この記事では、映画『哀愁しんでれら』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『哀愁しんでれら』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『哀愁しんでれら』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2021年 |
---|---|
上映時間 | 114分 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 渡部亮平 |
キャスト | 土屋太鳳 田中圭 COCO 山田杏奈 ティーチャ |
製作国 | 日本 |
映画『哀愁しんでれら』の登場人物(キャスト)
- 福浦小春 / 泉澤小春(土田太鳳)
- 児童相談所に務める女性。子どもの頃に母親に捨てられた経験から、自らは愛情を持って子どもに接したいと考えている。
- 泉澤大悟(田中圭)
- 医師。妻を交通事故で亡くし、娘と二人暮らしをしている。
- 泉澤ヒカリ(COCO)
- 大悟の娘で、小学生。2歳の頃に母を亡くしたため、母の記憶はほとんどない。
- 福浦千夏(山田杏奈)
- 小春の妹で、高校3年生。進学したいが家計が心配である。
映画『哀愁しんでれら』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『哀愁しんでれら』のあらすじ【起】
児童相談所で働く小春は、子どもの将来は、母親の努力で決まると思っている。実は10歳のとき母に捨てられた経験があり、あんな親にはなりたくないという強い気持ちがあるからだ。
ある日祖父が風呂で倒れ、父の車で病院に連れて行こうとするが事故に遭ってしまう。しかも救急車で祖父を搬送してもらっている間に、自宅が火事になる。仕方なくその夜は彼氏の家に泊めてもらおうとするが、職場の先輩と寝ている現場を目撃してしまう。
絶望した小春が通りを歩いていると、泥酔した男が踏切内で倒れているのを発見する。警報機が鳴り始め一瞬怯んだ小春だったが、何とか助けることに成功する。お礼をしたいという男から名刺を受け取り、後日二人は会うことになる。彼・大悟は交通事故で妻を亡くしており、娘・ヒカリと二人暮らしだという。ヒカリが小春に懐いたことをきっかけに、二人は親しくなっていく。
映画『哀愁しんでれら』のあらすじ【承】
大悟と小春は、ヒカリの誕生日に入籍した。大悟の先妻はヒカリが2歳のときに亡くなったが、実は別の男と一緒にいるときに交通事故に遭っていた。大悟は娘を愛情を込めて育てたいと考えており、また小春も、自身の経験からヒカリのいい母親になろうと努力する。
結婚式も挙げ、幸せな家族生活が始まった。小春は毎朝ヒカリに弁当を持たせ、家の掃除をする生活を楽しんでいた。しかしヒカリは、おねしょをしたり、食事や着替えを小春に手伝ってもらったりするなど、赤ちゃん返りの傾向を見せ始める。小春は大悟に相談するが、親が再婚した場合には時々あることだから、心配いらないと言われる。
ある日小春が家を掃除していると、大悟の部屋のドアが開いていることに気づく。中には、大悟が小学生の頃に飼っていたウサギの剥製や、毎年自身の裸体を描いたデッサンなどがあった。それを見た小春は、異様な雰囲気を感じ取る。
映画『哀愁しんでれら』のあらすじ【転】
小春が手作りした筆箱をワタルに盗られてしまったと、ヒカリが言い出す。大悟と小春は学校に相談に行くが、その時教師から、昼食時になると、ヒカリがお弁当を作ってもらえないと泣いていると知らされる。ヒカリはワタルのことが好きで、彼の気を引くために騒ぎを起こしているのではないかと、小春は考える。
小春は、老人施設に入っている大悟の母に会いに行く。そこで大悟が小学生の頃にいじめられていて何度も転校したこと、母に助けを求めた大悟を逆に殴ってしまい、それ以来大悟の左耳は聞こえなくなってしまったことを告げられる。
ワタルと仲が良かった来実が、転落死する。ヒカリは葬儀の後でもゲームばかりしていて、「邪魔だからゲームオーバーになっちゃったんだね」とまったく気にしていない様子である。小春は、ヒカリが実はいい子ではないかもしれないと大悟に相談するが、取り合ってもらえない。
映画『哀愁しんでれら』の結末・ラスト(ネタバレ)
小春は、大悟のウサギの剥製の一部を破損してしまう。騒ぎ立てるヒカリを、小春は思わず殴ってしまう。大悟はヒカリを殴るのは許せないと言って、母親失格を宣告する。
小春が家を出ていくと、ヒカリが泣きながら引き止めに来た。子どもの頃母親に捨てられた場面がフラッシュバックするが、小春はヒカリを置き去りにする。絶望した小春は踏切内で倒れてしまうが、大悟が助けに来て一緒に帰ることになる。
ヒカリが靴を盗られたと言って、泣きながら帰ってきた。大悟と小春は学校に苦情を言いに行くが、その時ワタルが来て、来実を突き落としたのはヒカリだと言う。帰宅後、大悟は聞き分けのないヒカリを叱り手をあげようとするが、小春はなんとか彼を制す。しかし家の窓ガラスには「人殺し」と落書きされ、石も投げ込まれる。
大悟と小春は相談し、学校の予防接種で全員にインスリンを注射することにした。教室ではドレスを着た小春がヒカリに授業をしており、その様子を大悟が見守っている。その教室の外では、他の児童たちが皆倒れていた。
映画『哀愁しんでれら』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
まさかあんなラストになるとは思いませんでした。前半は不幸の連続に「かわいそう」と思って見ていたのに、後半での“しあわせ”の正体にゾッとしました。結婚と母性をテーマにしながら、善悪の境界をじわじわと曖昧にしていく脚本が巧妙で、土屋太鳳さんの演技も見事。見終わったあとに、どこまでが正気でどこから狂気だったのか、考え込まされました。(30代 女性)
現代の“しんでれらストーリー”かと思いきや、想像の斜め上を行く展開で驚きました。善良な市役所勤めの主人公が、家族の死や裏切りを経て、次第に価値観を歪められていく過程がリアルでした。特に、ラストで娘と手を取りながら「完璧な家族」を演じ続ける姿に戦慄。家庭という名の檻を描いた心理スリラーとして、非常に完成度の高い作品でした。(20代 男性)
「シンデレラ」の裏側を描いたような物語に衝撃を受けました。王子様と結婚して幸せになったはずの主人公が、むしろどんどんおかしくなっていくという構造が秀逸。家庭という理想に執着するがあまり、自分の感情も子どもの人格も壊してしまう展開が怖かったです。土屋太鳳さんの“笑顔で狂っていく”演技が本当に怖くて印象に残りました。(40代 男性)
映画館で観た後、しばらく言葉が出ませんでした。ホラーではないのに、じわじわと精神を蝕まれていく感覚がありました。主人公が「理想の家庭」を作ろうとすればするほど、現実から離れていく皮肉が心に刺さります。最後に娘が主人公と同じような思考をしているのが救いのようで恐怖でもあり、重たい余韻が残りました。(10代 女性)
冒頭から「不幸のデパート」みたいな展開で、少しやりすぎでは?と思ったけど、それも含めて後半の衝撃への伏線だったと気づかされました。少女マンガのような出会いから、気づけば家庭内犯罪スリラーへ変貌していく流れが凄い。ラストで娘が笑って毒入りのジュースを出すシーン、あれは震えました。全編通して狂気に満ちた作品です。(50代 男性)
最初はヒロインの不運続きに同情していたのに、後半から共感が不安に変わり、最後には恐怖になりました。夫も娘も“理想の家族”の道具でしかなくなる様子は、まさにホラー。家庭という聖域がここまで歪むと、逆に冷静に観られなくなります。土屋太鳳さんが演じる“無垢な狂気”が、作品全体を通じて印象的で忘れられません。(30代 男性)
どん底の人生を送っていた女性が、理想の幸せを手にしたはずなのに、その幸せがどこかおかしい…。観ているうちにその違和感が確信に変わっていく展開がすごかったです。特に、娘を利用するシーンの数々が切なくもあり恐ろしくもあり、母としての在り方を考えさせられました。タイトルの「哀愁」が重くのしかかる映画でした。(40代 女性)
普通のサスペンスかと思って観たら、家庭内ホラーでした。主人公があまりに次々と不幸に見舞われるので、幸せになってほしい…と思ったのも束の間、どんどん常識が壊れていく様に戦慄。笑顔で犯罪を行う姿は、もはや怪物に近い存在で、その裏にある“現代女性の闇”を象徴しているように感じました。後味は重いですが、すごく考えさせられる作品です。(20代 女性)
シンデレラという言葉のイメージを壊してくるタイトルが秀逸で、内容も予想以上にダークでした。家庭を手に入れてからの主人公の“豹変”がリアルすぎて、ありえないけどありそうで怖い。娘との関係性が最初と最後で真逆になっている構成が見事で、教育と狂気は紙一重なんだなと思いました。じわじわ怖い、良質な心理劇です。(50代 女性)
ラストのジュースのシーン、震えました。母親の笑顔、娘の表情、すべてが“完璧”なはずなのに何かが狂ってる。「幸せな家庭」を無理やり演じる恐怖がじわじわ伝わってくる。最初は土屋太鳳さんの明るい演技に救いを感じていたけど、それすら計算だったのかも…と感じる脚本に驚き。サスペンスとしても見応えがありました。(10代 男性)
映画『哀愁しんでれら』を見た人におすすめの映画5選
ミッドサマー
この映画を一言で表すと?
白昼の祝祭に潜む狂気が暴かれる、美しくも恐ろしい異色ホラー。
どんな話?
家族を失った若い女性が恋人と共に訪れたスウェーデンの村で、夏至祭に参加する。しかしその美しい祝祭の裏では、常軌を逸した風習が待ち受けていた。祝福と惨劇が交錯する、昼の悪夢のような物語。
ここがおすすめ!
『哀愁しんでれら』と同じく、「幸せそうな顔の裏に潜む闇」を描いており、主人公の心理の変化が物語を支配します。色彩豊かな映像美と反比例するような狂気の描写が鮮烈で、観た後もしばらく頭から離れません。
パラサイト 半地下の家族
この映画を一言で表すと?
社会格差が生む悲劇を、笑いと衝撃で包んだブラックコメディの金字塔。
どんな話?
貧しい家庭の一家が、裕福な家庭に巧妙に入り込み寄生していく。だが、想定外の事態が起こり、家族の運命は急転直下。巧妙な伏線と階級社会への風刺が入り交じる、息もつかせぬ人間ドラマ。
ここがおすすめ!
『哀愁しんでれら』と同様、幸せそうな“理想の家族像”を崩していく構造が秀逸。視点が切り替わるたびに価値観を揺さぶられ、ラストの展開には戦慄が走ります。予測不能な展開が好きな人にぴったりの作品です。
黒い家
この映画を一言で表すと?
保険金詐欺の先に潜む、日常を壊す狂気を描いたジャパニーズサスペンス。
どんな話?
生命保険会社に勤める男が、ある契約者からの相談をきっかけに異常な一家と関わることになる。徐々に明らかになる保険金殺人の可能性、そしてその裏に潜む“真の恐怖”が彼を追い詰めていく。
ここがおすすめ!
家庭の中に潜む異常性という点で『哀愁しんでれら』と非常に相性が良い一本。笑顔と狂気が隣り合わせの構図が巧妙で、物語が進むごとにゾッとする展開が待っています。日本映画ならではの心理的恐怖が魅力。
マザー!
この映画を一言で表すと?
全てを捧げた“母”の崩壊と再生を描く、寓話的サイコスリラー。
どんな話?
静かな家で暮らす夫婦の元に、次々と招かれていく来客たち。妻である“彼女”の目線で、日常が徐々に狂っていく様が描かれる。やがて彼女の全てが奪われ、家も心も崩壊していく。
ここがおすすめ!
“理想の母性”に囚われた女性の心理を描く点で、『哀愁しんでれら』と通じる作品。現実と象徴が混ざり合う独特の演出が秀逸で、観る人によって解釈が大きく変わる映画です。強烈な余韻を残す問題作。
告白
この映画を一言で表すと?
復讐と罪の連鎖を冷酷に描く、美しく残酷なサスペンスドラマ。
どんな話?
教師の娘が生徒に殺された事件をきっかけに、復讐を誓う母親の語りから始まる物語。告白形式で展開される中、次第に事件の真相や、生徒たちの歪んだ内面が明らかになっていく。
ここがおすすめ!
美しい映像と静謐な語り口とは裏腹に、残酷な心理描写が胸に刺さる傑作。『哀愁しんでれら』と同じく、“母性”と“正義”の境界が揺らぐストーリー構成が魅力。見終えた後もずっと心に残り続ける一本です。
みんなの感想・レビュー