映画『アローン』の概要:遊園地へ遊びに行った翌日、忽然と都市部の人々が姿を消してしまう。主人公は出会った少年少女と共に生存するため、力を合わせて奮闘。街を囲む毒霧が範囲を狭める中、彼らの前に襲撃者が現れ驚くべき事実を知ることになる。
映画『アローン』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:SF、アクション
監督:ダヴィド・モロー
キャスト:ステファヌ・バク、トマ・ドレ、ソフィア・ルサーフル、ジャン=スタン・デュ・パック etc
映画『アローン』の登場人物(キャスト)
- レイラ(ソフィア・ルサーフル)
- レーサーの兄をとても慕っている女子高生。自らもレーサーとして活躍している。気が強く、リーダーシップを取ることができる。
- ドジ(ステファヌ・バク)
- 警察に逮捕されていた黒人少年。不良然としていたが、レイラに救われたことで恩を感じ手助けしてくれる。実は孤児で教会にて育てられた。レイラに好意を抱く。
- サウル(トマ・ドレ)
- 誘拐事件の被害者だった。金髪の少年で酷く攻撃的。非常に賢くナイフマスターの少年を騙し、レイラ達を襲撃する。カミーユを攫い嫁に迎えようとしていた。
- テリー(ジャン=スタン・デュ・パック)
- 中学生の少年。障害の子供達を支援する母を持ち、ナイフマスターの少年のことも知っていた。幼いながらも勇敢で、レイラを助けてくれる。
- イヴァン(ポール・スカルフォリオ)
- 大富豪の息子。争い事を好まず、いつも及び腰。両親が車の収集家であったため、自宅の車庫にはスポーツカーから軍仕様の装甲車まである。
- カミーユ(キム・ロックハート)
- レイラと同年代の少女。厳格な母親によって抑制された生活を強いられていた。メガネがないと強い不安を覚える。
映画『アローン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アローン』のあらすじ【起】
カートレーサーであった兄の影響を受け、自らもレーサーとなった女子高生レイラ。大会にてあと少しというところで優勝を逃してしまう。更に病を再発してしまった兄が再入院することになってしまい、レイラはこれまで以上に落ち込んでしまうのだった。
学校では病気の兄のことをからかわれ、同級生を殴るという問題を起こしたレイラ。苛立ちを紛らわせるため、遊園地へ行ってひとしきり遊ぶことにした。
ところが、その翌日。いつものように目覚めたレイラは、自宅に誰もいないことに気付く。しかも、近所にも人の姿が一切、見えず。慌てて病院へ向かったが、病気の兄でさえも忽然と姿を消しているのだった。
3時間、駆け回って探したが、人の姿はどこにもない。一休みしたところで、ふとラッパの音が聞こえる。慌てて音を辿り、少年テリーと少女カミーユを発見。3人は行動を共にすることにし、警察署にて何らかの情報を得ることにした。
だが当然、警察署にも人がいない。唯一、逮捕された黒人少年を発見したものの、彼はバイクを盗んで走り去ってしまうのだった。
電話も無線もネットも通じない。大人は誰一人いない。事態の把握もできない。そんな状況の中、レイラはテリーとカミーユに起床時間を確認。朝6時には大人が姿を消していたことだけが判明する。レイラは高いビルの屋上から周囲を見回してみようと提案した。
移動手段として自転車を入手。3人は一番、背の高いビルへ向かったが、ビルには明かりでSOSと記されていた。少なくとも、夜が明ける前に何かが起きたと思われる。中へ入りエレベーターへ乗ったところで、勝手に起動。何者かの指示により荷物を手放し、ある階へと誘われる。そこではイヴァンという少年が待っていた。彼の話によると昨夜の記憶も失われているらしい。同様にレイラたちにも昨夜の記憶がなかった。
億万長者イヴァンの両親が持つ車を拝借。4人は翌朝、車で周囲を探索したが、トンネルの途中で倒れている黒人少年を発見。左肩をボーガンの矢で撃ち抜かれ、転倒したと思われる。4人は彼を救出したものの、他にも誰かがいるらしくボーガンでの攻撃を受ける。ホテルへ逃げ込み、ひとまずは傷の手当てを行った。
映画『アローン』のあらすじ【承】
翌日には、黒人少年ドジの意識も戻り動けるまでに快復。彼が明確な目的を持っている様子だったため、後を追って移動を開始。高速道路のその先に黒煙と灰が舞う霧が広がっているのを知る。近寄ると熱波と毒煙にやられてしまうようだ。霧は街を囲み抜けることもできない。
街に戻ってカミーユの自宅へ立ち寄った後、車の停車場所へ戻ったが、車が見当たらない。レイラ達はトンネルの中へ移動していた車を発見したが、背後から仮面を被った何者かに襲われ全員で逃走した。安全な場所へ逃げ込んだ5人。テリーが相手の動画を撮っていたため、謎の襲撃者をナイフマスターと仮名することにした。
翌日、イヴァンの計らいで装甲車を入手。これに乗って霧を突破する算段だった。だがその時、ラジオ電波を利用し通信が可能となる。住民は全員避難させたと言うが、救出するには24時間が必要だと言う。通りの名前と座標を知らせ、一行は大喜び。その夜はホテルへ戻って時間を過ごすことにした。
しかし、深夜になってナイフマスターがレイラを襲撃。異変を察したドジが駆け付けてくれたので、どうにか助かった。
翌朝、霧が徐々に範囲を狭めていることが判明。こんな時にドジはどこかへ出かけて不在。レイラは彼を追いかけ、郊外の教会で発見する。霧が範囲を狭めていることを知らせたところで、ホテルの方角から救難信号が上がった。
映画『アローン』のあらすじ【転】
急いで戻ったが、カミーユが見当たらない。どうやら攫われたようである。ホテルの廊下にドローンが待ち構えており、彼女に会いたければついて来いと言う。一行は装甲車に乗り込み追跡。倉庫街へ到着するも、中へは1人しか入れないと言われてしまう。そこで、レイラはイヴァンが持っていた銃をドジに託した。
だが、レイラは彼の身を案じ、護身用のショットガンを手に単独で中へ突入。進んだ先には簡易に作られた隔離施設が設置されていた。中にはありとあらゆるナイフが吊り下げられている。どうやらナイフマスターの根城らしい。そこには、胸を一突きにされ絶命したドジがいる。更にレイラはナイフマスターに襲われ、窮地に陥ってしまう。彼女の後を追って来たテリーに救われ、事なきを得た。ナイフマスターもまた少年だった。
ドジを教会へと丁重に埋葬し、拘束したナイフマスターから話を聞こうとしたレイラ。彼女はドジを殺されたことで怒っていたが、少年はどうやら障害を持った子らしい。テリー曰く、彼には計画して行動する能力はないようだ。恐らく、少年を操る黒幕がいると思われる。
その夜、ラジオ電波を通じて通信が入る。救出地点の変更を訴えたレイラ達だったが、その通信でさえ例の黒幕の仕業だったことが判明する。どうやらカミーユは未だ、相手の手の内にあるようだ。歯噛みする一行であったが、そんな時に霧が猛威を振るって範囲を狭めてくる。レイラはナイフマスターを連れ、急いで霧の脅威から逃走した。
ラジオ電波の発信源は依然としてはっきりせず、端末機器に詳しいイヴァンでも見つけようがないと言う。だが、ラジオからは音が流れ続ける。その中からテリーが馬の声を聞きつけ、黒幕の潜伏場所は恐らく遊園地のサーカスに違いないと推理。レイラ達は遊園地のサーカスへと向かった。
映画『アローン』の結末・ラスト(ネタバレ)
案の定、カミーユの悲鳴と怒鳴り声が聞こえる。レイラとイヴァン、テリーはそれぞれに武器を手にして中へ潜入した。テントの中では、透明な箱に閉じ込められたカミーユが吊るされている。黒幕の男もまた、レイラ達と同年代の少年である。しかし、そこへ車中に置いて来たはずのナイフマスターが姿を現す。レイラ達はナイフマスターに逃げろと促したが、彼は立ったまま微動だにしない。黒幕の少年はナイフマスターをいとも簡単に殺害してしまうのだった。
少年はカミーユを連れて別の場所へ移動しようと考えているようで、彼女を地面へと乱暴に下ろした。そこで、3人は同時に姿を現す。イヴァンが黒幕の少年に見覚えがあると言い、誘拐事件の被害者サウルであったことを思い出すのだった。
サウルと対峙したレイラは、彼がポケットから武器を取り出すものと思い込み、つい引き金を引いてしまう。サウルは手にチラシを持っていた。そのチラシを目にしたレイラは愕然としてしまう。彼女はふらりとサーカスから出て遊園地の中をさ迷い歩く。失われた記憶を辿り、そうしてとうとう同じチラシが張り出されているのを発見。
レイラが遊園地へ遊びに行った夜、遊園地内で火災が発生した。その時、巻き込まれて亡くなったのが、レイラ達だったのである。自分達はすでに死んでいたのだ。
死者を再び殺害することはできない。ということは、恐らく死んだはずのドジもきっと死んではいないはず。彼女はドジを埋葬した場所へ戻り、土を掘り返した。
予想通りドジが息を吹き返していたため、急いで救出。そうして、自暴自棄となったレイラは、生身のまま霧の中へ足を踏み出してしまう。咄嗟にドジが助けてくれたが、レイラは高熱を発し意識を失うのだった。その際、夢の中で兄と再会し、霧を抜けて橋を渡れとアドバイスをもらう。
意識のないレイラを抱き仲間達と合流したドジは、彼女の熱を下げるため、沼に浸して戻ることを願った。無事に復活を遂げたレイラは、各々にガスマスクを装着させ装甲車で霧を抜ける決断をする。そうして、車は霧へ突入。激しい嵐のような道なき道を進み、霧の外側へ。
その先には長閑な草原が広がっていた。5人は車から降りて外へ踏み出して行く。橋を渡った先には白を基調とした学園のようなものがあった。そこには同年代の少年少女が大勢いて、どこか平和的な雰囲気を醸し出している。更に歩を進めた5人。広場へと到達したが、中心の高い塔の上にサウルがいることに気付き、愕然として見上げるのであった。
映画『アローン』の感想・評価・レビュー
ヨーロッパで人気のコミックシリーズを実写化した作品。原作を目にする機会がなく、本来のストーリー展開を把握していないのだが、単体でも十分に楽しめる構成になっている。一夜明けたら、自分達以外の全員が姿を消していたという設定。都市部の周辺には高熱と毒霧が立ち込め、更にそれらが徐々に範囲を狭めるという切迫感。更に登場人物が非常に少なく、それも年若い少年少女だけという謎。これだけでも十分、サスペンスが成り立っている。
わくわくするストーリー展開だが、更に襲撃者が出現することで危険度が倍増。だが、襲撃者がなぜ生存者を襲うのか動機は判然としない。更に霧を抜け出した先に主犯の少年が再び現れることで、次へのステップを想像させる。なかなかに憎い演出をする面白い作品。(MIHOシネマ編集部)
少年少女が誰もいなくなってしまった世界で謎を解き、いなくなった人を助けるために奮闘する映画。かと思って見始めましたが、全く違いました。誰もいない世界や自分たちしか知らない世界で少年少女が冒険する作品大好きなんです。この作品でももちろんそういうシーンはあります。しかしサスペンス要素が入っているので後半はハラハラドキドキと言うよりは、ちょっと難しいかなり不思議な感じ。
ラストは続編見てください!と言わんばかりの放り投げた終わり方。びっくりしましたがある意味潔いです。(女性 30代)
人一人いない街や夜の移動遊園地の、ひんやりとした世界観が実に美しい作品です。ロケーションについては申し分ありません。目覚めると誰もおらず、数人の子供達が出会うストーリーも、冒険しているようで楽しいものでした。終始あまり盛り上がらず、ラストも正直よく分からない終わり方で、自ら多く想像しないと理解できない内容なのかもしれません。ミステリー、SF、ファンタジーあらゆる要素が詰まっているフランス映画だと感じました。(女性 30代)
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