映画『スライディング・ドア』あらすじネタバレ結末と感想

スライディング・ドアの概要:閉まる電車の扉に間に合ったか間に合わなかったか・・・たったそれだけの違いがその後の人生をどのように導くのか、平行世界を描く異色のヒューマンドラマ。一歩の違いは人生を、自分を、思いもよらない方へ運ぶ。

スライディング・ドア あらすじネタバレ

スライディング・ドア
映画『スライディング・ドア』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

スライディング・ドア あらすじ【起・承】

ヘレンは小説家志望の恋人ジェリーと同棲して三年、PR会社に勤めながら彼を支えていたが、ある日遅刻して出社したヘレンは上司にクビを言い渡される。

失意の中いつもより早い帰路につくヘレンは、地下鉄の列車の到着の気配に焦り走り出した。

急いだものの結局眼前で扉は締まりホームに取り残される。次の列車を待とうとしたが、事故の遅れで別の交通手段を、とアナウンスがかかり、踏んだり蹴ったりだとばかりに仕方なくタクシーを捕まえることにした。(A)

だが、一方で、ヘレンが列車へ向かい走り出した時に別次元が分離して現れていたのだった。別次元のヘレンは、閉まる列車の扉を何とかこじ開け無事地下鉄に滑り込んだのだった・・・。(B)

ここから二つの平行世界が同時に存在することになる。

(A)タクシーを捕まえるヘレンはひったくりに遭った。何とか鞄は死守したものの、木に激突し顔にケガをしてしまう。拾ったタクシーで自宅に戻らずそのまま病院へ向かった。

(B)地下鉄に乗り込んだヘレンは隣の男に親しげに話しかけられる。失業の落ち込みから相手にしなかったヘレンだが、彼が申し訳なさそうに去っていくのを見てそっけない態度を謝り二人は自己紹介した。

スライディング・ドア あらすじ【転・結】

(B)男の名前はジェームスと言った。ヘレンは自分には同棲している恋人がいる、と牽制するが、ジェームスは「分かった」と言って気軽に別れる。

ジェームスと会ってほんの少し軽くなった心だったが、帰宅して最悪の事態を目撃することになる。ジェリーがベッドの上で他の女と情熱的に抱き合っていたのだ。女は「リディア」とだけ名乗り部屋から出ていく。動揺するジェリーを散々攻めたあと、ヘレンは家を飛び出した。

(A)病院へ寄ってから帰宅したヘレンはほんの数分の入れ違いでジェリーの浮気現場を目撃せずに済んだ。ジェリーはシャワーを浴びていて、早い帰宅のヘレンに動揺するものの、彼女の失業と顔に作った傷を見て、誤魔化すように外へ飲みに行こう、と誘う。

同じダイナーで同じ時間、(A)と(B) のヘレンは全く違う時間を過ごす。

(A)のヘレンは恋人と楽しく杯を開け、(B)のヘレンは偶然居合わせたジェームスと会話を交わした後、親友アンナと失恋故の泥酔をする。

その後、ヘレンは希望していたPR業の再就職先が見つからず、不服ながらサンドウィッチ店でアルバイトを始めた。そしてヘレンの知らないところではジェリーとリディアの関係は切れることなく続いていく。(A)

アンナの支えでヘレンは心機一転、髪を短く切る。そしてジェームスのアドバイスでPR業の会社を設立したのだった。仕事はすぐに軌道に乗り、またジェームスとも友人関係を続けながら少しずつ距離を縮めていく。(B)

この辺りからどんどん(A)と(B)のヘレンの人生の隔たりは大きくなっていく。

ジェリーの浮気を勘付きながらも、決定的な証拠もなくアルバイトをしながら生活を支えるヘレン(A)と、前向きに仕事に精を出し、やがてジェームスとも良い関係を築いていくヘレン(B)。

だが、どちらのヘレンもジェリーの子供を妊娠していることが分かり、二人のヘレンはそれぞれの戸惑いと直面する。

そして最終局面、二つの世界のヘレンは同時に事故に遭う。

スライディング・ドア 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★☆☆☆
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1997年
  • 上映時間:100分
  • ジャンル:SF、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:ピーター・ハウイット
  • キャスト:グウィネス・パルトロー、ジョン・ハナー、ジョン・リンチ、ジーン・トリプルホーン etc

スライディング・ドア 批評・レビュー

映画『スライディング・ドア』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

全く先の読めない、異色の映画

全体を通して脚本が素晴らしかった。
その設定の異色さも加え、全く先の読めないストーリー展開がされており、全編通して「次はどうなる?」と観る側をハラハラさせてくれた。

キャラクター設定

それは同じ主人公であるはずなのに、全く別の人生を歩み始めるからである。一歩の違いは人生だけでなく、人のアイデンティティーさえも変えていくのか、と思うほどに別人物であるのだ。
だが、それだけではこの映画は破綻を来す。別人格が生まれてしまっては、『電車のドアに間に合ったら、間に合わなかったら』という元々のテーマから逸脱してしまうからだ。
それをしないために、元は同じ人間であるということを定期的に思い出させてくれるシーンを差し込んでくれる。そのおかげで、観ている側としては常に第三者視点に立って見守ることが出来るのだ。

登場人物の魅力に欠ける

驚くべきことに、この映画の登場人物にはどれもいまいち感情移入するほど愛着を持てない。
主人公のヘレンは、同棲しながらも男の浮気に気付かないどころか、初めの会社をクビになった理由は遅刻したことと、接待の為に用意してあった酒を勝手に拝借したからである。その上、下品な口答えまでして同僚の男性たちの顰蹙を買う。いくら面白くない気分だからといってもあれは頂けない。
彼女の恋人ジェリーは小説家を目指す浮気男、それも浮気相手とは常々別れたいと思っているにも関わらず別れを切り出せない優柔不断なタイプである。加えて浮気相手のリディアはかなり強烈で友達にはしたくないタイプである。
ではジェームスはどうか。彼はこの映画の中では比較的良い男である。誠実で、仕事も出来て、失業と失恋を同時に経験したヘレンを引っ張りあげる、言ってみれば救世主のような男だ。だが、いかんせん口が多い。ヘレンとの初対面から彼はマシンガントークをかます上、重要なことはヘレンからキッカケを与えてもらえないと言い出すことのできないような男なのだ。

結末への重要な要素

このように特別に応援したい、うまくいってほしい、というキャラクターを作らせないことで、観る人は常に第三者目線を保持でき、結果的に最後の結末を実にフラットな気持ちで受け入れることができるの、作り込まれたキャラクター設定と言える。

スライディング・ドア 感想まとめ

どこにでもあるようなラブストーリー仕立ての映画かと思って観始めたが、全く良い方へ期待を裏切られた。

誰しもが一度は思う『もしもあの時・・・』のその先を描いたストーリーは、単純にどっちがより良い人生を送れるか、ということを描いているわけではない。人生とは一筋縄ではいかないもので、ある一点を見たら優っていることもまた別の視点からは劣っている、それを淡々と示し、純粋に興味を引かれた内容だった。

ただ、ラストは少々帳尻合わせが過ぎた。確かにヘレンはジェリーの子供を身ごもっていたし、ヘレンが二人に別れたまま・・・という疑問点は残るかもしれない。しかしそれらの解決法として事故、という便利なアイテムを用いたのは、それまでの巧妙に作り込まれていたストーリーを台無しにしたように思う。

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