詐欺師と泥棒という2組の悪党カップルが繰り広げる珍道中。謝礼金のために泥棒カップルを追い続ける詐欺師カップルであるが、泥棒カップルは捕まると勘違いして彼らから逃げ回る。勘違いがいつまで続くのだろうかとヤキモキしながら見てしまう作品である。
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』 作品情報
- 製作年:1976年
- 上映時間:121分
- ジャンル:コメディ、サスペンス
- 監督:アルフレッド・ヒッチコック
- キャスト:カレン・ブラック、ブルース・ダーン、バーバラ・ハリス、ウィリアム・ディベイン、エド・ローター etc…
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』のあらすじを紹介します。
霊媒師として働くブランチは、死人の魂を自らの体に宿すことによって、生存者との会話を可能にする能力がある。
しかし、それはまったくの嘘。謝礼金が目的の詐欺師である。
ある日、富豪の老婦人から、亡くなった妹と話したいと依頼を受けたフランは行方不明の甥を捜索することとなる。甥は老婦人の跡継ぎであり、見つけた暁の謝礼金は1万ドルと言われた。良いカモに出会えたと喜ぶブランチはパートナーのジョージとなんとか息子を探し出そうとする。
ブランチのパートナーのジョージは捜索を続けているうちに跡継ぎの甥は「エドワード・シューブリッジ」という名前で、養父母とともに亡くなったことを知る。
しかし、墓石を見ると明らかに甥のものが時間が経っておらず新しいものであった。調べるうちに「エドワード・シューブリッジ」は両親を殺害するために放火をし、自らも死んだことにするため墓石をつくったことがわかった。つまりエドワードは生きていたのである。墓石を作った職人からの話でエドワードは通称「エディ」と呼ばれており周囲から嫌われていたことも判明した。
エディは名前を変え、「アーサー・アダムソン」と名乗っていた。アーサーはパートナーのフランと宝石泥棒をしては、それ転売して生計を立てていた。アーサーの悪友マロニーは偶然にもジョージがアーサーを捜索していることを知り、アーサーに忠告する。過去を知られたくないアーサーはジョージとブランチを殺害しようと計画する。
ブランチとジョージはアーサーを捉えることが出来るのか?はたまた、不本意にもアーサーに殺害されてしまうのか??
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
2組のカップルは真逆??
ブランチとジョージ、フランとアーサーという2組のカップルが本作品には登場している。
どちらも詐欺師と泥棒ということでいわゆる悪党なのであるが、変装も一連のトリックもすべて完璧なフランとアーサーに比べてブランチとジョージはちょっと頼りなく雰囲気もゆるい感じである。それもそのはず、ジョージは弁護士や探偵のふりをして様々な情報を手に入れるのが得意であり、ブランチはその情報を使って霊媒師のフリをしているだけなのである。宝石を手に入れるために時間やヘリコプターの着陸さえも計算しているフランとアーサーペアには真剣さが足下にも及ばない。
しかし、このブランチとジョージのユルっとした雰囲気が本作品全体を明るいものとしており、サスペンス映画でありながらどこかコメディ映画にも見えてくるから不思議である。
墓地ができるまで
作品の鍵を握るシーン、ジョージがエドワードの墓地を訪れる場面を見ると草がぼうぼうに伸びた風景が出てくる。この作品を撮影するために、この墓地ではなんと4ヶ月も手入れを放棄し草刈りをしないよう映画製作者が依頼していたのだ。たった数分のシーンを撮影するためにここまでこだわる所がアルフレッド・ヒッチコックらしい。
過去の名作が暗号に?!
なんと本作品のいたる場面でヒッチコックの過去の作品に関わる暗号が示されている。例えば、”ベイツ”通りに停まった1台の車のシーンは1960年の作品「Psycho」に登場する主人公役を果たした「ノルマン・ベイツ」を意識したものである。また、ガソリンスタンドの男性がタクシードライバーに対して「マッチをするのは危険ですよ」と言うシーンは1963年の「The Birds」でのガソリンスタンドの爆発を思い出させる。本作品は実に、ヒッチコックの遊び心が出ている作品なのである。
映画『ヒッチコックのファミリー・プロット』 まとめ
シリアスなサスペンス映画が多いアルフレッド・ヒッチコックの作品の中では珍しくユーモアに富んだ作品であったように思う。
特に主人公のブランチがインチキ霊媒師として名演技を見せてくれるシーンや、ジョージとともにブレーキの効かなくなった車で慌てふためくシーンなど、ブランチ、ジョージペアのコントのような名場面がとても愉快である。ブランチ役の「バーバラ・ハリス」の愛らしい顔とジョージ役の「ブルース・ダーン」の表情の豊かさによってキャラクターの個性が強く表現できている。
また、その2人と対比するように、落ち着いた雰囲気のフラン、アーサーペアが存在することでブランチ達のユーモアさが際立っている。
ヒッチコック作品の中でもチェックしておきたい作品の1つだと言える。
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