映画『潜水服は蝶の夢を見る』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

映画『潜水服は蝶の夢を見る』のネタバレあらすじ結末

潜水服は蝶の夢を見るの概要:世界各国の映画賞を多数受賞した、ELLE誌編集長の自叙伝映像化作品。「閉じ込め症候群」患者の視点を再現したカメラワークが圧巻。ジャン=ドーのユーモアやフランスの美しい風景、心地良い音楽が胸に響く、難病と闘う男の物語。

潜水服は蝶の夢を見るの作品概要

潜水服は蝶の夢を見る

公開日:2007年
上映時間:112分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジュリアン・シュナーベル
キャスト:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ etc

潜水服は蝶の夢を見るの登場人物(キャスト)

ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)
愛称はジャン=ドー。雑誌「ELLE」の元編集長。女好きの皮肉屋だが想像力豊かで、愛読書は「巌窟王」。閉じ込め症候群を発症し、ベルクの海軍病院で闘病生活を送る。
クロード(アンヌ・コンシニ)
ジャン=ドーの自伝執筆の為に出版社から派遣された、編集者の女性。辛抱強く前向きで、ジャン=ドーを支える。
アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)
言語聴覚士。ジャン=ドーの為に、瞬きだけで言葉を伝える方法を考え出す。忍耐強くジャン=ドーと向き合い、ジャン=ドーの自伝執筆の大きな助けとなる。
マリー(オラツ・ロペス・ヘルメンディア)
理学療法士。ジャン=ドーが運動機能を取り戻せるよう、リハビリを行う。信心深いクリスチャン。
セリーヌ(エマニュエル・セニエ)
ジャン=ドーの元妻。子供三人を引き取り、育てている。離婚原因はジャン=ドーの浮気だが、子供達の父親として良好な関係を保ち、ジャン=ドーの発病後も彼を支える。

潜水服は蝶の夢を見るのネタバレあらすじ

映画『潜水服は蝶の夢を見る』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

潜水服は蝶の夢を見るのあらすじ【起】

世界中で人気の女性ファッション誌「ELLE」の編集長ジャン=ドーは、目覚めると病院のベッドの上にいた。彼はある日発作を起こし、そのまま意識を失ったのだ。診断名は、閉じ込め症候群。発作の後遺症だった。

意識も記憶もはっきりしているし、目も見え、音も聞こえている。しかし、実際に彼が動かせるのは、左の瞼だけだった。首も振れず声も出せず、右の視界は眼球を守るために瞼を縫い付けられ、塞がれてしまう。原因不明の閉じ込め症候群から回復する為、ジャン=ドーのリハビリ生活が始まった。

彼を支えるのは、言語聴覚士のアンリエットと理学療法士のマリーという美女二人だ。ジャン=ドーは、彼女達を信じる事に決めた。編集長時代の華やかな生活を思い出すと絶望するが、やるしかなかった。

アンリエットは、彼と瞬きだけでコミュニケーションを取る方法を考えた。YESは瞬き一回、NOは二回。これでスタッフ達や見舞に来た元妻のセリーヌに意思を伝える事が出来る。セリーヌに、子供達と会いたいかと聞かれ、ジャン=ドーは二回瞬きをした。

潜水服は蝶の夢を見るのあらすじ【承】

アンリエットとジャン=ドーの取り組みは、次の段階に進む。アルファベットを順に読み上げていき、瞬きをした所のアルファベットを書き留めて文章にするのだ。しかし、これはアンリエットにとっても初めての試みだった。読み上げるスピードが遅ければ目を開けていられないし、早いと瞬きが間に合わない。ジャン=ドーは苛立ち、アンリエットを傷つけるが、二人は少しずつ前進し続けていた。

一方、マリーとのリハビリには、あまり進展が無い。入浴は赤ん坊のように全身を他人に洗われるし、舌をピクリと動かす事さえうまくいかなかった。訓練の為、マヒでゆがんだ口元を鏡で見せ続けられるのが、特に不愉快だ。しかし、その不快感さえ、ジャン=ドーには自由に主張する術が無かった。

ある日、一人の男が見舞いにやって来た。ピエール・ルッサンだ。彼は乗っていた飛行機がハイジャックされ、4年間地下牢で人質生活を送っていた。その飛行機は、本来ジャン=ドーが乗るはずの便で、たまたま急いでいた彼に座席を譲ったのだった。ピエールが解放されてからも、ジャン=ドーは罪悪感から連絡を取る事が出来なかった。しかし、ピエールはジャン=ドーの病を知り、病院に駆け付けた。人質生活と閉じ込め症候群はよく似ている。何もできない毎日の中で、残されているのは人間性だけ。その人間性にしがみついて、耐えるしかない。そう伝えに来たのだ。ジャン=ドーは、彼に連絡をしなかった自分の人間性を恥じた。そして、死にたいと願った。

ジャン=ドーは、今の自分が海底深くを漂っている潜水士のように感じていた。重い潜水服の中で、動かせるのは頭だけ。どれだけ叫んでも、所詮は音の無い濁った水の中だ。記憶力は確かだが、思い出すのは過去の小さな失敗ばかり。閉じ込められたせいで、そんな人生だったと気が付いてしまったジャン=ドー。

潜水服は蝶の夢を見るのあらすじ【転】

アンリエットとのやり取りは、かなりスムーズになってきていた。ジャン=ドーは、想像力と記憶は自分を苦しめるばかりでは無いと気が付き、前向きな気分になっていた。その二つを使えば、窮屈な潜水服から逃れてどこへでも飛んで行かれる。彼は想像力で世界中を旅し、女と愛し合い、夢を叶えた。

前向きになったジャン=ドーには、やりたい事があった。倒れる前に出版社としていた、執筆の計画だ。元々は、「巌窟王」を現代版にリメイクする予定だった。今は、自分自身の事を書きたいと思っていた。必要なのは、毎日彼の側にいて、代筆をしてくれる人だけ。

出版社が派遣してくれたクロードは、真面目で忍耐強い女性だった。ジャン=ドーとの特殊な会話にも懸命に付いていき、毎日わずかずつだが執筆は進む。その間、クロードはいつも穏やかで、笑顔を絶やさなかった。ジャン=ドーは、閉じ込め症候群がどのようなものなのか、今いるベルクの海軍病院の歴史、お気に入りの場所について綴っていく。

父の事も書いた。倒れる数日前、父も具合が悪く、様子を見に行きヒゲを剃ってやったのだ。ジャン=ドーと父親は似た者同士で、二人とも女好きの皮肉屋だった。父は体こそ不自由になってしまったが、口達者で、ジャン=ドーはそんな父を愛し、認められたいと常に願っていた。だからこそ、自分自身の子供達にとって、ゾンビのような父親になってしまった事が情けなく苦痛だった。しかし、子供達はジャン=ドーを見舞い、歌を披露し、キスをしてくれるのだった。子供には会いたくないと思っていたし、自分から触れる事も出来ない悲しみは言い表せない。それでも、会えるだけでも幸せだと綴るジャン=ドー。

ジャン=ドーの生活の中で、特に苦痛なのが日曜日だ。クロードもアンリエットも休みで、見舞も来ない。しかし、ある日曜にマリーが彼を教会に連れて行った。ジャン=ドーの気持ちは無視し、彼をルルドの泉に連れて行こうとするマリーと神父。そこでは、奇跡の水を求めて全国から難病者が集まっていた。ルルドに行くのは、ごめんだった。彼はかつて、信心深い恋人とそこへ行き、別れたのだ。泉の行列に並ぼうとする恋人に、健康な人間がルルドで奇跡にあうとしたら、全身マヒになる事ぐらいだと反論した事を思い出す。恋人は一点物のマリア像を欲しがり、それが原因で口論になったのだが、後で一人町を歩いている時、全く同じマリア像が他所でも売られていた。

潜水服は蝶の夢を見るのあらすじ【結】

「圧力鍋」か「目」、「潜水服」。ジャン=ドーは自分の体験を舞台化する時のタイトルを考えていた。ある父親が全身マヒになり、陰りの無い人生を歩んできた彼が、救われない苦悩を味わう。エンディングでは、彼がベッドを飛び出し舞台を一周回り、暗転。モノローグで、夢と知る。

ある日、ジャン=ドーの父親から電話がかかってきた。彼は、返事が出来ない息子に向かって、受話器越しに懸命に話し続けた。階段が降りられなくなってしまい、アパートの部屋から一歩も出られない自分も、肉体に閉じ込められたお前と一緒だ。自分の遺書は、引き出しのここに入っているから。誕生日プレゼントを贈ったから、楽しみにしていろ。会いたい。良い誕生日を。父親の声は震え、ジャン=ドーの視界はぼやけて何も見えなくなった。通訳をしていたクロードも、泣いていた。

クロードから、巌窟王をプレゼントされたジャン=ドー。初版ではないが、かなり古い版の挿絵付きだ。59章を朗読させる。不気味な姿で、視覚と聴覚だけが鋭く、他は生ける屍となったノワルティエ。ジャン=ドーは、まさに自分の事だと思う。しかし、クロードは彼を私の蝶と呼び、海の底だろうが一緒にいると微笑んだ。

元恋人のイネスからも、電話があった。一向に見舞いに来ないと思っていた彼女は、病院へ来ようとしたが勇気が出ず、駅で引き返していたのだ。元の姿になってくれないと会えないと泣くイネス。この時、クロードは不在だった。ジャン=ドーの「毎日君を待っている」という言葉を伝えてくれたのは、献身的に彼を見舞う元妻のセリーヌだった。

ジャン=ドーの体は、着実にマヒから回復しつつあった。歌に合わせて声を出し、心臓の鼓動が聞こえるようになった。ジャン=ドーは、自由な肉体に戻れると希望を抱いた。しかし、その希望はすぐに打ち砕かれる。合併症の肺炎を患ったのだ。これからという時に、パリの病院へ搬送されるジャン=ドー。道すがら見かけたのは、発作を起こした日に乗っていたのと同じオープンカーだった。

あの日は、息子と芝居に行く予定だった。新車のオープンカーで息子を迎えに行き、助手席に乗せる。留守番の娘と次は二人で過ごそうと約束を交わして、出発だ。サッカーチームで問題は無いか訊ねる父。彼は自分が子供の頃、裸でシャワーを浴びられずチームを辞めた“友達”がいた話をした。父親がコーチを殴ろうとしてくれた。何かあったら、すぐパパに言うんだぞ。車が叔母の家に差し掛かった時、ジャン=ドーが暑がりだした。すぐに胸が苦しくなり、車を何とか路肩に止める。息子は、叔母の家に走った。ジャン=ドーは薄れ行く意識の中で、今日の芝居はキャンセルだが、明日行けば良いさと考えていた。

自叙伝は完成した。そして、その本の出版10日後、ジャン=ドーは息を引き取った。

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