映画『静かな生活』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「静かな生活」のネタバレあらすじ結末

静かな生活の概要:大江健三郎の小説『静かな生活』を原作とした伊丹十三監督作品。伊丹十三の妹が大江健三郎と結婚したため、伊丹にとって大江は義弟にあたる。渡部篤郎が演じた障害のあるイーヨーのモデルは大江の長男で作曲家の大江光。本作の音楽も彼が担当している。

静かな生活の作品情報

静かな生活

製作年:1995年
上映時間:121分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:伊丹十三
キャスト:山崎努、柴田美保子、渡部篤郎、佐伯日菜子 etc

静かな生活の登場人物(キャスト)

マーちゃん(佐伯日菜子)
絵本作家を目指す女性。成人はしているはずだが、正確な年齢は不明。障害のある兄の世話をしながら、自宅で絵を描いている。繊細で心優しい。
イーヨー(渡部篤郎)
マーちゃんの兄。生まれつき脳に障害があり、自立した生活は難しい。音楽の才能があるため、作曲が得意。美しい魂を持った人。
パパ(山崎努)
マーちゃんの父親。日本よりも外国の方で有名な作家で、大きな文学賞も受賞している。ノイローゼ気味のため、オーストラリアで静養する。
ママ(柴田美保子)
マーちゃんの母親。パパが人生最大のピンチを迎えているため、オーストラリア行きに同行する。物腰は柔らかいが、芯は強い女性。
新井君(今井雅之)
イーヨーに水泳を教えてくれるコーチ。ハンサムで人当たりが良く、マーちゃんも彼に好感を持つ。しかし、冷酷な裏の顔を持っている。
団藤さん(岡村喬生)
イーヨーの作曲の先生。パパとは長年の親友であり、パパの留守中はマーちゃんたちの親代わりを任されている。情熱的で面白いおじさん。
団藤さんの奥さん(宮本信子)
団藤さんの妻。芸術家の妻らしい感受性豊かな女性で、自分の考えをはっきり口にする。イーヨーの気持ちをよく理解している。
オーちゃん(大森嘉之)
マーちゃんの弟。難関大学(恐らく東大)を目指して予備校に通っている。ユニークで明るい。数学が得意。

静かな生活のネタバレあらすじ

映画『静かな生活』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

静かな生活のあらすじ【起】

絵本作家を目指しているマーちゃんは、日本よりも海外で有名な作家のパパ、優しくて芯の強いママ、難関大学を目指して予備校に通っている弟のオーちゃん、そして脳に障害がある兄のイーヨーと5人家族だ。

イーヨーは自立して生活するのは難しかったが、鋭い聴覚と絶対音感を持っており、音楽の才能に長けている。家族はイーヨーの障害を悲観することなく、自然に受け入れていた。ただ、心配性のパパは障害者が性犯罪を起こしたニュースを見て、イーヨーにスポーツをさせた方がいいと言い出す。マーちゃんもそのニュースを見て、何となく不安になる。

そんなある日、パパとママがしばらくオーストラリアへ行くことになる。作家としてスランプに陥っていたパパは、庭の排水管の掃除に失敗したことでさらに落ち込み、自分には生きる価値がないとまで思いつめるようになっていた。朝の4時半に首吊り自殺の実験をしているパパを見て、ママはパパを1人にはしておけないと感じ、オーストラリアへ同行することに決めた。両親はイーヨーの世話をマーちゃんに託し、環境のいいオーストラリアへ旅立っていく。

マーちゃんがイーヨーを近所の散髪屋に連れて行った日。マーちゃんはイーヨーに、散髪が終わったら帰ってくるように言って、先に家に帰る。しばらくして、家の近所が騒がしくなり、マーちゃんは外へ出る。どうやら、変質者が少女に痴漢行為をしたらしい。マーちゃんは急に不安になるが、イーヨーはちゃんと家に帰っていた。マーちゃんは心からホッとして、思わず泣き出してしまう。

痴漢騒ぎのあった日、マーちゃんはイーヨーの噂を耳にしていた。その真相を確かめるため、マーちゃんはイーヨーを尾行する。噂通り、イーヨーは近所の家の生垣の前でじっと立っていた。向こうから少女が歩いてくるのを見て、マーちゃんはイーヨーを強引に連れて帰る。両親がいないこともあり、マーちゃんはイーヨーに対して過敏になっていた。

静かな生活のあらすじ【承】

マーちゃんの家の門の上には、時々不審者が水の入った瓶を置いていく。オーちゃんは、パパの狂信的なファンか妙な宗教家の仕業だろうと言っていたが、真相は不明のままだった。

ある日、庭掃除をしていたマーちゃんは、水の入った瓶を置いていく不審者を目撃し、自転車で後を追いかける。その不審者は、少女を茂みに連れ込み、痴漢行為に及んでいた。マーちゃんが大声で助けを呼んだため、不審者は逮捕される。不審者は、職務質問された時に「有名な作家の先生に水を運んでいた」と言い訳するため、マーちゃんの家に水入りの瓶を置いていたらしい。瓶の真相がわかり、マーちゃんはスッキリする。

もうひとつ気がかりだった生垣の一件も、その家から聞こえてくるピアノの音色が原因だったことがわかる。クラッシック好きのイーヨーは、ピアノの奏者がモーツアルトをうまく弾けるかどうかを確認していた。マーちゃんは、真相がわかってホッとする。

両親が不在になってからしばらくして、イーヨーの作曲の先生の団藤さんが、イーヨーの異変に気づく。イーヨーが、珍しく団藤さんの家で癲癇の発作を起こした日のことだった。イーヨーは「すてご」というタイトルの悲しい曲を作っており、団藤さんはイーヨーの精神状態を心配する。パパと長年の友人の団藤さんは、いくら作家としてピンチだとしても、ママを連れてオーストラリアへ行ってしまったパパに腹を立てる。マーちゃんは、パパのピンチとは何なのか、団藤さんに聞いてみる。団藤さんの解釈では、パパは長年考え続けてきた「魂のこと」についての答えが出ず、小説が書けなくなっているらしい。マーちゃんは再び、何となく不安になる。

パパのお兄さんが亡くなったので、マーちゃんとイーヨーが葬儀に出席する。パパの故郷は深い森のある山間部の村だった。おばあちゃんが80歳になったと聞き、イーヨーは「それは大変なことだな、元気を出してしっかり死んで下さい」と声をかける。おばあちゃんは、そんなイーヨーを優しく受け止め、「すてご」の曲について聞いてくれる。おばあちゃんが聞いてくれたおかげで、あれは前に公園で見かけた捨て子を助ける曲だったことがわかる。イーヨーの優しい感受性に、マーちゃんは感動する。

静かな生活のあらすじ【転】

ある日、イーヨーが満員電車の中で具合が悪くなり、近くにいた中学生くらいの少女に「落ちこぼれ!」と罵られる。その話を聞いた団藤さんの奥さんは、涙を流して悔しがる。団藤さんの奥さんは、マーちゃんはその少女を注意するべきだったと言っていた。

ポーランドの議長が公式に日本を訪問した際、団藤さんの奥さんは、ポーランドの作家や詩人に対する弾圧を止めるよう訴えるビラを議長に渡そうとして、警備の警官に突き飛ばされる。団藤さんの奥さんは、鎖骨を骨折してしまうが、明るく笑っていた。

マーちゃんとオーちゃんとイーヨーは、団藤さんと一緒にポーランドの議長が出席するレセプション会場へ行き、出てきた人々に奥さんが作ったビラを配る。団藤さんの奥さんはとても喜んでくれた。イーヨーは、奥さんの退院祝いに「ろっこつ」というタイトルの曲をプレゼントする。団藤さんは感動し、「もしイーヨーが健常に生まれていたら…」と発言する。マーちゃんは、自分たちはそんな風には考えないのだと穏やかに反論し、自然なようでいて相当な人物だと団藤さんに褒められる。

パパの希望で、イーヨーはプールに通い始める。イーヨーのコーチは、新井君という若者が引き受けてくれることになった。新井君は教えるのがとても上手で、水を怖がっていたイーヨーを優しく導いてくれる。マーちゃんは、そんな新井君に好感を持つ。

イーヨーが水に慣れてきた頃、プールサイドにイーヨーの好きな天気予報のお姉さんが現れる。イーヨーがいつも天気予報の話をするので、お姉さんと知り合いだった新井君が、彼女を呼んでくれたらしい。イーヨーはお姉さんに優しくしてもらい、すっかり舞い上がっていた。

水泳の後、4人は食事に出かけ、イーヨーと酔っ払ったお姉さんはダンスを踊る。しかし、そこへお姉さんの恋人らしき男が現れ、お姉さんは帰ってしまう。帰る前、お姉さんはイーヨーのことを世界で1番魂の綺麗な人だと褒めつつも、どうしてもボランティアになってしまうのだとひどいことを言っていた。マーちゃんは、とても不愉快な気持ちになる。

オーストラリアのパパに電話をして、新井君がコーチをしてくれていることを報告すると、パパは心配そうな口ぶりで、「プールにはなるべく団藤さんと行くこと、みんながいる所以外では新井君と会わないこと」をマーちゃんに約束させる。パパと新井君の間には、昔、深刻なトラブルがあったらしい。

静かな生活のあらすじ【結】

新井君のコーチのおかげで、イーヨーは20メートルも泳げるようになる。マーちゃんは感動し、プールサイドで泣いてしまう。プールからの帰り道、新井君が2人を追ってきて、車で送ると言ってくれる。新井君が用意したスポーツカーの運転席には、不機嫌そうな女性が乗っていた。マーちゃんは素直に送ってもらうが、新井君が家に入ることは拒む。新井君は、明らかに腹を立てたようだった。

新井君を怒らせてしまったのではないかと不安になったマーちゃんは、団藤さんに相談する。団藤さんは新井君を呼び出し、酒でも飲みながら話をしようとするが、新井君は外へ出たがる。人気のない場所へ来た途端、新井君は「あの小説のせいで性犯罪者扱いされた!」と怒り出し、それに反論した団藤さんにひどい暴力を振るう。

マーちゃんは団藤さんの奥さんに、新井君とパパの間に何があったのかを教えてもらう。数年前、まだ大学生だった新井君は、婚約者の女性と知人の会社員と3人で1泊2日のクルージングに出た。夜、新井君が下の船室で寝ている間に、女性と会社員が行方不明になっており、翌日、遺体で発見される。会社員の死因は水死だったが、女性は絞殺後に海に捨てられていた。新井君は、自分は眠っていただけで事件とは無関係だと訴えるが、会社員の妻は、新井君が殺された女性に多額の保険金をかけていたことを暴露する。結局、警察は不倫関係にあった女性と会社員が無理心中をしたと判断する。それでも、世間は新井君のことを疑っていたため、新井君は事件の詳細を記したノートをパパに渡し、自分の無実を訴える。パパは新井君のノートを参考にして小説を書くが、その内容が新井君には気に入らず、パパのことを恨んでいた。

パパの小説の主人公は孤独な高校生で、彼は好きな女性に告白しようとして逃げられたため、激昂して女性を追いかける。高校生は興奮状態になり、怯える女性を茂みに連れ込み、強姦しようとする。しかし、抵抗されたため、女性の首を絞めて殺してしまう。その現場に遭遇した中年男は、「俺がお前を助けてやる」と言って、高校生を逃がす。中年男は、亡くなった女性を死姦しようとして村人たちに見つかり、追い詰められて自殺を図る。という内容だった。

スポーツクラブで暴力事件を起こし、イーヨーのコーチを続けられなくなった新井君は、水泳のガイドブックを貸してあげるという口実で、マーちゃんとイーヨーを自宅マンションに誘う。新井君はクラッシックのレコードをかけてイーヨーを隣室へ追いやり、マーちゃんを犯そうとする。マーちゃんの悲鳴を聞いたイーヨーは、後ろから新井君を羽交い締めにして、マーちゃんを救う。マンションの外へ逃げたマーちゃんは、ショックで号泣する。イーヨーはマーちゃんを抱きしめ、優しく慰めてくれる。

パパがピンチを脱したらしく、来週にはママが帰ってくることになる。両親の留守中に描いてきた絵日記もおしまいになるので、マーちゃんはイーヨーにタイトルを考えてもらう。イーヨーは「静かな生活でどうでしょうか」と言ってくれる。マーちゃんは、そのタイトルをとても気に入る。

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