映画「追憶と、踊りながら」初老の移民女性とゲイの青年との心の交流を描く

追憶と、踊りながらの概要:ロンドンを舞台に初老の中国人移民女性と美しいゲイの青年との心の交流を描いた感動作。主演のベン・ウイショーの繊細な演技が見所です。文化や言語、世代を超えた繋がりを表現したホン・カウ初長編デビュー作。

追憶と、踊りながら みどころ

追憶と、踊りながら
映画『追憶と、踊りながら』の見どころを紹介します。

移民映画が熱い!

移民は特別な存在ではないけど、逞しさと文化を受け入れる寛容さがあります。そんな移民映画で大注目なのが、「追憶と、踊りながら」です。監督は本作が長編デビューのホン・カウ。ベェトナム育ちでロンドン在住です。母への想いからこの作品が生まれました。

多文化・多言語の世界でもし英語が話せなかったら?コミュニケーションはどうする?そんな切実な現実があるのです。この映画は社会的弱者によりそい、支えあう温かな物語です。柔らかな光と感情のリズムを感じながら観て下さい。

ベン・ウイショーの魅力

イングランド出身で、「パフィーム~ある人殺しの物語」(07)の殺人鬼役、「007 スカイフォール」(12)のQ役で大人気の俳優です。彼には繊細さと役にまるで乗り移ったかのような演技が特徴です。特にQ役で大ブレイクし、メガネをかけた天才ハッカーになりきり、女子の心をわし掴みにしました。優しい声も魅力です。

性格は乙女系でコンピューターやファッションにはあまりこだわらないようです。そんな自然体なところも魅力。ホン・カウ監督が「彼の繊細さとむきだしの強さに役を決めた」というのもうなずけます。

次にベン・ウイショーの重要な作品について2作、詳しく紹介したいと思います。1本目は、「パフューム~ある人殺しの物語」です。同名の小説が原作で、美しい少女の香りに心を奪われ、その香りを得るために殺人を犯していく物語です。彼は嗅覚の優れた殺人鬼をぞくぞくする怖さとエロスで演じています。

2本目は、ウォシャンスキー姉弟とトム・ティクヴァー監督の「クラウドアトラス」(12)です。19世紀から24世紀という6つの時代にまたがって展開する、愛と転生の物語です。彼が演じたのは、交響曲の作曲家で1人5役を演じています。物語は壮大すぎて、誰が何役をしているのか注意してみないと分からないほどです。何度でも見たい!という、ちょっと変わった趣向の映画です。

紹介した2本は、「ラン・ローラ・ラン」(1998)を監督したトム・テイクヴァ作品なのです!なにがすごいかって、トム・テイクヴァ作品は音楽まで凝った作りになっていることと映像あそび(同じ場面を繰り返したりする)が面白いのです。

「追憶と、踊りながら」では、美しいゲイの青年役です。悩み多き、やさしい性格なのが繊細かつ自然な彼の演技から感じられます。殺人鬼を演じていたとは思えないほどです。次回作では、「007」シリーズ第24作で再びQ役を演じることが決まっています。
また「ゼロの世界」(15)と「ロンドンスパイ」(原題)の出演と彼を見る楽しみがいっぱいです。

やはりイギリスの俳優は、シェイクスピアの舞台で鍛えられた確かな演技力があり、柔軟性・容姿共に優れています。これからも見逃せない俳優として応援していきます!

チェン・ベイベイの魅力

本作でカンボジア系中国人の母親役を演じています。「グリーン・ディスティニー」(2000)のジェイド・フォックス役の印象が強く、存在感のある俳優です。チェン・ベイベイとベン・ウイショーの寄り添う姿がこの映画の核であり、何度みても感動します。

コミュニケーションとは、単なる手段ではなく、人と人との繋がり・人生であるように思えてなりません。母親だったらどう行動するか?話せないことは秘密のままでもいいと思います。大事なことは目にみえないのですから。

ホン・カウ監督のこだわり

グローバルな視点で、身近な問題を捉えた映画作りをしています。敬愛する映画監督が多く、ヒッチコックやマイケル・パウエル、ディビッド・リーンなど国家と人種の問題について深く切り込む映画作家に惹かれているようです。

この点からも移民である自分と国を意識した作品を考えていることが分かります。映像面での評価は高く、「音楽の効果ではなく愛しい声の存在で場面を印象付ける」と批評家から絶賛されています。演技を超えた真実とか、人を大切に想う感情があふれる作品を期待しています。

まとめ

ロンドンの老人施設で、カンボジア系の中国人女性ジュンとイギリス人の青年リチャードとの文化や世代を超えた、心の交流を描く感動の物語です。息子カイの死を軸に彼の言えなかった秘密が2人の間で障害となりますが、その秘密をどう越えていくかが見所です。

移民を描いた映画や文学は多いが、これほど丁寧に感情と生活感を表現した映画はないでしょう。ゲイの美しい青年を演じる、ベン・ウイショーの繊細で涙を誘う演技に強く心を揺さぶられます。最愛の人を亡くした悲しみ。しかしその悲しみを癒すのもまた人であるというシンプルな答えがこの映画にはあります。

映画を観て思いっきり泣きたい人へ、ぜひ見て温かい気持ちになって下さい。予告篇を見ただけでも泣けますよ。

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