映画『山桜』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「山桜」のネタバレあらすじ結末

山桜の概要:藤沢周平の同名短編小説を映像化した時代劇映画。嫁ぎ先で苦労を重ねている女性が、以前に縁談を断ってしまった武士との出会いをきっかけに、自分の人生を見つめ直していく。主人公の野江を田中麗奈、野江を慕う実直な武士を東山紀之が演じている。

山桜の作品概要

山桜

公開日:2008年
上映時間:99分
ジャンル:時代劇、ラブストーリー
監督:篠原哲雄
キャスト:田中麗奈、篠田三郎、檀ふみ、北条隆博 etc

山桜の登場人物(キャスト)

磯村野江(田中麗奈)
海坂藩の武士・浦井七左衛門の娘で、現在は磯村の家に嫁いでいる。最初の夫を病で亡くし、磯村庄左衛門と再婚した。浦井の家には新之助という弟と、勢津という妹がいる。強欲な磯村の家では、使用人のようにこき使われ、辛い思いをしている。
手塚弥一郎(東山紀之)
海坂藩の武士で、剣の使い手。藩の仕事のかたわら、道場で剣術を教えている。過去に野江との縁談の話があったが、野江の側から断られた。昔から野江に想いを寄せている。早くに父親を亡くし、母一人子一人で暮らしている。
諏訪平右衛門(村井国男)
海坂藩の重臣。譜代の家柄を利用し、大百姓から賄賂を受け取って、私服を肥やしている。諏訪の悪事にはみんな気づいているが、身分が高いため、誰も歯向かうことができない。
磯村庄左衛門(千葉哲也)
野江の夫。藩に仕える下級武士。家柄は低いが、父親と高利貸しをして金を貯め込んでいる。諏訪に取り入って、さらに金儲けをしようと企んでいる。野江のことを“出戻り”と罵るような、最低の男。

山桜のネタバレあらすじ

映画『山桜』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

山桜のあらすじ【起】

春。磯村野江は、独り身のまま亡くなった叔母の墓参りに出向く。なかなか家を出られず、命日には来られなかったが、野江は毎年、叔母の墓参りを欠かさず続けていた。

ちょうど山桜が満開の頃で、野江は桜の枝を手折って持ち帰ろうとする。しかし枝に手が届かず、つまずいて足袋を汚してしまう。野江が足袋を拭いていると、武士の手塚弥一郎が桜の枝を手折って、野江に渡してくれる。

手塚と野江には、以前に縁談の話があり、それを野江が断っていた。野江はそれを思い出し、手塚に詫びる。手塚は眩しそうに野江を見て、去り際に“今はお幸せでござろうな”と野江に問う。野江が“はい”と答えると、手塚は安心した顔で去っていく。

野江は実家の浦井の家に寄り、先ほどの桜を活ける。母親の瑞江から、手塚がまだ嫁をもらっていないという話を聞き、野江は不思議に思う。わずかな言葉を交わしただけだが、野江は手塚の誠実な人柄に触れ、密かに胸をときめかしていた。

夕刻、野江は暗い顔をして磯村の家へ帰っていく。途中まで送った弟の新之助は、手塚に剣術を習っており、その人柄に惚れ込んでいた。新之助は、なぜ手塚との縁談を断ったのか野江に聞いてみる。野江は、“自分に剣の使い手の嫁は務まらないと思った”と答える。新之助は、不幸そうな姉を心配し、浦井の家に戻るよう勧めてみる。しかし野江は、出戻りの姉がいたのでは、弟や妹の縁談に差し支えると考えていた。

磯村の両親は金にうるさい冷酷な人間で、嫁の野江を使用人のように扱っていた。夫の庄左衛門も金の話ばかりしており、野江は辛い日々を送っていた。野江は、庄左衛門との接触を拒み続けており、庄左衛門は苛立ちを募らせる。

山桜のあらすじ【承】

翌日、野江は昨日汚した足袋を洗濯しながら、また手塚のことを思い出していた。憂鬱なことばかりが続く日々の中で、手塚の存在は、野江の心の支えになっていく。

藩の仕事とは別に、アコギな高利貸しで金を稼いでいる庄左衛門は、最近羽振りの良い諏訪という重臣に取り入り、金を預けてもらおうと企んでいた。諏訪は譜代の家柄を利用して、藩の農政を自分の都合良く仕切り、大百姓からの賄賂で、私服を肥やしていた。諏訪は、おこぼれに預かろうという取り巻きの接待で、連日お大尽遊びを続けていた。

藩では、3年前の凶作以来、食うのにも困っている農民が増えていた。しかし諏訪は、さらに新田を開拓し、旧来の田んぼからは年貢を引き上げる法案を出す。この法案で潤うのは金持ちだけで、開墾に駆り出される農民は、さらに貧しくなってしまう。諏訪は農民が泣く泣く手放した潰れ田をタダ同然で我が物にし、大百姓へ回していた。

良心ある家臣の米倉は、諏訪の法案に大反対するが、重臣たちは聞く耳を持たない。農民たちもお城へ出向いて、必死でこの窮状を訴えるが、適当に追い払われてしまう。

米倉は江戸にいる殿に実情を知らせるため、磯貝という部下に書状を託し、密かに江戸へ向かわせる。しかし磯貝は何者かに襲われ、極秘で始末される。

手塚は農地を視察した際、五助の娘のさよに自分の握り飯を譲ってやる。最初は遠慮していたさよも、優しそうな手塚を見て安心し、握り飯にかぶりつく。五助の家では、子供のさよや年寄りに食べさせる米さえなかった。

山桜のあらすじ【転】

秋。磯貝の行方は未だにわからず、諏訪の手の者が暗殺したのではないかという噂が広まっていた。しかし、諏訪に遠慮して、誰もそれを公にしようとしない。

今年も長雨が続き、米は不作だった。五助は、取り立ての厳しくなった年貢米が払えず、罰として田んぼを取り上げられてしまう。栄養失調のため衰弱していた年寄りとさよは亡くなり、五助は絶望する。

農地の見回りに来た手塚は、粗末な墓に手を合わせている五助と遭遇する。大小2つの墓には、“うめ”と“さよ”と記されており、手塚はあの子が亡くなったことを知る。ずっとこの事態を静観してきた手塚は、独りで物思いに耽る。

道を歩いていると下駄の鼻緒が切れてしまい、野江は胸騒ぎに襲われる。その頃手塚は、城内を歩く諏訪と取り巻きの前に立ちはだかり、刀を抜いていた。手塚は取り巻き連中を峰打ちで倒し、刀を抜いた諏訪と睨み合う。手塚は迷うことなく諏訪を斬り捨て、自ら大目付の屋敷まで歩く。そんな手塚に、米倉が深々と頭をさげる。

手塚のとった行動は大きな波紋を呼び、城内は大騒ぎとなる。大事な後ろ盾を失った庄左衛門は、不機嫌な顔をして帰ってくる。庄左衛門から事件のあらましを聞いた野江は、手塚がどうなったのかを心配する。城内では、手塚の切腹は免れないだろうと言われていた。

庄左衛門は、何の得もないのに諏訪を斬った手塚を嘲笑う。野江は庄左衛門の腐った性根を心底軽蔑し、“言葉を慎みなさいまし”と言ってしまう。庄左衛門は激昂し、野江に刀を向ける。

仲裁に入った磯村の母は、野江にこの家から出ていくよう命じる。野江は黙って荷造りをし、翌朝ひっそりと磯村の家を去る。

山桜のあらすじ【結】

実家へ戻って来た野江を見て、瑞江は全てを察する。しかし野江を問い詰めるようなことはしない。

冬。手塚はずっと牢の中で、裁きが下るのを待っていた。手塚は何一つ申し開きをせず、どんな裁きも受ける覚悟を決めていた。

年が明け、浦井の家では家族揃って新年を祝う。しかし、牢にいる手塚のことを想うと、野江の心は沈むのだった。野江は神社に通いつめ、手塚の無事を祈り続ける。

野江は弟や妹のことを考え、家を出て自活すると言い出す。瑞江は、“心から幸せになれる道を見つけた時に出ればいい”と言うが、野江はもうそんなことはないと感じていた。

事件から四ヶ月が過ぎても、手塚の裁きは決まらない。手塚の犯した罪は、城内での刃傷沙汰という重罪ではあったが、そのおかげで農民は救われた。世論は手塚に味方しており、藩も簡単に手塚の処分を決められずにいた。そこで、来月帰ってくる殿に、全ての判断を任せることにする。

雪が溶け、再び春がくる。野江は、ひとりぼっちの手塚の母のことが気になっていたが、顔を合わせる勇気が出ない。

桜の頃。野江は瑞江と叔母の墓参りへ行き、叔母が独身だったのは、結婚を決めた人が亡くなったからだと知る。野江は、叔母の人生を羨ましく感じる。瑞江は、浮かない様子の野江に、“あなたは少し回り道をしているだけ”と言ってやる。

瑞江の言葉に背中を押され、野江は桜の枝を持って、手塚の母を訪ねる。手塚の母はとても優しい女性で、野江の来訪を心から喜んでくれる。あの事件があって、この家を訪ねたのは野江が初めてだと聞き、野江は胸が詰まる。

野江はそれからも手塚の母を度々訪ね、親交を深めていく。手塚は牢の中から桜を眺め、野江のことを想う。手塚の裁きが下るのは、もうすぐだった。

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