『ワン チャンス』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

ワン チャンスの概要:イギリスで有名な素人発掘番組『ブリテンズ・ゴッド・タレント』で優勝。瞬く間にプロのオペラ歌手としてデビューしたポール・ポッツの成功までの半生を描いたサクセス・トゥルー・ストーリー。監督には『プラダを着た悪魔』で成功を収めたデヴィッド・フランケル。本作は実話ものを得意とする監督の真骨頂。

ワン チャンス

ワン チャンス あらすじ

映画『ワン チャンス』のあらすじを紹介します。

携帯ショップの店員として働くしがないショップ店員ポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)。彼は、デブで、ノロマで、優しい反面、気の弱い性格の故、幼い頃からいじめられていた。でも歌うことが誰よりも好きで、幼少の頃から近所の聖歌隊で賛美歌を歌うような心優しい子どもだった。ただそれが原因で昔からいじめっ子の標的にされていた。

仕事は真面目にこなす好青年だが、彼には恋人ができない。ただ携帯電話の出会い系のサイトで知り合った、ある女性と一年間付き合いのある女性がいる。ただ関係はメールだけ。お互い一度も会ったことがない。ポールの上司ブランドン(マッケンジー・クルック)がポールに内緒で、その女性に連絡を取り、会う約束を取りつけてしまう。

容姿に自信のないポールは、焦ってしまうが会う決心をする。約束の日曜日、場所は駅のホーム。初めて会う女性に、花束を渡そうとするも店が閉まっていた。慌てた彼は急いで、女性の待つ駅のホームへ向かった。約束の時間は過ぎていたが、その女性ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)は、待っていてくれた。息を切らせながらポールが、手渡した彼女への贈り物は、懐中電灯。何の脈絡のないプレゼントだったが、ジュルズは、そんな優しい彼に心を惹かれてしまう。

二人は行き先も決めず街を歩いていると、偶然ポールの母親イヴォンヌ・ポッツ(ジュリー・ウォルターズ)に出会い、そのままポールの家に招待してしまう。そこでオペラが好きなこと、オペラ歌手を夢見ていることをジュルズに話した。次電話する時は、イタリア・ヴェネツィアのゴンドラの中から電話すると約束。

その数週間後、彼女の一押しのお陰で、ポールはイタリアからジュルズにサプライズの電話をすることに成功。憧れのオペラ歌手、パヴァロッティに会うための留学だった。だが、いざ彼に会ったとき、彼から直接ポールの自信のなさを指摘され、一生オペラ歌手になれないと、言及されてしまう。憧れの人物から言われた不甲斐ない一言にショックを受けたポールは、傷心のまま帰国する。

帰国したポールは、ショックの恋人のジュルズに連絡も取らず、塞ぎこんでしまう。そんな自分自身を変えたくて、連絡の取らなかった恋人が働く職場まで会いに行くが、軽くあしらわれてしまう。それでも諦めきれず、彼女の退勤を待って話を聞いてもらおうとするが、まったく相手にされない。居た堪れなくなくなったポール。留学先での出来事以降、歌えなかった彼だったが、帰国後初めて歌い始めた。彼女を振り向かせるために。

その後、二人は無事に結婚。ポールは誘われて地元のオペラ舞台に出るが、当日盲腸で倒れて入院。その後退院しても、次は交通事故で入院。ことごとく悪運ばかりのポール。度重なる入院で借金が増え、結婚生活もままならない時、偶然イギリスの人気番組の『ブリテンズ・ゴッド・タレント』のオーディションを受けることに。これが最後のチャンス、一度きりのチャンスと、渾身の力を出し切った彼は、見事オペラ歌手として成功を収めるのだった。

ワン チャンス 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2014年3月21日
  • 上映時間:103分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、コメディ
  • 監督:デビッド・フランケル
  • キャスト:ジェームズ・コーデン、アレクサンドラ・ローチ、ジュリー・ウォルターズ、コルム・ミーニー、ジェミマ・ルーパー etc

ワン チャンス 批評 ※ネタバレ

映画『ワン チャンス』について、1つ感想批評です。※ネタバレあり

等身大の主人公の姿に感動

この作品の評判が評判を呼び、某映画サイトにて高評価を得ている。その背景には、主人公のありのままに前向きに、努力する姿に共感を呼んでいるのでしょう。私自身、劇場に足を運んだ時、予備知識なしで作品を観に行き、恥ずかしながら元々ポール・ポッツの存在すら知らなかったわけだが、映画の中に出てくる主人公の葛藤や苦悩、彼自身の人柄、もしくは彼を取り巻く周囲の人物、家族や恋人、上司の支えなど、彼の環境に深く感動し、共感したことを覚えている。そのような点が、映画のヒットに繋がったのだろうか。

ただ作品として実に小粒だ。小品だろう。映画としての注目すべき点は、ポール・ポッツの成功を収めるまでの生涯とこの作品の監督を担当したデヴィッド・フランケルだろう。前作に『プラダを着た悪魔』でのヒットがあったからこそ、本作の監督に抜擢されたのだろう。他にアメリカの制作会社『ワインスタイン・カンパニー』が携わっているのも、個人的には評価したい。ハ-ヴェイとボブのワインスタイン兄弟がミラマックスを退社後、彼らが立ち上げた独立系の制作会社だ。彼らが関わる作品は、如何に良作が多いか分かる。例えば近年賞レースでも話題になったインディペンデント系の作品だが『フルートベール駅で』を制作。2005年に立ち上げて以降、2012年にはアカデミー賞作品賞を受賞した『アーティスト』前年の2011年には『英国王のスピーチ』で作品賞。2年連続で作品賞に導いた作品を制作、配給している。他に『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でメリル・ストリ-プが。『世界でひとつのプレイブック』でジェニファー・ローレンスが。『愛を読むひと』でケイト・ウィンスレットがそれぞれ主演女優賞を受賞している。話が少し逸れてしまいましたが、良作を産み出してきた彼らだからこそ、『ワン チャンス』が実に良作かが分かるはずだ。

この作品は所謂、英米合作の映画だ。ただアメリカ人は上記で解説したデヴィッド・フランケル監督とワインスタイン・カンパニーのワインスタイン兄弟がアメリカ人。他、詳細は残念ながら分からないが…。出演者は皆、イギリス人だ。ポール・ポッツを演じたジェームズ・コーデン。彼の恋人役アレクサンドラ・ローチ。携帯ショップの上司役マッケンジー・ブルック。ポールの母親役ジュリー・ウォルターズも皆、イギリス人だ。唯一、母親役のジュリー・ウォルターズはイギリスのみならず全世界で知られるイギリスを代表する大女優だ。彼女の代表作に『ハリー・ポッター』シリーズや『リトル・ダンサー』など、日本でも知名度のある作品に出演している。主演の二人はそれほど知名度があるわけではない。正直言って、容姿端麗でもなく、華があるわけでもない。典型的なイギリス人顔と言えるが、落ち着いた演技力で観客を魅了してくれる。アレクサンドラ・ローチは過去に『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』にて若き日のマーガレット・サッチャーを好演。主演のジェームズ・コーデンは『はじまりのうた』や『イントゥ・ザ・ウッズ』など、立て続けに新作に出演している。彼らのこれからの活躍が大いに期待できる。

と、ここまで、見出しに対して話が膨らみ過ぎましたが、一人の人生を描くに当たって、多くの人材が集まり、真摯に制作したからこその秀作。あの真面目で誠実なポール・ポッツの生涯を映画化するには、制作者の誠実な姿を窺えることが出来る。その作り手の姿勢があったから、誰にも知られることのなかった一人の青年の人生を、世に送ることが出来たのでしょう。

ワン チャンス 感想まとめ

『ワン チャンス』は夢を追いかける多くの人に観て欲しい。年齢も性別も関係ない。私にも彼のように夢がある。心から努力すれば、自分の夢は叶うことが出来ると、彼ポール・ポッツが教えてくれる。何度も挫折し、ショックを受け、落ち込みながらも、夢に向かう彼の姿の裏には、なんと言っても彼を理解し、支えてくれる家族や恋人の温かい思いやりが、彼を成功に導いた。無理解な父親との確執が和解に変わり、いじめっ子の嫌がらせにも屈しなかった彼だからこそ、その大きな成功を掴めたのだろう。

また劇中に流れるオペラの名曲の数々が、映画に彩りを添えてくれている。『誰も寝てはならぬ』など、多くの楽曲が映画を輝かせている。エンディングには、アメリカで人気のシンガーソングライターのテイラー・スウィフトが映画のために書き下ろした新曲『Sweeter Than Fiction』が映画のラストを飾る応援ソングとして爽やかに幕を下ろす。

一人の小さな人生かも知れないが、何事にも一生懸命でいれば、いずれその人生は、いい方向に好転することを、この映画は教えてくれる。ポール・ポッツの彼の人柄が、周囲の心を動かし、人生を変えていったのでしょう。

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