『ペイ・フォワード 可能の王国』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

“この世の中を良くするためには何をしたら良い?”社会科のシモネット先生からの問いに、トレヴァー少年は「人から受けた好意を別の人に回す」ペイ・フォワードを提案し、実行に移すのだが…。

あらすじ

ペイ・フォワード 可能の王国』のあらすじを紹介します。

ある雨の日、新聞記者のクリスは立てこもり事件の現場に向かうが、なんと逃走する犯人に車を壊されてしまう。途方にくれるクリス、すると見知らぬ男性が「この車をあげるよ」と言って新車のジャガーを差し出してきた。信じられず動転するクリスに対し男性は一言、「3人につなげ!」そう言って立ち去るのだった。クリスはこの奇妙な出来事を取材しようと決意する。するとこの件の発端は、一人の少年が思いついた「ペイ・フォワード(次につなぐ)」であることが判明していく…。

4ヶ月前、7年生(日本の中学1年生)になった少年、トレヴァー。父親のリッキーは重度のアルコール中毒に加え放浪生活でろくに家におらず、たまに帰ってきた時は母親のアーリーンに暴力を振るう。またそのアーリーンもアルコール中毒なのだが、トレヴァーのために断酒を心がけている。しかしあまりうまくいかない上に夜通しカジノやクラブで必死に働いているため、トレヴァーは寂しい日々を過ごしていた。
新学期を迎えた日、担任であり社会科担当であるシモネット先生はクラスのみんなに1年を通じて考える課題を出す。それは「世界をより良くする方法とは?そして自分にできることとは?」というものであった。皆思い思いの考えを述べる中、トレヴァーの答えは「ペイ・フォワード」という親切の連鎖。「3人に親切をする。その3人は別の人に親切を渡す。そうすれば世界に親切の連鎖が広がるはずだ」というものだった。トレヴァー自身もこれを実行しようと、最初の3人をホームレスのジュリー、いじめられっ子、シモネット先生に決めるのだが…。

評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2001年2月3日
  • 上映時間:123分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ミミ・レダー
  • キャスト:ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジム・カビーゼル、ショーン・パイフロム etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『ペイ・フォワード 可能の王国』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

「ペイ・フォワード」の意味とは?

この映画のタイトルでありトレヴァーの考えの総称でもある「ペイ・フォワード」。正しい原題は「Pay it forward」です。これは「Pay back」から連想したもので親切を貰った人に親切を返す、悪いことをされたら復讐し返す、といった意味があります。「forward」には転送する、といった意味があるので親切を返すばかりでなく、他の人に転送しようという考えからトレヴァーはこの言葉を思いつきました。

なぜトレヴァーは死んでしまったのか?

誰もが予想していない展開だったと思います。「ペイ・フォワード」を提唱していながら今までいじめられっ子を助けられなかったトレヴァー。勇気を出して助けに行っただけなのに、逆にナイフでお腹を刺されてしまいました。刑務所に入っていた黒人の青年のように、例え前科のある者でも親切を受け、与える権利が有ると描写していたはずなのに、なぜトレヴァーは死ななければならなかったのか。因果応報といったわけでもなければ、「ペイ・フォワード」に落ち度があったわけでもありません。それは最後にトレヴァーの死を惜しむ人の数からして分かります。考えられるのは、親切をしたいという考えだけでは現実だと痛い目を見る場合もある、現実は甘くない、と伝えたかった場合。そしてもしくは、実は「ペイ・フォワード」は世界中に広がっていたということを効果的に表現する演出のために死んでしまった。どちらにしても子どもが子どもの命を奪うというあまりに酷な展開ではなく、もっと穏やかなエンディングは無かったものかと感じてしまいます。

まとめ

私がこの映画を見たのはトレヴァー少年と同じ中学生の時でした。映画の中とはいえ、同じ年頃の子がこのような考えを思いつくなんて凄いと思いましたし、素晴らしい考えだから是非成功して欲しいと鑑賞しながら願っていました。それは、現実では非常に難しい試みであることを感じていたからかもしれません。実際トレヴァー少年も幾度も壁にぶち当たり、時には親切の輪が止まってしまったりとなかなか思い通りにはいきませんでした。しかし先生と母親の仲もうまい具合に進展し、ペイ・フォワードもなんとかトレヴァーなりに納得できる結果を納めハッピーエンドに繋がると思った瞬間です。トレヴァーはいじめっ子から友達を助けるため仲裁に入り、誤ってナイフで刺されてそのまま亡くなりました。衝撃すぎて呆然としてしまったのを覚えています。自宅で号泣する母と先生のもとに大勢の人々が現れます。それらは全員、「ペイ・フォワード」のおかげで救われたという人々で、トレヴァーの弔いにやって来たのです。一人の少年の考えが、数え切れない人々を幸せにしたという感動のラストなのですが、やはり死んだことに対する衝撃が抑えきれず、最後にきて置いていかれた感じがしました。それ以外の俳優たちの素晴らしい演技、親切の渡し方なども非常にテンポ良くコミカル、時にシリアスに描かれていて印象深い作品です。

Amazon 映画『ペイ・フォワード 可能の王国』の商品を見てみる