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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の概要:末期ガンと宣告されたヒロイン。彼女は残された時を使って、バラバラになった家族をその深い愛情で結び直す。彼女の愛は周囲をも巻き込んで、彼らの心を救うのだった。家族をテーマに描かれた作品。主演、宮沢りえの深い演技力に涙が止まらない。

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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の作品情報

湯を沸かすほどの熱い愛

製作年:2016年
上映時間:125分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:中野量太
キャスト:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎 etc

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の登場人物(キャスト)

幸野双葉(宮沢りえ)
深い愛情を持った女性。夫の失踪後、娘をパートで働きながら養っている。しっかりと先を見通す目を持ち、耐え忍ぶ強い心を持っている。末期ガンと宣告される。赤が好き。
幸野安澄(杉咲花)
双葉の娘で高校生。控えめで忍耐強い性格。実母は酒巻君江。ろうあ者である君江と話せるように、双葉から手話を習わされている。学校でいじめられている。
幸野一浩(オダギリジョー)
双葉の夫。1年前に失踪。飄々としてお人好し。厄介事を拾ってしまう性質がある。高校を中退して、実家の銭湯を継いでいる。
向井拓海(松坂桃李)
大企業の御曹司だが、その家庭事情は複雑。現実逃避の為に、旅をするバックパッカーだった。旅の報告の為、銭湯へ立ち寄ったのをきっかけに、住み込みで働き始める。好青年。
片瀬鮎子(伊藤蒼)
一浩の浮気相手の子供。母親は別の男と姿を消している。9歳の女の子。
酒巻君江(篠原ゆき子)
一浩の元妻。阿澄の実母でろうあ者。産んだばかりの子供を育てられず、離婚している。
滝本(駿河太郎)
探偵。幼い娘と2人暮らし。妻は娘を出産後、脳出血で亡くなっている。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のあらすじ【起】

幸野双葉と娘の安澄は現在、2人暮らし。夫で父でもある幸野一浩は1年前に失踪しており、それまで経営していた銭湯は現在、休業状態。高校生の安澄を養う為、双葉はパートに出て働いていた。母は娘が学校でいじめられている事を心配しながらも、見守りつつ支えていた。

そんなある日、双葉はパート中に意識を消失して倒れる。病院で検査すると、膵臓ガンを病巣にガンが全身に転移している事が分かった。末期ガンである。双葉は酷く落ち込み、銭湯の浴槽で1人、膝を抱えて泣いた。
辺りが暗くなった頃、心配した娘から電話が来る。双葉は決意を新たに、立ち上がった。

探偵の滝本を雇って失踪した夫を捜索すると、案外すぐに見つかった。一浩は隣町で暮らしているらしい。一浩が住むアパートを訪ねた双葉。料理の途中で出て来たらしい夫からお玉を奪い返して、思わず殴ってしまった。彼女は一浩に自分があと2、3カ月しか生きられない事を告白。夫は帰宅を決意した。

一浩は鮎子という9歳の女の子を連れて帰って来た。久しぶりに家族揃って囲んだ食卓は、何とも気まずい雰囲気。一浩は阿澄に事情を説明した。過去の浮気相手と久々に会った一浩は、相手の娘を押しつけられ、仕方なく面倒を見ていたと言う。何というお人好しか。阿澄は父に呆れ返った。

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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のあらすじ【承】

翌朝、食卓に揃った3人に双葉が宣言。銭湯の営業を再開する事にしたのだ。銭湯の仕事は家族4人、全員でやる事。一家を牛耳る母の言葉は絶対だった。
銭湯を掃除して、営業再開のチラシをご近所へ配る。綺麗になった浴場を見た双葉は、清々しい笑顔を浮かべた。

順調に進んでいるかのような日々だったが、双葉の病状は着実に悪化。一浩は医師から妻の状態を聞いた。今後は緩和ケアを重点的に行う方針だそうだ。一浩は自分のせいだと苦悩する。
別の病院へ行こうと言う夫に、妻は決意を語った。少しの延命の為に、生きる意味を見失うのは嫌。自分には、どうしてもやらなければならない事が、まだあるのだと。

阿澄のいじめは継続中。双葉は娘の将来を考えていた。
翌朝、登校を巡って娘と母が言い合いをする。だが、安澄は昼前になって、無くした制服の代わりに体操服を着て学校へ行く。そして、母の言葉を思い出し、クラスに制服を返せと訴えた。制服を着て無事に帰った阿澄を玄関先で待っていた双葉は、勇気を労い抱き締めた。

そんなある日、双葉は鮎子が釣銭を盗むのを目撃。その日の夜、鮎子が行方不明になる。今日が彼女の誕生日だと気付いた双葉は、一浩からアパートの鍵を奪って部屋へ向かった。アパートに辿り着くと、玄関先にしゃがみ込む鮎子を発見。立った拍子に、我慢していたのか失禁してしまう鮎子。双葉は何も言わずに、娘を抱き締める。阿澄と双葉は鮎子を連れて家へ帰った。
翌朝、朝食時に鮎子が泣きながら、この家にいたいと話す。家族は笑って幼い娘を受け入れた。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』のあらすじ【転】

双葉は娘2人を連れて、短い旅行へ出る事にした。銭湯は一浩が何とかしてくれる。女3人は、うきうきと車に乗り込み出発した。
昼食を摂ろうとした駐車場で、バックパッカーの向井を同乗させる事にした3人。好青年の向井は娘2人とも、すぐに仲良くなった。

双葉は接していく内、向井の嘘を見抜き彼の事情を聞く。彼の家庭はとても複雑だった。逃避行で旅を続ける向井に、双葉ははっきりと本音を語る。次のパーキングで青年を降ろした。双葉は彼を抱き締めて次の目標を示す。向井はその熱い心を受け止めて、前向きに生きる事にした。

1泊目の深夜、双葉がトイレで吐血。病状は深刻を極めていたが、彼女はそれでも病を隠して旅を続ける。
3人は昼食で立ち寄った店で、タカアシガニを頬張った。その店で働くろうあ者、酒巻君江に帰り際、平手を食らわす双葉。

双葉は安澄に真実を明かす。一浩は昔、酒巻君江と結婚していた。阿澄は一浩と君江の子供だったのだ。君江はろうあ者である為に、赤ん坊の声が聞こえず育てられなかった。母は阿澄に実母と過ごせと言い、号泣する娘を置いて行ってしまう。
毎年、君江から送られる蟹の謎をようやく知った阿澄。
双葉はいつか実の娘が君江と話せるよう、阿澄に手話を習わせていたのだった。実母と娘は双葉の思いやりに、溢れる涙が止まらなかった。

夕方、阿澄を迎えに来た双葉。鮎子を迎えに行かせた彼女は1人、車中で疲れたと呟き意識を失う。緊急搬送先の病院へ。一浩が駆け付けた時には深夜を回っていた。
意識が戻った双葉は、娘達に自分の母親の事を語る。双葉の母親は、鮎子と同じように娘を置いて行った。結局、今も迎えは来ない。迎えはきっと、自分が死んだ時に来るのだろう。
姉妹は、これからは母の前では、絶対に泣かないと固く約束した。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の結末・ラスト(ネタバレ)

双葉の元に、探偵の滝本と娘が見舞いに来る。双葉は自分の母親の調査を滝本に頼んでいた。調査結果を報告していると、急に母に会いたいと言い出す双葉。
双葉の母親は別の家庭を築いていたが、母親と思われる女性は娘の存在を否定。それでも一目姿を見たいと、玄関先から母親の姿を眺める。そして、双葉は玄関先にあった小さな置物を、家に投げ入れてしまった。

双葉の痛みは日々、熾烈を極めていく。そんなある日、バックパッカーの向井が、銭湯を訪ねて来る。双葉の言いつけ通り、旅を終えて来たらしい。そこへ、君江も到着。複雑な心境の一浩だったが、食卓に揃った人々へ土下座をして協力を仰いだ。

夜、阿澄からのメールを見た双葉は、促される通りに病室のベランダへ出る。そこには、滝本と娘、向井と一浩、2人の娘達と君江がピラミッドを作っていた。これが、今の一浩の精一杯の気持ちらしい。人は支え合って生きている。だから安心して欲しいと、夫は泣きながら叫ぶのだった。

2カ月後、向井は銭湯に住み込みで働き、娘達は交代で番台を務めている。この頃にはもう、強い痛み止めのせいで、双葉の意識は朦朧とし身体も動かせず、辛うじて息をしているような状態だった。阿澄は泣きながら無理矢理に笑顔を見せ、反応を示した双葉に言葉をかける。それを聞いた双葉は、涙を流し微かに笑った。それが、彼女の最後の姿だった。

葬式は銭湯の浴場で行われた。双葉が深い愛情と広い心で繋いだ絆は、きっとこれから何があっても切れないだろう。双葉は銭湯の煙となって、空へと舞い上がるのだった。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の感想・評価・レビュー

杉咲花の声が素敵で印象的でした。

双葉の真っ直ぐな愛がとても強く、人を惹きつける強さと優しさが観ていて心地よいです。
言葉にしなくても、皆に「頑張って」「愛してる」「大好きよ」と伝えられる双葉の姿にグッときました。

手話のシーンと組み体操のシーンでは涙が止まりませんでした。
双葉が涙ながらに絞り出す「生きたい」の言葉はとても重く、胸が締め付けられます。

母は強し。私もそうありたい。(女性 40代)


末期ガンである事を知った双葉が、残りの時間を強く生きるだけでなく、残される家族や周りの人の事を想い深い愛情で包み込みながら過ごしていく。母に言われて手話を習っていた娘はある日、血の繋がった本当の母に会うこととなるのだが、そこで彼女が聴覚障害を持っていると知る。いつか実の母に会う娘がその人と意思の疎通ができるようにと、密かに準備をさせていた双葉の優しい心に涙が止まらなかった。彼女が亡くなった後、エンディングで銭湯の煙突から赤い煙が立ち上るシーンは強烈で驚いたが、印象的で映像作品としては良かったと思う。(女性 30代)


病で余命わずかな母とその家族の物語。そんな重いテーマでありながら、熱く明るく描ききった作品。優しいながらも、心を揺さぶるパワーある映画だと思う。
宮沢りえ演じる母の、明るく気丈に振る舞う姿はかっこよく、覚悟の感じられる佇まいで胸に迫るものがあった。自分も後悔のないよう今を大切に生きていきたいと思った。
また、その娘を演じた杉咲花も素晴らしい。最初は内気ないじめられっ子だったが、母と自分自身の向き合いを経て、必死に立ち向かっていく演技は涙が止まらなかった。(女性 20代)


ヒロインが病に苦しむ作品の中で、最も心温まる作品でした。温まるというより、タイトルにもある熱い愛という言葉がぴったりでした。
末期がんを宣告されたヒロインは、辛いはずなのに誰よりも強く前向きで本当にかっこよかったです。こんなに素敵な死に様を見せられたら、遺された人も明るく生きていくしかなくなるでしょう。一人で生きられる人も強いかもしれないけど、周りを巻き込める人が本当の意味で強くたくましい人なのだなあと感じました。(女性 20代)


中野亮太が監督・脚本を手掛け商業用長編デビューとなった作品。主演に宮沢りえが演じ、非常に愛情深く強い女性を演じている。

夫が失踪したことで、女手一つで家計を切り盛りし、一人娘を育てていたヒロイン。物語は彼女が末期がんであることが判明したことから動き出す。余命2・3カ月宣告された彼女は、自分が生きているうちにやるべきことを成そうと体調不良を隠し、奔走するのだが、その姿がまた健気で心を打たれる。失踪した夫を探し出し、愛人が置いて行った娘をも引き取り嫌な顔をせず、真摯に相手と向き合い娘をも立ち直らせる。彼女の命を賭けた行動は周囲の人々を動かし、前向きにさせていく。その様子がじっくりと描かれており、非常に心が熱くなる。タイトル通りの深く熱い愛情に胸を打たれ涙なくしては観られない。素晴らしい作品。(女性 40代)

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