。

注目ポイント&見所

最初からけばけばしい展開に面食らうが、慣れてくるとその画面に漂う演出の美しさに目を奪われてゆく。そして現代ポップスのヒットナンバーを、絶妙にアレンジした音楽センスも見逃せない部分である。主演のユアン・マクレガーとニコール・キッドマンも役に応じた演技を見事にこなしており、吹き替えなしで歌う二人の歌も違和感なくシーンに溶け込んでいる。クライマックスの展開も感動的に盛り上げられ、冒頭から最後まで飽きのこないストーリーと、きらびやかな画には新しいミュージカルの可能性を感じる。

⇒ムーラン・ルージュの批評・評価

まとめ

ミュージカル映画というと男性はあまり興味を示さない人が多いかも知れませんが、世の中でロマンスを作り上げる演出家は男性であり、女性はそのロマンスの中心として、男性の視点から描かれる対象物であるということ。ゆえにミュージカルは全て女性対象に作られているのではなく、女性をエスコートする男性の視点で描かれているという事を考えれば、もっとミュージカルを楽しめるのではないでしょうか。ここで紹介した映画も多くの女性が登場しますが、自分がああすればこうすればという考えに及ぶなら、充分にミュージカル映画を楽しめる素質はあるでしょう。そしてエンターテインメント性が最も重要視される、ミュージカル映画であるからこそ、映画の本質が分かるというものではないでしょうか。

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