映画『パフューム ある人殺しの物語』あらすじとネタバレ感想

パフューム ある人殺しの物語の概要:2006年製作、トム・ティクヴァ監督のサスペンス。原作「香水~ある人殺しの物語」を映画化。18世紀のパリを舞台にした猟奇殺人事件を描く。主人公ジャン・バティスト・グルヌイユ役をベン・ウィショーが怪演。

パフューム ある人殺しの物語 あらすじ

パフューム ある人殺しの物語
映画『パフューム ある人殺しの物語 』のあらすじを紹介します。

18世紀のフランス。ジャン・バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)は、悪臭漂う魚市場で生まれた。生まれてすぐに孤児となり施設へ。5才まで話すことができず、代わりに嗅覚が異常に優れた少年へ成長していゆきます。
7才の時、7フランで売られて、”皮なめし”の仕事をする事に。その頃には、ありとあらゆる匂いを感じることができ、この世の全ての香りを自分のものにしたいという欲望を膨らませていく。ある夜、町で良い匂いのする赤毛で杏売りの少女に出会う。
ジャンは、はじめて少女の肌の匂いを嗅ぎ、恍惚とした表情を浮かべた。少女の匂いに憑りつかれたジャンは誤って、少女を窒息死させてしまう。死んだ少女の瞳は大きく見開いたままだった。

ある日、なめし皮を届けに調香師バルティーニ(ダスティ・ホフマン)の家を訪れた。彼の家にある様々な香りがジャンにまるで話しかけてくるようだった。その頃、パリでは香水”愛と精霊”が大流行。その香水には、オレンジやベルガモット、パチュリ、丁子などがブレンドされています。
ジャンはこの香水の成分を一度嗅いだだけで、見事に成分を当ててみせたため、調香師バルティーニは驚き、後にジャンはバルティーニの弟子として働くようになります。

調香師バルティーニは、ジャンに調香の方法から水蒸気蒸留法で植物から芳香成分(アロマ)を抽出する方法を叩き込む。ところが、ジャンはありとあらゆる香りを抽出しようとして、あろうことかバルティーニの飼っている猫を釜で煮てしまう。もちろん、猫は死にそんな方法で香りが取れるはずはない。
抽出法には、もう一つ、冷浸法という動物性の脂に花の香りを移して抽出する方法があった。パリではやっていないが、香りの都グラースに行けばやっているとバルティーニに聞き、ジャンはグラースへ旅立つ。その夜に調香師バルティーニの家が崩れ、バルディーニは死んでしまう。

グラースに行く途中、洞窟に立ち寄ったジャンは、石の匂いしかない空間で癒されます。しかし、その時初めて、自分に体臭がないことに気付いた。ラベンダー畑が広がる美しいグラースの村で冷浸法を学ぶが、香水造りと称して少女に近づき、殺していく。殺した少女は髪など体毛を全て剃られたあと、川などに捨てられた。
この猟奇的殺人が村人たちの恐怖をかきたてた。パリ警察では、犯人は何かを求めるように殺していると捜査を始めます。ジャンは、多くの少女を殺してきたが、グラースに向かう途中で馬車に乗っていたローラという少女の香りが忘れられない。

ローラの父は娘の身があぶないと引っ越すが、臭覚の優れたジャンは居所を突き詰め追っていく。翌朝、ローラの父が部屋に入ると、ローラは裸にされ殺されていた。この件でようやくジャンは猟奇殺人犯としてパリ警察に捕まった。
そして、死刑当日。ジャンは集めていた少女たちの香りを持って刑場へ。ジャンは、香りの力で世界を征服してしまうが、彼の心はむなしさでいっぱい。最後に彼の生まれた場所へ向かう。

パフューム ある人殺しの物語 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2006年
  • 上映時間:147分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:トム・ティクヴァ
  • キャスト:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド etc

パフューム ある人殺しの物語 ネタバレ批評

映画『パフューム ある人殺しの物語』について、感想批評です。※ネタバレあり

匂いたつ映画!トム・ティクヴァの映像に酔う

香水がテーマの映画ならではの、匂い立つような映像美と主役を演じるベン・ウィショーの怪演が見事にはまっています。主人公ジャン=バディスト・グルヌイユが生まれた魚市場の生臭さや湿った土の匂い。なめ皮を伸ばしていく加工途中の匂いなど様々な匂いが画面いっぱいに充満しています。

注目すべきなのは、臨場感!屋台の下で産み落とされた瞬間と同時に魚屋が魚を捌くシーンを重ねるカットバックが多用されています。また体全体ではなく、鼻を強調したショットなどで嗅覚の鋭さを表現しています。

最初の被害者になった少女との出会いのシーンも美しい。匂いに惹かれ、ストーカーように追う。少女がジャンの存在に気づき、振り向いたと同時に花火があがるといったアクション・カットもあります。しかし、彼にとって、出会いのシーンは恋ではなく、あくまで香りの収集でしかなかったのがその後の運命を決定づけてしまいます。

ジャンは、少女の匂いを自分の物にするために、調香師になります。匂い以上に際立っているのが、色です。例えば、殺された少女の髪が赤毛であるとか杏売りの少女の持つ杏(黄色)が強調されています。白い猫も、ラベンダー畑の鮮やかな紫色もとてもきれいでした。

トム・ティクヴァ監督の「ラン・ローラ・ラン」(98)でも赤毛の女性が主人公だったので、赤は監督自身がこだわる色だと思います。匂い、そして色に注目して見ると面白いですよ。

ベン・ウィショーの繊細かつ大胆な演技!

今、人気急上昇中の俳優ベン・ウィショー。本作の主役ジャン・バティスト・グルヌイユを繊細かつ大胆に演じています。トム・ティクヴァは、彼の舞台「ハムレット」を観て、彼しかないと起用したそうです。狂気と弱々しさの狭間に見える執念が恐ろしいまでに表現されていると思います。

無表情で淡々と香りを調香している時の顔と少女の匂いに出会えた時の恍惚感あふれる顔。同じ人が演じていると思えないほど、表情が豊かです。香りが見えるのは、映像テクニックが上手いだけでなく、ベン・ウィショーの演技が生きているからです。本作を観れば、きっと彼にはまりますよ。

ベン・ウィショーの魅力は、役が乗り移ったかのような完璧な演技と母性本能をくすぐる弱さと甘さを持っていること。代表作は、「007 スカイフォール」(12)のq役やトム・ティクヴァ&ラナ・アンディ・ウオャンスキー監督の「クラウド・アトラス」(12)、「追憶と、踊りながら」(15)のゲイの青年役など。
ドラマでも、「the hour 裏切りのニュース」(14)のジャーナリスト役などで活躍しています。

やっぱり、英国俳優の演技は熱い!2015年12月4日には、007シリーズ最新作「007スペクター」も公開予定です。ぜひ、お見逃しなく!

パフューム ある人殺しの物語 感想まとめ

猟奇殺人を扱ったサスペンスはたくさんあるが、これほど美しい映像は見た事がない。匂い立つような映像。そしてマネキンのように黙した死体。どこまでも広がるラベンダー畑など、トム・ティクヴァにはヨーロッパの監督らしく、アメリカ映画にはない独特の映像と色があります。

主人公ジャン・バティスト・グルヌイユを繊細かつ大胆に演じるベン・ウィショーの存在感に魅了されます。彼以外の誰も演じることはできないでしょう。それほど完成された映画に見えるのですが、香りの力によって死刑が免れたばかりか、広場に集まった民衆が恍惚となり愛し合うシーンは少し無理があるのではないでしょうか?

日本公開時にそのシーンはカットされたそうです。そこまで表現しなくても、香りの力は素晴らしく人を引き付けずにはおけない魔力を秘めています。アロマセラピーを趣味でしている人に聞くと、香りを嗅ぐだけで癒されるそうです。映画では、フランスのアロマセラピーの様子も描かれているので、アロマに興味がある人にもおすすめです。

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