映画『地下室のメロディー』あらすじとネタバレ感想

地下室のメロディーの概要:「地下室のメロディー」(原題:Mélodie en sous-sol)は、1963年のフランス映画。監督は「ヘッドライト」、「牝牛と兵隊」のアンリ・ヴェルヌイユ。主演は「現金に手を出すな」、「レ・ミゼラブル(1958年)」などのフランス映画の名優ジャン・ギャバン。共演には「太陽がいっぱい」、「太陽はひとりぼっち」のアラン・ドロン。本作の代名詞とも言える、誰もが必ず聴いた事があろう超有名なテーマソングと、劇中の音楽を担当したのはミシェル・マーニュ。

地下室のメロディー あらすじ

地下室のメロディー
映画『地下室のメロディー』のあらすじを紹介します。

五年の刑を終って娑婆に出た老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)は、再び大きな企みを考えていたが、犯罪はもう止めてと頼む妻のジャネット(ヴィヴィアーヌ・ロマンス)を無視して昔の仲間マリオを訪ねた。マリオは南仏のコート・ダジュールにあるカジノの賭金を強奪する大仕事を目論んでいたが、病弱の身に陥り、次に捕まると死刑は免れないという弱腰から実行をためらっていた。乗り気のシャルルは新しい相棒が必要になり、刑務所で目をつけていたフランシス(アラン・ドロン)と彼の義兄ルイを仲間に入れた。賭金がどのように金庫に運ばれるのかを確認し、シャルルは現場での仕事の段取りと各自の役割を分担した。そして決行の夜、フランシスはマシンガンを手にし空気穴を通ってエレベーターの屋根に身を潜めていた。金の勘定に気を取られている会計係と、カジノの支配人の前に飛び降り、会計係から鍵を奪いシャルルを表から入れた。シャルルとフランシスは10億フランの札束を鞄に詰めると、待機していたルイの運転するロールスロイスを飛ばし、奪った金現を予め借りていた脱衣所に隠した。警察が動き始めた頃、シャルルとフランシスは別のホテルに宿泊しており、計画は成功したかのように思えたが、翌日の新聞記事にカジノにいたフランシスの姿が大写しされていた。シャルルはどうにか警察の手を逃れようと画策し、フランシスとホテルのプールサイドで観光客を装い逃げる隙を窺っていた中、警察の捜査を誤魔化すためフランシスは現金の入ったバッグをプールに沈めた。しかしバッグの蓋は無情にも水中で開いてしまい、盗んだ現金がプールの水面に次々と浮かび上がってくる。騒ぎだす人々の中で為す術もなく二人は水面の現金を見つめていた。

地下室のメロディー 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1963年
  • 上映時間:121分
  • ジャンル:サスペンス、アクション
  • 監督:アンリ・ヴェルヌイユ
  • キャスト:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー etc

地下室のメロディー ネタバレ批評

映画『地下室のメロディー』について、感想批評です。※ネタバレあり

フレンチ・フィルム・ノワールの5指に入る傑作

ジャン・ギャバンという役者は、どんな役についてもその圧倒的な存在感に感服させられる。本作ではシャルルという老人の強盗役なのだが、刑務所から出所してきたところに、残した財産を利用して南仏でホテルを経営したいという妻のまっとうな意見をあっさりと跳ね付け、反省の色ひとつ見せずに再び強盗を働き大金を手に入れて、余生をオーストラリアでゴージャスに過ごすという剛胆な夢を描いている。普通ならちょっと頭のおかしい老人の戯言のように聞こえる話も、ギャバンが語ると「そうなんですか」といって笑うしかないような説得力であり、まず誘われたら断れない空気がヒシヒシと伝わってくる。後で登場するアラン・ドロンだが、ギャバンに比べると圧倒的に貫禄負けなのだが、チンピラ役ながらもクールな表情にはいちいち華があり、役柄ではギャバンと互角の存在感を見せつけている。ストーリーは1956年に公開されたスタンリー・キューブリック監督のアメリカ映画、「現金に体を張れ」を思わせる内容なのだが、役者の圧倒的な存在感としては本作の印象深さの比にならない。そして本作の映画的な価値を更に高めているのはミシェル・マーニュの音楽である。本作を鑑賞していない人でもそのテーマ曲を聴けば「あっ!」と思うだろう。

圧倒される主役の存在感

フィルム・ノワールにお約束の犯罪者と被害者、警察の捜査陣との攻防も殆ど描かれない異例のシナリオである。この映画の成功の要因は、何よりもジャン・ギャバンとアラン・ドロンという二大スターの魅力を徹底的に描いた部分に他ならない。金庫を破られるカジノの経営者も全く無策で頼りなく、驚くようなギミックや脇役のフューチャーもなく、主役の二人が徹底して金庫を攻めることのみを描いた表現は、他の映画にはなかったサスペンスとしての緊迫感を高めた要因ではないだろうか。役者の演技力と表情だけでこれだけの作品が成立してしまうというのも大したものであるが、フランス映画というのは強烈な個性の持ち主である役者を前面に立て、名作となり得た作品が多いのも頷けるところである。

地下室のメロディー 感想まとめ

アンリ・ヴェルヌイユ監督のフィルム・ノアール作品の中から「シシリアン」か本作かどちらを推すか迷ったのだが、とりあえずという感じで選んだ。本来ならば半分以上はジャン・ギャバンとアラン・ドロンの作品を推したかったところなのだが、犯罪映画特集みたいになってしまうのでかろうじてギャバン作品は本作のみだが、アランドロン作品はやむなく3本。ジャン・ギャバンにしても「望郷」や「現金に手を出すな」、「ヘッドライト」など外したくなかった作品があるのだが、機会があれば是非観ていただきたいものである。フランス映画といえば一般的には近年のお洒落なラブ・ストーリーと思われているようなフシもあるが、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンという硬派の二大スターを忘れてはならない。台詞回しのカッコ良さと言い、アンリ・ヴェルヌイユのカメラワークと言い、ミシェル・マーニュの音楽と言い文句の付け所がない。アメリカ公開版はカラー作品だったらしいが、できればオリジナルのモノクロバージョンで楽しんでいただきたい。

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