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映画『ジャズ大名』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ジャズ大名』の概要:思わぬことがきっかけで幕末日本へと漂着した黒人三人が、ジャズを通じて音楽好きの大名とセッションを繰り広げる。筒井康隆原作、岡本喜八監督という異才同士のコンビが生み出す奇想天外コメディ。

映画『ジャズ大名』の作品情報

ジャズ大名

製作年:1986年
上映時間:85分
ジャンル:コメディ、時代劇
監督:岡本喜八
キャスト:古谷一行、財津一郎、神崎愛、岡本真実 etc

映画『ジャズ大名』の登場人物(キャスト)

海郷亮勝(古谷一行)
駿河湾に面した庵原藩の藩主。大の音楽好きで、いつも懐には篳篥(ひちりき)を持ち歩いている。音楽に熱中するあまり、世の中の情勢や戦争には目もくれない楽観的な人物。
石出九郎左衛門(財津一郎)
庵原藩の家老。堅物で、幕府と薩摩藩の間で板挟みになっている状況を心配している。音楽の才能は一切ない。
文子姫(神崎愛)
亮勝の妹。とてもおしとやかで女らしい雰囲気を持っており、亮勝の妻に間違えられるほどに大人びた女性。
松枝姫(岡本真実)
亮勝の妹。文子姫とは正反対の性格で、男勝りな性格の持ち主。剣を抜くことに躊躇がない。
ジョー(ロナルド・ネルソン)
アフリカから家族に会うためアメリカへやってきた。アフリカへの帰還を目指すが日本へ漂着する。トロンボーン担当。

映画『ジャズ大名』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ジャズ大名』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ジャズ大名』のあらすじ【起】

時代は1860年代、南北戦争が始まり奴隷解放宣言が出された。そんなアメリカにアフリカからやってきたジョーは、兄のサム、従兄弟のルイ、叔父のボブに会う。ボブたちはニューオーリンズから故郷のアフリカに帰ろうとジョーに提案するが、船賃は上がる一方で帰るのは難しいとその提案を断る。ならばとボブ達は楽隊を組んでニューオーリンズで船代を稼ごうと言い出す。彼らはみんなそれぞれ楽器を持っていたのだ。

ニューオーリンズでは、ポップで明るいみんなが踊れるような音楽が流行ってる事を知っていたジョーは三人を指揮し、音楽を奏でながら一同ニューオーリンズへと歩き出す。そんな道中でメキシコの商人だと名乗るアマンドに出会う。アマンドは音楽さえ演奏してくれれば知り合いの船長に頼んでメキシコまで連れてってやるとジョー達に提案する。しかし、アマンドはジョー達を香港行きの船へと乗せる。騙されたジョー達は8ヶ月間船の中に幽閉されてしまう。そんな中、クラリネット担当だった叔父のボブが病気で亡くなってしまう。騙されていることにようやく気付いたジョージ達は、ボートで船からの脱出を決意する。日本の駿河にある海岸に流れ着いた三人は庵原藩に捕まってしまう。

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映画『ジャズ大名』のあらすじ【承】

飢饉と政情の不安定に悩む庵原藩の庶民達の間では、「ええじゃないか」と口ずさみ踊る事が流行していた。庶民達は半ばこの状況に呆れかえっていたのだった。そんな光景を見ながら庵原藩の藩主である海郷亮勝は「わかる、わかる」と嘆く。

庵原藩は薩摩藩と幕府の中間に位置しているため、家老の石出九郎左衛門は薩摩か幕府のどちらにつくべきか悩んでいる。しかし亮勝はどこかうわの空。そんな時、黒人三人が流れ着いたとの一報が入る。亮勝は興味津々で彼らに会いたいと言うが、それを許そうとしない九郎左衛門。

本家の駿河藩主にその一報を伝えに行った門之助が帰ってくる。黒人三人を始末するなりなんなりして欲しいという本家の伝達を聞いた亮勝。それでもどうしても彼らに会いた買った亮勝は、医者の玄斎に眠り薬を作らせてジョー達を眠らせ、始末せずに城内の地下にある座敷牢に閉じ込めることにする。そこでは英語の出来る門之助が彼らとコミュニケーションをとっていた。

映画『ジャズ大名』のあらすじ【転】

彼らは楽隊ではないかと玄斎から伝え聞いた亮勝は、懐に閉まっていた篳篥を取り出して吹き始める。音楽が大好きな亮勝は暇さえあれば篳篥を演奏するのだが、その下手な音色に城内の者は皆耳を塞いでしまう。

その音色を耳にしたジョー達はおもむろに自らの楽器を手にすると亮勝の篳篥に合わせて演奏を始める。その演奏を聴いた亮勝は喜びを爆発させる。そんな中、産まれたばかりの世継ぎが亮勝の子ではないという一報を九郎左衛門から聞き、少しばかりのショックを受ける。自らの監督不行きを理由に自殺を測ろうとする九郎左衛門に向かって亮勝は、ジョー達に会えるのならば許してやると九郎左衛門に提案する。

ジョー達と会うことが出来た亮勝は彼の演奏に歓喜する。そして一つ一つの楽器について説明を受ける亮勝は、一つ余っているクラリネットを見つける。そのクラリネットが死んだ叔父のもので現在は誰も所有していないこと、さらにリードが壊れていて演奏できない事を聞いた亮勝は、自らの篳篥についたリードをそのクラリネットにつける。するとクラリネットからは綺麗な音色が奏でられる。亮勝はそのクラリネットを譲り受けるとジョー達に教えを請う。

映画『ジャズ大名』の結末・ラスト(ネタバレ)

薩摩屋敷が焼き討ちにあったとの一報を聞いた亮勝は、屋敷の畳を返し、調度を片付けるように九郎左衛門に命ずる。いよいよ動き出すのだと思った九郎左衛門は、亮勝にどちらの味方につくのかを尋ねる。すると亮勝はどちらの味方もせずこの城をただの通り道にするのだと言い出す。驚く九郎左衛門にクラリネットを見せつけながら、これがあればいいのだと言い張る亮勝。

地下に城内の者達が集まり出す。中央ではジョー達がニューオーリンズで流行っているというポップなジャズを演奏している。それに合わせて琴や横笛、琵琶、和太鼓などを奏で出す城内の者達。さらにそこにクラリネットを持って加わる亮勝。賑やかな地下のコンサートに合わせて地上では着々と調度などの撤廃作業が進められ、城内に道が出来始める。
最初は訝しげな顔をして陽気な演奏を嫌っていた九郎左衛門も、いつの間にかその音色に引き寄せられるように地下へと入っていくと、桶や三味線なども加わり地下では何十人という人達が踊り狂いながら演奏をしている。

一方地上では、薩摩藩士と小田原藩士が斬り合いを始める。決着がつき始めた時、松枝姫の合図をきっかけに大砲が撃たれる。その爆音を合図に道にはええじゃないかとつぶやきながら踊る大勢の庶民達が道に流れ込んでくる。嵐のように去っていた庶民達の後には少しの静寂が残る。九郎左衛門は地上に顔を出し、その静けさを眺めながら明治が訪れた事を知る。
地下へ戻ると「ワン、ツー、スリー」叫び、ますます地下の演奏は盛り上がりを増すのであった。

映画『ジャズ大名』の感想・評価・レビュー

数年に一度、見返したくなる映画。30年以上も前の作品だが、全然そんな風には思えないテンポのよさと笑いのセンスがある。ただ歳を取ってからの姿を知っている役者陣を見ると、やはり当時は若かったんだなと思うところに年月を感じる。

アメリカで奴隷解放された黒人たちの南部なまりの英語を日本語の方言で吹替えている冒頭シーンで、まず心を掴まれる。そこから日本に場所を移して、ええじゃないかの行列登場。その後も予想外の展開が続き、最後は和楽器も加わってのトランス状態でのセッション。もしかしたらこれが音楽のあるべき姿なのかも知れないと思わせられる勢いとパワーがある作品。(女性 40代)


序盤からおふざけ全開。訛りの強い吹き替えに、そんなわけあるかとツッコミを入れてしまいました。強烈だったのはセッション。”イエーイ‼””ええじゃないか‼”と踊って鳴らしてどんちゃん騒ぎ。延々と続く演奏に脳内麻薬がドバドバ出ます。とにかくラストに全てを持っていかれてしまいました。現代の道路、トロンボーンやピアノの共演、タモリさん(笑)、意味が分からないし意味も無いのでしょう。戦争なんて馬鹿らしいというメッセージがビンビン伝わってきました。(男性 20代)


物凄く好きな作品です。初めて見た時の衝撃は忘れられません。ジャズと和楽器のコラボや「魂の音楽」とも言われるジャズのソウルフルで力強く、パワーのある演奏、そしてそれを聴き思い思いに楽しむ人たち。どれをとっても素晴らしくてこれが1986年の作品だとはとても信じられません。
少しふざけたコメディチックな要素もありますが、全体的にテンポが良くしっかりまとまったストーリーです。音楽の素晴らしさ、出会いの奇跡を感じさせてくれる本当に素敵な作品です。(女性 30代)

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