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映画『許されざる者(1992)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『許されざる者(1992)』の概要:貧しい農夫をしながら子供たちを育てている平凡な男は、かつて多くの人を殺した伝説のならず者だった。そんな男が賞金稼ぎのために再び銃を手にする。監督・製作・主演をクリント・イーストウッドが務め、アカデミー作品賞を受賞した西部劇。

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映画『許されざる者』の作品情報

許されざる者

製作年:1992年
上映時間:131分
ジャンル:西部劇、ヒューマンドラマ
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、リチャード・ハリス etc

映画『許されざる者』の登場人物(キャスト)

ウィリアム・ビル・マニー(クリント・イーストウッド)
通称ウィル。若かりし頃は札付きの悪党で、多くの人を殺した。クローディアという女性と結婚してから真人間となり、カンザスで子供2人と静かに暮らしている。
リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)
通称リトルビル。ワイオミングにあるビッグ・ウィンスキーという町の保安官。ならず者は人間扱いしない。自信家。
ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)
通称ネッド。ウィルの相棒。昔はウィルと一緒に悪さをしていたが、今はインディアンのサリーと結婚して大人しく農夫をしている。ライフルの名手。
スコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)
通称キッド。ウィルの昔仲間の甥っ子で、ウィルに賞金稼ぎの相棒になって欲しいと頼みに来る。5人殺したと見栄を張っていたが、人殺しの経験はない。近眼。
ストロベリー・アリス(フランシス・フィッシャー)
ビッグ・ウィンスキーにあるスキニーの娼館で娼婦をしている。娼婦たちのリーダー。ディライラを傷つけたカウボーイ2名の首に1000ドルの賞金をかける。

映画『許されざる者』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『許されざる者(1992)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『許されざる者』のあらすじ【起】

1880年。ワイオミングのビッグ・ウィンスキー。この町にあるスキニーの娼館で、些細なことに腹を立てたカウボーイのマイクが娼婦のディライラの顔をナイフで滅多切りにするという事件が起きる。マイクは連れのデービーと共に捕えられるが、保安官のリトルビルはならず者ではない2人に7頭の馬を持って来ることを約束させて釈放する。このやり方に納得のいかないアリスは、みんなで金を出し合って2人の首に1000ドルの賞金をかける。

この噂を耳にした若造のキッドは、叔父から凄腕だと聞いたウィルに賞金稼ぎの相棒にならないかと誘いをかける。ウィルは昔札付きの悪党だったが、クローディアと結婚してから足を洗い、カンザスで農夫をしていた。クローディアは3年ほど前に病死し、今は幼い息子と娘と3人で暮らしている。ウィルはキッドの話を一旦は断ったものの、生活は貧しく金は欲しかった。10年ぶりに銃を撃ってみたウィルは、子供たちに3週間で戻ると言い残してキッドの後を追う。

ウィルは途中で長い付き合いのネッドを誘う。ネッドはウィルの相棒で、ウィルと同じく今は妻と農場をしながら静かに暮らしていた。最初はネッドも反対したが、やはり昔の血が騒ぎ、ウィルと一緒にワイオミングを目指す。

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映画『許されざる者』のあらすじ【承】

リトルビルはスキニーからカウボーイ2名にアリスが賞金をかけた話を聞き、町の入り口に“銃の持ち込み禁止、銃を持つ者は保安官事務所に預けること”という看板を立てる。賞金稼ぎの話を聞いてやってきた古株の殺し屋イングリッシュ・ボブは、見せしめとしてリトルビルにひどい目に遭わされる。リトルビルはならず者や賞金稼ぎに対して容赦のない男だった。

ウィルとネッドはキッドに追いつき、雨の夜にビッグ・ウィンスキーへ入る。スキニーの店へ入り、キッドはアリスと話すため2階へ行き、そのまま女を買っていた。ウィルはひどい高熱で意識が朦朧としており、ネッドはキッドの様子を見に行く。リトルビルはよそ者が来たという話を聞いて店へ来て、ウィルにひどい暴力を振るう。キッドとネッドは娼婦たちに2階から逃してもらい、外で倒れていたウィルを拾って隠れ家へ向かう。

隠れ家へはアリスたちが食料や薬を運んでくれ、生死の境をさまよっていたウィルも何とか元気になる。リトルビルは町や牧場の警戒を強める。それでもウィルは長年の経験でカウボーイを殺すことは可能だと考えていた。

映画『許されざる者』のあらすじ【転】

3人は岩山へ身を潜めて下を通りかかったデービーの馬を撃つ。馬を撃ったのはネッドで、倒れたデービーにとどめを刺すようキッドはうるさく言うが、長年殺しから遠ざかっていたネッドはどうしてもデービーを撃てない。ウィルはネッドのライフルを持ち、地上を這い回っていたデービーの腹を撃つ。

まだマイクを殺さなければいけなかったが、ネッドはカンザスへ帰ってしまう。賞金もいらないと言うネッドに、ウィルは、賞金はきちんと3等分すると約束する。ひとりで南へ向かったネッドはカウボーイの仲間たちに捕まり袋叩きにされ、リトルビルのもとへ連れて行かれてしまう。

リトルビルはネッドを拷問し、2人の居場所と名前を白状させようとする。しかしネッドはなかなか口を割らず、リトルビルを苛立たせる。

ウィルとキッドはマイクが仲間たちと隠れている小屋の周辺に隠れてチャンスを待っていた。ネッドが捕まり油断をしていたマイクはひとりで外のトイレへ用を足しに来る。ウィルはマイク殺しをキッドにやらせる。キッドは震えながら用を足している最中のマイクに銃弾を撃ち込む。ウィルは後方からマイクの仲間たちを銃撃する。

映画『許されざる者』の結末・ラスト(ネタバレ)

ウィルとキッドは賞金の受け渡し場所で女が来るのを待っていた。キッドはでかい口ばかり叩いていたが、実は人を殺したのが初めてで、興奮を抑えきれずに酒をあおって喋り続ける。キッドは人を殺したことを深く後悔していた。

賞金を持ってきた女からネッドが死んだと聞かされウィルは驚く。ネッドがリトルビルにひどい拷問を受けてなぶり殺しにされ、さらにその死体がスキニーの店の前でさらし者にされているという話を聞き、ウィルの復讐心に火がつく。ウィルは人殺しはもう嫌だというキッドから銃を受け取り、賞金を子供とネッドの妻に渡すよう頼んで町へ向かう。

スキニーの店にはリトルビルと部下たちが集まり、機嫌よく騒いでいた。店の前にさらされたネッドの死体には“これが賞金稼ぎの末路だ”という看板まで吊るされていた。そこへウィルが姿を現す。ウィルはまずスキニーを殺し、リトルビルと対峙する。リトルビルはウィルの銃に後1発しか弾がないことを知っており、居丈高に迫ってくる。しかしウィルはキッドの銃でリトルビルと部下4名を撃ち殺す。ウィルは外へ逃げた男たちに“ネッドを埋葬し、娼婦を人間らしく扱わないと皆殺しにするぞ”と言い残して闇へ消えていく。

その後、クローディアの母親はウィルが子供たちと西海岸へ移住して商売で成功したらしいという噂を耳にする。

映画『許されざる者』の感想・評価・レビュー

かつて凄腕の悪党だったが、もう殺しはしないと心に決めたビル。そんな彼が、家族の為に仲間達と共に賞金稼ぎとして旅にでる。
賞金首は二人。一人目は遠距離から急所に当てるも、相手はすぐに死なず悲痛の叫びをあげ続ける。撃つ直前の緊張感や躊躇い、撃った後の悲痛な叫びを聞き湧き上がる重い罪悪感。人を殺す側の逃げ出したくなるような恐怖を感じた。
二人目を殺したのは、人を殺したことがなかったキッド。射殺後、人の命を奪うことの重さに押し潰されそうになっているキッドに対し、声をかけるビル。その言葉が、過去に多くの人の命を奪ってしまったからこその、とてつもない重みがある。
人の命を奪う側が感じる恐怖や重さから、命が尊いものであると感じる作品。
また、どこまでも続く草原と山々の自然の雄大さも魅力的である。(女性 20代)


西部劇であるが、男と男の決闘のようないかにもな描写は無い。怒りによる暴力、復讐、報復と命の奪い合いが連鎖し大きくなっていく。昔幾人もの命を無慈悲に奪ったとされる男マニー。人を撃ちショックを受けるキッドに傍にいてあげたり、ネッドとの信頼関係を見ていると、とても悪名高い人には見えない。が、復讐時の酒場での目つきは本当に恐ろしかった。保安官の最大の間違いは、彼の本性を呼び起こしたことである。彼の悪名は街を救うものなのかもしれない。(男性 20代)


クリント・イーストウッドが描く西部劇は視聴者と決して同じ目線に立ってくれないのでとても考えさせられる。従来の西部劇とは異なるスタンスで、アンチヒーロー的で英雄だったガンマン像まで覆してしまいそうだ。

今までのアウトローの暴力はそれを正当化するだけの理由があったし彼らを正しい方へ導く女性の存在があったのだが、ここではそれらが全て欠落してるので、アウトローの時代も終わりだということを告げている。もはやガンマンは正義のヒーローではない、まさに西部劇の終わりの西部劇である。(女性 20代)

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