映画『戦場のピアニスト』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「戦場のピアニスト」のネタバレあらすじ結末

戦場のピアニストの概要:第二次世界大戦時、ユダヤ人への強制収容が実施されるポーランドを舞台とした戦争ドラマ。実在のユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの壮絶な体験をつづり、アカデミー監督賞など3部門を受賞した。

戦場のピアニストの作品概要

戦場のピアニスト

公開日:2002年
上映時間:148分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:ロマン・ポランスキー
キャスト:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス、ミハウ・ジェブロフスキー etc

戦場のピアニストの登場人物(キャスト)

ウワディスワフ・シュピルマン (エイドリアン・ブロディ)
ユダヤ系ポーランド人のピアニスト。ポーランドでは名の通ったピアニストだったが、ユダヤ系であるがゆえに、一家共々強制収容の危機にさらされる。穏やかで繊細。
ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉(トーマス・クレッチマン)
ドイツ陸軍の大尉。拠点にした家で、シュピルマンが隠れているのを発見するが、そのたぐいまれなピアノの才能に心を動かされ、彼をかくまう。
ドロタ(エミリア・フォックス)
シュピルマンの友人ユーレクの妹。ユダヤ系ではない。シュピルマンとはつかず離れずの関係だったが、戦争によりその人生は大きく分かれることとなる。のちにシュピルマンに隠れ家をあっせんすることとなる。
ユーレク(ミハウ・ジェブロフスキー)
シュピルマンの友人。ドロタの兄。
ヘンリク(エド・ストッパード)
シュピルマンの弟。気の短い方で、ドイツ軍のユダヤ人差別に人一倍怒りを募らせている。他の家族と共に、強制収容所に送られる。
ヤニナ(ルース・プラット)
シュピルマンの知り合いのポーランド人歌手。シュピルマンに最初の隠れ家を提供する。

戦場のピアニストのネタバレあらすじ

映画『戦場のピアニスト』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

戦場のピアニストのあらすじ【起】

第二次世界大戦中のポーランド。ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンは、ラジオ局で演奏を録音していた。しかしその途中で爆撃が建物を襲う。シュピルマンは逃げる途中で、友人ユーレクの妹ドロタと知りあう。

イギリスとフランスがドイツに宣戦布告し、シュピルマンと家族は、もうポーランドは安泰だと喜ぶ。しかしその希望も空しく、ポーランドはドイツ軍に占領されてしまう。

シュピルマンの家には金がなくなってきており、シュピルマンはピアノを売らざるを得なくなる。また、ドイツ軍の勅令により、ポーランドでユダヤ人に対する差別が広がってきていた。ユダヤ人にダビデの星の腕章をつけることなどが義務化され、ユダヤ人への圧政はどんどんひどくなっていく。ついにワルシャワ市内のすべてのユダヤ人が、狭いユダヤ人居住区(ゲットー)に移住しなければならなくなってしまう。

ユダヤ人達がゲットーに移動していく列を、ドロタが眺めていた。シュピルマンに一目逢えればと思ったのだ。2人は別れを告げ、ユダヤ人居住区には壁が築かれた。

戦場のピアニストのあらすじ【承】

シュピルマンは非ユダヤ人向けのレストランでピアノを弾く仕事を得る。一方シュピルマンの弟ヘンリクは、今の状態に怒りを募らせていた。毎日大した理由もなくユダヤ人が殺されていく。ついにヘンリクは、反政府活動で逮捕されてしまった。シュピルマンはユダヤ人警察のへラーに頼み込んで、弟を解放してもらった。ヘンリクは情報を得てきていた。ドイツ人のために働いているという証明書がなければ即強制収容所送りだと言うのだ。シュピルマンは父の雇用証明書を得るために奔走する。

家族全員の証明書が取れ、ほっとしたのも束の間、またしても移動の命令が出された。皆強制収容所送りになるのだ。ユダヤ人達が強制収容所行きの列車へ乗せられる中、ユダヤ人警察のヘラーがシュピルマンを助け出す。家族はみな列車に乗せられ、シュピルマンだけが取り残されてしまった。

シュピルマンはゲットー内で、力のいらない仕事を回してもらいながら生き延びていた。やがてゲットー内で武装蜂起のムードが漂い始め、シュピルマンはゲットーを脱出する。

戦場のピアニストのあらすじ【転】

シュピルマンは知り合いのポーランド人歌手のヤニナに手引きしてもらい、ゲットーのそばにあるアパートの1室に隠れ住む。しかし隣人にばれてしまい、逃げざるを得なくなる。緊急時用にと渡されていた連絡先を訪ねると、なんとその相手はドロタだった。ドロタは別の男性と結婚し、夫と共に反政府活動を行っていた。ドロタと夫はシュピルマンに隠れ家を用意する。

ゲットーで武装蜂起がおこった。しかしドイツ軍に制圧され、多くのユダヤ人が殺される。

シュピルマンは隠れ家で生き延びていたが、だんだん食料の供給が滞ってくる。食料を届けてくれるはずだった人物が、ドロタ達から受け取った金を着服していたのだ。栄養失調で黄疸になったシュピルマンだったが、ドロタ達のおかげで一命をとりとめる。

ワルシャワ蜂起がおこり、ドイツ軍がワルシャワを攻撃。シュピルマンの隠れ家もドイツ軍に爆破されてしまう。廃墟となった街で、シュピルマンは無人となったある家に忍び込む。空腹の中缶詰を発見するが、缶切りがなく開けることができない。その音に気づき、ドイツ軍の将校・ホーゼンフェルト大尉に見つかってしまう。この家は、ドイツ軍が拠点として使うことになったのだ。

シュピルマンがピアニストだと知ったホーゼンフェルト大尉は、近くにあったピアノで彼に1曲弾かせてみる。シュピルマンの演奏に心を動かされたホーゼンフェルト大尉は、シュピルマンを屋根裏にかくまい、食料を差し入れるようになる。

戦場のピアニストのあらすじ【結】

ホーゼンフェルト大尉とドイツ軍は、街から撤退することになった。ホーゼンフェルト大尉はシュピルマンに最後の食料と自分のコートを渡し、去って行った。

街にソ連軍がやってきた。シュピルマンはドイツ軍のコートを着ていたため銃を向けられる。しかしポーランド人であることがわかり事なきを得る。ドイツが敗れ、戦争は終わったのだ。

ユダヤ人達は強制収容所から解放された。シュピルマンの友人のユダヤ人バイオリニストが、捕えられたドイツ軍の集団を見かけ、罵声を浴びせる。すると彼が音楽家だと知ったホーゼンフェルト大尉が声をかけてきた。「自分はシュピルマンというピアニストの命を救った。彼に自分を助けてほしいと伝言してくれ」と。しかし立ち話をしているのが見つかってしまい、友人は彼の名までは聞くことができなかった。

シュピルマンはその話を聞く。しかしシュピルマンにも彼の名はわからず、ホーゼンフェルト大尉はそのまま戦犯捕虜収容所で亡くなった。戦後、シュピルマンは再びピアニストとして活動を再開する。

戦場のピアニストの解説・レビュー

複雑な心境に陥る映画

ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記は、ポランスキー監督の人生とも重なるかも知れない。本作は彼にとって使命とも言える映画化だったのだろう。同じような内容のスピルバーグ監督映画「シンドラーのリスト」でも、ポランスキーは監督候補に挙がっていたという。スピルバーグ監督自身もユダヤ系アメリカ人であり、彼は血に染まった金は貰えないとして、監督料の受け取りを拒否しているという話がある。思えば自らがメガホンを取ることになったかも知れない、「シンドラーのリスト」で描きたかったものを、ポランスキー監督は本作にぶつけたのではないだろうか。奇しくも同じポーランドのゲットーが舞台という設定にもその背景が見えてくるが、本作はユダヤ人視点で描かれ、シンドラーの方はドイツ人視点での映画である。音楽家を主人公に捉えた本作の方が物語としては描きやすかったというところはあったのかも知れないが、収容所での描写などは避けて通れない部分なのだろう。それゆえにテーマに直結するピアノ曲が染み渡るように響き、音楽という国境のない人間の創作物が、敵味方という垣根を越えて心に響くという場面は、多くの映画でも採り上げられている。古い映画ではあるが、ナチス政権下の音楽家を描いた作品として、チャールトン・ヘストン主演の「誇り高き戦場」を思い出してしまった。ベートーヴェンやシューベルトなどドイツは多くの有名な作曲家を輩出しながら、ヒトラーという怪物も生み出してしまったのも皮肉な話である。

ロマン・ポランスキー監督に描かれるべき物語

セリフや映像の端々に重厚さが漂い、ナチスの虐殺行為に目を覆いたくなるが、人が作り上げた文化までを含め、戦争が壊してしまうものは計り知れないほど大きい。本作ではドイツ人とユダヤ人の間に発生する善悪という固定概念は押さえられており、ポランスキー監督の人間描写の深さを描いた部分が秀逸である。ナチス将校が弾く「月光」に導かれ、シュピルマンが弾いたショパンの旋律。一人の音楽家が戦禍に巻き込まれながらも表現する事を忘れずにいる、”尊厳”というものを見事に描いた作品である。実話に基づいた作品であるという背景があるからこそ、同じ体験をしたポランスキー監督に描かれるべき作品ではなかったかと感じる。

戦場のピアニストの感想まとめ

ホロコーストを題材にした映画は確かに重いが、そこから目を背けるというのではなく、その事実の背景にこのような人間ドラマが介在していたという事を忘れてはならない。ナチスが起こしたこのような集団殺戮は確かに人としてあるまじき行為であるが、どこの戦争でもそういった事実は存在しているのである。情報というものが過剰に溢れた現代では、そういった資料も簡単に閲覧することはできるが、それを鵜呑みにするばかりでなく、映画を通してそこに置かれてしまった人の苦悩を共有するということも、人の思考を知るという点では重要なのである。エンターテインメントとして娯楽の役割も果たす反面、本作のような危機的状況でのドラマが繰り返されないように考えるのが、ホロコーストの映画に接する姿勢ではないだろうか。音楽に感動するという体験は、本来このような戦火の中で経験するに値するものではない筈だ。

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