映画『スリーパーズ』の概要:少年時代に犯した過ちから少年院に入り、そこで受けた恥辱の恨みを晴らすべく復讐を企てる四人の男の姿を描いたサスペンス。ケヴィン・ベーコン、ダスティン・ホフマン、ブラッド・ピット、ロバート・デ・ニーロら豪華キャスト共演でも話題に。
映画『スリーパーズ』の作品情報
上映時間:147分
ジャンル:サスペンス
監督:バリー・レヴィンソン
キャスト:ジェイソン・パトリック、ブラッド・ピット、ロン・エルダード、ビリー・クラダップ etc
映画『スリーパーズ』の登場人物(キャスト)
- シェイクス(ジェイソン・パトリック)
- 雑誌記者。過去に看守から受けた虐待を乗り越え職に就くが、本当は辛い記憶に蓋をし、見ないようにしている。
- マイケル(ブラッド・ピット)
- 若手検事で、シェイクスらと辛い過去を共有している。看守たちへの復讐を企てた第一人者。
- ジョン(ロン・エルダード)
- 地元で名を馳せるギャングの一人。過去に自分を辱めた看守たちに憎しみを抱いている。
- トミー(ビリー・クラダップ)
- ジョンと共にギャングのメンバーとして幅を利かせている。ジョンと行動を共にしている。
- ボビー神父(ロバート・デ・ニーロ)
- 少年時代からシェイクスらを見守る聖職者。やんちゃばかりしている彼らの身を案じている。
- ダニー・スナイダー(ダスティン・ホフマン)
- 元やり手弁護士。現在はアルコール依存症となり、まともに弁護ができず信用を失っている。
- ショーン・ノークス(ケヴィン・ベーコン)
- 少年院の看守。少年への性的嗜好があり、暴力で少年を支配している。
映画『スリーパーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スリーパーズ』のあらすじ【起】
1957年、マンハッタン。シェイクス、マイケル、ジョン、トミーの四人の悪友たちは小さな悪事を重ねながらも、日々退屈を持て余していた。彼らが住む町は通称“ヘルズ・キッチン”と呼ばれ、複数のギャングたちが牛耳っている危険と隣り合わせの町だった。
シェイクスたちは友人であり良き理解者でもある神父のボビーの手伝いで、頻繁に教会へ出入りしていた。彼らが悪の道へ進まぬよう教えを授けるボビーだが、シェイクスたちは聞く耳を持たず、悪事を重ねていた。
ある日、場末のダイナーの店主キング・ベニーの噂を聞いたシェイクスは、彼に興味を持つ。キング・ベニーは元ギャングのボスであり、現在も昔の繋がりで危険な仕事を受け持っているという。シェイクスはキング・ベニーを訪ね、ぜひ仕事を斡旋してほしいと頼む。
キング・ベニーから紹介された仕事に勤しむようになったシェイクスたち。内容は警察への賄賂の受け渡し役だった。危険な仕事だがまるで危機感のない四人を、ボビーは案じる。
そして1967年の夏。四人は暇潰しにホットドッグの屋台を盗む。追いかけてくる店主を尻目に屋台を引きながら逃亡を続ける四人は、屋台の重さに耐えかね、地下鉄への階段から屋台を落としてしまう。偶然にも、下から階段を上がってきていた老人に屋台が衝突。老人は重傷を負ってしまう。
裁判の結果、四人は一年間少年院へ送られることとなってしまう。
映画『スリーパーズ』のあらすじ【承】
四人が送られた少年院は、看守長のノークスを始め数人の看守たちが、少年へ暴力を振るいながら幅を利かせていた。
収監初日に囚人と騒動を起こした四人はノークスに目をつけられる。深夜、ノークスに呼び出された四人は地下室へ連れて行かれる。そこにはノークスの他にも三人の看守がおり、彼らによってシェイクスたちは性的暴行を加えられる。シェイクスたちの、地獄のような日々が始まる。
ノークスたちによるシェイクスらへの性的暴行は日常茶飯事となっていた。ある日、運動の時間に看守チームと囚人チームに分かれ、アメフトの試合が開催される。日頃の恨みが募っていたシェイクスたちは本気で試合に挑み、看守たちを負かすが、怒り狂ったノークスたちにより四人は手ひどい暴行を受ける。
やがて刑期を終え、それぞれの人生を送っていた四人。シェイクスは雑誌記者となり、マイケルは地方検事、そしてジョンとトミーは相変わらずギャングとして悪事を重ねていた。
ある日ジョンとトミーが行きつけのBARへ向かうと、年老いたノークスに遭遇する。蓋をしていた過去の傷が再び開いたジョンとトミーは、怒りに任せノークスを射殺する。
映画『スリーパーズ』のあらすじ【転】
ジョンとトミーが逮捕されたと聞き、二人に面会へ行くシェイクスだったが、もはや二人の重刑は逃れようもないと思われた。そんなある日、久しぶりにシェイクスのもとにマイケルから連絡が来る。
マイケルはシェイクスに「復讐をしよう」と告げる。ジョンとトミーの事件をきっかけに、少年院の実態を暴こうと言うのだ。マイケルは二人の裁判の検事に就くことに。あえて二人の敵に回ることで、裏で裁判を動かそうと画策する。
キング・ベニーの口利きで、アルコール中毒の弁護士ダニー・スナイダーが二人の弁護に就く。しかし彼はまともに弁護士として機能する状態にはなく、彼の台詞をすべてマイケルが代筆した。
マイケルの策略により、当時の看守の一人を召喚し、そこで少年院での性的暴行の実態を明るみに出すことに成功したシェイクスとマイケル。あとはジョンとトミーの無罪を勝ち取るだけだった。
しかし無罪を勝ち取るには偽の証言をしてくれる証人が必要となる。シェイクスは、発言力があり誰もが聞く耳を持つ人物として、ボビー神父に偽証をしてくれるよう頼みに行く。
映画『スリーパーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
シェイクスの頼みを聞いたボビーは「神に背く行為だ」と頼みを一蹴する。そこでシェイクスは切り札として、今まで誰にも打ち明けられなかった少年院での恥辱の限りをボビーに打ち明ける。
そして証人喚問の当日、ボビーは姿を現し、事件当夜ジョンとトミーと共に野球観戦をしていたと、二人の無実を主張する偽証をする。このボビーの証言が決め手となり、二人は無罪放免となる。
マイケルは今回の裁判をきっかけに検事を辞め、田舎で大工として細々と暮らし始める。そして久々に四人で集まった夜、そこにはまだ少年院に入る前の、この先の苦しみを知らない無垢な頃の彼らの笑顔があった。一晩中、友情を語り合った彼ら。
ジョンとトミーは29歳になる年に、ギャングの抗争によって命を落とす。シェイクスは引き続き雑誌記者として、生活を続けていった。田舎へ引っ込んだマイケルとも連絡を取り合うことも無くなった。
実質あの夜が、四人で会った最後の夜となった。
映画『スリーパーズ』の感想・評価・レビュー
少年時代のちょっとしたイタズラが人生を変えてしまうという重いストーリーは、終始暗い雰囲気が漂っている。突然の不幸やアクシデントは常に平凡さと隣り合わせなのかもしれないと我が身を振り返り考えさせられる。少年院で体験することには悲惨さとおぞましさしかなく、行き過ぎた非道な扱いを受ける理由の一旦が主人公たちにあるだけに、気持ちのやり場がない。ひどい仕打ちを極端なまでに際立たせて描く以上、思い切りスカッとする復讐をして欲しいと願いながら物語は進み、確かにその思いは遂げられるけれど、少年たちの人生の末路には相当な後味の悪さが残る。
実際にありそうな人生の悲劇を形にしてくれたという意味では意義深い映画。(女性 30代)
あえていうのであれば、因果応報という言葉が当てはまる作品。ヤンチャな少年達の悪事が、それぞれの人生を大きく変え、さらに大きな復讐心へと変わっていくといった展開。悪い事をすれば、それ以上の無慈悲な報いが跳ね返ってくる。そして、そこから生まれた復讐心は結果的に自らの人生を短くしていくのである。現実的にこういった行動をとる事もあまり無いだろうし、なかなか共感が難しい作品だが、反面教師として見るというのも良いかもしれない。(男性 30代)
タイトルの『スリーパーズ』は、「少年院上がりの人」を意味する。
ちょっとした悪ふざけが原因で少年院に送られた幼馴染の少年4人。そこで彼らは、看守による暴力や性的虐待を受けて地獄のような日々を送った。心の傷が癒えないまま大人になり、彼らはある事件をきっかけに看守たちへの復讐を企てるというストーリー。
少年院のシーンは、観ることも辛かった。
そして、復讐を果たしても彼らの気持ちが晴れないところに、人生の重みや後味の悪さを感じた。
しかし、そういったものを超えた4人の友情は、他の何にも代えがたく素晴らしいものだった。(女性 20代)
些細なことがその後の人生に大きく影響してしまうという残酷さ、そして辛い思いを共有した者たちに生まれる団結力が描かれている。
少年時代のいたずらが引き起こした不幸。本来であれば更生させるために存在しているはずの少年院で繰り広げられる看守たちによるおぞましい性的暴力。
ロバート・デニーロが演じた、彼らの身を案じるボビー神父の存在が、あまりに悲惨な少年たちの人生における潤滑油のように感じた。
ブラッド・ピットや極悪看守役のケビン・ベーコンなど、存在感ある俳優が多数出ていて豪華だが、テーマが重いので華やかさはなく、ひたすら暗い映画という印象である。(女性 40代)
少年時代のシェイクス、マイケル、ジョン、トミーの四人は、悪ガキという言葉がピッタリと合う人物だった。きっと、根っからの悪人ではないと思う。ホットドッグの屋台を階段から落としてしまったときの、驚愕と後悔が混じった彼らの表情が印象に残っている。この時、もっと考えて行動していれば、彼らの友情は大人になっても続いていたのではないかと思う。
少年院での一件が明るみに出たことは良かったと思うが、手放しで喜べるような結末ではなかった。見終わった後に悲痛な気持ちが残る作品だった。(女性 30代)
実話かフィクションか論争はまだ続いてるのだろうか。看守による暴行殺害事件とその被害者の少年たちを描いており、それを大人になった少年たちの復讐という形で展開していくストーリーも面白い。少年時代が綿密に描かれており見応えがあった。
キャストも豪華だ。とにかくロバート・デ・ニーロ演じる神父がカッコよくて、彼が加わることにより物語の濃度が増していた。自身の中の倫理観に揺れ動く神父の選択した答えには思わず泣いてしまった。(女性 20代)
アメリカの刑務所のリアルを見せるテレビ番組を鑑賞した際に、刑務所の中ってこんなにヤバいんだと感じましたが、少年院でもそれは同じで、よく描かれるクズな看守は本当にいるのかもしれない…と感じてしまいました。
若気の至りなんて言葉がありますが、当時の彼らが起こした些細な過ちは「若気の至り」で済まされるかもしれません。しかし、そこから始まる少年院での生活や復讐は小さな過ちで済まされるような事ではなく、彼らの人生を大きく変えてしまったのだと感じました。
決してハッピーエンドではありませんが、仕方ないのかなと納得してしまうような作品でした。(女性 30代)
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