映画『柘榴坂の仇討』あらすじネタバレ結末と感想

柘榴坂の仇討の概要:2014年公開の日本映画。浅田次郎原作の同名短編小説の映像化で、大老・井伊直弼を暗殺されたことで仇討ちを始める籠番だった主人公が、時代の変化に翻弄されながら最後の襲撃犯と対峙する様を描く。

柘榴坂の仇討 あらすじネタバレ

柘榴坂の仇討
映画『柘榴坂の仇討』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

柘榴坂の仇討 あらすじ【起・承】

13年前。
志村金吾(中井貴一)は持ち前の剣の才能を買われ、大老・井伊直弼の籠番に抜擢された。
このことは名誉であり、挨拶に行った先で井伊大老の人柄に惚れ込み、彼に忠誠を誓っていた。
世間では恐れられている大老の館での姿は魅力的だったのである。
そして彼は嫁をもらい、家庭を築き幸せな日常を送っていた。

ある雪の日、金吾は門の間に挟まれている手紙を見つける。
中には「本日大老を暗殺しにいく」と書かれていた。
念のため外出の予定を変更するよう忠告するも、大老は予定通り籠に乗り出発する。

暫く進んだところで、手紙の内容通り井伊大老の命を狙う浪人達に囲まれてしまった。
「注進!」と叫びながら直訴状を出す浪人に、大老は命がけの注進だからと手紙を受け取るよう命令する。
しかし渡したら門へ向へと言う大老の言葉に反し、浪人は斬りかかってきた。
金吾も戦おうと刀を抜こうとするが、雨よけカバーのせいで中々抜けない。

それどころか、槍を1人の長身の浪人に盗まれ持っていかれてしまう。
後を追い、浪人と一騎打ちになり肩に一撃を与えた。
無事に槍を取り戻し、籠まで戻ると既に大老は暗殺されていた。
これが歴史上有名な「桜田門外の変」である。

金吾は自らの命を絶ち、責任を取ろうとする。
しかし両親がその責任をかぶってくれたおかげで、金吾は生きて良いこととなる。
桜田門外の変の犯人は5人捕まっていない。
この5人の逮捕を命じられた。

この日から金吾夫婦の長い戦いが始まった。
ぼろ屋に身を隠すように暮らし、妻は食堂に働きに出た。
金吾達は襲撃犯を探し出し、遂に残りの1人となった。

柘榴坂の仇討 あらすじ【転・結】

大政奉還。
江戸幕府が終わり、明治時代の幕開けだ。
今までのやり方を変え、日本を新しくしていこうという風潮に変わった。
武士の時代が終わり、髷をしているものも居なくなっていく。
金吾に殺害を命じていた役人もいなくなり、時代は明らかに変わっていた。
しかし金吾は侍のままの格好で街を歩き、桜田門外の変について相変わらず情報を求めていた。

金吾は大老の命日には必ず墓を訪れる。
今日も寺に行った。
しかし今日は金吾の後に車引きが訪れ手を合わせている。
この車引きの男は直蔵と言い、近所でも有名な寡黙な色男だった。
特に未亡人の子供のミチには父のように好かれていた。

街で友人に会う金吾。
彼はかつて侍として話が出来る友人だった。
今は憲兵に入り、制服を来ている。
未だに仇討ちを考えている金吾の助けをしたく、上司に情報を求めてくれた。
しかし時代は仇討ちを禁止する法律を出した。

襲撃犯の最後の1人。
金吾は雪の中車引きを止めた。
「どこへ行きますか?」という車引きに「桜田門」と答えた金吾。
顔を見せてくれと頼んだ金吾に、車引きは傘をとって振り向いた。

間違い無かった。
あの時の槍を持って自分が肩を怪我させた男だった。

金吾は彼の素性を聞いた。
現在の名前は直蔵。
殺した人間の名前の1文字をもらい忘れないようにしているのだと言う。

ある坂で「この坂はなんという坂だ?」と尋ねる金吾に直蔵は「石榴坂だ」と答える。
自分はここで死ねなかったと。
あのとき怪我したため、刀を持って切腹出来なかったのだと言う。

直蔵は金吾の主人への忠誠を褒め、自分を殺せと言う。
しかし金吾は最後の最後で殺さなかった。
「今日から仇討ちは禁止になった、そして時代が変わったから石榴坂からやり直せ」と言う。

夜分に自宅に戻った直蔵。
みちとその未亡人の母の家へ立ち寄り、金平糖をあげたのだった。
そして今度どこかに行こうと誘った。
金吾もまた妻の働く店に迎えに行き、たまには田舎に帰ろうと言うのだった。

柘榴坂の仇討 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2014年
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:ラブストーリー、コメディ
  • 監督:若松節朗
  • キャスト:中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏 etc

柘榴坂の仇討 批評・レビュー

映画『柘榴坂の仇討』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

男の忠誠心凄まじい

見るべき映画、絶対見て欲しい映画である。
特に男性には見て欲しい。
惚れ込んだ君主のために仇討ちを考え、その思いだけで生きていく男らしさは今の日本に必要である。

自分の責任、家族の温かさ、後悔、そんな複雑でネガティブな思いが渦巻いてはいるが、決して後ろ向きでは無く前向きに生きているのだ。
その1つ1つをきちんと現実として受け入れ、消化していく。
今の日本の若者には無い思考だ。
もはや意地であるとも思うが、自分の考えをぶれずに貫けるというのは本当に尊敬してしまう。

ラストシーンの美学

ラストでいよいよ襲撃犯の最後の1人と出会う金吾。
しかしこの彼もまた自分の親をこの一件で自殺させ、人の死を背負っていた。
ただ彼もまた井伊大老の暗殺自体に後悔は無く、そのことは納得しているのだ。

ここに同じ時代に生きた2人の人生が重なる。
時代が明治に移り、どこか金吾はついていけていない。
しかしその表現が直蔵との出会いをより良いシーンにしている。
同じ時代に、同じようなこだわりを持ち、同じように散る。
まさに男の美学を映像化しているような美しいラストであった。

見やすいストーリー構成

時代劇と言うと見にくくて飽きる、などと考えている人も多いのでは?
実際に本当にあった出来事がテーマのため、歴史がわからないと面白く無いかもしれない。
桜田門外の変で一体どちらが正しかったのか?という疑問くらいもてるような知識が欲しいところ。

しかし全くわからない人でも、最後に向けてヒューマンドラマに変わっていくため見やすくなる。
時代に翻弄される、時代遅れの男達の物語として上手く締めくくっている。

柘榴坂の仇討 感想まとめ

面白い。
日本映画は最高だと思える優秀作品。
時代劇の良さが存分に楽しめてわかりやすい作品だ。
描写の美しさも素晴らしく、雪景色や暗い空のコントラストは日本の風景の良さを表現している。

時代によって良いと思うものが変わっていくが、この映画もそれを哀愁たっぷりに表現してくれている。
ダイレクトに心に入る演出方法はさすがである。

また阿部寛の襲撃犯の役も新鮮で良かった。
時代劇のイメージがつきにくい彼だが、彼のヒョウヒョウとした態度の演技が魅力的である。

Amazon 映画『柘榴坂の仇討』の商品を見てみる