映画『三十九夜』あらすじネタバレ結末と感想

三十九夜の概要:見知らぬ女性を助けたことで殺人事件の容疑者にされ、国際的なスパイ組織から狙われる身となった男が、逃亡を続けながら事件の真相に迫っていく。思いもよらぬ決め手が用意されたアルフレッド・ヒッチコック監督の初期の良作。1935年公開のイギリス映画。

三十九夜 あらすじネタバレ

三十九夜
映画『三十九夜』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

三十九夜 あらすじ【起・承】

外交官のリチャード・ハネイ(ロバート・ドーナット)はロンドンのミュージック・ホールで出し物を楽しんでいた。舞台上ではどんなことでも記憶してしまうミスター・メモリーという男が観客の質問に答える芸を披露していた。その時、劇場内に銃声が鳴り響く。

混乱する劇場を出る際、ハネイはアナベラという女性に一緒にいて欲しいと頼まれる。アナベラはハネイのマンションで、自分がスパイであり、イギリスの国防上の重要機密を巡って他のスパイ組織に命を狙われていると打ち明ける。

真夜中、アナベラは何者かに背中を刺されて殺される。機密が国外に漏れるのを防ぐため、スコットランドにいる男に会って決着をつけると言っていたアナベラの意志を引き継ぎ、ハネイはスコットランド行きの列車に乗る。

マンションではアナベラの遺体が発見され、ハネイは容疑者として指名手配される。さらにスパイ組織の男たちもハネイをつけ狙っており、道のりは困難を極める。列車内でパメラ(マデリーン・キャロル)という女性に助けを求めるが、彼女は話を信じてくれず、警察に彼を突き出そうとする。ハネイは列車から飛び降り、なんとか逃げ延びる。

スコットランドに到着したハネイは農家の奥さんの好意により、アナベラが会おうとしていた教授に会うことができる。しかしその教授こそが、小指の先がないのが特徴の組織のボスだった。ハネイは教授に胸を撃たれるが、内ポケットに入っていた聖書のおかげで助かる。しかし教授と懇意にしている判事は、ハネイを警察に引き渡そうとする。

三十九夜 あらすじ【転・結】

再び逃亡したハネイは選挙集会が行われている会場に逃げ込み、そこでパメラと再会する。パメラの通報でハネイは逮捕され、パメラも同行を求められる。しかし彼女が警察だと思っていた男たちは、実は組織の人間だった。それに気づいたハネイはパメラと手錠で繋がれた状態で、車から逃げ出す。

嫌がるパメラを脅しながら旅館にたどり着いたハネイは、駆け落ちしてきたカップルを装ってその旅館に宿泊する。強情なパメラはどうしてもハネイの話を信じようとしなかったが、夜中に旅館を尋ねてきた男たちの話を盗み聞きし、ハネイの話が本当だったことを知る。男たちの話から、教授がロンドンのパラディウム劇場へ向かったことがわかる。

ハネイの無実を証明するには、軍事機密の漏洩とスパイ組織の存在を警察に証明するしかなく、2人はロンドンへ向かう。パメラは警察へ行き、空軍の書類が紛失していないか調べてもらうが、書類は全て揃っていた。パメラは劇場へ向かい、ハネイにその事実を伝える。パメラを尾行していた警察は、劇場を包囲する。

観客席にいたハネイは舞台奥に教授が潜んでいるのを見つける。そこに登場したミスター・メモリーを見て、ハネイは全てを察する。軍事機密はミスター・メモリーの記憶の中にあり、教授は彼を連れ出すつもりだったのだ。

ハネイの“39階段とはなんだ!”という問いに、舞台上のミスター・メモリーは“スパイ組織”と答え、その直後に狙撃される。大混乱の劇場内で教授は逮捕され、ミスター・メモリーは記憶させられた軍事機密を暗唱し、息絶える。

三十九夜 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1935年
  • 上映時間:88分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ロバート・ドーナット、マデリーン・キャロル、R・マンハイム、ペギー・アシュクロフト etc

三十九夜 批評・レビュー

映画『三十九夜』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

コンパクトにまとめる難しさ

88分とコンパクトにまとめられたテンポのいい作品で非常に見やすい。冒頭でミスター・メモリーという特異な男が登場してから、銃声、謎の女性アナベラ、彼女を追う男たち、国家機密の漏洩、小指の先がない男、スコットランド、アナベラの死…など、多くの伏線が一気に張り巡らされ、主人公ハネイの逃亡劇が始まる。

その後もハネイが接触していく登場人物に無駄がなく、それぞれが必ず何らかの役割を担っている。ハネイが常に移動していくという形式なので、次々とステージをクリアーしてゴールに近づいていくロールプレイングゲームのような面白さもある。

最後は冒頭に紹介されたミスター・メモリーが事件解決の鍵を握る最重要人物だったという形で伏線は回収され、あっけないほど潔く映画は幕を閉じる。余計なものを一切排除し、観客の注意をそらさない構成は見事であり、注意して見ていると手際よく話を展開していくために様々な工夫が凝らされていることがわかる。上映時間をダラダラと長くするのは案外簡単だが、短い中で全てを伝えるには高等テクニックが必要だ。観客の心理をよくわかったさすがのストーリー展開だった。

女優たち

アナベラを演じたルーシー・マンハイムもパメラを演じたマデリーン・キャロルも、とにかく美しい。映像がモノクロであることもプラスに働いているのかもしれないが、いかにも「映画女優」といった品と美貌で、活き活きと輝いている。

さらに出番は少なかったが農夫の妻を演じたペギー・アシュクロフトの初々しい姿も印象に残る。彼女はこの作品から約50年後、「インドへの道」でオスカー(最優秀助演女優賞)を受賞する。77歳での受賞は最年長記録だったようで、彼女の長い女優人生に敬意を表したい。名優や名女優の出発点が見られるということも、古い映画を鑑賞する際の大きな楽しみになる。

三十九夜 感想まとめ

ヒッチコックの初期の代表作といわれるだけあって、本作は確かに面白い。全体の雰囲気が何となくサバサバと明るいのもいい。劇場内で描かれる観客の様子を見ると、この当時の人々はみんな元気だ。劇場で“鳥の飼い方”をやたらと質問しているおじさんや、ハネイたちを匿ってくれた宿屋の夫婦の描き方など、細かい演出が個人的には好きだった。

サスペンスと言っても深刻さは薄く娯楽映画として楽しめる作品なので、これからヒッチコックを始めようと思う人にはいいかもしれない。ヒッチコックを始めようというのも、おかしな表現だが…。

Amazon 映画『三十九夜』の商品を見てみる