映画『第三の男』あらすじとネタバレ感想

第三の男の概要:「第三の男」(原題:The Third Man)は、1949年のイギリス映画。監督は「邪魔者は殺せ」、「落ちた偶像」のキャロル・リード。脚本はイギリスの小説家であるグレアム・グリーン。音楽はアントーン・カラス。主演は「市民ケーン」、「ガス燈」などのジョゼフ・コットン。共演に「市民ケーン」でのアカデミー賞脚本賞受賞、「上海から来た女」などの映画監督・脚本家としても有名なオーソン・ウェルズ。「パラダイン夫人の恋」のアリダ・ヴァリなど。1949年アカデミー賞で撮影賞を受賞。

第三の男 あらすじ

第三の男
映画『第三の男』のあらすじを紹介します。

アメリカの作家であるホリー・マーチン(ジョゼフ・コットン)は、旧友ハリー・ライムの依頼でウィーンにやって来たが、そこでは前日に自動車事故で死亡したハリーの葬儀が行われていた。マーチンは墓場で英国のキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)と知り合い、ハリーが闇取引の悪人だったと聞かされたが、信じる気になれず真相の究明を決意する。ハリーは女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)と恋仲だったが、彼女と知り合ったマーチンは、ハリーの宿の門衛(パウル・ヘルビガー)などに訊ねた結果、彼の死を目撃した男が三人いることを突き止めた。そのうち二人はようやく判ったが、“第三の男”だけはどうしても判明しないまま、マーチンは何者かに脅かされはじめ、門衛も殺されてしまう。一方アンナは偽の旅券を所持する罪でソ連にMPに連行されてしまう。それとも知らずに彼女の家から出て来たマーチンは、街角に死んだ筈のハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)を見つける。ハリーが粗悪な水増しのペニシリンを扱っていた闇商人であることを聞かされていたマーチンはMPに通報し、アンナの釈放と引き替えに彼の逮捕に協力するようキャロウェイから要請された。マーチンはハリーと観覧車の中で逢い、改めて彼の兇悪振りからやむなく親友を売る決意をしたが、釈放されたアンナはマーチンを激しく罵った。しかし病院を視察してハリーの罪を目のあたりにしたマーチンは、囮となって彼をカフェで待った。現れたハリーは警戒を知り下水道に飛び込み、地下での拳銃戦が開始され、追いつめられた彼はついにマーチンの銃弾に倒れた。そして“第三の男”の埋葬が行われた日、マーチンはアンナを墓地で待ったが、彼女は冷徹な表情で彼の前を通り過ぎていった。

第三の男 評価

  • 点数:点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1949年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
  • 監督:キャロル・リード
  • キャスト:ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トレヴァー・ハワード etc

第三の男 ネタバレ批評

映画『第三の男』について、感想批評です。※ネタバレあり

サスペンス映画史上不朽の名作

冒頭からアントン・カラスのチター演奏をクローズアップし、弦の振動だけを印象的に捉えたオープニング映像が印象的である。ストーリーには無縁なカットと音楽が期待感を煽る憎い演出であり、一本の弦楽器だけで本編中もその独特な音色で映像に見事なスパイスを利かせている。観覧車のシーンではハリーの悪党ぶりがさらけ出され、スリリングな葛藤が狭い空間に充満した巧みな演出である。そして巨大迷路のような地下水道での追跡劇。石造りの中で反響する音に。水の流れと動く人影。そして銃声の後、暗い地下水道の真っ白な出口の光に浮かび上がるシルエット。エンディングでの遙か彼方へと続くような並木道を歩いてくるアンナと、声も掛けずに煙草に火を点けるマーチンの対比的な構図など、現在の映画にも共通する一つの描写スタイルの礎となった。

原作を読んでいるかのような刺激

暗闇に浮かびあがるオーソン・ウエルズのシニカルな表情は何度見ても印象的である。観覧車での有名な台詞「ボルジア家の30年の圧政はルネサンスを生んだ、スイスの500年の平和は鳩時計を生んだだけだ」など、シニカルなセリフで各々の人間像が、まるで小説に添えられた挿絵のような感覚で目の奥に焼きついてゆく。映画という表現の枠を超えて、原作を読んでいるかのような脳への刺激が味わえる作品である。

第三の男 感想まとめ

モノトーンのコントラストを見事に活かしたシャープな陰影表現。数々の深いセリフで紡がれて行く人間描写の妙。オーソン・ウェルズをはじめ、ジョセフ・コットンやアリダ・ヴァリなど名優たちを捉える絶妙のカメラワークを、心象的に彩るオーストリアの民族楽器チターの調べがシンプルながら印象深い。画面の随所に言い知れぬ緊迫感を醸し出すキャロル・リードのフレーミング。そしてエンディングの絵画的とも言える表現は、映画館で観たならば席を立つことを忘れてしまうような深い余韻に包まれる、フィルム・ノワールの金字塔である。

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