映画『ある過去の行方』あらすじネタバレ結末と感想

ある過去の行方の概要:正式に離婚するため4年ぶりに夫が戻ったことで、現在の家族が抱える複雑な事情とそれぞれの隠し事が明らかになっていく。イラン人のアスガー・ファルハディ監督作品であり、多くの賞を受賞した。2013年公開。フランス・イタリア・イランの合作。

ある過去の行方 あらすじネタバレ

ある過去の行方
映画『ある過去の行方』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ある過去の行方 あらすじ【起・承】

パリで薬剤師をしているマリー(ベレニス・ベジョ)には17歳になるリシューと小学生のレアという2人の娘がいる。2人の実の父親とは随分前に離婚し、その後はアーマドというイラン人と結婚していた。しかしアーマドも4年前にイランへ帰国してしまい、現在はクリーニング店を経営する恋人のサミール(タハーム・ラヒム)と5歳になる息子のフアッドが同居していた。

アーマドはマリーと正式に離婚するため4年ぶりにパリを訪れる。アーマドはホテルに宿泊するつもりだったが、マリーは自宅に泊まれという。最近リシューの様子がおかしいので、彼女と話をして欲しいらしい。サミールのことを何も知らされていなかったアーマドはこの状況に戸惑うが、ひとまずマリーの要求を聞き入れ、リシューと話をする。

リシューが家を嫌う理由は母の再婚が気に入らないからだ。まだ正式に離婚をしていないサミールの妻・セリーヌは8か月前から植物状態で、リシューはその事情も知っていた。

裁判所で正式に離婚の手続きをする直前、マリーはサミールの子を妊娠しているとアーマドに打ち明ける。その後、アーマドはリシューと再び2人で話をする。

昔馴染みのシャーリヤルの店で話をしているとアーマドは泣き出してしまう。セリーヌは鬱病を患い洗剤を飲んで自殺を図り、それで植物状態になってしまった。自殺の原因はクリーニング店でのトラブルだとサミールたちは考えていたが、リシューは母のことが原因で自殺したのだと言う。“絶対に結婚して欲しくない”というリシューに、アーマドはマリーが妊娠していることを話す。

その晩、リシューが家出をする。アーマドはマリーにリシューが自殺の原因を2人のせいだと思っていることを話す。しかしマリーはそれを認めようとしない。シャーリヤルの家にいたリシューをアーマドが迎えに行き、サミールはフアッドを連れ、マリーの家を出る。

ある過去の行方 あらすじ【転・結】

アーマドはリシューを納得させるため、サミールの店の従業員・ナイマの話を聞く。自殺未遂の少し前、客とのトラブルでサミールとセリーヌが喧嘩になったことは事実だった。
ところがリシューは自殺未遂の前日、マリーとサミールのメールを自分がセリーヌに転送したのだと告白する。彼女はそのことでずっと苦しんでいたのだった。

アーマドはリシューの了解を得て、その事実をマリーに話す。事実を知って取り乱したマリーは、リシューに“出て行け!”と怒鳴り、アーマドとマリーが喧嘩になる。マリーがわざわざこの時期にアーマドをイランから呼び寄せ離婚しようとしたのは、自分を捨てた彼への復讐と未練からだった。

マリーはサミールにリシューのことを話す。しかしサミールは本気にしない。2人は薄々気づいていた本心をぶつけ合う。サミールは今も妻を愛し、マリーもアーマドを忘れるためにサミールを利用したのだとわかる。

セリーヌのメールアドレスをリシューに教えたのはナイマだとわかり、サミールは彼女をクビにする。ナイマはセリーヌが自分とサミールの仲を疑い、自分に辛く当たっていたと打ち明ける。サミールは彼女の話を信じようとしなかったが、詳しいことを聞くうちにナイマの話が正しいと気づく。

サミールはマリーに“お腹の子はなかったことに”と告げる。マリーはそれに反論しなかった。そしてアーマドもイランへ帰って行く。

セリーヌの病院を訪れたサミールは、彼女が好きだった香水をつけ耳元で“匂いがしたら手を握ってくれ”と話しかける。サミールが近づくと、反応がないはずのセリーヌの目からは涙がこぼれる。

ある過去の行方 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2013年
  • 上映時間:130分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ラブストーリー
  • 監督:アスガー・ファルハディ
  • キャスト:ベレニス・ベジョ、タハール・ラヒム、アリ・モサファ、ポリーヌ・ビュルレ etc

ある過去の行方 批評・レビュー

映画『ある過去の行方』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

気の毒なアーマド

主人公のマリーが一応まだ離婚はしていない夫のアーマドを空港へ迎えに行くところから本作は始まる。アーマドは正式にマリーと離婚するため、わざわざイランからやってきた。それもマリーに呼ばれたためだ。

アーマドが4年ぶりに帰ってみると、パリの元家族は大変な状況になっており、離婚の手続きなんてついでのようなもの。家にはマリーの新しい恋人サミールと5歳の息子が同居中。マリーはサミールの子を妊娠中。マリーの娘で17歳になるリシューはサミールを嫌い母親に反抗中。リシューと次女のレアはアーマドの子ではない(マリーの最初の夫の子)が、アーマドをとても慕っており、リシューは彼にだけ重大な秘密を打ち明ける。またその秘密が大変に複雑な状況を生み、アーマドはあっちにもこっちにも気を使いっ放しだ。

この複雑な状況を作り出した1番の張本人であるマリーは、アーマドの心遣いにお礼を言うどころかヒステリックに彼を責める。大人の事情に翻弄される子供たちもかわいそうだが、アーマドも相当気の毒だった。

アーマドがイランに帰国した理由は最後まではっきり明かされない。要はパリでの生活に疲れてしまい鬱状態になっていたということらしい。アーマドは自分の感情を極力抑えるタイプなので、なんとなく納得。優しいから色々我慢していたのだろう。

というか、マリーとの暮らしはどんな男でも疲れるはず。美人だが彼女はトゲトゲしい。さらに“自分が悪かった”とは決して認めない。見ているだけで疲れる女だ。

後半の謎

サミールの妻が、なぜ自殺を図ったのか?後半部分はその原因を探るミステリーのような展開になる。

マリーは自殺の原因が自分たちの不倫にあるとは絶対に認めたくない。しかしリシューが不倫の証拠となるメールをサミールの妻に転送していたことがわかってしまう。そのことに逆上してマリーは娘に怒り狂うのだが…お前は娘を怒れる立場じゃないだろう…。

でも結局は、奥さんがわざわざクリーニング店で洗剤を飲んで自殺したのは、夫と従業員のナイマとの浮気を疑っていたからだということがわかる。サミールは最初その話を信じず、リシューに妻のメアドを教えたナイマを激しく罵倒し、クビにしてしまうのだが…これまたお前もナイマを怒れる立場じゃないだろう…。

奥さんのセリーヌは鬱病だったということだが、幼い我が子の目の前で洗剤を飲んで自殺を図るなんて…病気のせいだとしても子供にとっては残酷すぎる。

子供たちを散々傷つけ、奥さんは植物状態となり、ナイマは解雇され、それだけの犠牲を払ってマリーとサミールがどうなったかというと、どうやらお互い本気じゃなかったらしく別れたようだ。お腹の子供もなかったことにするらしい。

一番の謎はマリーとサミールが自分たちのしでかしたことの重大さをわかっていないところにある。2人して“もう過去は振り返らない”というようなことを言っていたが、振り返らなくても過去は消えない。なかったことになんてできないのだから。

ある過去の行方 感想まとめ

非常にリアリティーのある演出で、話の展開にも意外性があり最後まで目の離せない作品になっている。子役も含め俳優たちの熱演ぶりも見応えがあった。

しかし主人公のマリーに全く感情移入できないので、心が動かない。マリーの恋人のサミールも同様だ。アーマドは話を展開していくための探偵役なので感情移入をする対象でもないし、子供たちに同情はするが、それはこの話の核心部分ではない。

何より納得できないのがあの終わり方。あのドロドロから突然ロマンティックなシーンを見せられても、そんなに急にこちらのスイッチは切り替わらない。しかもサミールだけに救いがあるような終わり方は如何なものか?サミールもマリーと同罪なのに。

何にしても不倫とは後味の悪いものなので、本気でないならやめておくべき。本気ならすべてを失う覚悟が必要。そういうことだ。そういうことか?

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