映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』あらすじネタバレ結末と感想

男はつらいよ 寅次郎忘れな草の概要:「男はつらいよ」シリーズの第11作目。このシリーズに計4回も登場することになる浅丘ルリ子の演じるマドンナのリリーと寅さんが網走で初めて出会う。1973年公開の日本映画。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 あらすじネタバレ

男はつらいよ 寅次郎忘れな草
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 あらすじ【起・承】

ツバメの帰ってくる季節。葛飾柴又の帝釈天参道にある「とらや」では、寅さん(渥美清)の父の27回忌の法要が営まれていた。そこへひょっこり寅さんが帰ってくる。法要に参加した寅さんはすぐに退屈していたずらを始め、思わず笑ってしまった一同は御前様(笠智衆)にこっぴどく叱られる。

翌日、寅さんは“ピアノが欲しい”と言って落ち込む妹のさくら(倍賞千恵子)のために、おもちゃのピアノを買ってくる。おいちゃん(松村達雄)やおばちゃん(三崎千恵子)や博(前田吟)は寅さんに気を使って黙っていたが、裏のたこ社長(太宰久雄)が本物のピアノの話をしてしまい、気分を害した寅さんは旅に出る。

北海道の網走に来た寅さんは、そこで売れないレコード歌手のリリー(浅丘ルリ子)と出会う。“私たちみたいな存在はあってもなくてもいいあぶくみたいなもの”というリリーの言葉に寅さんは衝撃を受ける。

梅雨の頃。とらやに網走で酪農をしている栗原という男から速達が届く。あの後寅さんはヤクザな生活を改めようと栗原の牧場を訪れ、住み込みで働かせて欲しいと申し出ていた。しかし3日で根をあげ寝込んでいたのだ。さくらは仕方なく、寅さんを迎えに行く。

柴又へ帰った寅さんは反省の日々を送っていた。とらやの一同に“もう一度北海道へ行く”と啖呵を切って出て行ったところで、自分を訪ねてきたリリーと再会する。店前で寅さんに抱きつくリリーにとらやの一同は面喰らうが、温かく彼女をもてなす。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 あらすじ【転・結】

リリーが現れてから、寅さんは何となくとらやにいた。そこへふらりとリリーがやってくる。浮かれていた寅さんは工場の水原君とめぐみちゃんに無神経な発言をしてしまい、若い2人を傷つけてしまう。水原君は博に説得されてめぐみちゃんに告白し、若いカップルが誕生する。その晩はリリーを迎えたとらやも工場の職人たちも大盛り上がりだった。

リリーは若い2人の恋愛話に感激し“1人の男に惚れ抜いてみたい”と熱っぽく語る。おいちゃんに初恋の人は誰かと聞かれ、リリーは“寅さんじゃないかしらね”と答えて寅さんを有頂天にさせる。リリーはその晩、とらやの2階に泊めてもらう。

寅さんはリリーをかわいそうだと感じていた。ある晩、母親と喧嘩をし、仕事でも嫌な思いをしたリリーが酔いつぶれてとらやにやってくる。“今すぐ旅に出よう”と深夜に騒ぐリリーを寅さんはなだめるが、リリーはそんな寅さんに反発して、泣きながら出て行ってしまう。

翌日、寅さんはリリーのアパートを訪ねるが彼女はすでに引っ越していた。リリーの寂しい暮らしぶりを見て寅さんは胸を痛める。傷心の寅さんは駅まで来てくれたさくらに“リリーをとらやに下宿させてやってくれ”と言い残し、そのまま旅に出る。

夏。さくらは寿司屋の女将さんになったリリーを訪ね、元気そうなリリーと再会する。何も知らない寅さんは栗原の牧場を訪ね、栗原一家に歓待される。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1973年
  • 上映時間:99分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
  • 監督:山田洋次
  • キャスト:渥美清、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子 etc

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 批評・レビュー

映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

あぶくみたいな2人

売れない歌手としてドサ廻りをしているリリーは、女だてらに寅さんと似たようなヤクザな生活をしている。旅暮らしを続ける2人が初めて会話をするシーンで、リリーは寅さんに“自分たちのような存在は、あってもなくてもいいあぶくみたいなものね”といきなり核心をついたことを言う。これが寅さんにはガツンと効く。

地道に堅気の暮らしを守る心優しいとらやの家族は寅さんにとても甘い。そして寅さんも彼らの優しさに甘えきっている。しかしリリーは常に自分にも寅さんにも厳しい。リリーは次の「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」でも寅さんにビシッと説教をするのだが、これが実に的確だ。それはリリーが誰よりも寅さんの性分を深く理解しているからこそできることであり、だから寅さんにとってもリリーは特別な女なのだ。2人は互いの寂しさも感覚で分かり合える。そんな2人が港で父を見送る家族を黙って見つめるシーンは、なんとも言えないペーソスに溢れており、このシリーズでも珠玉の名シーンとなっている。

寅さんは何階級か

いつもは静かなとらやの茶の間は、寅さんが帰るといっぺんに賑やかになる。そこで交わされる会話の数々や寅さんの薀蓄を聞くのがファンの楽しみでもある。

今回は寅さんが夜汽車で涙を流していたリリーの話をするのだが、おいちゃんやおばちゃんにはそのセンチメンタルが伝わらない。“ススが目に入るから”とか“女の旅は便所に困る”なんて言い出す2人に、寅さんは“苦労知らずの中流階級の人間にこの気持ちはわからない”とイライラし始める。そこから話は“寅さんは何階級なのか?”ということに発展する。そのやりとりがたまらない。

結論は“テレビも車も持っていないけれど、人を愛する気持ちをいっぱい持っている寅さんは上流階級だ”ということになる。なんて優しい見解だろう。それを聞いてすっかりその気になり、シューベルトの「野ばら」をハイトーンで歌いながら去っていく寅さん。おいちゃんの“バカだねえ…”という決めゼリフ。最高だ。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 感想まとめ

冒頭の法要シーンから全開で笑える本作は、リリーという類まれなるマドンナの存在もあって、まさに“笑いあり、涙あり”の素晴らしい人情喜劇に仕上がっている。自分の生き方を改めようと奮闘する寅さんは、おかしくもあり、切なくもある。上野駅で旅立つ兄の財布に黙ってお札をつめるさくらの健気さと控えめな優しさはどうだろう。気まずそうな寅さんの表情も含めて、このシーンは何回見ても泣ける。

男はつらいよ」はおっさんだけがグッとくる映画ではない。それなりに一生懸命生きてきた人間ならば、誰が見ても笑って泣ける人間愛のつまった作品なのだ。

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