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映画『華氏451(2018)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『華氏451(2018)』の概要:1953年に書かれたSF小説が原作で、1966年に公開された同名映画のリメイク版。書籍の所持と読書が禁じられた近未来。本を燃やすのが仕事のファイアマンと、本を守る反体制派との対立を描き、人間らしく生きることを問う。

映画『華氏451』の作品情報

華氏451

製作年:2018年
上映時間:102分
ジャンル:SF
監督:ラミン・バーラニ
キャスト:マイケル・B・ジョーダン、マイケル・シャノン、ソフィア・ブテラ、リリー・シン etc

映画『華氏451』の登場人物(キャスト)

ガイ・モンターグ(マイケル・B・ジョーダン)
ファイアマンの隊員。本を守る反体制派「ウナギ」を見つけ出して処罰し、本を焼き尽くしている。ある事件をきっかけに、自分の仕事に疑問を抱く。幼い頃に両親を亡くし、ベイティ隊長に育てられた。
ジョン・ベイティ(マイケル・シャノン)
ファイアマンの隊長。書物を害とし、焼き尽くすことが人間の幸福になるという思考を指導している。一人きりになると隠し持っているペンで、その日の出来事や考えを紙に記している。
クラリス(ソフィア・ブテラ)
反体制派「ウナギ」の一員。ウナギの親に反発して、普通の人になりすまして体制側で暮らしていた時期があるため、双方を行き来できる。活動資金を得るためベイティにウナギの情報をリークすることもある。

映画『華氏451』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『華氏451(2018)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『華氏451』のあらすじ【起】

書物は悪い思考を生むとし、文字を読むことも書くことも禁じられている近未来。情報源は「ナイン」と呼ばれるインターネットに限定され、人々の生活は人工知能ユークシーによって管理されていた。本を見つけ出して燃やすのが仕事の「ファイアマン」は、子供たちにとって憧れの職業。隊員のモンテーグはベイティ隊長の指揮の下、日々忠実に働いていた。

本を守る反体制派を「ウナギ」と呼んだ。ある夜、通報で出動したモンテーグたち隊員はウナギのアジトを襲撃。ナインを通して全国に生中継される中、火炎放射器で書籍などを焼き尽くすと、見せしめにウナギたちの身分を消去して財産を没収した。

モンテーグはベイティ隊長に連れられて情報提供者のクラリスに会った。彼女からなぜ本を燃やすのかと問われると、モンテーグは言葉を失う。紳士服店に潜伏していたウナギを摘発して帰宅したモンテーグは、亡き父を思い出そうとするが、文字を読まないことで記憶力が低下し思い出せなかった。隊長は一人きりになると隠し持っていたペンを取り出し、一日の出来事を紙に書き記すが、跡を残さぬようすぐに焼却した。

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映画『華氏451』のあらすじ【承】

ファイアマンはクラリスの情報を元に出動し、大量の書籍を所蔵する一軒家を発見する。家主の老婆は彼らの前でスタインベックの「怒りの葡萄」を読み抵抗した。隊長はモンテーグにカフカの本を触らせると、人間に悪影響をもたらすと説明し、火炎ショーの準備をしろと指示する。モンテーグは全ての本を広間へ運びながら、こっそり一冊の本を手元に収めた。

隊長は中継カメラの前で書籍を「華氏451度で燃え出す類のもの」と呼び、本の山に点火した。すると、老婆が炎に入って焼身自殺を図る。死ぬ直前に「オムニス」と謎の言葉を残して。

オムニスという言葉はニュース配信では別の言葉に書き換えられたものの、闇サイトで噂となり、政府は警戒を強めた。

モンテーグは持ち帰ったドストエフスキーの「地下室の手記」を手にクラリスに近づき、なぜ老婆は本のために死んだのかと質問した。彼女はモンテーグを自宅に招いて本を朗読してあげると、国は言語を排除して思想を駆逐しているという現状を訴える。その後、彼にハーモニカを教えて2人の距離は縮まっていった。

映画『華氏451』のあらすじ【転】

政府はオムニスとは膨大な量の落書き(書籍)が収められたDNAであると認識し、オムニスの大規模な捜索を開始した。ファイアマンによる捜索は過激化し、通報や密告が相次いで書籍を燃やす火炎ショーは連日生中継される。モンテーグは隊員の一員として本を燃やしながらも、夜はクラリスの部屋に足しげく通い、本を読む日々を送った。

ある夜、拘束されて処罰されそうになったクラリスをモンテーグが逃がしたことで、隊長が2人の関係に気付く。隊長から問い詰められたモンテーグは制服を脱ぎ、辞職を願い出た。隊長は辞職の受け取りを拒み、彼に休んだ後で仕事に戻れと告げる。

モンテーグはクラリスたちウナギと合流し、森の潜伏先へ向かった。そこでは何十人ものウナギが共同生活をしており、彼らはひとり一冊ずつ本の内容を丸暗記して、書籍を後世に残そうとしていた。モンテーグは思考力がないまま生き続けるのは嫌だという気持ちを彼らに伝え、仲間入りを果たす。そして、彼にしかできないある任務を託された。

映画『華氏451』の結末・ラスト(ネタバレ)

モンテーグに託されたのは基地から応答機を盗み出すこと。クリフォードという少年と一羽のムクドリをカナダの国境へ送り届けるために、応答機は必要であった。クリフォードは13000冊の本を記憶した天才であり、ムクドリにはオムニス計画の遺伝学者が開発したDNAが注入されているのだ。

モンテーグは基地で応答機を盗んだところを隊長に呼び止められ、ある現場への出動を命じられる。その現場とはモンテーグの自宅だった。彼は生中継で処罰されそうになり、抵抗した際に隊員の一人を焼死させる。指名手配犯となったモンテーグはクラリスと合流してアジトに戻るが、隊長率いるファイアマンの車列が先回りをし、本を燃やして彼らに暴行を加えていた。

クリフォードは死んでしまうが、ムクドリはまだ元気に生きていた。モンテーグは鳥に応答機を取り付けて空に放ち、その後、隊長の火炎放射器で焼き殺される。

その後、ムクドリは無事にカナダに渡り、仲間の群れと合流した。その群れはまるで記憶や知識が解放されるかのように、大空に広がるのだった。

映画『華氏451』の感想・評価・レビュー

SFの名作をHBOがテレビ映画化したものだが、内容はインターネットや人工知能も加わり今風に変更されている。主演は「クリード」シリーズのマイケル・B・ジョーダンで、自分の仕事に葛藤するファイアマンの隊員を演じている。ファイアマンとは本来、火を消す消防士を指すが、本作では放火するのが仕事だ。

比喩的表現が多い演出で難解に感じる部分もある。解釈は見る者の立場によって変わるだろう。本を禁じることで思考力や判断力、記憶力が鈍くなるという皮肉が描かれ、現代社会に警鐘を鳴らしているように感じた。(MIHOシネマ編集部)

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