『七年目の浮気』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

七年目の浮気の概要:「七年目の浮気」(原題:The Seven Year Itch)は、1955年のアメリカ映画。監督・脚本は「サンセット大通り」や、オードリー・ヘプバーン主演の「麗しのサブリナ」などの作品で知られる名匠ビリー・ワイルダー。主演は「ナイアガラ」、「帰らざる河」のマリリン・モンロー。共演はトム・イーウェル、イヴリン・キースなど。

七年目の浮気

七年目の浮気 あらすじ

映画『七年目の浮気』のあらすじを紹介します。

中年の恐妻家で出版社の編集者であるリチャード(トム・イーウェル)は、避暑に出かける妻ヘレン(イヴリン・キース)と、息子のリッキー(ブッチ・バーナード)を飛行場で見送り、妻の執拗な忠告に閉口し一人でアパートに戻る。彼の部屋の一つ上の階には、部屋主がバカンスでの留守中に間借りしているテレビタレントの若い娘(マリリン・モンロー)がいた。その悩ましさにリチャードは平静さを保てなくなり、自社で出版予定の精神科医ブルベイカー博士の原稿を読み始める。やがてリチャードは、自分が女性にモテまくる妄想を膨らませ、オフィスの秘書から妻の友人や入院した時の看護師に至るまで、あらゆる女たちに誘惑される妄想に耽り始める。そこへ妻のヘレンから電話が入り、彼女はリチャードの旧友である作家のトムに会ったと言う。そして階上の娘がいる部屋の鉢植えが、彼のいるバルコニーへ落下してきたのをきっかけに彼女と話す機会ができ、その勢いで彼女を部屋へ誘うリチャードだったが、現実の世界は妄想のようには上手く運ぶわけもなく、彼はコメディのような失態を繰り返す。翌朝に出社したリチャードがブルベイカー博士の原稿を読むと、結婚7年目の男の浮気心を「7年越しのムズムズ」と説明しており、自分も結婚7年目であり良心を責められるリチャードだが、妄想は彼の意に反し留まることなく押し寄せてくる。たまりかねて妻に電話をかけると、トムとドライヴに出かけたという。アパートに戻ったリチャードは、階上の娘を誘い映画を観に行く。自分の部屋はクーラーが無く暑くて眠れないという娘を自分たちの寝室に寝かせ、リチャードは居間で一夜を明かす。翌朝、又もやノイローゼ的妄想を始めたリチャードに娘は昨夜のお礼のキスをする。そこへトムが突然訪れ、リチャードはトムがヘレンからの離婚の意志を伝えに来たものと早とちりし口論になった挙げ句、トムを殴り飛ばし靴を履くのも忘れて部屋を飛び出す。それに気づいた娘は窓から彼を呼び止めて靴を放り投げ、その靴を履いたリチャードは嬉しそうに妻と息子の許へ走り去った。

七年目の浮気 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1955年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:コメディ、ラブストーリー
  • 監督:ビリー・ワイルダー
  • キャスト:トム・イーウェル、マリリン・モンロー、イヴリン・キース、ソニー・タフツ etc

七年目の浮気 批評 ※ネタバレ

映画『七年目の浮気』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

マリリン・モンローという圧倒的な存在感

男の妄想を具現化してくれるマリリン・モンロー。ストーリーの大半がトム・イーウェルの一人芝居で面白いのだが、マリリンが登場すると映画が一気に華やかさを纏い、マリリン・モンローという女優の魅力がこれでもかと言わんばかりに迫ってくる。マリリン・モンロー像がこの映画で世界中に定着し、ピュアで無意識の小悪魔らしさをビリー・ワイルダーが見事に引き出している。ある意味映画の中にしか存在しないようなサイボーグのようなイメージにさえ感じさせられる。プラチナブロンドのマリリンはどのような仕草も全てが愛くるしく、ストレートで媚びない部分にもその小悪魔振りをいかんなく発揮している。1955年にこのような女性が存在していたのかと考えれば、人類は進化しているのか退化しているのか解らなくなってくるが、元の夫であったジョー・ディマジオが、あのスカートが吹き上がるシーンを観て怒り狂ったという話も頷けないことはない。嫉妬と独占欲に駆られてのことだろうがそれももっともな話である。こんな女性を妻にしてはいけないという典型的な見本だろう。

異常なまでの妄想世界

地下鉄の通風口から吹き上げる風で、マリリンのスカートがめくれ上がるシーンで有名な彼女の代表作だが、トム・イーウェル演ずるリチャードの妄想譚で構成されており、どこまでが現実でどこまでが妄想か解らなくなってくる。実際にマリリンには役柄上の名前も付けられておらず、本当はマリリン自体の存在も妄想の中での話しのようなニュアンスさえ感じるのである。既婚男性が妻と子供を実家に帰した間に、羽目を外したくなるという実現し難い欲望を、極上の美女に絡めて空想世界に想像させた最上級の妄想譚ではないだろうか。それを泥沼に落とし入れないような軽妙な展開がビリー・ワイルダーの真骨頂である。昨今の「昼顔」ブームにも便乗するような内容でもあるが、男性側の視点から見た浮気の妄想を淡泊に仕上げたロマンチックなストーリーに、ビリー・ワイルダーらしさが出て感じの良い演出となっている。

七年目の浮気 感想まとめ

ビリー・ワイルダー監督作品として有名なロマコメでは「昼下りの情事」があるが、こちらはゲイリー・クーパーとオードリー・ヘプバーンという最強コンビ。本作のマリリンの相手役トム・イーウェルでは、クーパーには太刀打ちできないというところで、マリリンによるマリリンのためのマリリンの映画となってしまったのである。本作の後に制作された「お熱いのがお好き」では、相手役にトニー・カーティス、 ジャック・レモンを起用したが、やはりマリリンの存在感は揺らぐことがなかった。本作では映画史上屈指の名場面となったスカートの吹き上がるシーンがあるが、エロさなどさほど感じないあの場面を知らない映画ファンはいないだろう。本作はそれを拝める記念碑的作品だが、客観的な刷り込みというのは恐ろしいものであり、今さらながらあのシーンを観る度に、本作の価値観を改めて見直さざるを得ない心境になってしまうのだ。

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