『独眼竜政宗』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

独眼竜政宗の概要:「独眼竜政宗」は、1959年の日本映画。監督は「雪之丞変化」シリーズや「少年猿飛佐助」などの河野寿一。主演は「大菩薩峠」、「一心太助」シリーズなどの中村錦之助(萬屋錦之介)。共演には大川恵子、佐久間良子、岡田英次、山形勲、月形龍之介、大河内伝次郎など。

独眼竜政宗

独眼竜政宗 あらすじ

映画『独眼竜政宗』のあらすじを紹介します。

戦国乱世の時代、奥州・陸奥の伊達政宗(中村錦之助)は、知勇共に秀でた若き武将として名を馳せていた。豊臣秀吉(佐々木孝丸)は彼を恐れ、腹臣・石田三成(徳大寺伸)の縁にある和田斉之を政宗の隣国に派遣する。政宗は秀吉の意図を察して、鷹狩りで捕らえた鶴を神楽殿の竣工祝いとして秀吉に贈ることにより、彼との親睦を図った。しかし政宗はそのような政治から離れ、馬を駆り野山を駆け回る時が一番幸福な時間であった。そんな中、秀吉と対立関係にある北条家と繋がりを持つ田村家から、息女である愛姫(大川恵子)を政宗に逢わせたいと申し出がある。政宗は愛姫と対面しその清らかな美しさに惹かれたが、政略結婚が背景にあるのを理由に縁談を断わった。その頃、秀吉の命を受け隣国へ派遣された和田斉之が、政宗に対して挑発行為を起こすが、彼は逆に斉之を術中に陥れ難を逃れた。更なる脅威を政宗に感じた秀吉は、刺客を送り込み政宗殺害を計る。一味の矢を右眼に受け重傷を負いながらも、政宗は強胆な精神力により危機を脱出した。彼は、以前に狩の途中で木こりの勘助(大河内伝次郎)から聞いた“白蛇の湯”という温泉郷で湯治に入る。彼の身分を知らぬ勘助と、その娘千代(佐久間良子)の素朴な愛情に触れ、両眼が自由な時に解らなかった新しい世界が開けてくる。そこへ政宗の消息を案じた愛姫が白蛇の湯に訪れるが、折しも秀吉の軍勢が北条家討伐のため小田原に向って進撃を開始したとの連絡が入る。そして同時に北条派の畠山軍が、政宗の父・輝宗(月形龍之介)を人質に捕る事件が起った。助からぬ父を涙を飲んで敵の畠山義継(山形勲)もろとも射殺し、政宗は政情に支配される自分の運命に泣いた。悲壮な心境の中、政宗は自らの右眼を奪った秀吉と対峙するため兵を小田原に進めた。

独眼竜政宗 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1959年
  • 上映時間:87分
  • ジャンル:時代劇
  • 監督:河野寿一
  • キャスト:中村錦之助、大川恵子、佐久間良子、岡田英次 etc

独眼竜政宗 批評 ※ネタバレ

映画『独眼竜政宗』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

時代を反映する何とも豪華なセッティング

今となっては信じられないような豪華なセットである。背景となる建物のセットや衣装など、その力の入れ方は半端でない。時代考証や登場人物の因果関係などはかなりアバウトではあるが、そんな事はどうでもいいという感じの作りがエンターテインメントらしい。今の時代ならばそのような雑な部分に茶々を入れる無粋な輩が、映画を台無しにするような批判もするところであろうが、戦国時代を描いたスペクタクル作品のダイナミズムというものはこうあるべきだと感じるのである。伊達政宗というカリスマを演じられる役者と、そのヒロイズムの描き方こそが映画としての妙であり、当時「宮本武蔵」の連作で一躍スターの座を手にした中村錦之助は若いながら圧倒的な存在感を示しており、見事に伊達政宗を演じきっている。曖昧な史実を元に過去を再現するのではなく、語り草となり今の時代に伝えられた戦国時代の武将像というイメージが表現できてこそ、物語というものが魅力を備えて成立するのである。チマチマした日常ばかりを描いた現代劇に辟易とした時には、このような豪快で絢爛な時代劇を観るのは何よりも幸せなひとときである。

時代劇が無理なく撮影できていた土壌

1950年代後半と言えば戦後十数年ほどしか経っておらず、今のようにどこへいってもアスファルトと電線が目に入る時代ではなかった。テレビの時代劇などでも日本全国で撮影されたシーンも多かったが、海岸にはテトラポットもなく、川には堤防も少なく、名所旧跡も昔の名残を多く残していた。少し奥地へ入ると江戸時代から風景が変わっていないような土地もあり、時代劇の撮影もそう困難ではなかっただろう。現在では、当時に建物として撮影に使用されていた現場も、文化財保護や現代の生活様式に従って原型を留めていないところもあり、時代劇を撮影するのは難しい状況になっているのだろう。便利なものを手に入れた反面で、こういった作品を撮影できなくなってしまった日本は、本当に豊かなのだろうかと感じてしまうのである。

独眼竜政宗 感想まとめ

1950年代後半はスペクタクル時代劇の黄金期とも言える時期であり、黒澤明監督のヒット作連発で大いに沸き返っていた時代であった、俳優も三船敏郎をはじめとして、仲代達矢、丹波哲郎、勝新太郎、そして本作の中村錦之助などの大スターを輩出してきた。彼らは正しく日本映画界のドル箱スターであり、日本映画の寵児として時代を築き上げ、スクリーンの中で燦然と輝くオーラには近寄り難いものがあった。海外では歴史スペクタクルが今でも多く撮影されている中、日本においては全く時代劇が撮影されなくなってしまったところは、非常に残念な心持ちにさせられる。既に過去の遺物として楽しむしかないという時代劇が、再び脚光を浴びる時代は果たしてやってくるのだろうか。

Amazon 映画『独眼竜政宗』の商品を見てみる