映画『善き人』あらすじネタバレ結末と感想

善き人の概要:ビィゴ・モーテンセン主演で英国の劇作家C・P・ティラーの舞台劇「GOOD」を映画化。ナチス占領下にナチ党に入党したために狂わされてゆく、文学教授ジョンの葛藤を描いた人間ドラマ。2008年製作英国・独映画。

善き人 あらすじネタバレ

善き人
映画『善き人』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

善き人 あらすじ【起・承】

1937年、ベルリン。大学でフランス文学を教えるジョン・ハルダー教授(ビィゴ・モーテンセン)は、ナチスの総統府に呼ばれます。彼の小説を総統が気に入ったという。ナチスへの入党を勧められるが、母親の介護を理由に断ります。

しかし、ナチ党への入党を断れば、大学での職を失ってしまうと聞き、不安を感じるのだった。遡って1933年、5月。家では、妻ヘレンが気分が乗らないと長時間、ピアノを弾いていた。その間、ジョンは子供の世話をしつつ、料理を作っていた。

昼頃、妻ヘレンの父親が来て、”栄転すれば、ナチス党員にならなければならない”と話す。既に彼はナチス党員だった。一方、大学では、プルーストの「失われた時を求めて」を講義していた。

ちょうど、”プルースト効果”を説明していた時、構内が騒がしくなります。書物が集められ、有害図書として燃やされていたのだった。学生が講義に集中しないので、早々に講座を中断させた。

講義終了後に学部長が来て、言うのだった。”禁じられた書物を処分する予定だ。””どの本をです?””プルーストだ。頼む、従ってくれ。”と。

また、プルーストの講義を聞いていたと言う女学生アンがジョンの研究室に来た。アンは、史学科の学生だが、”教授の講義は新鮮でした。自分の信念を貫くべきです!”と言う。この女性は後にジョンの2番めの妻となった。

ジョンは、アンに惹かれてゆく。そこで、親友である精神科医モーリス(ジェイソン・アイザック)に相談した。”彼女の事を考えると、音楽が聞こえてくるんだ!”と。

善き人 あらすじ【転・結】

アンとの不器用な恋が深まる頃、ジョンは小説執筆の為に部屋を借りた。妻ヘレンとは別居状態に。精神科医のモーリスは、ジョンを心配して訪ねてきます。ジョンの妻ヘレンの気が変になっているらしい。

ジョンは、学部長に昇進すると同時にナチス党員へ。別居中のジョンをよく思わないヘレンの父親は、大勢の人がいる前でジョンを非難した。病気の母親をジョンは、ブランデンブルクの別荘へ移す。

妻ヘレンは相変わらず、ジョンの母親が階段から落ちても、介抱すらしない。勝手な妻は、”出て行かないで!やり直そう。”と言うが、ジョンにその気持ちはなかった。

ある日、ジョンはアン、モーリスと共に海水浴場に出かけた。近況を語りあうが、ジョンがモーリスにナチスに入党した事を告げると、ユダヤ人のモーリスは激しく怒ります。

1938年10月、アンと結婚し、ジョンの小説は映画化された。ジョンはアンと共に映画の撮影現場に来ていたが、彼は出来栄えに感動して、美しい音楽が流れているように感じます。

その後、久しぶりにモーリスと会ったジョンは、好物のエプスタインのチーズ・ケーキとブランデーを楽しんだ。やがて、ナチスのユダヤ人に対する取り締まりは厳しくなっていく。

モーリスは、国外脱出をする為に、出国許可書を得たが、国外へは10マルクしか持ち出せないという。そこで、ジョンにパリまでの片道切符を買ってきて欲しいと頼むのだった。

ジョンは1度は断ったものの、親友のためパリまでの切符を買おうとするが、ナチス党員に見張られて買うことが出来ない。代わりに病気の母が住むブランデンブルク行きの切符を買った。

母を訪ねると、病気が悪化していた。薬を飲ませようと目を離したすきに、服毒自殺をされてしまう。なんとか母の一命は取り留めたがモーリスの切符どころではなくなってしまう。

ますます政権の暴走はひどくなり、ユダヤ人を連行して収容所へと送る日々。その間に母も亡くなってしまう。ジョンは、モーリスを助ける為、切符を手に入れた。しかし、本人が不在であったため、妻アンに切符を託した。

1942年、ナチスの総統府で精神科医モーリスとの交友関係を聞かれ、そこでユダヤ人の再移住計画があることを知ります。またユダヤ人の名簿の存在に気づき、モーリスの名前を検索。彼がシレジア収容所にいる事を掴んだ。

同時に妻アンが、モーリスをナチスに売った事実にショックを隠せない。数日後、ジョンはシレジア収容所を訪ねた。そこで、モーリスに似た男を見つけた。しかし、助けることは不可能だった。

辛い現実を慰めるように、いつまでも美しい音楽が流れていた。

善き人 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:96分
  • ジャンル:戦争、ヒューマンドラマ、ラブストーリー
  • 監督:ヴィセンテ・アモリン
  • キャスト:ヴィゴ・モーテンセン、ジェイソン・アイザックス、ジョディ・ウィッテカー、スティーヴン・マッキントッシュ etc

善き人 批評・レビュー

映画『善き人』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

受け身でナチス政権下を生きた男の哀しみ

ナチスの党員を描いた作品はたくさんありますが、一般市民で巻き込まれ型の人物を描いているのは、おそらくこの作品だけだと思います。主人公ジョン・ハルダー教授を演じる、ビィゴ・モーテンセンが素晴らしい!

彼の長所は作品にも表現されているように冷静沈着で、穏やかな人物像です。ナチスの党員だから、みながユダヤ人に差別意識があり、攻撃的だと考えるのは間違い。ジョン・ハルダーのような人もいたのではないか。

それでも観る人によっては、イライラしてしまうかも。時代に流され、ユダヤ人の親友を救えず、妻は狂い、結核を患っていた母親も亡くなってしまう。市民の、ナチス党員の目から見た悲惨な現実があります。

もし、彼が受け身ではなく、自分の信念に基づく生き方を選んでいたら?それでも悲劇は止まらなかったでしょう。最近、ドイツでは、アドルフ・ヒットラーが書いた「わが闘争」を解説書と共に読む教育がされているそうです。

これは、讃美するのではなく、正しくナチスの思想を受け止め、ユダヤ人差別を無くすことや政治的思想が偏らないようにするためだそうです。ドイツの戦後教育は、平和への大きな取り組みになりますね。

良心が奏でる、幻想曲

この映画は、英国の劇作家C・P・ティラーの舞台劇「GOOD」を映画化したものです。そのため、随所で演劇的な演出が見られます。特に、ジョン・ハルダー教授が、恋をした時やユダヤ人の親友を救おうと奔走する時にミュージカル・シーンが挿入されます。

それは、主人公が良心をまだ捨てていないという表現なのではないでしょうか。その後にナチス党の制服を着た様子や収容所という現実が重くのしかかってきます。また、食事のシーンにも注目して下さい。

主人公の好きな食べ物はチーズ・ケーキ。ブランデーと一緒に楽しみます。日常の中に喜びや友情があり続いてゆくこと。戦争や差別がそういった生活を壊してしまうことを強く感じます。静かだが、心に沁みる映画です。

善き人 感想まとめ

映画の持つ最大の功績は、”体験”だと思う。毎年、ナチスやヒットラーに関する映画が作り続けられています。その中で、「善き人」を選んだのは、一般市民の視点に戦争やユダヤ人差別がどう映っていたのか知りたいからです。

その一方で、ナチス党へ入党したやつはみんな悪人だと思う人もいるでしょう。例えば、収容所でユダヤ人を殺し続けたにもかかわらず、”上からの命令だったからやったんだ。”と罪の意識なく言う元ナチスの党員もいます。

だからこそ、私達は考え続けなければならない。ビィゴ・モーテンセン演じるハルダー教授は、受け身な人生でしたが、ユダヤ人の親友を助けようと奔走します。静かで重みのある役柄が彼にはよく合う。

知性と良心があっても、止められないのが戦争であり、差別なのだと改めて痛感させる作品です!

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