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映画『白いリボン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『白いリボン』の概要:村で奇妙な事件が立て続けに起こった。全ての始まりは、ドクターの落馬事故からだった。木々の間に張られたワイヤーに馬の足が引っかかり、ドクターは落馬してしまう。その事件の犯人が見つからない内に、小作人の妻が亡くなる事故が起こった。

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映画『白いリボン』の作品情報

白いリボン

製作年:2009年
上映時間:144分
ジャンル:サスペンス
監督:ミヒャエル・ハネケ
キャスト:クリスティアン・フリーデル、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクール、フィオン・ムーテルト etc

映画『白いリボン』の登場人物(キャスト)

教師(クリスチャン・フリーデル)
31歳。仕立屋の息子。別の村から教師として赴任してくる。
エヴァ(レオニー・ベネシュ)
17歳。男爵家の乳母。内気な性格。笑顔が可愛い女性。子供のことをとても大切にしている。
男爵(ウルリッヒ・トゥクル)
村人の半分を雇っており、村の中で強い影響力を持つ。
牧師(ブルクハルト・クラウスナー)
厳格な人物で、我が子に対して支配的な性格。宗教的な側面から、男爵とはまた違った意味で影響力を持っている。言うことを聞かない子供達に手を焼いている。
ドクター(ライナー・ボック)
村の医師で、多くの人から頼りにされている。妻は亡くなっており、娘と息子と共に暮らしている。裏ではワグナーと体の関係があり、実の娘にも手を出している。
ワグナー(ズザンネ・ロータ)
助産婦。ドクターの隣に住んでおり、知恵の遅れた息子のカーリを溺愛している。家政婦兼看護婦としてドクターの家を支えている。

映画『白いリボン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『白いリボン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『白いリボン』のあらすじ【起】

全てはドクターの落馬事故から始まった。ドクターは男爵の領地で調教を終えた馬に乗り、患者を待たせたらいけないと思い自宅へと急いで帰った。庭に入ったとき、木と木の間に針金が張られており、馬の足が引っかかって落馬してしまう。ドクターの娘のアンナが窓から事故を目撃し、慌てて隣人に助けを求めた。ドクターは30km離れた町の病院へ運ばれた。

隣人のワグナーは40歳の独身で、村の助産婦を務めていた。お産で亡くなったドクターの妻に代わり、家政婦兼看護婦としてドクターの家を支えていた。ワグナーはドクターの子供の世話をした後、自分の息子を迎えに学校に行った。

牧師を父に持つクララやマルティン達兄弟は、学校帰りアンナの家に様子を伺いに行った。そのせいで帰宅が遅くなってしまい、父にきつく叱られてしまう。父は夕食抜きの罰を与えた。そして、クララとマルティンには明日鞭打ちの罰を与えた後、白いリボンを母に巻いてもらうよう指示した。白いリボンとは純真無垢であることを忘れないよう、父が幼い子供達の髪や腕に巻いていたものだった。

警官が落馬事故の現場を調べるが、針金が無くなっていた。事故について何の手がかりも得られない内に、小作人フェルダーの妻が作業中の事故で亡くなる事件が起きる。彼女は腕を怪我していたため、家令のゲオルク(男爵の右腕)から刈り入れ作業を免除され、製材所の仕事に回されていた。同じ日、教師はマス釣りのために小川に出かけ、橋の欄干の上を歩くマルティンの姿を見かける。慌てて止めさせに行くと、マルティンは「神様に自分を殺す機会を与えた。だが、死ななかったので神様は自分を受け入れてくれた」と言葉を漏らした。教師には言葉の意味がよく分からなかったが、二度と欄干の上を歩かないよう約束させた。

教師は男爵家の新しい乳母であるエヴァの姿を見かけ声を掛けた。エヴァは休日を利用して実家に帰るところだった。エヴァの実家は教師の実家がある村を通っていくため、教師は釣った魚を実家に届けて欲しいと頼んだ。しかし、魚は生身のままで、自転車に置くための袋が無かった。教師は渡すのを諦め、エヴァを見送った。

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映画『白いリボン』のあらすじ【承】

フェルダーの息子はゲオルクが危険だと分かっていて、製材所で仕事をさせていたのではないかという疑いを持つ。だが、父はゲオルクを責めても妻が生き返るわけではないため、事を荒立てるつもりはなかった。息子はそんな父の態度が不満だった。

7月のあの2日間(落馬事故と事故死)が過ぎ、村は普通の生活に戻った。教師は収穫期の間、ゲオルクの秘書として働くことになった。エヴァと会えることを密かに願っていたが、エヴァはほとんど屋敷から出てこないので会えなかった。ドクターは入院したままで、アンナと弟のルドルフの面倒は依然としてワグナーが見ていた。

村人達が収穫祭を楽しむ中、男爵家の畑が荒らされる事件が起きる。犯人はフェルダーの息子で、荒らしている姿を見た者までいた。しかし、息子はやったことを後悔していなかった。父はそんな息子を叱った。男爵家の怒りに触れれば、職を失い路頭に迷う可能性もあるのだ。だが、父も息子同様、妻が亡くなったことはゲオルク達にも責任があると感じていた。

男爵家の息子のジギの行方が分からなくなった。村人達が集められ、真夜中過ぎに捜索が始まった。ジギは製材所で逆さまに縛りつけられており、お尻を杖で打たれて血が滲んでいた。ジギはショックで歩けなくなっていた。日曜の礼拝の後、男爵は村人達に語りかけた。男爵は村人の中に犯人がいると考えており、息子を傷つけた者を必ず見つけ出して罰を与えるつもりだった。そして、犯人が見つからなければ村の平和が失われると考えていた。男爵の話は、村人達の間に恐怖心を植えつけた。

映画『白いリボン』のあらすじ【転】

エヴァは男爵家を突然クビになってしまい、教師の家を訪ねてきた。実家に帰るために夜道を歩くのは恐ろしく、エヴァはどうすればいいか分からず心細い思いをしていた。教師はエヴァを部屋に招き入れた。エヴァの家族にとって、エヴァの給料は無くてはならないものだった。教師はエヴァのために、男爵夫人を説得することにした。

畑を荒らした件で警察に自首し、収監されていたフェルダーの息子が釈放された。だが、父は職を失っており、息子を赦すことができなかった。一方、教師は男爵夫人に会いに行くが、子供達と共に屋敷を出て行ってしまっていた。教師はゲオルクから馬車を借り、クビになったことを説明するため、エヴァと共に実家に向かった。同じ頃、ドクターが退院して村に戻ってきた。

11月になっても犯人は見つからなかった。12月半ばにエヴァから教師の元に手紙が届いた。父が街で仕事を見つけてきて、新年早々から働き始めることになったのだ。教師はクリスマスが過ぎるとすぐ、プロポーズするためエヴァの実家に足を運んだ。エヴァの父は17歳の娘が31歳の教師と結婚することが認められなかった。父は来年エヴァに思いを聞き、結婚したいなら許すことにした。教師は困惑するが、父の提案を受け入れることにした。エヴァも父の提案を受け入れた。エヴァと教師は手を握り合った。

ドクターはワグナーと体の関係を持っていたが、関係を切るため酷い言葉を浴びせかけた。ドクターとワグナーの関係は、ドクターの妻が亡くなる前から始まっていた。ワグナーはショックを受け、別れを受け入れることができなかった。ワグナーはドクターが実の娘のアンナの体を触っていることにも気づいていたが、黙って耐えていた。ドクターは縋るワグナーを拒んだ。

マルティンは荘園が燃えていることに気づき、大声を上げた。母は大声を出したことを窘め、父が様子を見に行ったことを伝えた。次の日、小作人は自殺し、葬儀が行われた。奇妙な事件が続き、村の人々の気持ちは不安に揺れていた。一方、牧師はマルティン達の腕に巻きつけていた白いリボンを外した。男爵夫人は4月末に叔父の家から村に帰ってきた。

映画『白いリボン』の結末・ラスト(ネタバレ)

牧師は神学の授業のために教室を訪れるが、生徒達は先生の指示に従わず騒いでいた。牧師は授業に関係のない生徒を帰すと、クララを立たせたまま授業を始め、生徒達を叱った。そして、クララに対して、白いリボンを外したのは誤りだったと嘆いた。クララはショックのあまり失神してしまう。その後、クララは父の書斎に入ると、父が大切にしている鳥を殺した。

エヴァは毎週教師に手紙を送った。教師はエヴァが町に馴染めず寂しがっていることに気づく。土曜日にエヴァに会いに行き、日曜日に戻って堅信礼の準備をすることにした。教師は馬車を借りるため、ゲオルクの家を訪ねた。その時、ゲオルクの娘のエレナから夢が実現することはあるかと聞かれる。エレナが見た夢は、ワグナーの息子のカーリに酷いことが起きるものだった。

教師はエヴァを連れて森の中にある池のところにピクニックに行こうとするが、なぜかエヴァが行くのを嫌がった。教師はエヴァの思いを組み、道を引き返すことにした。エヴァは感謝し、教師にキスをした。

カーリが何者かに襲われ酷い怪我を負う。それを受けて男爵はやっと重い腰を上げ、州の警察まで出向いて捜査を依頼した。教師はエレナに刑事の前で夢の話をさせた。刑事は誰かからカーリを襲う計画を聞いたのだと思い、エレナを責め立てた。エレナはただ夢で見ただけだと泣きじゃくりながら答えた。刑事達はエレナと教師を連れ、エレナの家族に話を聞きに行くことにした。すると、部屋の前にクララ達兄弟が待っていた。クララ達はカーリの容態を心配し、教師に話を聞きにきたのだ。

ゲオルクは息子が笛を奪うためにジギを川に突き飛ばしたことを知り、激しい怒りをみせた。男爵夫人は家を出ることを決める。男爵夫人は叔父の家にいる間、ある男性と恋に落ちていた。そして、村で子供を育てるのが良いとは思えなかったのだ。村には悪意・嫉妬・無関心・暴力が溢れていた。男爵夫妻が話し合っていると、オーストリア大公がサラエヴォで暗殺されたという知らせが入る。村人達は戦争が起きるのではないかと不安を抱いた。

ワグナーは犯人が分かったと騒ぎ、警察に行くと言い出した。ワグナーは教師に自転車を貸してくれと頼んだ。教師はワグナーの迫力に負け、自転車を貸した。教師がワグナーの家の様子を見に行くと、クララ達兄弟が窓から中の様子を伺おうとしていた。教師はそのことを不審に思う。なぜなら、子供達は知恵の遅れたカーリとは普段遊んだりしないからだった。さらに、事件の後カーリの姿を見ていないのも気にかかった。ワグナーが多忙なとき、カーリを預かるのはドクターか教師の役目だった。教師がドクターの家を訪ねると、「当分の間休業」と書かれた張り紙があった。

教師はマルティンとクララが事件に関与しているのではないかと思い、話を聞いてみることにした。クララ達は関与を否定した。教師は牧師にその話をするが、牧師は教師の話を突っぱね、公にすれば刑務所に送ると脅した。結局、2日経ってもワグナーは戻らなかった。教師は男爵に知らせ、カーリを探すためにワグナーの家を訪れた。カーリは見つからなかった。

その後、村にはある噂が広がった。「カーリの父親はドクターだった。ドクターは2人の関係を隠すために中絶させようとして失敗し、カーリに障害が残ってしまった」。さらに、「ドクターの妻も殺された可能性がある。事件の犯人はドクター達ではないか」という噂まで出た。

7月28日オーストリアはセルビアに宣戦布告。8月1日土曜にドイツがロシアに、月曜にフランスに宣戦布告。教師はエヴァの父親の許しを得て、エヴァと暮らせることになった。1917年の初め、教師は徴兵された。終戦後、教師は両親の家を売り払い、その金を使い街で仕立屋を開業した。それ以降、二度と村人と会うことはなかった。

映画『白いリボン』の感想・評価・レビュー

初めてのミヒャエル・ハネケ作品。どんな作品を撮る監督か噂には聞いていましたが、ここまで精神的にやられるとは思っていませんでした。今まで、胸糞や不快な作品と言えばギャスパー・ノエやイーライ・ロスだと思っていましたが、ミヒャエル・ハネケ作品はとにかく暗くて重くて救いようがなくて、気持ちが滅入ってしまいました。
この作品を見ると、ただ平凡に生きていくことがどれほど幸せなのか思い知らされるでしょう。(女性 30代)

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