映画『さんかく』あらすじとネタバレ感想

さんかくの概要:国内で高い評価を得る吉田恵輔監督作品。監督の評価を決定づけた記念碑的とも言える作品。出演は高岡蒼甫、田畑智子、小野恵令奈

さんかく あらすじ

さんかく
映画『さんかく』のあらすじを紹介します。

釣具店に勤務する百瀬(高岡蒼甫)と、化粧品販売員の佳代(田畑智子)は、同棲して2年が経過し、倦怠期に入っていた。かまってちゃんの気がある佳代に、百瀬はうんざりしていた。

そんな中、中学3年生になる佳代の妹・桃(小野恵令奈)が、夏休みを利用して2人の部屋に泊まりがけで遊びに来る。桃は東京に出た片思いの先輩に会いに行くが、先輩には彼女がいることが発覚する。桃はその彼女見たさに、先輩のバイト先を特定し、ストーカーのような行動をとる。

そのうち、家の中を露出度の高い服でうろついたり、なれなれしく接してくる桃に対し、百瀬は次第に惹かれていく。佳代はその気配を感じ、桃に注意するが桃は気に留めず、実家に帰る前夜、百瀬とついに桃はキスしてしまう。それ以来、桃のことで頭がいっぱいになった百瀬は次第に佳代の扱いがぞんざいになっていく。そしてついに百瀬は佳代と別れることとなるのだが…

さんかく 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2010年
  • 上映時間:99分
  • ジャンル:コメディ
  • 監督:吉田恵輔
  • キャスト:高岡蒼甫、小野恵令奈、田畑智子、矢沢心 etc

さんかく ネタバレ批評

映画『さんかく』について、感想批評です。※ネタバレあり

巧みな人物配置

吉田恵輔監督作品のほとんどの作品において言えることとして、物語を動かす主要な人物の中に必ずと言っていいほど10代の女の子がいるということが挙げられる。

このことについて吉田監督は、 10代と言う多感な時期の女の子を描くことでその心情や心の機微をリミットに切り取り、物語の推進力にすることができるという旨のことを語っている。本作においても小野恵令奈が演じる妹の桃は、百瀬にとってファムファタールと言っていいような存在である。桃自身には自分の魅力を振りまいているという自覚がないままに百瀬を巻き込んでしまうというのも、10代と言う設定ならではである。

もちろん、そういったファムファタールと愚かな男のボーイミーツガールモノとして描くだけでも充分に面白い作品になりうるのだが、吉田監督の演出力が秀逸なのは、そこに佳代と言う女性を入れ込んだと言うことにある。これによって物語に新たな軸が生まれ、実際本作では佳代がドンドンと狂気の世界へ身を落としていく様がある種ホラー的ともいえる演出で描かれている。

セリフで多くを語らない

吉田恵輔監督作品において評価するべきもう一つのポイントは、人々の心情の揺れ動きを演出や、心情吐露とは全く関係のないセリフに託して表現しているということである。これにより観客はそれぞれの登場人物は何を考えているのか、何に悩んでいるのかということについて自ら能動的に考えざるをえなくなる。一旦この構造に観客を引き込んでしまえば、 観客が主体的に物語の細部を汲み取って映画を見るようになる。そういう意味において映画内での興味の持続がきちんと図られているのだ。もちろんであるが、観客の視線が鋭くなると言う事はそれだけ細部の表現にも気を配らねばならないということでもある。 だがそういった観客の視線にも充分に耐えうる作品作りを非常に高いレベルで毎回行っているのが吉田恵輔監督なのである。

さんかく 感想まとめ

アイドル映画と呼ばれる映画がどういった映画なのかという定義には議論の余地があるが、狭義のアイドル映画と言う意味において本作は非常に優秀な作品である。狭義のアイドル映画というのは、そこに出演しているアイドル的人気を誇る女優の一瞬の煌きをカメラに収めた映画ということにしておく。奇しくも先日芸能界を引退してしまった小野恵令奈であるが、この作品においては小野恵令奈が持っている女性としての柔和な魅力が溢れている。

女優が持っているその瞬間の可愛らしさや煌きをビビットに切り取り、高度に物語を紡ぐと言う意味においては吉田恵輔監督の作風はかつての角川映画のそれに共通するものがあると言ってもいいだろう。こういった作品が邦画においても増えてくれることを望んでならない。

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