
結論から言うと、「グッドワン」は大きな事件が起きないのに、観終わったあと心がざわつき続ける映画です。
MIHOシネマ編集部の映画専門ライターとして、2026年1月16日に日本で本作を鑑賞しましたが、エンドロールが流れた瞬間、「今の感情に名前をつけられない」という感覚に包まれました。
本作は、17歳の少女サムが、父親とその親友と共に山へ出かける、たった一度の週末を描いた物語です。
この記事では、「グッドワン」をネタバレありで整理し、感想・レビューを通して本作が高く評価されている理由、そして“観る人を試す映画”と呼ばれる理由を掘り下げていきます。
「グッドワン」はどんな映画?結論:優しさの顔をした違和感を描く作品
「グッドワン」(原題:Good One)は、インディア・ドナルドソン監督によるドラマ映画です。
舞台は、ニューヨーク州キャッツキル山地でのバックパッキング旅行。
主人公は17歳の少女サム。
彼女は、父クリスと、父の長年の友人マットとともに、自然の中で数日間を過ごします 。
一見すると、家族と友人の穏やかな小旅行。
しかし物語が進むにつれ、
「善意」「気遣い」「冗談」という言葉で覆われた歪み
が、少しずつ浮かび上がってきます。
次では、ネタバレを含めて物語を整理します。
【ネタバレあり】「グッドワン」のあらすじ
※ここから先はネタバレを含みます。
大人たちの間に挟まれる少女
サムは、父とマットの間にある微妙な緊張感を、自然と察知しながら行動します。
彼女は聞き役に回り、空気を和ませ、場を壊さないように振る舞います。
大人たちは彼女を
「聞き分けのいい子」
「賢くて大人びた子」
として扱いますが、その裏で、サムは自分の感情を抑え続けています。
決定的な一線と、その後の沈黙
物語後半、マットの言動によって、サムは明確な違和感と恐怖を覚えます。
それは派手な暴力や事件ではありません。
しかし、
越えてはいけない一線が、確かに越えられた瞬間
でした。
サムはその出来事を大きく訴えません。
その“声を上げない選択”こそが、本作の最も重いテーマです。
なぜ「グッドワン」は高く評価されているのか?
理由①:被害をドラマチックに描かない誠実さ
IMDbユーザーレビューでも多く見られるのが、
「静かだが、現実に近い」
という評価です 。
本作は、
何が起きたかを説明しすぎない
構成を取っています。
観客は、サムと同じように、
「これをどう受け止めればいいのか」
考え続けることになります。
理由②:リリー・コリアスの圧倒的な存在感
主演のリリー・コリアスは、
言葉よりも表情や間で感情を伝える演技を見せます。
説明しないからこそ伝わる不安
が、本作を特別なものにしています。
実際に観た感想レビュー(MIHOシネマ編集部)
率直に言うと、「観ていて心地よい映画ではありません」。
しかし同時に、
目を背けてはいけない感覚を、極めて静かに突きつけてくる作品
だと感じました。
印象に残ったのは、
・サムが“いい子”であろうとする姿
・大人たちの無自覚な言動
・何も解決しないまま終わるラスト
です。
観終わったあと、自分自身の過去や、誰かの沈黙を思い返してしまう映画でした。
「グッドワン」はこんな人におすすめ
- 静かな人間ドラマが好きな人
- 思春期やジェンダーの問題を描いた作品に関心がある人
- 観客に考える余白を与える映画を求めている人
「グッドワン」をおすすめしない人
- 分かりやすい起承転結を求める人
- 明確なカタルシスを期待している人
- 重い余韻を持ち帰りたくない気分の人
「グッドワン」が良かった人におすすめの映画3選
aftersun/アフターサン
この映画を一言で表すと?
記憶の中に残り続ける親子の時間。
どんな話?
父と娘の休暇を、成長した娘の視点から振り返る物語です。
ここがおすすめ!
言葉にならない感情の描き方が共通しています。
17歳の瞳に映る世界
この映画を一言で表すと?
少女の視点から見た現実。
どんな話?
大人の世界に翻弄される若者の心情を丁寧に描きます。
ここがおすすめ!
若さゆえの孤独感が響き合います。
ザ・ホエール
この映画を一言で表すと?
沈黙と後悔の物語。
どんな話?
過去の選択と向き合う人間の姿を描きます。
ここがおすすめ!
言葉にできない感情の重さが共通しています。
まとめ:「グッドワン」は“いい子”でいることの代償を描いた映画
「グッドワン」は、
誰かを思いやることと、自分を守ることの境界線
を、静かに問いかける映画です。
あなたは、サムの沈黙をどう受け止めましたか?
ぜひコメント欄で、あなたの感想も教えてください。






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