映画『ポチの告白』あらすじネタバレ結末と感想

ポチの告白の概要:警察内部の闇を描く今作は、その過激な内容と出資元であったライブドアの不祥事問題から、2004年の公開当時限られた映画館でしか公開されませんでした。しかし英国でのDVDリリースで完売、のちに全国公開されるなど、今なお日本の社会派映画の金字塔として知られる作品です。

ポチの告白 あらすじネタバレ

ポチの告白
映画『ポチの告白』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ポチの告白 あらすじ【起・承】

交番勤務の巡査・武田は、いわゆるノンキャリアの、そのまじめで実直な性格から、地域からも信頼される「お巡りさん」でした。先輩警官が無理な駐禁をとって「点数稼ぎ」をしたり、道を聞いてきた女の子の連絡先を執拗に聞いたりするのを、真面目に窘めるような男でした。

そんな彼がある日、刑事課長の三枝は取り立て、刑事へと昇進させます。三枝は社宅へも入れるように取り計らい、武田は身重の妻ともども居を移します。義理堅い武田は当然三枝に感謝し、その後彼に忠誠を誓って刑事として、彼の支持する業務を全うしていきます。
刑事になり、武田は局長と同じ銘柄の煙草を吸い始めます。さらに生まれてきた娘には、妻の反対を押し切り三枝の初恋の女の子の名前を付けます。そうして刑事に染まっていく武田に、妻・千代子は違和感を持つようになります。

そんな折、とある麻薬中毒者の立てこもり事件が発覚します。三枝の確保の命を受けて現場に急行した武田は、刃物を振り回す犯人を何とかおびき出そうと、麻薬を餌にしてしまいます。運悪く、その場面をチンピラの草間に抑えられた武田は、三枝から事件の揉み消しを命じられます。

ポチの告白 あらすじ【転・結】

草間は写真を雑誌社や新聞社に売り込もうとしますが、どこも取り合ってくれません。新聞社のカメラマンの北村を脅し、なんとか武田に会うことが叶いますが、取調室で執拗に暴力を受け、あえなく退散します。勿論取調室での暴力は違法ですが、立証する人間がいません。負けん気の強い草間と北村は、この件を境に本気で警察の不正を暴こうと繰り出します。
一方、しっかりと警察の犬になり下がった武田は、三枝の命であらゆる違法行為に手を出すようになっていました。ヤクザの麻薬を見逃す代わりに拳銃を上げさせろという裏取引、未成年者の売春を見逃して金銭を受け取る、架空の請求書を書いて裏金を作るなど、とても市民が信じられる警察とは真逆な業務の連続に、心を痛めなくなっていたのです。また、マスコミへの情報操作も常態化しており、まぎれもなく上層部からの指示で行われていることでした。

しかし、三枝は、そんな事態が表層化し警察への批判が集中すると、一刑事が暴走してやったことだとあっさりと武田を切り捨てます。この段になり、武田はやっと自分が使い捨ての駒にすぎないと知り、法廷ですべてをさらけ出す覚悟をしますが、法廷には警察の息のかかったマスコミが大挙して訪れます。
こうなると、法廷で起こったことは何も外には漏れません。法廷に取材に訪れていた草間と北村もまた、この異常事態に呆れ返ります。

武田はひとり、独房で独白します。誰しも警察には逆らえない、正しい存在だからだと。
時を同じくして、草間と北村は海外のマスコミの前に座ります。「警察は、日本最大のヤクザだ」と、長年かけて集めた捜査資料の数々をぶちまけます。これは、少なからず国際社会を震撼させる内容でした。
しかし、国内では、三枝やさらに上層部の指示の元、これらの記事はすべて抹殺されます。あらゆる悪事が武田ひとりのせいにされ、彼は解雇されるのでした。

ポチの告白 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2006年
  • 上映時間:195分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
  • 監督:高橋玄
  • キャスト:菅田俊、野村宏伸、川本淳市、井上晴美 etc

ポチの告白 批評・レビュー

映画『ポチの告白』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

事実を基にした映画

今作の恐るべき点は、すべてがフリージャーナリストの寺澤有氏をはじめとする取材陣の綿密な取材の元の、まぎれもない事実であるということ。

これは怖いですよ。貞子3Dなんかより、よっぽど怖い。下手したら、どんな凶悪事件より怖い。警察による不祥事が、「突発的な事故」ではなく、「組織ぐるみの計画」であったと暴露しているわけですから。

今作で語られる事実について、「いやいやいくらなんでも」と思われる方は、多いと思います。わたし自身もそうでした。というか、信じたくなかったのが本音です。しかし、鑑賞後、監督へのインタビューをはじめとする様々な書籍に目を通すと、背筋が寒くなります。
ぜひ、鑑賞後はこの映画について掘り下げてみてください。
参考までに、監督へのインタビュー記事のリンクを添付します。

高橋玄監督へのインタビュー記事

主演・菅田俊の怪演

今作の主人公・武田を演じる菅田俊を知る人は少ないと思います。彼は名脇役であり、メイン・ストリームの作品にはあまり出演していません。
しかし、わたしは今作を鑑賞して何よりも、彼に掴まれてしまいました。
心優しいお巡りさんであり、理想の旦那様だった男が、札束をまき散らしながら少女買春をするなんて、ちょっとしたホラーです。
さらにラスト・シーンの独白。全身に鳥肌が立ちました。

狂気を演じる俳優は映画史に大きく名前を残すことが多いですよね?「バットマン」シリーズのヒース・レジャーや「タクシー・ドライバー」のロバート・デ・ニーロ、「レオン」のゲイリー・オールドマンなど。

今作の菅田は、そんな彼らに並ぶ、もしかしたら抜き去るかもしれないほどの迫力なのです。元は狂っていなかった男が、あらゆる裏切りや罪悪感によって、その魂を汚していく様が克明に描かれているのです。
この独白のシーンだけでも、観てほしい。心から、ひとりでも多くの映画ファンに観てほしいと思います。

ポチの告白 感想まとめ

今作で、最も驚いた点はタイトルにある「ポチ」の意味です。このポチとは、主人公・武田のことでもあるのですが、同時に「警察の息のかかったマスコミ」のことでもあるのです。
「記者クラブ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?霞が関に出入りする政治記者の名称として一般的ですが、警察の取材をする記者もこう呼ばれます。そして彼らは、警察の従順な飼い犬なのです。
警察に不利益になる情報は公共放送や公共報道には載せず、それに準ずる情報の公開は阻止する。

そうしたマスコミからの情報を日々受け取って生きていると知ったとき、あなたの背筋も寒くなるはずです。

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