映画『π パイ』あらすじネタバレ結末と感想

π パイの概要:数字という概念に取り憑かれた男の苦悩を描いた1999年公開のアメリカ映画。低予算ながらも、ダーレン・アロノフスキー監督の手腕が高く評価されサンダンス映画祭では最優秀監督賞を受賞した。

π パイ あらすじネタバレ

π パイ
映画『π パイ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

π パイ あらすじ【起・承】

並外れた頭脳を持つ数学者のマックス・コーエン(ショーン・ガレット)は、自分で作ったスーパーコンピューターに向かい、整数論を基に株式市場の予測をする毎日を送っていた。

「すべての事象は数値化でき、すべての物事には法則がある」という考えを持つようになった彼は社会に馴染むことができず、取り憑かれたように研究に没頭する。

ある日彼は、バーでユダヤ教徒のレニーと知り合う。レニーもまた数学者で、ヘブライ語と数字の関係性を見出し、モーセ五書に関する研究をしていた。

レニーと出会ったことによってさらに研究に没頭するようになったマックスは、以前から悩んでいた頭痛がさらにひどくなり、幻覚を見るほどになっていた。

かつての恩師であるソルに息抜きも必要だと説かれるマックスだったが、彼が従うことはなかった。

マックスがいつものように部屋にこもって株式市場の予測をしていると、コンピューターが216桁の数字を表示してショートしてしまう。

コンピューターが起動せず困ったマックスは、かねてより彼の能力に一目置いていた証券会社と取引をする。株式市場の法則性が判明次第提供することと引き換えに、彼はコンピューターのチップを受け取る。

π パイ あらすじ【転・結】

216桁の数字についてソルに助言を求めたマックスは、ソルがかつて円周率の研究をしていた時に216桁の数字が表示されてコンピューターがショートしたという話を聞かされる。

さらにマックスは、レニーがモーセ五書に関する216桁の数字の解明に取り掛かっていることを知る。

216桁の数字に何か意味があると感じたマックスは、取り憑かれたようにその法則性を探り始める。

そのことを知った証券会社の従業員がマックスに情報を提供するよう求めるが、それを断った彼は襲われてしまう。

レニーたちによって救われるマックス。だがレニーたちもまた、彼が持つ216桁の数字の情報を手に入れようとしていた。

レニーたちによって拉致されたマックスは、自分だけが216桁の数字の意味を理解でき、神の言葉を聞くことが許される人間だと語る。

その後解放されたマックスは頭痛が悪化し、思考が極地まで達した彼は自ら電動ドリルで脳を破壊する。

数日後、公園で草木を微笑みながら眺めるマックス。近所の少女がいつものように暗算の早解きを求めるが、彼は答えることができなくなっていた。

π パイ 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1997年
  • 上映時間:85分
  • ジャンル:SF、サスペンス
  • 監督:ダーレン・アロノフスキー
  • キャスト:ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、スティーヴン・パールマン、ベン・シェンクマン etc

π パイ 批評・レビュー

映画『π パイ』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

自己の世界か神の世界か

主人公であるマックスは、数学的法則によってこの世界が支配されているという概念に取り憑かれている。フィボナッチ数列、黄金比、円周率・・・。自己の世界に入り込み、その中で答えを追求し続ける。

だがあることをきっかけに、彼はさらなる深みへと入っていく。それがユダヤ教徒レニーとの出会いだ。レニーから聞いた数字とヘブライ語との関係性、そしてそこに潜んだ数学的神秘に惹かれ、彼は神の領域に足を踏み入れる。

そしてレニーがモーセ五書に関する研究の中で辿り着いた216桁の数字と、自分のスーパーコンピューターが表示した216桁の数字に何か意味があると考えた彼は恩師の忠告を無視して答えを模索する。

今作で重視すべき点は、果たしてこれらすべてが彼の妄想なのか、それとも本当に神の仕業なのかというところだ。

何かの概念に取り憑かれた人間は、無関係のものにも意味を見出そうとする。216桁の数字も単なる偶然の一致で、そこにはなんの意味もないのかもしれない。マックスは人より思考力があるばかりに、他人には理解できないものを強引に理解してしまったのだ。

もしくは、彼が言っていることはすべて真実で、本当にこの世の真理に近づいたのかもしれない。

彼が自分の脳を破壊したのは思考力に耐えられなくなったからか、神の領域に入ってしまった自分自身を無に帰すことを決意したからか。それは彼のみが知る。

作り物だとは分かっていても、観てはいけないようなものを観てしまった気分にさせる映画だ。

予算という縛りを断ち切る

今作は6万ドルという超低予算で製作されたのだが、正直そんなことは鑑賞中には全く気にならなかった。ダーレン・アロノフスキー監督の古典的かつ先進的な映像表現が功を奏している。

今ではハリウッドの製作スタイルに染まってしまった彼も、デビュー作である今作と、次作の『レクイエム・フォー・ドリーム』ではその特性を存分に発揮している。

短いカットの繋ぎを連発する編集、出演者にカメラを固定して表情を追い続けるカメラ演出、不快感を与える音楽、登場人物を落とすところまで落として観る者を当惑させるストーリー。そのすべてがうまく調合され、予算という縛りを断ち切った斬新な映画が生み出されている。

π パイ 感想まとめ

どの時代にも天才と呼ばれる人物がいて、彼らには彼らにしか見えない景色が見えている。それを映像として我々に見せてくれるのが今作だ。というか、それを作ることができたダーレン・アロノフスキー監督ももはや天才の部類に入るのではないだろうか。

数学者でないと理解できないような会話が交わされる時は若干困るが、やはり視覚に訴えてくるものの方が大きいので十分に楽しめる作品となっている。

ブラック・スワン』と『レスラー』も面白いけど、この頃の作風でもう一度映画を撮ってほしいな・・・。

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