映画『ロスト・チルドレン』あらすじとネタバレ感想

ロスト・チルドレンの概要:「デリッカセン」のジャン=ピエール・ジュネ監督の”見世物小屋”的ファンタジー。ジュネ独特の映像美と残酷さにやられます。ジュネ作品常連のドミニク・ビノン出演。1996年のフランス・スペイン映画。

ロスト・チルドレン あらすじ

ロスト・チルドレン
映画『ロスト・チルドレン』のあらすじを紹介します。

退廃したフランスの港町。元漁師のワン(ロン・パールマン)は、怪力を生かして現在は見世物小屋で働いていた。ある日、ごみ捨て場で拾った幼い弟ダンレー(ジョセフ・ルシアン)を唯一の家族として暮らし始めます。ところが、町では子供たちが誘拐される事件が発生。
ワンの幼い弟ダンレーも何者かにさらわれてしまう。そんな時に出会ったのが、孤児のミエット(ジュディット・ビッテ)。生きてゆくために仕方なく盗みをしているが、本当は聡明な美少女。ワンのために、幼い弟ダンレーを救おうと探偵を始めます。

誘拐事件には、”1つ目教団”という盲目のグループが関わっており、幼い弟ダンレーもその組織に連れ去られた可能性があることが分かった。なぜ、子供ばかり狙うのだろう?その謎には、クラーク博士というマッド・サイエンティストの存在があり、子供の脳がないと老化してしまうらしい。
そのため、自分の脳に子供の脳を繋げて夢を盗もうとするのだ。しかし、いつも実験は失敗し、悪夢に悩まされてしまう。またクラーク博士が生み出したものには、6人のクローン人間(ドミニク・ピノ)や脳だけ人間(ジャン=ルイ・トランティニャン:声のみ)がいるのだ。

少年窃盗団を牛耳っているのが、孤児院の院長ベブル。彼女は、シャムの双生児で子供たちに盗みをさせている裏社会の首領。数々の困難を乗り越えて、孤児ミエットはついにワンの幼い弟ダンレーを救い出す!現代の寓話と悪夢が混じりあったようなダーク・ファンタジー。

ロスト・チルドレン 評価

  • 点数:55点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1995年
  • 上映時間:113分
  • ジャンル:ファンタジー、ホラー、ミステリー
  • 監督:ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
  • キャスト:ロン・パールマン、ジュディット・ヴィッテ、ドミニク・ピノン、ジャン=ルイ・トランティニャン etc

ロスト・チルドレン ネタバレ批評

映画『ロスト・チルドレン』について、感想批評です。※ネタバレあり

ゆがんだ世界~そのドアをノックするは誰だ?

最初に言いますが、この映画はとても危険です。観ることをおすすめしません。それでも観たい方だけ、続きをお読み下さい。物語のはじめから、グロいシーンがねちねちと続きます。幸せなクリスマスの夜なのに、子供は怖いサンタクロースに襲われるのです!この世界はまるで”見世物小屋”のよう。

ホラー感が半端ないです。登場するのは、孤児や身体に障害を持つ人、並はずれた能力を持つが孤独な人など、社会から置いてけぼりにされた人々です。ジュネ監督は、観る人が大人であろうが子供でも容赦なく傷つけます。自分勝手な作品だと感じるのは筆者だけでしょうか?

ヒドい大人たちが子供の夢まで喰ってしまうというのはファンタジーではなく、どこかの国の現実なのか。筆者は、ジュネ監督の「アメリ」を観て、個人の欲望と妄想に惑う主人公アメリに嫌悪感を抱きました。本作は、それ以上の気持ち悪さでいっぱいです。

ミエット役のジュディット・ビッテの気高さに完敗

この映画のヒロインは、孤児ミエット。汚れた大人を信じることができず、未来にも希望が持てないでいたが、見世物小屋で働くワンとその弟によって人生を変えるのです。ワンに惹かれたというよりも、近所のお兄さんというか家族のような気持ちでしょう。気高い彼女の存在が、救いです。

ジュディットは、優秀な探偵役と心だけは大人のような女性を大胆に演じています。ワンが子供ような純粋さを持つ存在だとしたら、いいコンビです。ミエットは笑わない、冷たい表情のままでいるが、誰よりも周りを理解しているといった感じ。フランスの女の子がみんなこうだったら怖いなぁ。

でも何か彼女に引き付けられるのですよ。フランス映画って、お高くとまってるのよねと言われるのも納得します。ジュディト・ビッテの出演作は、本作と「だれも私を愛さない」(93)の2作で、その後、女優業はやめてしまったとの事です。才能が惜しまれます。

ロスト・チルドレン 感想まとめ

悪夢のようにクラクラする本作は、子供のためというよりも大人のためのダーク・ファンタジーです。美しい映像も、ホラーのような展開では霞んで見えます。なぜ、こんな悪趣味な映画を撮るのだろう?フランス人の好みなのでしょうか。社会が置き去りにした人々を描いても、救いはありません。

だけど、この映画を観れば、まだ私の方がましだわとクールな思考になれるから?よく分かりません。物語はあってもあまり関係がないようだし、グロい展開に泣きそうでした。ジュネ監督作品を観るのは勇気が要ります。それでも、ミエット役を演じる、ジュディット・ビッテの気高さに癒されました。

子供の夢が喰われるという物語はファンタジーではなく、どこかの国の現実なのかもしれない。そう考えると今夜も眠れそうにありません。

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