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映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の作品情報


出典:dアニメストア

製作年 1998年
上映時間 81分
ジャンル アニメ
サスペンス
監督 今敏
キャスト 岩男潤子
松本梨香
辻親八
大倉正章
製作国 日本

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の登場人物(キャスト)

未麻(岩男潤子)
アイドルグループチャムの元メンバーで、女優志望のタレント。頑張り屋で責任感のある性格。
ルミ(松本梨香)
元アイドルで現在は未麻のマネージャーを務めている。陰で支える真面目な性格の女性。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のネタバレ・あらすじ(起承転結)

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のあらすじ【起】

アイドルグループ「チャム」のメンバーである未麻は、突然脱退を宣言。
女優業を中心に活動していきたいためであった。
それは自分の意思は勿論だったが、たまたま出たドラマのうけが良く社長が強く薦めてきたのがきっかけである。
チャムの最後のイベントをこなし無事に卒業した。
しかしその時ファン同士で喧嘩が起こり未麻のファンでもある男がたまたま警備員としてバイトをしていたため、身をていして彼女達を守るという事件があった。

その後、中々簡単にはうまくいかず、脱退後もらった役では3台詞しかないみじめなものである。
だが未麻はその台詞を何度も練習するほど、やる気に満ちていた。

彼女の事務所の社長は、もっと出番を増やすよう脚本家に頼むが元アイドルというレッテルが邪魔をして話が進まない。
そこで社長は新しい未麻のイメージ戦略に出る。
それはレイプシーンがある作品やヌード写真集を出すことも想定内だった。

マネージャーのルミはその社長の案に反対である。
そんな矢先未麻に手紙が届く。
社長がその手紙を開封すると、突然爆破が起こった。
これが最初の被害者である。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のあらすじ【承】

ある日、未麻が事務所に入ろうとすると、入り口付近にたむろっている出まちのファン達がいた。
そこで「未麻の部屋いつも楽しみにしているよ」と声をかけられる。
何のことかさっぱりわからない未麻だったが、その後もらったファンレターでそれがインターネット上のサイトだということを知る。
しかし見覚えが無い上、自分の公になっていない出来事まで日記で綴られているそのサイトが不気味に思い未麻はそのサイトを見て以来、人の目が恐くなる。
誰かに四六時中監視されているのではなかろうか?と疑心暗鬼に陥り始めたのだ。

そして社長が推進しているレイプシーンのある作品の撮影。
彼女は勿論いやだったが、マネージャーの大反対をよそに自分さえ我慢すれば上手くいくのならと引き受けてしまう。
これは未麻の意思だった。

未麻のNGではなく相手側のNGでレイプシーンを繰り返し撮影することで、心のストレスが増えていく。
そして人前では強がっていたものの、もう爆発寸前。
自宅に帰り大事に飼っていた魚が死んでいたことで、全てが嫌になりボロボロ泣き崩れてしまう。

その頃から未麻は自分のアイドルだった頃の姿の幻影を見るようになっていく。
突然現れては、「やっぱりアイドルが一番」と笑顔で去って行くその幻影に、未麻はどんどん心を支配されていくのだった。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のあらすじ【転】

ある日、未麻の作品の脚本家と、偶然にも脱がされヌード撮影をしたカメラマンが惨殺されるという事件が発生した。
2人とも目から出血させられている死に方で、酷い物である。
未麻もショックでどうしようも無いが、平然を装うとしていた。

しかも悪い事は続き、テレビ局で帰ろうとしている未麻は1人の男に突然襲われる。
必死で逃げた彼女はスタジオの中に入ると、男は容赦なく未麻を押し倒す。
そこは未麻がレイプシーンを撮影したセットの上だった。

この男はチャムの最後のイベントで警備員をしていたあの男で、未麻のファンで内田と言った。
つまりストーカーである。
レイプされそうになった未麻は2つの殺人事件を「あなたがやったの?」と問うと「もうすぐお前もだ」という不気味な返答が返ってくることに怯えた。
しかし隙を見て彼から逃げ出した未麻は、ルミが待っている駐車場まで走り何とか助かった。
その頃社長も殺害されているのが発見される。

何とかストーカーから必死で逃げた未麻は、ルミに付き添われて帰る。
しかし途中の車で寝てしまった彼女は、帰り道を確認していなかった。
同じ頃ストーカーの内田と事務所の社長は、TV局で殺害される。
未麻は自分の部屋だと思っていたが、窓の外は違う景色。
つまり未麻の部屋を全く同じように再現していたルミの部屋だったのである。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の結末・ラスト(ネタバレ)

目を覚ました未麻はぎょっとする。
部屋が同じ作りである上、魚まで飼っている。
つまりまったく同じ。
そこにルミが来て目をあげる未麻はさらに恐怖を見ることとなる。
ルミがアイドルの時に着ていたルミの衣装をそのまま着ているのだ。

ルミは元々アイドルであり、引退後マネージャー業に就いていた。
自分の夢と未麻を重ね、精神的におかしくなっていたのである。
急いで逃げる未麻だったがルミはアイスピックや傘を持ち出し、無我夢中だ。
今までのルミからは想像もつかない豹変ぶりは、未麻を震え上がらせた。
しかし未麻もまたルミの攻撃に必死で抵抗をする。
だがもうすでにまともな精神状態では無いルミが、外へ飛び出しそれを追った未麻。
この時、ルミの腹に持っていた傘が弾みで刺さってしまう。
ルミが痛みに苦しみ車道に出たところで、向こうからトラックが走ってきた。
ヘッドライトをスポットライトだと勘違いするルミに、未麻は急いで彼女を助けに行く。

2人とも救急搬送されたのだが、そこで未麻は真相を知ることになる。
そう、今までの殺人事件も未麻の部屋のサイトを運営していたのも、ルミだったのだ。
そこにアクセスしていた内田を未麻になりきり利用していたのである。
ルミは多重人格障害を患い、アイドル時代の未麻になりきっていたのである。

未麻の傷は無事に回復、ルミのお見舞いに行った未麻は看護師に「あれ未麻かな?」「来るわけ無いじゃ無い!似ている人でしょ?」と噂されているのが聞こえた。
未麻は人気者になったのである。
車に乗り込んだ未麻はバックミラー越しに「私が本物よ」と微笑んだ。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』に気まずいシーンはあるか?

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』には、観る人を不快にさせたり、居心地の悪さを感じさせるシーンがいくつか存在します。特に、主人公の霧越未麻(きりごし みま)が、アイドルから女優へのキャリアチェンジを図る過程で、性的な役柄に挑戦したり、レイプシーンの撮影に臨んだりする場面は、視聴者に大きなショックを与えるでしょう。

このレイプシーンは、映画の中の設定であり、実際の暴力行為ではありませんが、未麻がその役を演じることで、自分の清純なアイドルとしてのイメージが崩れていく様子が描かれています。この経験は、未麻自身の精神にも大きな傷を残します。さらに、未麻のファンや関係者もこのシーンに複雑な感情を抱くため、観客もまた、強い不快感や気まずさを味わうことになるのです。

また、未麻のストーカー「ミマニア」の登場シーンは、不気味で緊張感に満ちており、見ている人に不安を覚えさせます。ミマニアは未麻に異常なまでの執着心を持ち、彼女を脅かす存在として描かれています。彼の異常行動がエスカレートする様子は、視聴者の心に強い緊張と不安を呼び起こします。

このような性的な描写やストーカーによる不安定な場面は、映画全体の暗く重い雰囲気を強調し、観る人に気まずさを感じさせる要因となっているのです。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』は、どのあたりが気持ち悪いのか?

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』の中で「気持ち悪い」と感じられる部分は、主に未麻の精神状態が徐々に崩壊していく様子が非常にリアルに描写されている点や、現実と幻覚の境界線が曖昧になる演出によって、視聴者自身も未麻と同じように混乱を味わうことにあります。

物語の中で、未麻はアイドルから女優へと転身を図る過程で、自らのイメージを一新するために過激な役柄に挑戦します。特に、レイプシーンを演じる場面やヌード撮影に臨むシーンでは、未麻の内面に激しい葛藤が生まれ、彼女の心が深く傷つく様子が生々しく描かれています。このようなショッキングな描写は、観客に強い不快感や「気持ち悪さ」を感じさせるのです。

さらに、未麻を追い詰める存在であるストーカー「ミマニア」の存在も、この映画の「気持ち悪さ」を演出する大きな要因となっています。ミマニアは未麻に異常な執着心を抱き、彼女を理想化する一方で、現実の未麻が自分の期待通りに動かないことに激しい怒りを覚えます。ミマニアの不気味な外見と行動は、物語全体に不安感を漂わせ、視聴者の心に強烈な印象を残します。

加えて、現実と幻覚の境界線が曖昧になる演出も、この映画の気持ち悪さを演出する要素の一つです。未麻が自分自身を見失っていく中で、現実と幻想の区別がつかなくなり、視聴者もまた、彼女と同じように混乱し、精神的に揺さぶられる感覚を味わうことになります。この巧妙な演出が、映画全体を通して不気味な雰囲気を醸し出し、「気持ち悪さ」を感じさせるのです。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』のラスト「私は本物だよ」の意味とは?

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』の最後に登場する未麻のセリフ「私は本物だよ」は、物語のクライマックスを象徴する重要な言葉です。このセリフが示すのは、未麻が自分自身のアイデンティティを取り戻し、現実世界において自分が誰であるかを明確に認識したということです。

物語の中で、未麻はアイドルから女優への転身を図る過程で、「本当の自分」を見失い、アイドル時代の自分と現在の自分との間で激しい葛藤を経験します。さらに、彼女を追い詰めるストーカーや、マネージャーのルミの異常な行動が、未麻の精神的な混乱に拍車をかけます。特にルミは、未麻のアイドル時代に強い執着を抱き、自分自身を未麻だと信じ込むほど精神が歪んでいきます。

ラストシーンにおいて、未麻はついに自分のアイデンティティを取り戻し、幻想と現実の区別がつくようになります。「私は本物だよ」という言葉は、彼女が過去のアイドルとしての自分ではなく、現在の自分であることを強く認識し、これからの人生を自分の意志でしっかりと歩んでいく決意を表明しているのです。

このセリフは、未麻が現実に対する強い意識を取り戻し、精神的に成長を遂げたことを象徴しています。映画全体を通して、未麻は自分の存在意義やアイデンティティに悩み苦しんできましたが、最終的にはその困難を乗り越え、強くて自立した人物として描かれるのです。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』で、なぜ例のシーンは必要だったのか?

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』の中で、「例のシーン」と呼ばれるレイプシーンは、物語全体の中で非常に重要な役割を果たしています。このシーンが存在する理由は、未麻がアイドルから女優へと転身する過程で直面する大きな葛藤を描き、物語のテーマである「アイデンティティの喪失」や「自己の混乱」を深く掘り下げるために欠かせないからです。

まず、このレイプシーンは映画の中の設定であり、実際に未麻が被害に遭っているわけではありません。しかし、彼女がこの過激な役柄に挑戦することで、自分の清純なアイドルイメージが崩れ、ファンや周囲の人々の反応に晒されることになります。未麻自身もこの役を演じることに強い抵抗を感じ、このシーンが彼女の心に大きな傷を残します。

このシーンは、未麻が「清純なアイドル」としての自分を脱ぎ捨て、大人の女優として新たな一歩を踏み出す象徴的な場面でもあります。しかし、その過程で彼女の精神状態は不安定になり、自分が本当は何者なのかを見失ってしまいます。レイプシーンが彼女の精神的な崩壊を加速させ、物語全体の緊張感や不安感を高めているのです。

また、ストーカーやマネージャーのルミが未麻に対して異常な執着心を抱く中で、このシーンは彼らにとっても大きなショックを与え、物語の展開に重要な影響を及ぼします。このように、レイプシーンは単なる過激な描写ではなく、物語のテーマやキャラクターの内面を掘り下げる上で欠かせない役割を担っているのです。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』は怖い作品なのか?

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』は、一般的なホラー映画とは異なり、サイコロジカルスリラーに分類される作品です。したがって、この映画が与える「怖さ」は、ドッキリ仕掛けや怪物の出現によるものではなく、主人公の精神的な崩壊や現実と幻覚の境界線が曖昧になることで生じる不安感に起因しています。

物語の中で、主人公の未麻はアイドルから女優へと転身を図る過程で、徐々に自分自身のアイデンティティを見失い、現実と夢の区別がつかなくなっていきます。この精神的な混乱が映画全体に広がり、観客もまた、未麻と共に現実が歪んでいく感覚を味わうことになります。つまり、この映画が与える恐怖は、視覚的なものではなく、心理的な緊張感や不安感なのです。

特に、未麻を追い詰めるストーカー「ミマニア」の存在が不気味さを際立たせており、彼の異常な行動や外見が、観客の心に強い恐怖心を植え付けます。また、物語が進行するにつれて、未麻を取り巻く現実がますます歪んでいき、誰が味方で誰が敵なのかが分からなくなる状況が、観客の心理的な不安を煽ります。

つまり、『PERFECT BLUE』は現実と幻覚の境界線が曖昧になり、主人公が精神的に崩壊していく様子が観客に恐怖心を与えるため、心理的な意味で「怖い」作品だと言えるでしょう。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』の殺人事件の犯人を考察

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』の物語の中で発生する一連の殺人事件の真犯人は、実は未麻のマネージャーであるルミだったことが明らかになります。物語全体を通して、未麻の精神状態が崩壊していく様子が描かれ、彼女自身も事件への関与を疑うほどに混乱しますが、最終的にはルミが犯人であることが判明するのです。

ルミは過去にアイドルとして活動していた経歴を持ち、現在は未麻のマネージャーを務めています。彼女は未麻がアイドルから女優へと転身することに強い抵抗を感じ、特に未麻が過激な役柄を演じたりヌードを披露したりすることに対して、強い不満と嫉妬心を抱いています。ルミは未麻のアイドル時代のイメージを守ろうとするあまり、次第に自分自身が未麻だと信じ込むようになり、精神が歪んでいくのです。

殺人事件は、未麻を脅かす存在に対してルミが激しい憎悪を抱いた結果、彼女自身の手によって引き起こされたものでした。特に、未麻の写真集の撮影者や、彼女の女優業に関わる関係者が次々と殺害されていく様子が描かれており、ルミは未麻のイメージを守るためにこれらの人物を排除しようとしていたのです。

映画のクライマックスでは、ルミが完全に未麻に成り代わり、自分がアイドル時代の未麻だと信じ込んで行動します。未麻自身がこの事実に気づき、ルミとの対決に至ることで、真相が明らかになります。ルミが精神的に未麻と同一化したことで、殺人事件を引き起こしていたという結末は、物語全体のテーマである「アイデンティティの喪失」や「自己の混乱」を見事に象徴しているのです。

映画『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)』がトラウマ映画と言われる理由とは?

『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』が「トラウマ映画」と呼ばれるのは、物語全体を通して描かれる登場人物の精神的な崩壊や、視聴者に突きつけられる強烈な不安感、そしてグロテスクな描写が、視覚的にも精神的にも大きな衝撃を与えるからです。

何よりも、主人公の未麻が精神的に追い詰められていく過程が非常にリアルに描写されており、彼女が徐々に現実と幻覚の区別がつかなくなり、自分自身を見失っていく様子は、観客にも生々しく伝わってきます。未麻はアイドルから女優への転身を図る中で、自分のアイデンティティに悩み、ストーカーやマネージャーのルミの異常な行動に翻弄されていきます。この精神的な圧力は、観る者にとっても非常にストレスフルで、映画が終わった後も心に強い影響を残すのです。

また、『PERFECT BLUE』には、グロテスクな殺人シーンや未麻がレイプシーンを演じる場面など、視覚的にショッキングな描写がいくつか含まれています。これらのシーンは単なる過激な表現ではなく、未麻の精神的な崩壊を象徴する重要な役割を果たしており、彼女の苦しみを生々しく伝えることで、観客に強い衝撃を与えるのです。

さらに、映画全体のトーンが不気味で、現実と幻想の境界線が曖昧であるため、物語が進行するにつれて視聴者自身も次第に不安定な心理状態に陥っていきます。この不安定さが映画を観終わった後も心に残り、頭の中で何度も繰り返し考えてしまうことから、「トラウマ映画」と評されるのです。

つまり、未麻の心理的な崩壊や、グロテスクな描写、そして映画全体に漂う不気味な雰囲気が重なり合うことで、観客の心に忘れがたい強烈な印象を残すため、『PERFECT BLUE』は「トラウマ映画」と呼ばれているのです。

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