映画『龍三と七人の子分たち』あらすじネタバレ結末と感想

龍三と七人の子分たちの概要:「世界のキタノ」として日本のみならず、世界でも人気の高い北野武監督。そんな彼のオリジナル脚本による最新作は、世の中の悪事を元ヤクザの不良ジジイがぶった切る、ブレーキの壊れた世直し映画です。

龍三と七人の子分たち あらすじネタバレ

龍三と七人の子分たち
映画『龍三と七人の子分たち』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

龍三と七人の子分たち あらすじ【起・承】

元ヤクザの龍三は、刺青や凄みのある言葉遣いなどで、息子家族を困らせていました。
そんなある日、夏休みの間、嫁の実家へ帰省するため息子家族が家を空け、その間にオレオレ詐欺にあってしまいます。ところが、金をとりに来た部下を名乗る男は、龍三とかつての仲間マサのあまりにも任侠ものの雰囲気に恐れをなして逃げ出してしまいます。

その帰り道、かつての仲間の一人の茂吉が若者に絡まれているところに出くわし、助けた龍三はそのまま二人を家に招きます。
しかし運悪く、昔馴染みを集める計画をしながらも酔いつぶれた龍三たちのもとに、勤務先でトラブルがあり呼び戻された息子が帰ってきてしまいます。幼いころからヤクザの父に迷惑をかけられ続けた息子は激怒し、龍三と茂吉は仕方なくマサの暮らす社宅に身を寄せます。

かつての仲間たちに連絡を取ると、生活保護を受けるもの、入退院を繰り返すもの、水商売をしている孫娘に養われるものなど、情けない現状の老人ばかり。そんな仲間たちを見かねた龍三は、暴力団上がりの新参の詐欺グループの景品連合に目をつけ、再び「一龍会」を結成して、シマを奪い返す計画を打ち出します。
かつての犯歴から点数をつけ、いちばん点数の高い龍三が親分となり、「ジジイだけのヤクザ」は、とある社宅の一室で結成されたのです。

龍三と七人の子分たち あらすじ【転・結】

組の運営費のため、金を稼ごうと詐欺まがいの借金の取り立てに行きますが、なけなしの正義感からなかなか上手くいきません。ショバ代を店から取り立てようにも、時代が変わっていて大した額は集まりません。

そんな中、街のとある食品会社は偽装問題での住民の座り込みに悩まされていました。偶然にもそれは龍三の息子の勤める会社だったのです。それに気づいた龍三は、問題解決を餌に金を巻き上げようとやってきた京浜連合を追い払い、謝礼金で機嫌よく競馬に繰りだし、夜は馴染みのクラブに顔を出す。そこには、以前から龍三のファンだったという美人ママと、茂吉の孫娘が働いていました。
こんな仕事はやめろと怒鳴りつける龍三に、孫娘はおじいちゃんのせいでこうしないと生活できないと、嘆きます。

「家族は見捨てられないもん。」

孫娘の言葉に胸を打たれた龍三は、怒ったままの息子家族を思い出します。

しかし、水商売の女が茂吉の孫娘だと知った京浜連合の会長・西は、部下に彼女をさらってくるように命じます。しかし、その部下は孫娘の恋人であり、茂吉に助けを求めます。
孫娘が狙われたことに憤慨した茂吉は単身京浜連合に乗り込みますが、あっけなく返り討ちに会い、死んでしまいます。

兄弟分が殺された一龍会の面々は、敵討ちに出向きます。老人たちの決死の仇討ちに恐れをなした西と部下は、車で逃げ出しますが、龍三たちは市バスをジャックしてカーチェイスを繰り広げます。
ついに追い詰め、あと一歩で仕留めるというところに、通報を受けた馴染みの刑事が現れ、その場にいた全員はあえなく御用となってしまいます。

龍三と七人の子分たち 評価

  • 点数:60点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2014年
  • 上映時間:111分
  • ジャンル:コメディ、フィルムノワール
  • 監督:北野武
  • キャスト:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹 etc

龍三と七人の子分たち 批評・レビュー

映画『龍三と七人の子分たち』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

北野流コメディ?

今作は、北野作品には珍しく、徹頭徹尾コメディタッチです。
本職は芸人の北野監督ですから、本来コメディこそのはずですが、彼の作品で印象深いものと言えば、現代の任侠映画ともいうべき、フィルム・ノワール。「キタノブルー」と評される、青のフィルターや冷たい印象の画面構成が多く、説明的な台詞が少なく、暴力描写に容赦がないという特徴があり、まるでヨーロッパの映画のような洗練された、ある意味ではとっつきにくい作風が特徴です。

そんな中、今作は、派手なBGMに往年の人気俳優を集め、随所に笑いをちりばめた、明るい色調の映画。暴力表現でさえ、かなり控えめです。
劇場も笑いに包まれ、年齢層も広く、興行収入も奮いました。
わたしには、悲劇でした。

裏切られた北野ファン

彼の、これまでの映画を愛してきた映画ファンは裏切られる形になりました。
理由は、その笑いの、あまりの親切さ。
例えばバナナで足を滑らせるような、そんなベタで優しい笑いに満ちている今作。とても、残念です。

彼のこれまでの映画だって、ユーモアはあったのです。たとえば「菊次郎の夏」で、タイヤをパンクさせタクシーを転ばせるシーンや、「ソナチネ」で、アロハシャツでくつろぎながら拳銃を磨くシーン。「これ、笑っていいの?」と観客が不安になるブラック・コメディこそ、彼の映画の「笑い」だったはずです。

オレオレ詐欺

今作は警察をはじめとする「オレオレ詐欺撲滅キャンペーン」の一環でもあるそうです。だからこそ、こんなにも世直し風なのかもしれませんが、そのようなスポンサー事情が透けて見えてしまうことで、テレビ映画のような風情になってしまうことが否めません。
これまでの北野映画ファンが求めるレベルは、残念ながら突破できていなかったように思えて仕方ありません。

龍三と七人の子分たち 感想まとめ

今作がもし、まったく別の監督の作品であったとしたら、わたしはきっともう少し高い点数をつけ、皆さんにもお勧めしていたと思います。
しかし前提として、わたしは北野映画ファンなのです。だからこそ、どうしても、今作への期待も高まってしまいました。

今作には、往年の一流の演技派俳優が数多く出演します。内容も分かりやすく、とても易しい作品でした。今作をお勧めするとしたら、間違いなく年配の方に向けてです。心の若い映画好きのあなたはぜひ、北野作品の初期を鑑賞してみてくださいね。

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