映画『崖っぷちの男』の概要:ホテルの21階から投身自殺を図ろうとする男。彼は無実の罪を証明しようと2年かけて、壮大な計画を練っていた。それはホテルの向かいにある宝石会社から、ダイヤを盗み出すことである。テンポ良く進むストーリーと壮大な計画に驚かされる。
映画『崖っぷちの男』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:アスガー・レス
キャスト:サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル、アンソニー・マッキー etc
映画『崖っぷちの男』の登場人物(キャスト)
- ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)
- 元警察官。無実の罪で刑務所へ収監されてしまう。知的で体格が良い。自らの信念を貫き通す強さを持ち、捨て身で無実を証明しようと奮闘する。家族を大切にする愛情深い人物。
- リディア・マーサー(エリザベス・バンクス)
- 交渉役としてニックに指名された女性刑事。常に冷静な金髪美女で交渉のプロ、ネゴシエーター。先月、交渉に失敗し若い警官の死を止められず以降、苦悩している。
- ジョーイ・キャシディ(ジェイミー・ベル)
- ニックの弟。兄と共謀して宝石会社へと侵入する。ニックの言いつけには忠実に従う。
- アンジェラ・マリア・ロペス(ジェネシス・ロドリゲス)
- 通称アンジー。ジョーイの恋人で黒髪の美人。兄弟の協力者。ジョーイと一緒に宝石会社へ侵入する。
- マイク・アッカーマン(アンソニー・マッキー)
- ニックの元相棒で親友。スタイリッシュな黒人男性。内務調査官でもあるが、ニックが嵌められていたことを知らず、真実を知って彼を助けようとする。
- デヴィッド・イングランダー(エド・ハリス)
- 宝石会社を経営する実業家。市長や警察と深い繋がりを持ち、モナークダイヤの持ち主。ニックを嵌めて実利を取ろうとする腹黒い人物。
映画『崖っぷちの男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『崖っぷちの男』のあらすじ【起】
ニューヨーク、ルーズヴェルトホテルの2105号室。眺めの良い部屋にチェックインしたニック・キャシディは、ルームサービスにて食事を頼み、一息ついたところでおもむろに行動を開始した。
彼は自分が触った物全てを綺麗に拭い、意を決した表情で短いメッセージを書く。そして、コートを着用して窓から外へ出た。僅かな足場を左へ移動。すると、その姿を見た通行人が徐々に騒ぎ出すのである。
1カ月前、シンシン刑務所。元警官だったニックは無実の罪で収監されていた。裁判でも無実を証明することはできず、父親を看取ることもできなかった。そんな彼を心配した元同僚のマイク・アッカーマンのお陰で、父親の葬儀に出席が許される。ニックには弟がいるが、弟ジョーイはどこか頼りなくいつも家族に心配をかけていた。
葬儀後、弟と喧嘩したニックは隙を見て脱走。上手く逃げ切った彼は隠れ家へと身を潜めた。
そうして、現在。彼はウォーカーという偽名にてホテルへ入り、21階の外壁へとしがみついている。飛び降り自殺はすぐさま騒動となり、警察が出動。ニックは制止を促す警官へ、交渉役として女性刑事のリディア・マーサーを呼ぶように言った。
リディアが到着し、ニックと会話を開始する。リディアは交渉のプロだったが、先月交渉に失敗し世間でも名前が知られていた。だから呼んだとニックは言う。自分の自殺騒動が大きくなることを望んでいるのだった。
リディアとの交渉が続く中、身元調査が行われたが、部屋内からは指紋が見つからず。
映画『崖っぷちの男』のあらすじ【承】
同じ頃、ホテルの玄関口に恋人アンジーと共にジョーイが到着。ニックの通信器に知らせが入る。恐らく、兄弟は協力しわざと喧嘩して現在の状況を作り上げたのだ。
弟とアンジーはホテルの向かいのビルへ侵入を開始。警備交代の瞬間を狙い、仕掛けを設置。ニックの合図を待った。
知らせを受けたニックはわざと落下する様を装い、観衆を沸かせる。ジョーイは悲鳴が出た瞬間を狙って、天井を爆破。計画は順調に進んでいる。
リディアは会話を続けながらニックと煙草を吸い合い、見事に指紋を採取し鑑識へ。
ニックは自分を生かすも殺すも、リディア次第だと言うのだった。
その頃、ジョーイとアンジーは無事に内部へと侵入し、監視カメラへ細工。しかし、その先で製図にないセンサーがあるのを発見する。その知らせを聞いたニック。リディアと会話をしつつ、センサーは熱で警報が鳴ることをさりげなく指示。2人は消火器でセンサーを凍らせ無効にした。
一方、兄弟を調べていたマイク。ジョーイ名義の貸金庫を発見し、兄弟が何を企んでいるかを知る。
指紋照合でニックの素性が判明。彼はホテルの向かいにある宝石会社から、4千万ドルの宝石モナークダイヤを盗み、売り捌いたとして逮捕されていたが、実は冤罪であった。故に、彼は無実を証明するため、脱走してまで今回の騒ぎを起こしたと思われる。
映画『崖っぷちの男』のあらすじ【転】
ニックの素性が判明したことにより、宝石会社へ警官が入ることになる。ジョーイとアンジーは作業を中断し、一旦退避。ニックは弟達が隠れる時間を稼ぐために金をばらまいて、観衆を動かすことにした。
多少の時間を稼ぐことはできたものの、警官はビルへと入り金庫の無事を確認。ジョーイとアンジーはぎりぎりのところで、隠れることに成功し更に、金庫室への暗証番号をも入手するのだった。
宝石会社の社長グラインダーはニューヨーク市長、警察署長とも深い関係がある。彼の一声で全てが決まると言っても過言ではなかった。
ジョーイとアンジーは警官が去った後、再び作業を開始。
ニックは2年前、モナークダイヤの輸送警護を任され無事に送り届けた。しかしその後、覆面の男達2人組に襲われ、意識を奪われる。気が付いた時には犯人に仕立て上げられ、無罪の主張も聞き届けられず2年もの間、刑務所で過ごさざるを得なかったのである。彼はやってもいない罪で逮捕され、仕事も家族も全てを奪われたのだ。
彼は真実を話し、リディアへと助けを求めた。
ニックの話を信じることにしたリディア。2年前の事件の詳細を聞き、ニックを嵌めた犯人を推測。無実を声高に叫んだニックは、民衆から弱者と認められ歓声を浴びることになる。計画は順調に進み、金庫内のセンサーを切ることに成功したアンジーとジョーイ。次なる金庫への開錠に取り掛かる。
その間、ニックを捕縛するために突入隊が突入準備を開始。リディアはニックの言葉を信じ、自ら窓の外へ出て突入隊の突入を阻む。
金庫の開錠が完了。中には高価な宝石が沢山並んでいたが、兄弟が狙っているのは盗まれたと思われているモナークダイヤだ。しかし、金庫内には目的のダイヤはどこにも見当たらなかった。
映画『崖っぷちの男』の結末・ラスト(ネタバレ)
リディアに対し、モナークダイヤを盗むのが目的であることを明かしたニック。作戦の変更をジョーイへと告げる。
すると、宝石会社にて警報が作動。グラインダー自らが、ダイヤの無事を確認に来る。ダイヤは別の金庫に保管されており、奴はそれを持って行ってしまう。
ニックは警官時代、内務調査も行っており証拠品である麻薬が署内から盗まれた件について、犯人を特定し逮捕していた。恐らくは、その件で逮捕された犯人の仲間から罠に嵌められたと思われる。だが、ニックは無実を証明しようと今回の騒動を起こしたため、彼が関わっていた内務調査に関する資料は、マイクの手によってすべてが抹消されていた。
マイクは親友が罠に嵌められたことを知らず、資料に目を通して初めて真実を知り、ニックを助けようとしていたのだった。
その頃、グラインダーと対峙したジョーイとアンジー。奴を銃で脅してダイヤを手に入れる。その後、ジョーイはホテルのフロントへ荷物を預け、何食わぬ顔で去って行く。
ホテル内を駆け回りダイヤを受け取った後、屋上へ逃げ延びたニックだったが、やむなく捕縛されてしまう。そこへ、痛めつけられたジョーイを連れてグラインダーが現れ、弟の命と引き換えにダイヤを返せと迫ってくる。ニックは仕方なくダイヤを返して、弟を助けた。
グラインダーが去った後、一悶着ありマイクが銃撃されてしまう。ニックは逃走するグラインダーを追いかけるべく、ビルから飛び降りてマットの上へ無事に着地。観衆が集まる中、逃げようとするグラインダーを倒してダイヤを観衆の前に晒し無実を証明した。
その後、無事に釈放されたニック。彼はリディアと共にとあるバーへ。そこでは、ニックの釈放を喜ぶ同僚達が集まっていた。バーテンへ声を掛けたニックはリディアに彼が自分の父親だと明かす。その人物はホテルでもニックを労わっていた客室係だった。つまり、ニックの計画は父親が亡くなるところから始まっていたのである。その後、ニックとリディアは計画の成功を祝い、グラスを傾けるのだった。
映画『崖っぷちの男』の感想・評価・レビュー
サム・ワーシントンが主人公を演じた2012年のアメリカ制作、アクション・スリラー映画。今作の評価はあまり高くないが、個人的には面白いと感じた。全てにおいて予想や想像を引っくり返す構成がとても良かった。単純に考えれば、無実の罪で収監された警官が無実を証明するため、犯人を明らかにするというもの。今作は正に構成がものを言った作品だと思う。捻りが無いと言えばその通りだが、主人公は家族ぐるみで父親の死をも偽装するのだ。父親さえもグルであったことが、ラストシーンで明かされ思わずニヤリとしてしまった瞬間だった。(女性 40代)
権力者に反旗を翻した男と仲間たちの復讐劇。徐々に加速していく展開で夢中になって見てしまう。基本的に主人公、弟とその恋人、(父)の4人で実行した作戦で、良く練られていてとても楽しめた。主人公の言葉による人の動かし方が上手。民衆の気の引き方、無線での作戦の伝え方、最終的には刑事も取り込んでしまう。最初は無謀で馬鹿な男だと思っても、徐々に彼の人柄や知的な魅力に、観ている自分も取り込まれてしまう。ホテルマンのおじさんがお父さんだったことは、最後の最後で本当に衝撃的だった。(男性 20代)
無実の罪を着せられた男が無実を証明するために「真犯人」を明らかにするストーリー。単純でありがちなストーリーかと思いきや全てをひっくり返すような展開は、かなり見応えがありました。
序盤は登場人物を皆怪しみながら見ていましたが、少しずつ真実が明らかになり、自分の中できっとこの人が犯人だろうと想像していました。しかし、それを大きく覆すのがこの作品。最後に大どんでん返しがあり、見事に騙されました。最後まで目が離せません。(女性 30代)
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