映画『トレジャー・プラネット』の概要:トレジャー・プラネットと呼ばれる惑星には、大海賊フリント船長の財宝が隠されていると言われていた。15歳のジムは、トレジャー・プラネットへの地図を手に入れ、財宝を探す冒険旅行へ出発する。かの有名な冒険小説『宝島』を原作としたディズニー長編アニメーション。
映画『トレジャー・プラネット』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:アニメ、アドベンチャー、SF
監督:ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー
キャスト:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブライアン・マーレイ、エマ・トンプソン、デヴィッド・ハイド・ピアース etc
映画『トレジャー・プラネット』の登場人物(キャスト)
- ジェームス・プレアデス・ホーキンス(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
- 通称ジム。モントレッサという惑星で暮らす15歳の少年。幼い時に父親が蒸発し、それが心の傷になっている。多くの可能性を秘めた才能ある少年だが、自分を見失い、問題ばかり起こしている。偶然助けた男から、トレジャー・プラネットの地図を託される。
- ジョン・シルバー(ブライアン・マーリー)
- フリント船長の財宝目当てに、トレジャー・プラネットを探している海賊のボス。正体を隠してジムたちに近づき、地図を奪おうと企んでいる。右半身がサイボーグの悪党ではあるが、ジムとは相性が良く、息子のように可愛がる。モーフというスライム状の生き物をペットにしている。
- デルバート・ドップラー(デヴィッド・ハイド・ピアース)
- モントレッサで暮らす天文物理学者。ジムからは「博士」と呼ばれている。ジムの母親が営む食堂の常連客で、ジム一家とは古い付き合い。宇宙探検が夢だったので、ジムの冒険旅行に同行する。
- アメリア船長(エマ・トンプソン)
- デルバートの依頼で、宇宙帆船のレガシー号を出航させる女性船長。頭のいい勇敢な女性で、どこか頼りないデルバートやジムをサポートしてくれる。
- サラ・ホーキンス(ローリー・メトカーフ)
- ジムの母親。夫が蒸発してからは、「ベンボウ亭」という小さな食堂をひとりで切り盛りし、ジムを育ててきた。ジムの非行に心を痛めている。
- ベン(マーティン・ショート)
- 独りぼっちでトレジャー・プラネットに残されていたロボット。100年前までフリント船長の手助けをしていたが、情報を漏洩しないよう記憶回路を外されてしまい、過去のことが思い出せない。人恋しさから、ジムについてくる。
- アロー(ロスコー・リー・ブラウン)
- アメリアの右腕としてレガシー号に乗っている一等航海士。信頼できる男だが、スクループに殺されてしまう。
- スクループ(マイケル・ウィンコット)
- シルバーの手下。船員としてレガシー号に乗り込んでいる。蜘蛛とサソリをミックスしたような姿をしており、非常に凶暴。ジムに優しすぎるシルバーに、不信感を抱いている。
映画『トレジャー・プラネット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『トレジャー・プラネット』のあらすじ【起】
銀河系に浮かぶ惑星のモントレッサで暮らすジムは、海賊のフリント船長の物語が大好きな明るい少年だった。その本には、はるか銀河の彼方に「トレジャー・プラネット(宝の惑星)」と呼ばれる惑星があり、そこにはフリント船長が奪った莫大な量の財宝が隠されていると書かれていた。幼いジムは、「トレジャー・プラネットは本当にある」と可愛いことを言って、母親のサラを笑わせていた。
それから12年後。15歳になったジムは、度々問題を起こす不良少年になっていた。ジムは、8歳の時に自分でソーラーボードを作ってしまうほど聡明な子供だったが、父親が蒸発してから笑顔を失い、心を閉ざすようになっていた。
サラは「ベンボウ亭」という小さな食堂を営み、ジムを育ててきた。店の常連客で、有名な天文物理学者のデルバートは、ずっとサラの悩みを聞いてきた。そんなサラの気も知らず、ジムは今日もソーラーボードで禁止区域を爆走し、警察に捕まる。警察から「今度問題を起こしたら少年院に送る」と注意され、サラはジムを叱る。しかし、ジムはどうしても素直に謝ることができない。ジムもまた、そんな自分に嫌気がさしていた。
その日の夜、店の屋根に登っていたジムは、すぐそばに船が墜落したのを目撃する。重傷を負った乗組員の男は、宝箱に入った金の球をジムに託し、「サイボーグに気をつけろ」と言い残して息絶える。その直後、男を襲った奴らがベンボウ亭に押し入ってきたので、ジムとサラは、デルバートの家に避難する。奴らの攻撃で、ベンボウ亭は燃えてしまう。
ジムが何となく金の球をいじっていると、中から立体地図が飛び出してくる。その地図は、あのトレジャー・プラネットの位置を示していた。ジムは、ずっと憧れてきたトレジャー・プラネットへ行き、フリント船長の財宝を持ち帰ると言い出す。サラは危険だと反対するが、「この旅は彼のためになる」とデルバートに説得され、ジムの冒険を許す。同行するデルバートにとっても、宇宙探検は長年の夢だった。そしてジムは、この旅をやり遂げて、母親の信頼を回復したいと思っていた。
映画『トレジャー・プラネット』のあらすじ【承】
デルバートは、銀河を横断する危険な旅に備え、アメリアという有能な女性船長が運行する「レガシー号」を手配する。出発の日、ジムとデルバートは期待に胸を膨らませ、スペースポートに停泊するレガシー号に乗り込む。
アメリアは2人を船長室に連れて行き、船内で地図のことを話さないよう注意する。アメリアは、直属の部下のアロー以外の船員は、信用できないと考えていた。自分が雇った船員を疑われ、デルバートは不愉快になるが、アメリアには逆らえない。地図は船長室で厳重に保管されることになり、ジムはコックのシルバーを手伝うよう命じられる。
アローの案内で調理室へ向かったジムは、右半身がサイボーグのシルバーに、警戒心を抱く。シルバーは、モーフと呼ばれるスライム状の生き物をペットにしている陽気な男だったが、どこか胡散臭かった。ジムはわざとモントレッサの話をして、シルバーの様子を探る。シルバーは平然としていたが、ジムは警戒心を緩めていなかった。
レガシー号は帆を張り、宇宙へと飛び立つ。船には人工重力機能があり、宇宙空間でも体が浮かび上がらない仕組みになっていた。シルバーの命令で、甲板の掃除をしていたジムは、乗組員のスクループに絡まれる。そのピンチをシルバーが救ってくれた。
ジムはシルバーにお礼を言って、父親の話をする。シルバーはジムに同情し、「これからは俺の目の届くところにいろ」と言ってくれる。ジムはシルバーのことを信用するようになり、一生懸命働く。シルバーも、そんなジムのことが可愛くなり、何かと面倒を見る。ジムはシルバーの中に、父親の面影を見るようになっていた。
そんなある日、レガシー号は新星爆発に遭遇し、爆風で吹き飛ばされそうになる。船員たちは体に命綱をつけ、船から落ちないように必死で耐える。何とか爆風には耐えたものの、今度は爆発後にできるブラックホールに吸い込まれそうになる。デルバートの知識とアメリアの操縦技術を駆使し、レガシー号は衝撃波を利用して安全圏への脱出を図る。その際、アローは船から落ちてしまうが、命綱のおかげで助かる。しかし、前々からアローの存在を煙たがっていたスクループが、人知れずアローの命綱を切ってしまう。宇宙空間に投げ出されたアローは、ブラックホールへ吸い込まれていく。
安全圏への脱出が成功し、アメリアは命綱を守っていたジムを褒めてくれる。ところが、スクループから「アローの命綱が外れた」と報告があり、ジムはショックを受ける。シルバーは、「お前は力を秘めている、自分の目標に向かって最後まで突き進め」と言って、ジムを励ます。シルバーの言葉に感動したジムは、彼の胸に顔を埋めて涙を流す。その様子を、スクループが見ていた。
映画『トレジャー・プラネット』のあらすじ【転】
翌朝、いたずらしたモーフを追いかけ、調理室へ入ったジムは、シルバーと船員たちの密談を聞いてしまう。シルバーはスクループから「ジムに甘すぎるのではないか」と責められていた。シルバーは、「優しくしたのは小僧を手懐けるためだ」と反論し、自分の狙いはあくまでフリント船長の財宝であることを強調する。シルバーは、あの男が気をつけろと警告していたサイボーグだったのだ。そしてスクループたち船員は、みんなシルバーの手下だった。
ちょうどその時、船からトレジャー・プラネットが見える。シルバーは、トレジャー・プラネットに着陸してから地図を奪うつもりにしていたが、ジムに自分の正体を知られてしまったため、船を乗っ取るよう指示を出す。
船長室に逃げ込んだジムは、アメリアとデルバートと一緒に、小型ボートでの脱出を目指す。ところが、いたずら好きのモーフが地図を咥えて逃げてしまったため、ジムはモーフを追いかける。そこでシルバーと対峙するが、シルバーはジムにトドメを刺すことができない。ジムは地図をポケットに入れ、アメリアたちとボートで脱出する。
レーザー砲の攻撃を受け、ボートは後方を破壊されてしまうが、トレジャー・プラネットに不時着することはできた。しかし、ポケットの中の地図は変身したモーフで、本物はまだレガシー号の中にあった。ジムはひとまず隠れ場所を探すため、偵察へ向かう。デルバートは、脱出時にケガをしたアメリアを介抱し、ジムの帰りを待つことにする。
偵察中、ジムはベンという名のロボットと出会う。100年も独りぼっちだったベンは、ジムを見て歓喜し、一緒に行動したがる。ベンは頭部の記憶回路を外されており、その話は支離滅裂だったが、どうやらフリント船長のもとで働いていたらしい。ジムはベンの家を隠れ家に決め、デルバートとアメリアを移動させる。
シルバー一味は隠れ家を包囲し、地図を渡すようジムに迫る。シルバーは、本物の地図がレガシー号の中にあることに気づいていなかった。ジムはシルバーと2人で話をするため、外に出る。シルバーは、自分に従えば財宝を半分やると取引を持ちかけるが、ジムはそれをきっぱり断る。シルバーは怒り、明日の夜明けまでに地図を渡さなければ、レーザー砲でみんなを吹っ飛ばすとジムを脅す。
映画『トレジャー・プラネット』の結末・ラスト(ネタバレ)
その夜、ベンの家の裏口から外へ出たジムは、シルバー一味のボートを奪い、レガシー号に侵入する。船内で、ジムは地図を探し、ベンがレーザー砲の回線を切りにいく。途中でベンがドジをして、見張り役のスクループに気づかれてしまうが、ジムはスクループを倒し、地図を手に入れる。
隠れ家へ戻ると、アメリアとデルバートがシルバーに捕まっており、地図も奪われてしまう。しかし、シルバーでは地図が開けなかったため、ジムが地図を開き、全員で地図の導く方向へ移動する。
地図が示した先には、地図と同じ形のくぼみがあり、そこに地図を置くと、巨大な扉が出現する。この扉は、地図で指差した場所と繋がる仕組みになっており、この地図さえあれば、どの星へも一瞬で移動することができた。フリント船長は、この地図を使い、あちこちの星から宝物を奪っていたのだ。ジムは、「財宝は機械の中心に埋まっている」というベンの言葉から、この惑星そのものが機械なのではないかと考える。ジムの推測通り、地図上に浮かぶこの惑星を指差すと、扉が惑星の中心部と繋がる。そこには、信じられない量の財宝が隠されていた。
財宝の山の中に、フリント船長の骸骨が乗った船があった。ジムは、フリント船長の骸骨がベンの記憶回路を握っているのを発見し、その部品をベンの頭部に戻してやる。全ての記憶を取り戻したベンは、フリント船長が仕掛けた罠を思い出す。それは、侵入者を感知すると、惑星全体が吹っ飛ぶという恐ろしい罠だった。
ジムは「5分で戻らなければ、デルバートたちと出発しろ」とベンに告げ、フリント船長の船に残る。ジムはなんとかしてこの船を動かし、財宝を持ち帰りたかった。しかし、すでに惑星全体が崩れ始め、危険な状態になっていた。ジムは船を動かすことに成功するが、そこにシルバーが乗り込んでくる。2人は衝撃で船から落ち、ジムは最大のピンチを迎える。
船を掴んでいたシルバーは、手を伸ばしてジムを助けようとするが、ギリギリで手が届かない。シルバーは迷った末、財宝を積んだ船を諦め、ジムを助ける。そこへ、船に乗ったベンたちが、ジムを救いにくる。しかし、船のエンジンが破壊され、時間内に安全圏まで逃げられないことがわかる。
ジムは地図を操作して扉の先の空間を変えるため、即席のボードで地図まで戻る。みんなが乗った船は、ジムの成功を信じて、扉の方へ引き返す。ジムは「目標に向かって突き進め」というシルバーの言葉を思い出し、この大役をやり遂げる。
一行は、無事にポートレートまで戻ることができた。シルバーは刑務所行きになることを恐れ、小型ボートで逃げることにする。ジムはそんなシルバーを見逃し、彼との別れを惜しむ。シルバーは餞別に、ポケットに隠し持っていた財宝とモーフをくれた。そしてシルバーは、宇宙へと飛び立っていく。
後日、シルバーがくれた財宝で、ベンボウ亭は建て直され、賑やかなパーティが開かれる。ジムは宇宙アカデミーに入学し、サラの信頼を取り戻す。デルバートとアメリアは結婚し、可愛い赤ちゃんに恵まれる。ベンとモーフも、ここでの暮らしを楽しんでいた。ジムはとても幸せだったが、ふとシルバーのことを思い出し、切ない気持ちになるのだった。
映画『トレジャー・プラネット』の感想・評価・レビュー
フリント船長という人物が残した宝を海賊達が追い求めるという、今でいうワンピースのような展開のアニメーション映画である。こういったストーリーは、意外と宝は仲間達との絆だったなどといったオチがあったりするが、この映画は実際に財宝が見つかるのでご安心頂きたい。(とはいえ財宝はほぼ結局手に入らなかったのだが)主人公ジムも15歳らしい幼さと勇敢さを持った好感のもてるキャラクターだが、元々フリント船長と共にいたベンが、スターウォーズでいうC3-PO的な愛らしさがあり、お気に入りである。(男性 30代)
当時の最高技術を駆使したであろう美しい宇宙空間が非常に幻想的です。出来ることなら映画館のスクリーンで観たかったです。また、SFを絡めた大冒険で成長する主人公の姿を描くストーリーにも文句なし。それでも、この作品はディズニーアニメーション映画の中でもかなり異端ではないでしょうか。その理由は、敵か味方なのかが謎のジョン・シルバーの存在です。ディズニーは勧善懲悪な世界ですからね。彼が物語を少し渋くしてくれています。(男性 20代)
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