ピクサー映画のおすすめランキング10選 | MIHOシネマ

ピクサー映画のおすすめランキング10選

ピクサー・アニメーション・スタジオの作品を見るたびに、彼らが物作りにおける最強のプロ集団であると確信する。ピクサー作品の魅力は、高度な技術力に加えて、脚本の完成度が異常に高いことにある。万人に喜ばれる娯楽作品を作らせたら、彼らの右に出る者はいない。

ピクサー映画のおすすめランキング10選

第1位 トイ・ストーリー3


アンディが大学へ進学することになり、アンディのおもちゃたちは自分たちの将来を心配する。ある誤解があって、ウッディ以外のおもちゃは保育園のおもちゃになると決めてしまう。ところが、この保育園のおもちゃ界には、とんでもない秘密があった。

1995年公開の「トイ・ストーリー」と1999年公開の「トイ・ストーリー2」に続く、シリーズ3作目として2010年に公開されたのがこの「トイ・ストーリー3」だ。これを1位にしたのは、他の2作よりもこの作品がものすごく優れていると思ったからではなく、改めてピクサーの底力に感服させられたという意味合いが強い。

1作目が面白ければ、続編を期待されて当然なのだが、シリーズ物は尻すぼみしていくことが多い。観客は無責任なので、制作側がなんとか期待に応えようと汗水垂らして作った作品を、“期待して損した”の一言で片付けてしまったりする。無敵のピクサーであっても、続編を作ってはっきり前作を上回ったと言えるのは、今のところ「トイ・ストーリー」だけではないだろうか。もちろん、かなり高いレベルの中での話だが。

あとで紹介する「トイ・ストーリー2」を観た時も、“やっぱりピクサーってすごい…”と感心したものだが、この「トイ・ストーリー3」を観た時は、呆れるほど感動した。シリーズ3作目にして、こんなに泣かされるとは思わなかった。何もかもがよくできているのだが、何といっても物語そのものが素晴らしい。おもちゃの心情に加えて、子供時代と完全に決別するアンディの切なさをラストに持ってくるとは。子供時代と決別してきた大人は、涙なくして観られない。“参りました”の一言。

詳細 トイ・ストーリー3

第2位 カールじいさんの空飛ぶ家


最愛の妻エリーに先立たれたカールは、孤独で退屈な日々を送っていた。ある事件があって、エリーとの思い出が詰まった家を立ち退くしかなくなり、カールは膨大な風船を使って、家ごと南米へ飛び立つ。そこには、カールとエリーが憧れてきた冒険家のチャールズ・マンツがいたのだが…。

この作品、冒頭部分からいきなり胸が熱くなる。幼少期に出会い、“いつかパラダイスの滝へ一緒に行こう”と誓った愛しいエリーとカールじいさんの人生が、音楽とともに回想される。この回想のシークエンスにセリフはないのだが、2人の夫婦関係が手に取るようにわかる。喜びや悲しみを常に共有し、お互いをいたわりながら幸せに暮らしてきた夫婦の人生がしみじみと伝わってくるので、思わずカールじいさんに“さぞお辛かったことでしょう…”と声のひとつもかけたくなる。

そこから、しかめっ面をした現在のカールじいさんの物語が始まるのだが、観客としてはすでにカールじいさんへの感情移入は完璧という状態なので、ぐいぐいとこの作品世界に入り込める。立ち退きを迫るサングラス男が実に憎たらしい。

強引にカールじいさんの相棒になってしまうアジア系肥満児のラッセル・キムも魅力的な少年だ。彼くらいポジティブに生きられたら、どんなことも楽しめそう。個人的に大好きなのは、犬軍団。特に、ラッセルのことを“小さい郵便配達員”と勘違いするブルドック野郎が非常に可愛い。“リス”という言葉やボールにどうしても反応してしまう犬軍団には、大笑いした。あの犬軍団が活躍する別の作品も観たいと思ってしまう。こんなサブキャラの設定まで完璧なのが、いかにもピクサーらしい。

詳細 カールじいさんの空飛ぶ家

第3位 トイ・ストーリー


アンディのお気に入りはカウボーイ人形のウッディで、ウッディはアンディのおもちゃの中でも別格の存在。しかし、アンディの誕生日プレゼントとしてやってきた最新型の人形バズ・ライトイヤーにお株を奪われたウッディは、バズを敵対視する。そんな中、隣の家で暮らすおもちゃキラーの少年シドに捕まってしまったウッディとバズは、他のおもちゃと力を合わせ、危険地帯からの脱出を試みる。

この作品は、現在のところ3作品作られている「トイ・ストーリー」シリーズの第1作目であり、ピクサーが世界で初めて挑んだフル3DCGの長編アニメーションでもある。

公開は1995年で、かれこれ20年以上も前の話になるが、公開当時この作品を初めて観た時は、ピクサーの技術力に心底驚いた。今でこそ、3DCGなんて珍しくもなんともないが、1995年当時はまだそこまで3DCGアニメーションが世の中に浸透していなかった。奥行きのある画面が画期的と言われた「NINTENDO64」が発売されたのが1996年だと言えば、当時の映像事情をイメージしやすいだろうか。

おもちゃにも命があり、彼らが勝手に動き回っている姿をなんとなく想像することはできる。それを現実的に見ることは不可能なわけだが、この作品を観ると、“もしかしてピクサーのスタッフは、本当に自分の意思で動くおもちゃの世界を見てきたのではないか?”と思えてしまう。それほどウッディを始めとするおもちゃのキャラクター設定にはリアリティがあり、その動きも会話もいたって自然。映像技術はもちろんだが、ピクサーはこの作品で、“ピクサーは脚本の面でもすごい!”ということを、世界中に知らしめた。

詳細 トイ・ストーリー

第4位 ファインディング・ニモ


カクレクマノミのマーリンは、片方の胸ビレが不自由なひとり息子のニモを、男手ひとつで過保護に育てていたのだが、ニモはそんな父親に反発して船に近づき、ダイバーに捕まってしまう。マーリンは途中で知り合ったナンヨウハギのドリーとともに、ニモを捜して大海原を旅する。

2003年公開のピクサーの長編アニメーション第5作目となる作品。オーストラリアのグレートバリアリーフが舞台であり、3DCGで丁寧に描かれ海の世界が非常に美しい。水の流れや光の反射など、妥協のない映像を見ているだけでも胸が踊る。

それに加えて、多彩な海の生き物たちのキャラクターがまた素晴らしく、この作品を見て海の世界に興味を持った子供も多いのではないだろうか。

ニモが入れられた水槽の中にいる仲間たちの設定もよくできており、ペットショップ育ちの魚と海から来た魚の感覚に微妙なズレがあるというのも面白い。確かに、海を知らない海の魚も存在するのだなと、妙に納得してしまった。相変わらずピクサーの脚本は芸が細かい。

物語は、妻のコーラルと卵だった子供たちを凶悪なオニカマスに襲われて以来、何をするのも慎重になってしまったカクレクマノミのマーリンが、人間に連れ去られた息子のニモを捜す旅を続けるうち、子供の可能性を信じて冒険させることの大切さを学んでいく。

成り行きで旅の相棒になってしまったドリーは、喋りながら自分が何を話しているのかを忘れてしまうようなかなり重症の健忘症。しかし彼女は字も読めるしクジラ語も話せるという隠れた才能の持ち主で、ネガティブなマーリンを助けていく。

海を舞台にした心配性のカクレクマノミと健忘症のナンヨウハギのロード・ムービーという企画を思いついたことが、そもそもすごい。

詳細 ファインディング・ニモ

第5位 インサイド・ヘッド


11歳のライリーは、ミネソタの田舎町でのびのびと育った明るい女の子。彼女の頭の中には、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリと呼ばれる5つの感情が同居しており、ライリーの成長を見守っていた。そんなある日、ライリーはサンフランシスコへ引っ越すことになり、今まで経験したことのない混乱状態に陥る。感情たちも初めての状況に戸惑い、頭の中はいろいろと大変なことになってしまう。

この作品の内容は、言葉で説明するのがかなり難しい。ライリーという少女の頭の中の世界が物語の舞台であり、その世界はかなり複雑な構造になっている。正直言って、そんな話をまとめきれるのだろうか…とさすがに不安になったのだが、それは杞憂であった。

この作品ほど、映像ありきで見るしかないと思える作品も少ない。つまり物語の内容を説明した文章を読んでも、細かいニュアンスが伝わらないので、意味がほとんどわからない。「ライリーの空想が作り出したビンボンという名前の象のような姿をした気のいい奴が、司令部から放り出されたヨロコビとカナシミをイマジネーションランドにある考えの列車の駅まで案内してくれた。」という文章を読んでも、作品を見ていない人は“???”となるだろう。

つまり、この作品は感情や考えや思い出や記憶といった非常に漠然とした概念を、キャラクターや形あるものにして見せていくという、ものすごく難しいことに挑戦しているのだ。

それがまたよく出来ているので、この作品を作ったピクサーのスタッフの頭の中を見てみたいという心境になる。

見た人以外にはわからないので申し訳ないが、“ビンボン!カムバーック!”と思わず叫びそうになった。それほどこの作品世界に惹きこまれたということだ。

詳細 インサイド・ヘッド

第6位 モンスターズ・インク


様々な姿をしたモンスターが暮らす世界には、子供の悲鳴を電力エネルギーに変換するエネルギー会社がある。この会社のトップ社員はサリーと相棒のマイクで、子供を怖がらせるのが仕事のサリーは、模範的な社員だった。そんなある日、サリーはモンスターにとって最も危険な存在とされる人間の子供をこの世界に入れてしまい、モンスターの世界は大パニックになる。

この作品に登場するモンスターはみんな違った風体をしている。主人公のサリーは、青毛で長毛のキングコング的なモンスターであり、相棒のマイクは、緑のボールに手足が生えた一つ目小僧のような風貌をしている。エネルギー会社「モンスターズ・インク」の社長に至っては、上半身は岩石マンで下半身は多足生物といった感じで、上半身だけスーツを着用している。他にも数え切れないほどのモンスターが登場するのだが、これだけ造形の違うモンスターをデザインしたというだけでもすごい。

さらに面白いのは、モンスターは人間の子供を怖がらせて悲鳴を集めているくせに、人間の子供はモンスターにとって非常に有害だと信じ込んでいるという設定だ。万が一人間の子供と接触した場合は、放射線物質並みの除染処理を施されてしまう。そういうわけで、ブーがモンスターの世界へ迷い込んできた時、サリーもマイクもパニック状態になるのだが、サリーはブーと過ごすうち、ブーは無害だということに気づいていく。そこから徐々に2人の関係は親密になっていき、感動のクライマックスを迎えるわけだ。

本編は当然面白いとして、個人的にはエンドロールのNG集が大好きだ。モンスターをキャストに迎えて映画の撮影をしているという演出は、とにかく粋。本当にそうなんじゃないかと思ってしまうほど、このNG集はよくできている。

詳細 モンスターズ・インク

第7位 トイ・ストーリー2


ウッディとバズはすっかり仲良くなり、今では親友となっていた。そんなある日、ウッディはおもちゃマニアのアルに誘拐されてしまう。アンディのおもちゃたちはウッディ救出作戦に乗り出す。一方、ウッディはカウガール人形のジェシーたちと出会い、“一緒におもちゃ博物館へ行こう”と説得される。

今作では、ウッディが実は大変貴重なカウボーイ人形だったという事実が判明する。そもそもウッディは昔のテレビ人形劇「ウッディのラウンドアップ」の主人公として生み出されたキャラクターで、当時はカウガール人形のジェシーとその愛馬のブルズアイ、そして金鉱堀りのプロスペクターという仲間がいた。人形劇は人気番組となり、そのキャラクラーグッズとして、ウッディやジェシーの人形も販売された。当時は量産された人形も、今ではプレミア付きの貴重品となり、ウッディを奪ったアルは、彼らを揃えて日本のおもちゃ博物館に高値で売ろうとしているのだ。

ウッディたちを欲しがっているのが、日本のおもちゃ博物館という設定にリアリティがあるではないか。喜んでいいのかどうかは微妙なところだが、日本が世界屈指のマニア大国である事は事実だ。

この作品を初めて見た時、“なるほど、そうくるか”とまたまたピクサーの脚本を作る力量に感心したものである。1作目を作った時から、ウッディにはそういう歴史があるという設定だったのかはわからないが、2作目で改めてウッディの出生秘話を明かし、それが原因で彼が誘拐されてしまうという展開にすると前作とは全く別の話でも、不自然さは全くない。そしてクライマックスも空港という壮大なスケールになり、迫力満点のアクションシーンが生まれている。

時間が許すならば、「トイ・ストーリー」の3作をぶっ通しで観たいものだ。

詳細 トイ・ストーリー2

第8位 WALL・E/ウォーリー


人類が見捨てた地球で、700年もの間、孤独にゴミ収集作業を続けているロボットのウォーリーは、地球に派遣されたイヴという最新型のロボットと出会う。ある任務を遂行し、宇宙船へと回収されていったイヴを追いかけ、ウォーリーは初めて地球を離れることになる。

ピクサーの長編アニメーション9作目として2008年に公開されたこの作品は、人間が自ら汚染して捨ててしまった地球で、ゴキブリのハルと2人きりで暮らしているウォーリーというロボットが主人公だ。

地球には、ウォーリーとゴキブリのハル以外誰もいないので、前半部分はとてつもなく静か。少々賑やかになるのは、ゴミの山から見つけたミュージカル映画「ハロー・ドーリー!」のビデオをウォーリーが再生する時だけで、何だか妙に切ないのである。ウォーリーは人間のように言葉を発したりはしないが、いつの間にか感情を持つようになっており、誰かと手を繋いでみたいという夢も持っている。

そんなウォーリーが、突然やってきたイヴに恋心を抱き、彼女を追いかけて宇宙船に乗り込んでいく。そこからは様々なことがあり、イヴがなぜ地球に派遣されてきたのかなどの謎も解けていく。

この物語は、ロボット同士のラブストーリーになっており、後半のクライマックスでは、自分を犠牲にして愛するイヴを守ろうとするウォーリーの男気に泣かされる。もちろんラストも、ピクサーらしい粋なハッピーエンドだ。

それにしても、未来の世界で人間は大変なことになっている。あらゆることをロボットに押し付け、散々地球を汚した末に故郷を捨ててしまった人間たちの成れの果ては、説得力があるだけにがっかりさせられる。いろいろと便利な世の中になっても、人間は人間であることをサボってはいけない。自分の頭で考え、自分の足で歩き、ウォーリーのように文句を言わずに働いて、一生懸命生きなければ、ブヨブヨ星人になってしまう。

詳細 WALL・E/ウォーリー

第9位 レミーのおいしいレストラン


ネズミのレミーは、死んだ天才シェフのグストーに憧れるグルメなネズミ。彼の夢は、一流のフランス料理店のシェフになること。グストーの幽霊に導かれ、パリのレストラン「グストー」へやってきたレミーは、見習いシェフのリングイニと出会い、彼の影武者となって料理の腕を振るい始める。

2007年に公開されたピクサーの長編アニメーション第8作目は、ネズミがパリの一流フランス料理店で料理を作るというかなり破天荒な設定。ネズミがどうやって料理を作るのかというと、そこはピクサーなので、破綻のないようしっかり考えられている。

当たり前だがレミーは体が小さいので、人間用の大きな道具で料理を作るのは不可能だ。そこで登場するのが見習いシェフのリングイニという青年で、レミーは彼の頭の上に乗って髪の毛を引っ張り、自分のイメージする料理を作らせる。天才シェフのレミーが細かくアドバイスしてくれるので、リングイニは評判のシェフとなっていく。

フランス料理に馴染みはないが、この作品に登場する料理の数々は、確かにどれもこれもおいしそうだ。アニメーションでおいしそうな食べ物といえば、トムとジェリーに登場するチーズや、ジブリ作品に見られるパンと目玉焼きなど、単純な食べ物の印象が強い。ところがこの作品では「リ・ド・ヴォー・ア・ラ・グストー」などという名前を聞いただけではどんな料理かさっぱりわからない、本格的なフランス料理が出てくる。

極めつけは、レミーの自信作である「ラタトゥイユ」。南フランスの家庭料理で、おそらく向こうではおふくろの味的な料理なのだろう。野菜の煮込み料理なのだが、見た目もきれいで、日本の煮物とはちょっと違う。おしゃれ。野菜嫌いの子供にこの作品を見せて、“ほら、レミーのラタトュイユよ!”と言って出してあげると、喜んで食べるかもしれない。とりあえず、お腹の減る作品。

詳細 レミーのおいしいレストラン

第10位 Mr.インクレディブル


スーパーヒーローの「Mr.インクレディブル」だったボブは、15年前にやむなき事情でスーパーヒーローを引退し、現在はサラリーマンをしてストレス満載の日々を送っている。いろいろあって会社を解雇された日、謎の女性から“スーパーヒーローとしての力が必要です”という伝言を受け取ったボブは、家族に内緒で、再びスーパーヒーローに戻る決意をする。

2004年に公開されたピクサー長編アニメーションの第6弾。

主人公のボブには、妻のヘレン、長女のヴァイオレット、長男のダッシュ、まだ赤ん坊のジャック=ジャックという家族がいる。この一家の雰囲気がとてもアメリカ的で、この作品はピクサー・アニメーションの中で最もアメリカ映画っぽいなと思っている。ハリウッド映画的と言ったほうがわかりやすいかもしれない。他の作品では想像もつかないが、この作品なら、ハリウッドでの実写化も可能ではないだろうか。もちろん、全くそんなことは望んでいないのだけれど。

そういうこともあり、上の9作品と比較すると少々印象が薄い。物語もアクション映画のような展開も面白かったのだけれど、“この脚本はピクサーでないと作れまい”とまでは思わない。ただ、ピクサーアニメを普段見ないようなおじさんには、この作品の方が喜ばれるのではないかと思う。

猛烈なストレスを感じながら会社へ通い、妻のヘレンに頭が上がらないボブの姿は、きっとおじさんたちの共感を呼ぶ。そして、スーパーヒーローとして復活するボブの姿に、おじさんたちは勇気をもらうはずだ。そういえば公開当時、知り合いのおじさんに“面白いと思いますよ”とこの映画を勧め、大変喜ばれた記憶がある。

普段アニメ作品とは縁のないおじさんのハートまで掴んでしまうとは、やはりピクサーの底力はすごい。

詳細 Mr.インクレディブル