映画『ニューヨーク、アイラブユー』あらすじネタバレ結末と感想

ニューヨーク、アイラブユーの概要:ニューヨークを舞台に、様々な人物の「愛」にまつわる物語を描いた2010年公開のアメリカ・フランス合作映画。11人の監督による短編を切れ目なく交錯させるという珍しい手法で制作された。

ニューヨーク、アイラブユー あらすじネタバレ

ニューヨーク、アイラブユー
映画『ニューヨーク、アイラブユー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ニューヨーク、アイラブユー あらすじ【起・承】

アメリカ・ニューヨーク。

大学教授ギャリーの財布を盗んだスリ師のベンは、財布の中に入っていた写真の女性を街で偶然見かけ、バーで口説こうとする。

ダイヤモンド取引所で働くジャイナ教徒のインド人マンスークバイのもとへ、結婚を控えたユダヤ教徒の女性リフカが訪れる。

部屋にこもって作曲をする映画音楽作家デヴィッドのもとに、監督アシスタントの女性カミーユから電話がかかってくる。その電話は、ドストエフスキーの小説を読めという監督からの指示を伝えるものだった。

レストランの前で美しい女性にタバコの火を貸した作家の男は、そのまま女性を口説き始める。

失恋したばかりの17歳の少年は、知り合いの薬剤師から、娘を卒業プロムに連れて行くよう頼まれる。快諾する少年だったが、車椅子に乗って現れた娘に驚く。

一夜限りのつもりで関係を持ったガスとリディアは数日後、再び会う約束をする。待ち合わせ場所へ向かう2人は、あの夜のことを思い出していた。

古くから利用しているホテルに宿泊した元オペラ歌手のイザベルは、片足が不自由なホテルマンの青年ジェイコブと接するうちに、かつての自分を思い出す。

セントラルパークで仲睦まじく遊ぶ、黒人の青年ダンテと白人の少女テヤ。「優秀な子守だ」と褒める周囲の母親たちに、ダンテは苦笑いを浮かべる。

心臓に病を抱える初老の画家は、漢方薬店で働く女性の肖像画を描こうとするが目だけが描けず、モデルになってもらうよう彼女に直接申し出る。

レストランの前でタバコを吸う中年男性アレックスに火を借りる中年女性アンナ。彼女は、自分に見向きもしない夫の愚痴を言いながらアレックスを誘惑する。

老年夫婦のエイブとミツィーは、互いに嫌味を言い合いながらニューヨークの街を歩く。

そんな、ニューヨークで暮らす多種多様な人々を、カメラアーティストのゾーイが撮影していく。

ニューヨーク、アイラブユー あらすじ【転・結】

バーで女性を口説くベンだったが、あとから現れたギャリーが彼女のパートナーだと知り帰ろうとする。だが、意外にも一流のスリの腕前を持つギャリーはベンを挑発し、2人はスリの攻防を繰り広げる。勝負に負けたベンはバーを出ていくが、数日後にはその女性とのデートを果たしていた。

マンスークバイに悩みを打ち明けるリフカは、宗教上の儀礼により結婚に伴って剃髪が必要であることを話す。そして、その前に自ら剃髪したという頭を、カツラを外して見せ、その神秘的な美しさにマンスークバイは感動する。数日後、式を挙げるリフカの顔には喜びと哀しみの表情が浮かんでいた。

監督からの指示で長編小説を読むことに疲れたデヴィッドは、電話でしか話したことがないカミーユに愚痴をこぼす。カミーユは自分が小説を読み、それを聞きながらデヴィッドが作曲をするという方法を提案する。そして、彼女はすでに扉の前にいると言う。扉を開けたデヴィッドの前には、『罪と罰』を持った美しい女性が立っていた。

レストランの前でジョークを交えながら美しい女性を口説き続ける饒舌な作家の男だったが、彼女から事実を告げられて黙り込む。美しいその女性は娼婦だったのだ。驚く男に名刺を渡し、彼女は余裕の笑みを浮かべて去っていく。

薬剤師の娘が乗った車椅子を押して卒業プロムに参加した少年は、彼女の願いを叶える。そして帰り道の公園で、夢を叶えてくれたお礼にと彼女は少年の初体験の相手になる。翌朝、公園で目覚めた少年が慌てて彼女を家に送り届けると、彼女は何事もなかったかのように立ち上がり家の中に入っていった。実は彼女は女優の卵で、役作りのために車椅子に乗って色々な経験をするのが目的だったのだった。

バーでリディアを待つガスは、彼女との夜のことを思い出していた。リディアもまた、待ち合わせ場所に向かう電車の中で彼との夜のことを思い出していた。互いが大きな存在になっていた2人はバーの前で再会するなりタクシーに乗り込み、目的地に向かう車内で何度も唇を重ねる。

思い出の地で自殺することを目的にホテルに宿泊したイザベルだったが、ジェイコブと過ごす不思議な時間を楽しむようになる。だが、ついに決意したイザベルは通りに面した大きな窓を開ける。そこへ、ジェイコブがシャンパンを持ってやってくる。彼は開いたままの窓を閉じようとして、落ちてしまう。慌てるイザベルだったが、次に窓から現れたのは年老いた支配人だった。「下には誰も落ちていない」と言う支配人の言葉に戸惑いながらも、彼女はどこか納得していた。

公園で遊び終えたダンテは、テヤを母親に返す。テヤの母親は「明日も迎えに来て」とだけ言い残し、テヤを連れてその場を去る。ダンテは哀しい表情を浮かべてテヤを見送った。数日後、ダンサーとして舞台に立ち、見事な踊りを見せるダンテ。拍手が沸き起こる中、「パパ」と叫ぶ少女の声が響く。

厳しい夫のことを考慮して肖像画のモデルになることを断った女性だったが、肖像画に興味がある彼女は夫の目を盗んで画家の自宅を訪ねる。だが、画家はすでに他界していた。目だけが描かれていない自分の肖像画を拾った彼女は、自分の顔写真の目の部分を切り抜き、その肖像画に貼り付ける。

レストランの前でアレックスを誘惑するアンナは、彼がその気になったところで店内に戻る。戻り際、今日から新しい人生が始まるのだと彼女は言い残す。同じく店内に戻ったアレックスの前には、アンナが座っていた。左手薬指に同じ指輪をはめている彼らは、別れ話の最中だった。涙を流すアンナと、ジョークで彼女を笑わせるアレックス。2人はゆっくりと流れる最後の時間を噛みしめていた。

口喧嘩をしながら歩き続けるエイブとミツィーは、目的地に着いた途端に黙る。そこは、結婚記念日に訪れる思い出の地だった。肩を寄せ合い、短い間だが静かな時間を過ごす2人。食事に向かう2人は、再び口喧嘩を始める。

ニューヨークの街並みを撮影しながら、出会った人々の姿もカメラに収めるゾーイ。彼女の撮った映像には、ニューヨークに住む様々な人物が映っていた。

ニューヨーク、アイラブユー 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:103分
  • ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • キャスト:ヘイデン・クリステンセン、レイチェル・ビルソン、アンディ・ガルシア、イルファン・カーン etc

ニューヨーク、アイラブユー 批評・レビュー

映画『ニューヨーク、アイラブユー』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

11人の監督が持つ色彩の融合

2007年に公開された『パリ、ジュテーム』で18人の監督による短編をまとめあげてその手腕を発揮した製作のエマニュエル・ベンビイが、今作では11人の監督による短編を切れ目なく交錯させて1本の映画に仕上げている。

前作より監督の人数が少ないが、その分、一つ一つの物語の時間も長くなり短編ながらも濃い内容となっている。

1本の映画にはなっているが、それぞれの監督が持つ色彩もしっかりと映し出され、なんとも幻想的な映画になっている。

ある物語の登場人物が別の物語にも登場したりと、物語と物語のリンクも楽しめたりするのも見どころの一つ。

ただ、オチがしっかり用意されている物語と、観客の想像力に委ねている物語の差が激しいため、何回か観ないと理解できなかったり「?」が残ったりと、若干の消化不良があるかもしれない。

意外性を用いた挑戦

短編の組み合わせということでプレッシャーが軽くなったのか、それぞれの監督が意外性のあるものに挑戦している。

もちろん手を抜いているわけではないが、一人だけで撮る際にはできないことにも挑戦できる空気感があったのだろう、やってみたいことを伸び伸びと実行している印象を受ける。

日本から参戦した岩井俊二監督はオーランド・ブルームを小汚く仕立ててほっこりとしたラブストーリーを撮っているし、これまでアクションものが多かったブレット・ラトナー監督は、クスリと笑える青春ものを撮っているし、ユダヤ教徒のリフカ役で出演していたナタリー・ポートマンが、別の作品では初監督を務めているし、とにかくみんな何かに挑戦している。

監督の新たな一面を見つけ出せる。そんなオムニバス映画の利点をうまく活用した作品となっている。

ニューヨーク、アイラブユー 感想まとめ

どれも印象に残る物語ばかりだったが、特に映画的だったのがイヴァン・アタル監督の物語。

クリス・クーパー演じる中年男性アレックスがタバコを吸っていると、ロビン・ライト・ペン演じる中年女性アンナが現れて火を借りる。美しいその女性は夫の愚痴をこぼしながらアレックスを誘惑する。

これから大人の恋が始まるのかと誰もが思ったところで、2人はレストランの中に戻っていく。そして、向かい合って席に着く。2人の左手薬指には同じ結婚指輪が。

そこで観客は気づく。「なんだ、夫婦だったのか」と。

だが2人はただの夫婦ではなかった。離婚を決意した夫婦だった。涙を流すアンナ・・・。

最後は笑いながら話す2人を引きの画で映し出す。会話の内容はわからないが、映像だけで魅せてくれる。いやオシャレ!

他にも魅力的な物語が多いので、1本の映画で色んな味を楽しみたい人はぜひ。

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