この記事では、映画『ドラゴンヘッド』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ドラゴンヘッド』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ドラゴンヘッド』 作品情報
- 製作年:2003年
- 上映時間:122分
- ジャンル:アクション、SF
- 監督:飯田譲治
- キャスト:妻夫木聡、SAYAKA、山田孝之、藤木直人 etc
映画『ドラゴンヘッド』 評価
- 点数:45点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『ドラゴンヘッド』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ドラゴンヘッド』のあらすじを紹介します。
修学旅行中だったはずの高校生のテルが目覚めると傷だらけで、崩れかけたトンネルと新幹線の中にはクラスメイトたちの亡骸があった。
慌てて生存者を探すと、いじめられっ子のノブオ、隠れていたアコを見つける。3人は偶然助かったらしい。
ノブオは恐怖により精神が破綻していて、落ちていた口紅で体中に模様を書いてアコとテルに襲い掛かる。
崩壊するトンネルから2人は脱出するが、ノブオの行方はわからなくなった。
救助が来ると思い込んでいた2人だったが、トンネルの外には灰にまみれた世界が広がっていた。
2人は闇雲に歩き回り、生存者の集団と出会う。
何が起こったのか訪ねるが、彼らは突然テルとアコを取り押さえて殺そうとし、自分たちも死んで“無かったこと”にしなければと連呼するだけだった。
そこに現れた、拳銃を持つ自衛隊の岩田と仁村に助けられるテルとアコ。
すぐにパニック状態になる岩田は、地球や生物のバランスを保つ「龍脈」の流れがおかしくなったせいだと言う。
仁村は大地震説、隕石落下説、竜神様説、最後の審判説も聞いたと言うが、原因はよくわからないようだった。
4人は逃げ込んだ病院跡地の地下で、恐怖心を取り除く脳の手術を受けたシュンとジュンという兄弟を見つけ、行動を共にすることになる。
しかし仁村が豹変してテルに拳銃を向け、止めようとした岩村が射殺されてしまう。
さらに火山が噴火して、仁村は命を落とす。
残ったテルたちは運よくヘリに拾われ、食料が残っているという東京を目指す。

映画『ドラゴンヘッド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ドラゴンヘッド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
VFXと全編ウズベキスタンロケでの崩壊感
ウズベキスタンでのロケによって表現された、崩壊した日本の景色や崩れかけた建物、火山灰にまみれた広大な大地などが圧巻。
またVFXを多用して、崩壊した東京や様々な都市が描かれているのも驚き。
火山の噴火がおこった時に、必死に逃げる車の中から見える火山弾のリアル感もたっぷり。
だが景色に圧倒されるのはトンネルから脱出した時の一瞬だけで、執拗に崩壊した風景を組み込んでいるが、見れば見るほど日本の山とは形が全く違うといったツッコミどころが見えてくる。
全編ウズベキスタンロケで撮影された作品だが、その割にはトンネルのシーンが長すぎるのもあって飽きてしまう。
個性派俳優陣が台無し
豪華なキャスティングになっているのだが、キャラクターの背景がほとんど明かされず、ストーリーも薄っぺらい印象。
そんな中でも、リアルな遺体を踏みつけたり、助けを求める教師を殺害し、体じゅうに化粧品で模様を書くという奇行を行うノブオを演じた山田孝之の怪演は見もの。
主人公テル役の妻夫木聡の、ありふれた高校生から絶望に突き落とされてパニックになる演技もさすが。
初の映画出演となるアコ役の神田沙也加の演技はぎこちなさが残る。
近藤芳正が演じた岩田は、終始ヒステリックに怒鳴り散らすだけでイライラさせられるが、パニックになれば仕方が無いと思える部分もある。
他にも仁村役の藤木直人や寺田農、根津甚八、松重豊といった演技派も出演しているものの、ストーリー展開のせいでパッとしない。
印象に残らないストーリー
ヘリで東京まで移動したアコたちと違い、テルは途中で落ちて徒歩移動したはずなのに、時間がかかったり疲れた様子がないというとんでもない展開にはびっくり。
東京にあった食料には恐怖心を取り除く作用が含まれていたり、災害の理由を投げ出したまま“それでも生きていく”とつなげた、無理やりのエンディングには唖然とさせられる。
正直この作品は、褒めるべき点を探すことが困難だ。セリフは聞き取りづらいしセンスを感じられないし、理解しづらい。原作の使うべきシーンをカットしまくり、テンポも悪い。なにかツッコミをしながら見ることができればまだ良かったのだが、ネタにも昇華しきれない作品だ。
褒められる点は唯一、俳優たちが頑張っている点だ。妻夫木聡や神田沙也加、そして山田孝之など今をときめく俳優たちの若い頃の演技を見ることができるのが、この2時間の視聴を乗り越える方法だ。(男性 30代)
予告の段階でかなり期待していたけど、実際に観てみると思っていた以上に重くてグロテスクな世界観だった。トンネルでの生存サバイバルから始まり、徐々に明かされていく崩壊した日本の姿が衝撃的。特にノブオの変貌には恐怖を感じたし、人間が極限状態で狂気に陥る様子がリアルだった。原作とは違う点もあったけど、雰囲気は出ていたと思う。(20代 男性)
まさに「絶望の連鎖」という言葉がぴったりの映画。序盤の電車事故から始まり、真っ暗なトンネルの中での心理描写がとても良かった。ヒロイン・アコが徐々に心を病んでいく姿が切なく、対照的にテラが必死で前に進もうとする姿が印象的だった。救いのない展開ではあるけど、ラストにかすかに希望を見せてくれたのがよかった。(30代 女性)
中学生の頃に漫画を読んで衝撃を受けたので、実写化と聞いてすぐに観た。正直、原作のスケール感を実写で完全に再現するのは難しいと思ったが、雰囲気はかなり頑張っていたと思う。ただ、終盤の展開がやや駆け足で、世界の崩壊の理由などがぼんやりしていたのが惜しい。それでも、ノブオ役の演技は鳥肌が立つほど怖かった。(20代 男性)
人間の理性が壊れていく過程を映像で見せるという意味では、とても怖い映画だった。災害映画というよりは、精神的ホラーに近い。トンネルから脱出してからも、全く安心できない不気味な雰囲気が続いていて、常に緊張感があった。特に後半の軍隊の描写は胸糞悪さと狂気の象徴で印象的。(40代 男性)
女性目線から見ると、アコの扱いがちょっと雑に感じたけど、極限状態での若者たちの行動心理は納得できる部分も多かった。ノブオの豹変ぶりがリアルで、ああいう人が本当にいそうで怖い。全体としては重くて暗いけど、それでも生きようとするテラの姿に希望を見た。映像の陰鬱な雰囲気も作品に合っていたと思う。(30代 女性)
映画としての完成度よりも、そのテーマ性に心を打たれた。文明が崩壊した中で、人間の本性が剥き出しになる様は非常に考えさせられる。ノブオというキャラクターが象徴するのは、「恐怖から逃れるための狂気」であり、それに打ち勝とうとするテラの姿に感動した。特撮やセットのチープさはあるが、メッセージ性は強い。(50代 男性)
物語のテンポが速くて、気づいたら登場人物がどんどん壊れていくのが怖かった。ノブオの暴走はインパクトあったけど、それ以上に心に残ったのは、誰も助けてくれない世界で「希望を持ち続けること」がどれだけ難しいかということ。絶望の中で「生きろ」と言う映画は、とても珍しくて印象に残った。(20代 女性)
原作ファンとしては、設定変更や削られたシーンに少し不満もあるけど、全体として“恐怖が連鎖する世界”の雰囲気はよく再現されていたと思う。特にトンネル内の恐怖演出と、ノブオの変化には震えた。日本映画としては珍しく、心理面にこれだけ踏み込んだ作品は貴重だと思う。もっと再評価されていい作品。(40代 男性)
災害後の日本を舞台にした作品として、極限状態での人間の弱さと強さを見せてくれる映画だった。ノブオが完全に壊れてしまう姿は怖かったけど、それ以上に怖いのは、それが「普通の少年」だったこと。誰にでも起こりうる変化だと思わせるところがリアルで、ただのホラーとは一線を画していた。(30代 女性)
映画『ドラゴンヘッド』を見た人におすすめの映画5選
渇き。
この映画を一言で表すと?
愛と狂気が紙一重、倫理のタガが外れた現代の地獄絵図。
どんな話?
元刑事の父が、失踪した娘の行方を追ううちに、彼女の裏の顔と社会の闇を知っていくサスペンス。暴力、ドラッグ、裏切りなど過激な要素が絡み合い、観る者を深い混沌へと引き込む。狂気と人間の本性を描いた衝撃作。
ここがおすすめ!
『ドラゴンヘッド』と同様、極限状況で人間がどこまで壊れるかを突きつけてくる作品。演出も鋭く、観ている間ずっと緊張感が続く。観る人を選ぶが、心に爪痕を残す映画を求めているなら間違いなくおすすめ。
バトル・ロワイアル
この映画を一言で表すと?
極限状況の中で、生きる意味と人間の本性を問うショッキング・サバイバル。
どんな話?
政府の法律により、中学生が無人島で殺し合いを強いられるという近未来のディストピア。友情や恋、裏切り、狂気などが交錯しながら、少年少女たちは最後の一人になるまで生き残りをかけて戦う。
ここがおすすめ!
若者が過酷な状況でどう変わっていくかを描く点で、『ドラゴンヘッド』と共通。仲間が敵になり、信じられるものを見失う中でどう生きるかがリアルに描かれていて、戦慄と感動の入り混じった強烈な体験ができる。
アイ・アム・レジェンド
この映画を一言で表すと?
荒廃した世界で、孤独な男が希望を信じて生き抜くSFサバイバル。
どんな話?
ウイルスにより人類の大半が死滅し、怪物と化した生存者が彷徨う世界。たった一人で生きる科学者・ロバート・ネビルが、希望を捨てずにワクチンの開発と人類再生を目指す孤独な闘いを描く。
ここがおすすめ!
終末世界の孤独感や恐怖、そして希望を失わない姿勢が『ドラゴンヘッド』とリンク。アクションもありながら静かな心理描写が心に響く。SFとしても完成度が高く、絶望の中に一筋の光を見出したい人におすすめ。
ノウイング
この映画を一言で表すと?
地球の終焉に立ち会う父と子の、運命に抗うサスペンスSF。
どんな話?
タイムカプセルから発見された数字の羅列が、過去の大災害を正確に予言していた。やがて未来の破滅も暗示されていると気づいた男が、その真相を突き止めようとする。迫りくる終末に立ち向かう姿を描いたSFスリラー。
ここがおすすめ!
『ドラゴンヘッド』のような“世界が終わる”という極限状況の中で、人がどう行動するかを描いている。科学とスピリチュアルの交錯する展開がユニークで、衝撃的な結末も心に残る。静と動のバランスが絶妙な作品。
リービング・ラスベガス
この映画を一言で表すと?
絶望の中で見つけた、壊れた者同士の切ない絆。
どんな話?
人生に絶望した男が、酒で自ら命を終わらせるためラスベガスへ。そこで出会った娼婦との関係を通じて、人間の孤独と救いを描いていく。光と影が交錯するような繊細な人間ドラマ。
ここがおすすめ!
『ドラゴンヘッド』が肉体的サバイバルなら、こちらは精神的サバイバルの物語。誰かを“救おうとしない”優しさが切なくて痛い。極限の心情に寄り添う物語を求めている人にこそ観てほしい珠玉のドラマ。
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