映画『マイ・バック・ページ』あらすじとネタバレ感想

マイ・バック・ページの概要:評論家の川本三郎の回想録「マイ・バック・ページ」を原作にした作品。実際に起こった朝霧自衛官殺害事件や新左翼運動など、60年代後半から70年代前半の時代の流れを描いた。

マイ・バック・ページ あらすじ

マイ・バック・ページ
映画『マイ・バック・ページ』のあらすじを紹介します。

学生運動が盛んな時代。
ジャーナリストを目指して東都新聞社に入社した東大出身の沢田雅巳は、希望していた左翼雑誌「東都ジャーナル」の隣の「週刊東都」編集部に配属された。
ある日、先輩の中平から、東大安田講堂事件の関係者として指名手配中の唐谷義朗と接触して視野を広げるよう言われ、そこで衝撃を受ける。

京西安保の幹部、梅山という男と接触する機会を得た中平は沢田を誘い、沢田の自宅でインタビューをすることになる。
中平は梅山を“偽物”だと言うが、沢田は梅山の事が気に入った。
梅山はこれから過激な活動を行っていくと言うが、そういった知らせは入らなかった。

やがて「週刊東都」編集部から、廃刊寸前の「東都ジャーナル」へ左遷された沢田。
梅山とのつながりがあることを中平に話すと、「梅山は信用できない」と言い、沢田に何度も忠告する。
だが、沢田は思想家の前園勇と梅山の対談を決行する。
梅山は沢田の同僚からお金をだまし取ってカンパさせ、反戦自衛官である清原の手引きで武器を強奪する計画を立てる。

前園に計画の話をしてカンパを頼むが、軽くあしらわれてしまった梅山。
そして中平は、梅山という名前の人物は京西安保に存在しないと突き止め、沢田に再び忠告をする。

何者なのかを梅山本人に尋ねる沢田だったがはぐらかされ、「赤邦軍」という過激派組織を組んでいる事を教えられると、独占取材を頼み込んでしまう。
そして武器を奪うため朝霧駐屯地に忍び込んだ赤邦軍は、ひとつの事件を起こす。

マイ・バック・ページ 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2011年
  • 上映時間:141分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:山下敦弘
  • キャスト:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈 etc

マイ・バック・ページ ネタバレ批評

映画『マイ・バック・ページ』について、感想批評です。※ネタバレあり

70年代の空気が伝わる映像

実際に起こった「朝霧自衛官殺害事件」と、その事件で有罪判決を受けた原作者でもある川本三郎をモデルにした浜田雅巳、川本三郎が出会った事件の犯人で自称活動家の青年Kをモデルにした梅山(片桐優)たちの動きを丁寧に描いた作品。
141分とやや長めの時間の作品で、「学生運動」という、言葉は知っているが意味は詳しくわからない、という部分が多く含まれている。

作中で「洲崎パラダイス赤信号」、「ファイブ・イージー・ピーセス」といった60年代から70年代にかけての映画のワンシーンが流れたり、「真夜中のカーボーイ」のダスティン・ホフマンについて語り会うシーンが登場する。
また、アポロ11号の月面着陸の様子を沢田がメモするなど、細かい部分でも60年代後半から70年代前半の様子が描かれている。

一般的に映画に使われる35ミリフィルムではなく16ミリフィルムを使って撮影し、それを拡大させるという手法を使い、服装や髪型といった表面的なものだけでなく空気感も70年代風になっている。
しかし、モデルの倉田眞子を演じた忽那汐里の制服が、あきらかに現代風なのはツッコミどころ。

リアルに描かれた人物像

本当にあった出来事をテーマにすると、登場人物のキャラクターが“いい人側”と“悪い人側”に分かれがちで、原作者が登場する場合などは“いい人側”になりがちだ。
しかし本作では沢田が時代の波にのまれ、センチメンタルな記事がいいと言われるよりも、左翼雑誌で注目されたいと思うようになる様子がうかがえる。
梅山に騙される様子も大げさに描かず、ただズルズルと巻き込まれていく愚かさが表現されている。

梅山こと片桐も、カリスマ性や口の上手さとともに都合が悪くなると責任転嫁して逃げる様子や、「赤邦軍のリーダーは前園」とあからさまな嘘をつく、どうしようもない人間像が映し出されている。

ここまで人間像をうまく描きながら、倉田眞子の死など“事件のその後”について、テロップでの説明にしてしまったのは勿体ない。

マイ・バック・ページ 感想まとめ

2005年公開の「リンダリンダリンダ」など、コンビを組むことが多い山下敦弘監督と脚本家の向井康介が、3年の歳月をかけて脚本を書いたという作品。
「その時代、暴力で世界は変えられると信じていた」というキャッチフレーズ通り、過激な思想家やそれを匿う記者たちの、時代の波が克明に描かれている。
モデルにした思想家や実在の人物がわかるように描かれた珍しい作品でもある。

ラストシーン忽那汐里が演じた倉田眞子が、編集部に最後に顔を出した時に沢田に告げた「学生運動はよくわからないけれど、怖いと思った」というセリフが、ひねりは無いがストレートな感想に感じられる。
序盤に知り合ったタモツと偶然再会し、彼の店で号泣する沢田の姿は、見る人にとって違う受け取り方ができるエンディングになっている。

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