映画「涙するまで、生きる」よく生きていた!ヴィゴ・モーテンセン主演

涙するまで、生きるの概要:カミュの原作「客」をヴィゴ・モーテンセン主演で映画化。1954年のアルジェリアを舞台に、殺人容疑のアラビア人と輸送するはめになってしまった男の束の間の友情と闘いを描いた物語です。ダヴィッド・オロファン監督作。

涙するまで、生きる みどころ

涙するまで、生きる
映画『涙するまで、生きる』の見どころを紹介します。

カミュの原作を超えた作品世界

カミュの原作「客」を基にヴィゴ・モーテンセン主演で映画化。原作には、ひしひしと孤独感が漂い、わずか2日間の話なのに重く心に残ります。特に老兵の「戦争になったらみんなどんな仕事だってやる」という言葉が現状を表しています。

ヴィゴ・モーテンセン演じる、殺人犯を輸送する男(教師)と、殺人容疑のアラビア人の2日間のやりとり(会話)が面白いのです。途中で2人の間に友情が生まれます。追われる者として数々の試練(銃撃戦)に立ち向かう2人。

時は1954年、フランスからの独立運動が高まるアルジェリア。なにが正しいのかそれは自分にも分からない。混乱期だからこその真実があるのかもしれません。

ヴィゴ・モーテンセンの魅力

ロードオブザリング」3部作でアラゴルン役を演じて人気俳優になりました。セクシーな俳優として、また詩人や写真家としても活躍しています。少年時代にベネゼイラやアルゼンチン、デンマークで過ごし、スペイン語やデンマーク語、フランス語にイタリア語も堪能です。

どの言語で考えているのだろう?マルチな才能を持つ人です。常に演じる役柄について研究を重ね、構築していくそうです。この映画の教師ダリュ役はまさにはまり役といえるでしょう。繊細な演技と色気、力強さが魅力です。

彼の主演作で「ギリシャに消えた嘘」(14)もおすすめです。三角関係がからみあうサスペンスで、詐欺師役を演じています。

レダ・カテブの魅力

「ゼロ・ダーク・サーティ」(12)で、拷問を受ける場面を演じました。かなり怖かったそうです。賛否両論ある映画でしたが、オサマビン・ラディンを暗殺する裏側を知るうえでは貴重な映画ともいえます。まだ、主演作の少ない彼ですが、ヴィゴ・モーテンセンと共演した経験は宝になるでしょう。

この映画では2人の会話に注目して下さい。観終わった時、「あぁ、生きてて良かった」と感じること間違いありません。アルジェリアの歴史や現在についても想いがめぐります。

なぜ、今カミュなのか?

カミュの代表作といえば、「異邦人」や「ペスト」です。この映画の原作は短編の中でもあまり知られていない作品ですが、読むほどに味わいが増す不思議な魅力を持っています。カミュの作品の特徴として、「異邦人」にみられる「不条理」があります。

この「不条理」の中には深い孤独が隠れているようにも見えます。主人公の行動や言動に理解・共感はできません。やはり、ヨーロッパ系アルジェリア人のカミュが自己の存在意義に悩んで、現実から目をそらす事で解決しようとしたのではないか。

1954年のアルジェリアは、フランスからの独立運動が盛んで、その後7年にも及ぶアルジェリア戦争になります。時代がカミュを必要としたのでしょうが、現代まで読まれるのはなぜでしょうか?現代もまた政治の混乱期にあり、「条理と不条理」の挟間で悩んでいるからだと思います。

映画を観て、カミュに興味を持ったらぜひ読んでみて下さい。

まとめ

1954年のアルジェリアを舞台に、殺人容疑のアラビア人と輸送するはめになった教師の友情と闘いの物語です。「ロードオブザリング」3部作のアラゴルン役ヴィゴ・モーテンセンが主演と聞けば、観たくなりますね。語学に堪能なヴィゴ・モーテンセンのフランス語やアラビア語も聞けますよ。

カミュ原作の「客」が基になっていますが、殺人容疑のアラビア人の心情が原作ではほとんど描かれていません。映画では、2人の会話を中心に描かれています。原作を超えた新しい解釈に注目して下さい。

この映画では、ヴィゴ・モーテンセンの演技が素晴らしいです。主人公の孤独感や知性を体現し、懸命に現実を生きようとする姿に心を打たれます。カミュは、「フランス人とアラブ人の共存」を夢みていました。そんな気持ちが見えてくる映画です。

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