『茄子 アンダルシアの夏』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

黒田硫黄の短編漫画を基に作られたアニメーション映画。スタジオジブリに携わって来た高坂希太郎の監督作品。自転車レースに挑む弟と、同日に結婚式を挙げる兄の姿を平行して描く。大泉洋を声優に起用。

あらすじ

茄子 アンダルシアの夏』のあらすじを紹介します。

ベルギーのビール会社に雇われた自転車レーサーのペペ(声:大泉洋)は、故郷のアンダルシアでのレースに臨んでいた。しかし彼の脳裏には他のことがよぎっていた。丁度その日、兄アンヘル(声:筧利夫)の結婚式がコースの近くで執り行われていたのだ。兄の相手は自分の元恋人のカルメン(声:小池栄子)。複雑な気持ちがペペの胸中で渦巻いていた。

レースの中盤、ペペは監督の指示でアタックを仕掛ける。他の選手のペースを乱すことでチームのエースを有利にする作戦だ。ところがアクシデントで後続集団にアクシデントが起こり、エースがリタイアに追い込まれる。図らずも独走態勢となったペペはそのまま逃げ切りで優勝を狙うことに。徐々に追い上げてくるライバルたちとゴール直前で団子状態になり、熾烈なデッドヒートを繰り広げるペペ。そしてついに応援にかけつけたアンヘルやカルメンの声援を受け、トップでゴールに辿り着く。ゴール後勝利の余韻に浸る間もなく、乳酸を抜くために走りだすペペ。それをアンヘルとカルメンは並走していくのだった。

評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2003年7月26日
  • 上映時間:47分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:高坂希太郎
  • キャスト:大泉洋、小池栄子、筧利夫、平野稔、緒方愛香 etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『茄子 アンダルシアの夏』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

どこに向かって自転車を漕ぐのか

主人公のペペはレース中にも関わらず、頭の中にはそれ以外のことで一杯だ。サポート要因に過ぎない自分の現状、解雇の危機、そして兄と元恋人の結婚。それらの悩みを振り切るようにペペはひたすらペダルを漕ぐ。自転車は漕ぎ続けなければ倒れてしまう。ただ前に向かって進むしかできない乗り物なのだ。この辺りペペの心境を良く象徴している。見事トップでゴールした後、今度は自分の過去に向かってペダルを漕ぎ始める。過去の辛い時自分を応援してくれた町並みに感謝するペペ。しんみりとした良いシーンだ。過去の自分があって、初めて今の自分がいることを認めるのだ。そして物語は次のレース(未来)に向かって終わる。ペペは自分の人生というコースを、過去に未来へと漕ぎ続けて行くのだ。

リアル志向のレース描写

監督の高坂希太郎はアニメ業界きっての自転車通として知られており、その知識が遺憾なく発揮されている。細かいレースのテクニックや自転車のディテールは勿論、リアルな実況も作劇を盛り上げる。車輪の回転や息づかいといった音にもこだわりが見える。ゴール直前のデッドヒートでは、荒々しいタッチで描かれる選手たちの表情が、レースにかける必死な想いを観ている者に届けてくれる。

まとめ

高坂希太郎は多くのジブリ作品で作画を担当してきたことで知られており、今作もマッドハウス制作でありながらも随所でジブリらしさが見られる。人物の動かし方や、美味しそうな食べ物の描写などはまさにそうだ。レンタルショップでよくジブリの棚に置かれるのも頷ける。ちなみに宮崎駿も原作のファンであることで知られる。

本作は上映時間僅か47分の中編であり、劇場公開された際も通常の半額の値段でチケットが売られている。それ故にストーリーという面で見るとどうしても掘り下げが足りない所があるだろう。兄弟の確執や元恋人への想いなどは、台詞で済ませるのではなくもっと丁寧描いて欲しかった。主役に抜擢された大泉洋は当時まだ全国的な人気はなかったが、なかなかの好演だ。

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