映画『銀河鉄道の夜』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「銀河鉄道の夜」のネタバレあらすじ結末

銀河鉄道の夜の概要:宮沢賢治の同名童話を杉井ギザブロー監督が長編アニメーションとして映画化した作品。原作の世界観を忠実に再現した芸術性の高い作品で、数ある長編アニメーションの中でも屈指の名作。細野晴臣による音楽も素晴らしい。

銀河鉄道の夜の作品概要

銀河鉄道の夜

公開日:1985年
上映時間:107分
ジャンル:アニメ、ファンタジー
監督:杉井ギサブロー
キャスト:田中真弓、坂本千夏、堀絢子、納谷悟朗 etc

銀河鉄道の夜の登場人物(キャスト)

ジョバンニ(田中真弓)
思春期頃の少年で、今は病気の母親と2人で暮らしている。漁師をしている父親は、北の海へ行ったままなかなか帰ってこず、ジョバンニがアルバイトをして家計を支えている。そのことで意地悪な同級生から悪口を言われている。カンパネルラのことが大好き。
カンパネルラ(坂本千夏)
ジョバンニの同級生であり親友。裕福な家庭に育ち、クラスでも人気者だが、どことなく影がある。仲間外れにされているジョバンニのことを気にかけている。優しい心の持ち主で、川へ落ちた友人のザネリを助け、自らが犠牲となる。

銀河鉄道の夜のネタバレあらすじ

映画『銀河鉄道の夜』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

銀河鉄道の夜のあらすじ【起】

ジョバンニは、学校で銀河について勉強する。先生に“銀河は何でできているか”と質問されるが、ジョバンニは何も答えられない。次に当てられたカンパネルラも、ジョバンニに同情してか、何も答えなかった。

ジョバンニとカンパネルラの父親は親友同士で、2人も以前はよく遊んでいた。しかし最近ジョバンニは、北極の海へ出たまま帰らない父親の代わりにアルバイトをしており、友人と遊ぶ時間がない。同級生のザネリは、“ジョバンニのお父さんはラッコを密漁して牢屋に入れられている”と言って、ジョバンニをからかう。

今日は星祭りの日で、みんなは川へ流すカラスウリを獲りに行く相談をする。仲間はずれのジョバンニは、ひとりぼっちでバイト先の活版印刷所へ向かう。カンパネルラは、そんなジョバンニのことを気の毒そうに見ていた。

仕事を終えてバイト代をもらったジョバンニは、雑貨屋でパンと角砂糖を購入する。ジョバンニの母親は病気で寝ており、角砂糖は母親が飲む牛乳に入れてあげるつもりだった。

帰宅したジョバンニは、母親の牛乳が届いていないことに気づく。ジョバンニは夕食を食べながら、病床の母親と父親について話す。ジョバンニは父親がもうすぐ帰って来ると信じていた。ジョバンニは、母親の牛乳を取りに行きがてら、星祭りを見てくることにする。

町は星祭りを楽しむ人々で溢れていた。ジョバンニは、牛乳のことを思い出し、町外れにある牧場へ向かう。しかし牧場には老婆しかおらず、牛乳はもらえなかった。ジョバンニは仕方なく町へ戻る。

町の広場では人々が輪になって踊り、星祭りを祝っていた。その中にはザネリやカンパネルラもいたが、ジョバンニは踊りの輪に加わらず、ひとりで丘に登る。満天の星が輝く夜空を見ながら考え事をしていたジョバンニは、強い光を放ちながら汽車がこちらへ向かってくるのを見る。汽車はジョバンニの前で停車した。

銀河鉄道の夜のあらすじ【承】

汽車に乗り込んだジョバンニの前に、カンパネルラがやって来る。カンパネルラの体は濡れており、銀河ステーションでもらったという銀河の地図を持っていた。ジョバンニは、大好きなカンパネルラと2人でいられることに喜びを感じる。

汽車は天の野原を通過し、夜空を走る。カンパネルラは、お母さんが自分を許してくれるかどうかをしきりに気にしていた。ジョバンニには、カンパネルラがどうしてそんなことを考えるのかがよくわからなかった。

11時ちょうどに白鳥のステーションに到着し、2人は汽車を降りて駅構内を歩いてみる。駅には誰もおらず、とても静かだった。長い廊下を走ると扉があり、扉の向こうには長い階段があった。その階段は町の広場に通じており、さらに先へ進むと「プリオシン海岸」と呼ばれる海岸に行き着く。海岸にはくるみの実がたくさん落ちていた。

海岸の先にあった化石の採掘現場では、現場監督のおじさんが、ここでは120万年前の化石が出るのだと説明してくれる。出発の時間が迫ってきたので、2人は急いで汽車へ戻る。汽車に戻ると、くるみは風化して消えてしまう。

2人がかけていた座席に、鳥を獲るのが仕事だというおじさんが座り込んでくる。おじさんは食用の鳥を捕まえ、それを売っているらしい。おじさんは捕まえた鷺の足を折って2人にくれる。鷺の足はお菓子のようだった。

さらに隣の席に灯台守のおじさんが現れ、渡り鳥について語る。鳥を獲るおじさんは汽車の外へ出て、手づかみで鷺を捕まえ、袋に放り込んでいく。鷺の群れもおじさんも消えてしまったと思ったら、おじさんは汽車へ戻っていた。

しばらくすると、目の不自由な無線技師がやってくる。彼を助けて無線室まで来たジョバンニとカンパネルラに、無線技士は“さっきから解読できない言葉が聞こえる”と話す。

席に戻った2人に、“その言葉は306番の賛美歌だ”と不思議な老婆が教えてくれる。その賛美歌は、誰かがどこかで天に召される時に聴こえてくるらしい。“それが誰なのかは、アルビレオの観測所でしかわからない”と老婆は語る。

銀河鉄道の夜のあらすじ【転】

検閲官がやってきて、切符のチェックを始める。ジョバンニのベストのポケットには、見覚えのない切符が入っていた。検閲官や鳥を獲るおじさんは、その切符を見て驚く。それは他の人の切符と違っており、本当の天上へも行けるすごいものらしかった。

もうすぐ鷲のステーションというところで、鳥を獲るおじさんが姿を消す。2人は、おじさんを疎ましく感じていたことを後悔する。

またしばらくして、汽車の中にリンゴの匂いが漂い始める。すると、ジョバンニたちと同じ年頃の少女と幼い弟、そして姉弟の家庭教師の男性が乗り込んでくる。家庭教師は、自分たちが乗っていた大型船が氷山にぶつかって沈んだ時の話をする。家庭教師は他の人を押しのけて生き残るより、子供たちを抱いて冷たい海に沈む道を選んでここへ来たらしい。

灯台守がくれたリンゴを手にして、幼い弟はお母さんのことを思い出す。ジョバンニは、少女と親しげに話すカンパネルラの様子を見て、さみしい気持ちになる。

真っ暗な銀河から突然明るいトウモロコシ畑に出て、汽車は大きな振り子時計のある駅で停車する。どこからともなく新世界交響楽の音楽が聴こえてきて、汽車は程なく出発する。そこである少年を目にした少女は、“あの子を知っている”と話す。同じことを考えていたジョバンニは、それを聞いて嬉しくなる。

再び銀河に戻った汽車の窓から、「サソリの火」と呼ばれる星が見える。少女は、“人の役に立って死にたいと願ったサソリが、あの星になった”と話してくれる。

サザンクロスに近づき、少女たち3人は汽車を降りる準備を始める。サザンクロスは天上に続いているらしく、他の乗客たちもみんなここで下車する。汽車の中には、ジョバンニとカンパネルラだけが残される。

銀河鉄道の夜のあらすじ【結】

ジョバンニはなぜか不安になり、“僕たちはどこまでも一緒だね”とカンパネルラに念を押す。カンパネルラは同意してくれるが、目には涙を浮かべていた。

外には「石炭袋」と呼ばれる漆黒の闇が広がっていた。カンパネルラは“その先に野原があって母親が見える”と語るが、ジョバンニには何も見えない。ジョバンニが窓の外を見ている隙にカンパネルラは席を立ち、ジョバンニに別れを告げて汽車の外へ出ていく。ジョバンニは必死で後を追おうとするが、どうしてもドアが開かない。カンパネルラは、“さようなら、ジョバンニ”と呟いて消えていく。ひとりぼっちになったジョバンニは、涙をこぼしてカンパネルラの名前を叫ぶ。

と同時に、ジョバンニは丘の上で目を覚ます。しばらくぼんやりしていたジョバンニは、自分の帰りを待つ母親のことを思い出し、牧場で牛乳をもらって家へ急ぐ。

帰り道、同級生が“カンパネルラがザネリを救おうとして川へ落ち、そのまま見つからない”と教えてくれる。それを聞いたジョバンニは、全速力で川へと走る。川岸には、捜索の様子を見守る多くの人がいた。

カンパネルラが川へ落ちてから45分が経過し、カンパネルラのお父さんは息子の生存を諦める。捜索中止の笛が鳴り響き、ジョバンニは涙を流す。お父さんはそんなジョバンニに声をかけてくれ、“君のお父さんはもうすぐ帰るはずだ”と話してくれる。

ジョバンニは夜空を見上げ、銀河鉄道の旅のことを思い出す。カンパネルラが今どこにいるのかは、ジョバンニだけが知っていた。ジョバンニは、あのサソリのように、みんなの幸せのためなら自分の体を何度焼かれてもかまわないと思う。そして心の中で“どこまでも一緒に行くよ”とカンパネルラに語りかけるのだった。

銀河鉄道の夜の解説・レビュー

誰にも媚びていない名作

この映画の原作童話は、童話というには非常に哲学的で、簡単には説明のできない深さを持っている。
汽車で銀河を旅するという幻想的で夢のある設定でありながら、その旅は生から死への旅であり、ジョバンニと死にゆくカムパネルラの別れの旅なのだ。
このお話の世界は、何を描いていると言い切れない抽象画のようでつかみどころがない。

この世界観を具体的に表現するのは並大抵ではないと思うのだが、本作はほぼ完璧に宮沢賢治の作ったイメージの世界を映像化している。
登場人物を猫にしていることも、決して可愛いからではなく(実際、ここで描かれている猫のキャラクターは可愛くない)原作の世界観を壊さないためだろう。
不思議な台詞回しも原作のままであり、それがまたこの映画の良さになっている。

“こうすれば売れる”とか“◯◯をターゲットに”という姑息なこと考えなくても、これと思うイメージを腕の確かな職人が丁寧に形にすれば本物の良さを持つ媚びない名作となることをこの映画は証明している。

細野晴臣の音楽

この抽象的な深層意識の世界を表現するのに一役買っているのが細野晴臣の担当する音楽だ。

セリフの少ない作品であり、独特の静寂感がこの映画の魅力だが、実は音楽は随所に使われている。
しかし、本作での音楽は単純に映像を盛り上げるためのものではなく、映像と音楽が一体となって総合芸術を創り上げているような印象を受ける。

エンドテーマ「銀河鉄道の夜」が流れる中、賢治の詩「春と修羅」の冒頭部分が常田冨士男によって朗読されるエンディングには、なんとも言えない余韻がある。
宮沢賢治の世界にこれほどしっくりくる曲はなかなかないだろう。

銀河鉄道の夜の感想まとめ

この映画を観ることは、詩を鑑賞することに似ている。

詩を読んで“この作者の言いたいことはこうです”とわかったような結論を出すのは無粋で、それぞれの持つ感覚で何となく感じるのが詩だ。
逆に言えば“こうだぜ、ああだぜ”とはっきり具体的な言葉で主張しているようなものは、詩ではない。

本作を観終わった後に残る不思議な余韻は、うまく説明できないけれどとても心に残る詩や一枚の絵と出会い、そのことについて一日中ボーッと考えてしまう感覚に近い。

簡単に人に話せないような心の奥深くにある何かに触れてくる作品だからこそ、何度も観て、この世界に浸りたくなる。
できれば一人で観て、どっぷりこの世界を堪能してほしい。

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