映画「サイの季節」30年越しの愛届きますか?バフマン・ゴバディ監督衝撃作

サイの季節の概要:現在、亡命中の映画監督バフマン・ゴバディが、イランを舞台にした愛と罪の物語。イスラム革命時、投獄されたクルド系イラン人の詩人サヘル。30年後釈放され、妻ミナを探すが。イスラム社会の闇を描く衝撃作。

サイの季節 みどころ

サイの季節
映画『サイの季節』の見どころを紹介します。

亡命作家が描く愛の物語

バフマン・ゴバディ監督の「サイの季節」(12)を紹介します。バフマン・ゴバディ監督はクルド系イラン人。現在、亡命生活を送っています。本作は2012年に第13回東京フィルメックスのクロージング作品として上映されました。実在の詩人をモデルに描いた愛の物語です。

社会体制が厳しく、映画製作も政府の検問等で困難な中、トルコで撮影されたということです。バフマン・ゴバディ監督の情熱あふれる作品をぜひご覧下さい。あらすじは、イスラム革命時代。30年間獄中生活を余儀なくされたクルド系イラン人の詩人サヘルが釈放後、妻ミナを探します。

ところが、妻ミナは政府から夫は死んだと聞かされ悲しみます。そんな2人の間に分け入ろうとする男、アクバル。アクバルこそが2人の仲を引き裂いた張本人なのです。2人は30年の時を超えて愛し続けることができるのか?イランの社会問題を浮き彫りにする衝撃作です。

また、「タクシードライバー」(76)や「ヒューゴの不思議な発明」(11)を撮ったマーティン・スコセッシ監督が作品を絶賛し、この映画に自らの名前をクレジットしています。

イラン映画の魅力~アッバス・キアロスタミとマジット・マジディの作品から~

イラン映画の魅力を2人の代表的作品から探ります。まずは、日本でも人気の高いアッバス・キアロスタミの映画を紹介します。代表作は、「友だちの家はどこ?」(87)と「そして人生はつづく」(92)。児童映画を撮り続けています。

背景にはイスラム革命があり、映画の検問が厳しいため、児童映画しか撮れなかったと思われます。子供の世界から間接的にイランの社会問題を写し出しています。子供たちの何気ない日常や生き生きとした表情に癒されますよ。

次にマジット・マジディの映画「運動靴と赤い金魚」(97)。兄妹のかわいらしい物語です。運動靴を失くした妹のために1日交代で靴を履きます。では靴はどうするのか?運動会の3等賞が「運動靴」だと知り、兄が懸命に走るのです!

イランの庶民生活を描いた秀作。イラン映画の入り口はこの3作から観て下さい。

姉弟そろって映画監督!ナヒード&バフマン・ゴバディ

イランでは、姉弟や家族ぐるみで映画を製作するのは珍しくないそうです。バフマン・ゴバディ監督は、アッバス・キアロスタミ監督の「風が吹くまま」(99)に助監督・俳優として参加。その後、「酔っぱらった馬の時間」(2000)で監督デビューします。

クルド系イラン人であるアイデンティティを濃厚に出した作品作りが特徴です。また音楽好きでもあり、地下で音楽活動をしていたグループと出会ったことがきっかけで、「ペルシャ猫を誰も知らない」(09)をクルド語で撮影しました。その撮影後にイランから亡命します。

イランでは芸術家が政府に反政府的だと見られると処刑もしくは何十年も投獄されるのです。姉・ナヒード・ゴバディは、「111人の少女」(12)を撮っています。女性の視点から見たイランの現実を描いており、姉と弟の表現の違いなど比べてみると面白いですよ。

111人の少女が政府に対して、「夫を見つけてくれなければ集団自殺する」と訴えます。この件を解決するために1人の役人が派遣され、ひと騒動あるという物語。

2012年に東京フィルメックスで姉弟そろってクロージング作品として上映されています。児童映画が主流と見られていた時代から社会派映画の時代になりつつあります。皮肉なことに国内の映画事情が厳しいほど、秀作が多いのです。

まとめ

「ペルシャ猫を誰も知らない」(09)のバフマン・ゴバディ監督がイランから亡命後に製作した「サイの季節」(02)。イスラム革命時、クルド系イラン人の詩人サヘルは反政府的作品を書いたとして30年投獄されてしまう。釈放後、妻ミナを探すが。ミナは夫が死んだと思い、悲しみます。

そこへ2人の間に分け入ろうとする男、アクバル。アクバルこそが2人の仲を切り裂いた張本人だったのです。2人の30年ごしの愛はどうなるのか?イスラム体制の闇と償い切れない罪。涙なしで見る事はできません。主演は、詩人サヘル役にベヘルーズ・ヴォスギー、妻ミナ役を「マレーナ」(2000)のモニカ・ベルッチが演じます。

イランでは現在もイスラム体制が厳しく、国内では映画製作が難しいそうです。この映画を観て、イスラムの文化や社会に関心を持って下さい。

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