映画『その名にちなんで』あらすじ・ネタバレ結末と感想

その名にちなんでの概要:イルファン・カーン主演の米国で暮らすインド人家族が息子の名前をめぐって悩む人間ドラマ。共演はカル・ペン、タブー。原作はジュンパ・ラヒリの同名小説。ミーラ・ナーイル監督の2006年米国・インド映画。

その名にちなんで あらすじ

その名にちなんで
映画『その名にちなんで』のあらすじを紹介します。

974年。インド、コルカタ。大学生のアシュケは、列車に乗り旅行中だった。ロシアの作家、 ニコライ・ゴーゴリの「外套」を持って。
列車で出会ったゴシュという男に「若いのだから、外国に出て見聞を広めなさい」と言われます。
ところが、列車事故が起こり、彼は死にアシュケは持っていた本のおかげで助かります。

それから3年後。アメリカの大学で工学を学んでいたアシュケ(イルファン・カーン)は、故郷コルコタに戻り、アシマ(タブー)と見合いをした。
アシマは料理と英語が得意な美しい女性。アシュケはすぐに彼女を気に入り、アシマと結婚式を挙げると、2人でアメリカへ旅立った。

アメリカ。アシュケとアシマは、インドとは違う環境や文化のなかで苦労を味わいながら、日々を過ごしていた。
やがて、2人の間に待望の息子が誕生。アメリカで生まれた息子に、アシュケはロシア作家、ニコライ・ゴーゴリから名前をとり、「ゴーゴリ」と名付けた。

ゴーゴリは小学校入学を迎えた。これからはゴーゴリではなく、正式名で通うことになるが、本人がゴーゴリがいいというのでその名で通すことになった。

ところが、高校を卒業する頃、彼は「ゴーゴリ」ではなく、「ニキル」の名前に改名したいと言い出す。
英語の授業で、ニコライ・ゴーゴリの小説を読んだ時、気に入らなかったらしい。
高校の卒業祝いに「ニコライ・ゴーゴリの短編集」を父アシュケからもらうが、喜ばなかった。

彼は大学入学と同時に「ニキル」に改名した。

その名にちなんで ネタバレ結末・ラスト

ニキル(カル・ペン)は大学で建築学を専攻した。卒業後は建築家になり、アメリカ人の恋人ルースと付き合っていた。
一度、両親に彼女を紹介したが、両親はあまりよく思わなかったようだ。それから少し経って、父親アシュケが40代の若さで心臓発作のため亡くなった。
ベンガル式の葬儀で父を送り、ニキルが父を悲しむなか、恋人ルースは去っていった。

母アシマはそんな息子を心配し、インドにいた時のベンガル人の女性モウシュミを紹介した。モ ウシュミは、ニキルのゴーゴリ時代を知る数少ない人だった。
奔放で明るい性格のモウシュミに惹かれて、1年も交際しないうちに結婚を決めた。しかし、すぐにモウシュミの不倫を知り、離婚してしまう。

一方、母アシマは、専業主婦の傍ら、図書館で働いていたが、夫の死をきっかけに異国での不安や孤独に悩んでいた。
家を売り、インドに還ることを決めた。ニキルもまた、離婚を機に自分を見つめる旅に出るのだった。

その名にちなんで 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2006年
  • 上映時間:122分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
  • 監督:ミーラー・ナーイル、カル・ペン
  • キャスト:カル・ペン、タブー、イルファン・カーン、ジャシンダ・バレット etc

その名にちなんで 批評・レビュー

映画『その名にちなんで』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

移民映画の傑作!名前がつなぐ家族の歴史と絆

あなたは自分の名前が好きですか?私は好きです。この映画はインドからアメリカに移住したインド系家族の名前をめぐる物語。

名前はその人を表すだけでなく、生まれた土地や文化など個人のアイデンティティーの全てが含まれています。
だからこそ、愛着もあるし時には嫌いにもなるんです!インド系の夫婦は、息子に「ゴーゴリ」という名前をつけました。

成長した彼は、その名を嫌い、「ニキル」と改名します。「ゴーゴリ」という名は、父アシュケが列車事故に遭った時、手元にあった本の作者からとったものでした。

事故の辛い記憶のせいで、なかなか息子に名前の由来を離せない点が歯がゆい。インドとアメリカ、アメリカに移住した親世代と子供の人生が複雑にからみあうのです。

ミーラ・ナーイル監督も自ら渡米した際に体験した事をこの映画に投影させているそうです。見どころは盛大に行われる結婚式とインド式のお葬式。

この2つのシーンだけ観ていると、まるでインドに戻ったかの気持ちになります。

2つの国で生きる素晴らしさを体験して下さい。

「外套」をめぐる冒険

この映画には、2つの国で生きる世代間の葛藤や思いだけでなく、文学性があります。「ゴーゴリ」という名の由来になった本とは何か、見てゆきましょう。

ロシアの作家、ニコライ・ゴーゴリが書いた短編小説「外套」。ドストエフスキーにも影響を与えた作品だと言われています。

物語は、下級役人のアカーキィ・アカーキエゥイッチが、ぼろぼろになった外套を新しく仕立て直すところからはじまります。
新品の外套を着たアカーキィは幸せですが、その外套を追いはぎに奪われてしまいます。取り戻そうとしますが、途中で病に倒れて死ぬという悲しいお 話。

その後、亡霊となって彷徨うのです。ロシア文学らしさと人生の明暗を感じさせる名作。ゴーゴリが陰湿で嫌だと感じるのも無理がありません。

変人作家という雰囲気にも圧倒されます。ロシア人作家、恐るべし!この映画には、本好きにはたまらない、多くの文学作品が彩りを添えています。

文学性高い作風に原作者や異国で生きる人々の誇りが感じられるのではないでしょうか。

その名にちなんで 感想まとめ

2つの国、2世代の想いが詰まった移民映画の傑作です。海外に暮らした経験のある方なら、より親子の物語に共感するのではないでしょうか。

前半から中盤に至る、「ゴーゴリ」と名付けた息子の苦悩と父親の辛 い過去、後半は父親の死と母親の喪失感で胸が痛くなります。
やはり、生まれた土地で生きたい。その気持ちが強く沁みてくるのです!父親役を演じた、イルファン・カーンの演技が味わい深い。

また、母親役のタブーも最後まで美しすぎて驚きます。
自己のアイデンティティーの追求と様々な文化に触れることで起きる摩擦や苦悩は、世代間の差に関わらず、同じです。

映画を観て気に入ったら、ぜひジュンパ・ラヒリの原作も読んで欲しい。より深く、「ゴーゴリ」という名前の由来や家族の物語に惹かれるだろう。

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