『戦場のピアニスト』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

戦場のピアニストの概要:「戦場のピアニスト」(原題:The Pianist)は、2002年のフランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作映画。監督は「ローズマリーの赤ちゃん」、「チャイナタウン」などの作品で有名なロマン・ポランスキー。主演は「シン・レッド・ライン」のエイドリアン・ブロディ。「U-571」のトーマス・クレッチマン。本作は2002年のアカデミー賞で7部門にノミネートされ、監督賞、脚色賞、主演男優賞の3部門を受賞し、主演のエイドリアン・ブロディはこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞した。

戦場のピアニスト

戦場のピアニスト あらすじ

映画『戦場のピアニスト』のあらすじを紹介します。

1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻。その年の9月、ウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)が公開録音をしていたラジオ局はドイツ空爆を受け倒壊した。ウワディスワフとその一家は、ユダヤ人に対するワルシャワのゲットー(ユダヤ人隔離地域)への移住命令により、40年住み慣れた我が家を後にする。1942年にシュピルマン一家は大勢のユダヤ人と共に収容所へ送られるが、ウワディスワフは知り合いである警察の友人により、一人だけ収容所行きを免れた。1943年、ウワディスワフはゲットー脱出を決行。古くからの知り合いであるポーランド歌手ヤニナ(ルース・プラット)の手引きで隠れ家に移った彼は、僅かな食料で食いつなぎ秘かに暮らし続ける。しかし隣人に存在が発覚して脱出し、親友の妹ドロータ(エミリア・フォックス)と彼女の夫を訪ね、新しい隠れ家に住む。1944年の8月、ポーランド人の抵抗勢力によるワルシャワ蜂起が始まり街は戦場となった。ある晩、ドイツ軍将校(トーマス・クレッチマン)に発見されてしまったウワディスワフは、自分がピアニストてあることを告げると、将校は彼にピアノの演奏を命じた。演奏に感動した将校は、すでに劣勢だったドイツの敗戦を予測しており、秘密にウワディスワフをかくまい食料を差し入れる。やがてその数週間後に終戦が訪れヨーロッパは解放され、ウワディスワフは放送局でのピアノ演奏を再開する。

戦場のピアニスト 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2002年
  • 上映時間:148分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • キャスト:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス、ミハウ・ジェブロフスキー etc

戦場のピアニスト 批評 ※ネタバレ

映画『戦場のピアニスト』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

複雑な心境に陥る映画

ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記は、ポランスキー監督の人生とも重なるかも知れない。本作は彼にとって使命とも言える映画化だったのだろう。同じような内容のスピルバーグ監督映画「シンドラーのリスト」でも、ポランスキーは監督候補に挙がっていたという。スピルバーグ監督自身もユダヤ系アメリカ人であり、彼は血に染まった金は貰えないとして、監督料の受け取りを拒否しているという話がある。思えば自らがメガホンを取ることになったかも知れない、「シンドラーのリスト」で描きたかったものを、ポランスキー監督は本作にぶつけたのではないだろうか。奇しくも同じポーランドのゲットーが舞台という設定にもその背景が見えてくるが、本作はユダヤ人視点で描かれ、シンドラーの方はドイツ人視点での映画である。音楽家を主人公に捉えた本作の方が物語としては描きやすかったというところはあったのかも知れないが、収容所での描写などは避けて通れない部分なのだろう。それゆえにテーマに直結するピアノ曲が染み渡るように響き、音楽という国境のない人間の創作物が、敵味方という垣根を越えて心に響くという場面は、多くの映画でも採り上げられている。古い映画ではあるが、ナチス政権下の音楽家を描いた作品として、チャールトン・ヘストン主演の「誇り高き戦場」を思い出してしまった。ベートーヴェンやシューベルトなどドイツは多くの有名な作曲家を輩出しながら、ヒトラーという怪物も生み出してしまったのも皮肉な話である。

ロマン・ポランスキー監督に描かれるべき物語

セリフや映像の端々に重厚さが漂い、ナチスの虐殺行為に目を覆いたくなるが、人が作り上げた文化までを含め、戦争が壊してしまうものは計り知れないほど大きい。本作ではドイツ人とユダヤ人の間に発生する善悪という固定概念は押さえられており、ポランスキー監督の人間描写の深さを描いた部分が秀逸である。ナチス将校が弾く「月光」に導かれ、シュピルマンが弾いたショパンの旋律。一人の音楽家が戦禍に巻き込まれながらも表現する事を忘れずにいる、”尊厳”というものを見事に描いた作品である。実話に基づいた作品であるという背景があるからこそ、同じ体験をしたポランスキー監督に描かれるべき作品ではなかったかと感じる。

戦場のピアニスト 感想まとめ

ホロコーストを題材にした映画は確かに重いが、そこから目を背けるというのではなく、その事実の背景にこのような人間ドラマが介在していたという事を忘れてはならない。ナチスが起こしたこのような集団殺戮は確かに人としてあるまじき行為であるが、どこの戦争でもそういった事実は存在しているのである。情報というものが過剰に溢れた現代では、そういった資料も簡単に閲覧することはできるが、それを鵜呑みにするばかりでなく、映画を通してそこに置かれてしまった人の苦悩を共有するということも、人の思考を知るという点では重要なのである。エンターテインメントとして娯楽の役割も果たす反面、本作のような危機的状況でのドラマが繰り返されないように考えるのが、ホロコーストの映画に接する姿勢ではないだろうか。音楽に感動するという体験は、本来このような戦火の中で経験するに値するものではない筈だ。
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